茂木日誌

茂木の日誌

自筆譜に触れる

2015-05-15 23:26:04 | 日誌
縁あって、紺野陽吉氏の弦楽三重奏曲の自筆譜をじっくり拝見する機会に恵まれました。

第二次大戦の末期に清瀬保二氏のもとへ託されたその楽譜からは、様々な思いが読み取れる様な気がしてなりません。
その譜面は迷いとともに続ける制作の最中の様相であり、未完の作品を預け出征した紺野氏の胸中はいかがなものであったでしょう。

戦後を見ずに志半ばで戦地に散った若者が全世界中にいた、そんな彼等の夢や希望が遺したものがこの世にどれくらい残っているのでしょう。
そうした遺志を、現在に生きる我々がどの様に受け止め、引き継いでゆけばよいのでしょう。
残された遺志の中には、語り継ぐことや保存することで伝承されるものもあるでしょう。
今回、末期の戦地に散った紺野氏が遺した未完の楽譜に触れ、楽譜を音にする役割の人間として、その作品を後世に残す義務をあらためて感じています。

伝承を絶やさぬことで、戦争の愚かさや悲惨さが語り継がれ、そして夢や希望を胸に生きるていることの素晴らしさがいつの世にも引き継がれることを願っています。


コメント (2)
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