ヒサンな椅子

 私のパソコンなどを置いてある作業机の椅子が、もうかなりぼろぼろになっている。ここ最近で急に老朽化が激しくなって、表に張ってある布地のあいだから中身の黄色いスポンジがどんどんこぼれ出てくる始末。
 原因は、もちろん猫たちである。爪を研ぐ。椅子の布地の引っ掛かりがちょうどよいらしい。
 もっとも、もう5年以上も爪を研がれ続けている椅子だけれど、少し前までみゆちゃんがひとりで研いたころには、ここまでひどくはなかった。研ぎはするものの、なんとなくいけないとわかっているようで、遠慮がちにやっていたから、生地の繊維がほつれている程度であった。
 ところがふくちゃんは違う。助走をつけて飛び乗りくるくる回る公園の遊具みたいに、ばっと背もたれに爪を立てて飛びついて、おおっぴらにばりばりやる。
 ふくちゃんがそんなだから、ひとりで遠慮がちにするのも馬鹿らしくて、みゆちゃんも堂々と研ぐようになり、ぼろぼろ化が加速された。
 黄色いスポンジがぼろぼろとちぎれてこぼれだすのはごみになって困るけれど、座れなくなったわけではないから、そのまま使っている。私は椅子がぼろぼろになった過程を知っており、それに普段からそのぼろぼろ具合に見慣れているからたいしてなんとも思わなかったけれど、あらためて第三者の目で見ると、結構悲惨な感じがすると気がついた。このあいだうちへ来たお客は、このむちゃくちゃな椅子を見てなんと思ったかしら。
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