猫ベッド、トランスフォーム

 みゆちゃんは、ドーム型などの覆いつき猫ベッドの、本来使用すべき覆いの下には入らずに、覆いの上で寝るのが好きである。しかし最初から覆いの上に上るのではなくて、一定期間普通に使ったあと、或る日、何のきっかけもなく(人にはわからない、猫にとって何か重要なきっかけがあるのかもしれないけれど)、中に入るのをきっぱりやめて、覆いの上で寝るようになる。猫ベッドはたいていやわらかい素材でできているから、みゆちゃんの重さでもとの形がすっかりつぶれてしまって、いびつな屋根なしタイプの猫ベッドみたいになってしまう。
 みゆちゃんが家に来た年の冬に私が段ボール箱で作った(作った、というほどでもないけど)猫ハウスも、その後購入したドーム型の初代猫ベッドも、キューブ型の二代目猫ベッドも、まだ段ボールで作った猫テントも、しばらく通常使用したあと、上にのぼってつぶしてしまった。
 今年の10月の終わり頃に買ったテント型三代目猫ベッドは、ずいぶん気に入り、毎日中にこもって寝ていたから、今度こそは大丈夫かと思っていたけど、今週、とうとうまた上にのぼってしまった。
 四角錐のテントを無理矢理つぶしてへこませて、そこでぎゅっと丸くなっている。そんなに寒そうに眠るなら、中に入って寝ればいいのにと思うけれど、みゆちゃんは布団の中にももぐったりしないタイプなので、オープンな寝場所が好きなのだろう。
 迷惑なのはそれに付き合わされるふくちゃんで、ふくちゃんはたぶんテントの中にはいって寝たいと思うのだが、仕方がないので、つぶれたベッドの、みゆちゃんの隣にくっついて、やっぱりからだを丸めて眠っている。
 部屋に日の差す日中は、みゆちゃんは窓辺に置いた座布団の上で眠るので、そのあいだに猫ベッドを元通りに直して置いたら、ふくちゃんがすぐ現れて、今のうちとばかり、そそくさと入っていった。
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