焼酎お見舞い・・・
きゃー! 暑中、と書いたつもりが、打ち間違えてこんな変換に・・・。
全然関係ありませんが、友達に「返信ありがとう」と打ったら「変身ありがとう」となってしまって倒れた思い出が。
あ~今日も暑いですね・・・。
サブタイトルは、冬坊の国語の教科書に載っていた短編小説の題名です。
中一の三学期に習ったものなんですが、あちこちの教科書で、けっこう以前から掲載されているみたい。
私の記憶にはないんだけど、ご存知のかたも多いかな。
「少年の日の思い出」ヘルマン・ヘッセ(おお、巨匠!) あらすじ
12歳(多分)の「僕」はチョウの採集にそりゃもう夢中。その情熱はまさに絶頂。
そんな「僕」がものすごーく欲しいのが、近所の模範少年が持っている、めずらしいチョウの標本。
あれが欲しい、どうしても欲しい。「僕」は彼の部屋に忍び込み、なんと標本を盗んじゃう。
でも部屋を出て、ほかの誰かが近づいてくる足音を聞いたとき、突然良心がめざめるんですね。
ああ、なんちゅー下劣なことをしちゃったんだろうか。
「僕」はすぐに部屋にひきかえして、ポケットにつっこんでいた標本を返そうとするけど、標本はすでにバラバラになっていた。
がっくりと家に戻る「僕」。母にすべてを打ち明けると、母はきっぱり言い切った。
自分で謝りに行きなさい。それよりほかにありません。
「僕」は謝りに行くけど模範少年の許しはもらえず、思いっきり軽蔑されただけ。
「僕」ははじめて知ります。一度起きたことは、もう償えないんだと。
帰宅した「僕」に母はキス。何も聞かずにほっといてくれたことだけが救いでした。
傷心の「僕」は、そのあと自分が集めていた標本を全部こわしちゃいました・・・おしまい。
・・・子どもが読むのと大人が読むのとで、感想が全然ちがうお話ってありますよね。
この作品はその典型じゃないかと思います。
たぶん中学生の感想の大半は「欲しい気持ちはわかるけど、盗みはいけない」「謝ったのに許してあげないなんて意地悪だ」というもののはず。あと「後味が悪い話だなあ」とか。
でも大人目線で読むと・・・とくに男の子の親としてはですね。もうハラハラ。
だって、「僕」がいい子なの、わかるんですよ。夢中な気持ち、どうしても欲しい気持ち、わかるわかる。
盗んじゃって、でも反省して戻しに行って・・・なのに、ポケットから出した標本がボロボロだったという展開は、たまんないほど痛々しくて。思わず涙が出そうになっちゃいました。
そして特筆すべきは、「僕」の母のすばらしさ。
この母が登場しているために、大人にとってこの話は、それほど後味悪くはなっていません。
たぶん作者にとっても。巨匠ヘッセも「僕」が絶対好きなはず。だから母に「僕」を救わせているんですよね。
もしも私が母だったら、こんなふうにできるかな。
しつこく聞きまくって干渉してしまいそう。見習わなくちゃいけないと、しみじみ思いました。
それともうひとつ。再読してみて再確認しましたが、この話、犯罪小説としても秀逸です。
何をおおげさな、と思われるかもしれないけど、実際に大人がやる犯罪だって、案外こんなものじゃないでしょうか。
「僕」がやったことを殺人に代えてさえ、通用する展開。
魔が差して、はずみで殺して。こわくて思わず逃げようとしたときに、他人の足音がきこえる。
一気に目が覚める。自分はなんてことをしたんだろう。
家に帰ってすべてを話し、家族に付き添われて自首・・・あるでしょ、こういうのって現実に。
良心が目覚める瞬間って、きっとこんなもの。
起きたことは取り返しがつかないと知る。償いはできないと知る瞬間って、こんなもの。きっと。
そして、模範少年の態度ですが、この子は謝りに行った「僕」を罵倒したりはせず、冷然とした態度で「軽蔑」します。
怒りではなく軽蔑。もっとも人を傷つけるのが、侮蔑だって知る瞬間、現実でもありますね。
作中では犯罪のあとに侮蔑、の順番だけど、犯罪の動機が侮蔑ってことも多いはず。
そんなことも考えてしまうエピソードでした。
・・・ふだん教科書を読んだりしない私が、なんでこれだけ読んでみたかといいますと。
冬坊がぶつぶつ言ってたんですよ。「エーミール」「エーミール」って。
なんじゃそりゃ。
てっきり主役の名前かと思って読んでみたら、模範少年の方の名前でした。
でも、読書嫌いの冬坊が呟くくらいだから、リアル少年の心にも、何か訴えるものがあったみたい。
どんな授業を受けたのかなー。
どうもありがとうございました
夏休みになって、孫も読書感想文を書かなければなりません。
komaさんの素晴らしい読書感想文を読ませていただき、文が上手い方が本当に羨ましくなりました。
娘たちが小学生の頃、宿題の読書感想文で親の私が苦労しましたので。。。(笑)
ヘルマン・ヘッセは「車輪の下」しか読んでいませんでしたが、「少年の日の思い出」を読んでみたくなりました。
読書感想文、実は私も子どもの頃は嫌いでした。苦手というより嫌い。
小6の時に「かもめのジョナサン」の感想文を書いた記憶がありますが、それほど感動したわけでもないのに、口先だけで(?)でっちあげたような気が・・・。
課題図書ってものに興味なかったんですよね。
(かもめのジョナサン、当時の大ベストセラーでした。年がバレバレですね~)
うちの小学生息子も感想文が超苦手で、頭かかえてますよ。
課題図書じゃなくてもいいらしいんですが、それでも全然ダメみたいで。
悩ましい問題ですよね~。