猫の貫禄

 今年でみゆちゃんは8歳、ふくちゃんは4歳である。猫の年齢を人間の年齢に換算する方法はいろいろあるようだけれど、みゆちゃんは人間の50歳くらい、ふくちゃんは35歳くらいであるらしい。
 いつのまにか、みゆちゃんは私の歳を越してしまっていた。
 そのためかどうか、この頃みゆちゃんには、年齢を重ねてきた猫の貫禄みたいなものが備わってきたように感じる。見かけだけで言うとふくちゃんのほうがずっと貫禄があるが、ふくちゃんのつぶらな目にはまだ子供っぽさが残っていて、そわそわした仕草など、からだが大きいだけで、貫禄とは無縁である。一方のみゆちゃんは、小柄ではあるが、こちらを見据える目の表情や、ゆったりとした立ち振る舞いには、侮れないような威厳があって、堂々としている。
 一日に何度も、みゆちゃんに可愛い可愛いと声をかけるけれど、みゆちゃんの可愛さは、子供の可愛さとはまた違っている。みゆちゃんとは対等であって、むしろ、みゆちゃんと一緒に居ると、年長の家族といるような安心感や、信頼感が感じられる。
 それゆえに、みゆちゃんの背中をなでながら、いつまでも元気で一緒に居てね、と切に思わずにはいられない。もちろんふくちゃんにだって同じように元気で長生きして欲しいと思っているが、年長者に対して思うほどはまだ切実ではない。
 ふたりとも、20歳を目標に頑張って欲しい。たとえしっぽが二またに分かれても、私はいつまでも一緒に居てくれれば幸せです。
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