幸せな朝

 だんだん寒くなって、ねこたちが布団に集まってくるようになりました。
 うちのねこたちは5にゃんとも、滅多に布団の中には入ってきません。みんな布団の上で寝ます。なので、1匹、2匹と布団の上にやってくるねこが増えるたびに、私の可動領域は減っていき、最大数の5匹が乗ると、右横にぼんとロナ、左横にぴったり寄せてくる胴の長いまる、足元にみゆちゃんとふくちゃんというように、ほぼ全方向の布団の上に猫重しが乗せられ、布団で封じ込められたようになって、身動きが取れなくなります。
 ただ、一年に一回か二回くらい、みゆちゃんが布団の中に入ってくることがあります。それはたいてい休日の朝いつもより遅くまで寝ているときで、カーテンの隙間からもれてくる外の光も明るく、もうそろそろ起きようかなというタイミングで布団の中に入ってきて、私の横腹のあたりにもたれて寝ます。
 もちろん起きるのはやめて、もうしばらくみゆちゃんとごろごろするのですが、それはそれは可愛く幸せな時間で、早く起きたいという気持ちなどどうでもよくなります。
 こんなにも至福の時なのですが、先にも書いたようになぜか一年のうちに数えるほどしか来てくれません。
 それが今朝、みゆちゃんが枕元にやってきたので、布団を頭の高さくらいまで持ち上げてやると、そろそろと入ってきて、いつものように私の横腹にもたれて寝ました。
 外はまだ暗く、時計を見ると、起きなければならない時間までまだ1時間半ほどあります。私は安心して、もたれているみゆちゃんの背中をなでながらもう一度目を閉じました。なんという幸福な朝でしょう。
 しかしその幸福感とは裏腹に、みゆちゃんの体温で布団の中が暑くなりすぎたのでしょうか、夢の中で、私は拳銃を持ったマフィアの女に目が覚めるまで追いかけられ続けました。
 やがて、起きる時間が来てしまい、私はみゆちゃんにもっと寝ていていいよと声をかけながら布団を出ようとしましたが、みゆちゃんも一緒に起き上がって、布団から出てきました。布団から出てきたみゆちゃんはぽかぽかでした。
 ところで、ほとんどのねこたちはみんな私が起きると一緒に起きるのですが、ぼんちゃんだけは私たちが起きたあとも、しばらく布団で寝ています。人間が寝坊しているのを見ても、「はよ起きんかい」と思うだけですが、お寝坊さんなねこというのはなんとも可愛らしいです。まあねこは何をしていても可愛いので、当然といえば当然ですが。 
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