若いころ好きな唄があった。
題名も歌手もすっかり忘れてしまったが女性シンガーソングライターのその唄はマイナーながらいまもはっきり覚えている。
いまでも秋風が吹くころになると思いだしたように口に出ることがある(笑)
今朝もメールしていてとつぜん思いだした。
いつもメールだけどたまに手紙でも書いてみようかな。。
----------------------------------------------------------------------
窓辺に吹きこむ風は秋を告げているのです。
懐かしさ抑えきれずはじめてお便りします。
今年もキンセンカ、庭に蒔きましたか。
世話好き、あなたの姿が目に浮かぶ。
なにもなかったのです、とくべつ書きたいことなど。
ただ、すこし気になっていまでもお元気ですか。
題名も歌手もすっかり忘れてしまったが女性シンガーソングライターのその唄はマイナーながらいまもはっきり覚えている。
いまでも秋風が吹くころになると思いだしたように口に出ることがある(笑)
今朝もメールしていてとつぜん思いだした。
いつもメールだけどたまに手紙でも書いてみようかな。。
----------------------------------------------------------------------
窓辺に吹きこむ風は秋を告げているのです。
懐かしさ抑えきれずはじめてお便りします。
今年もキンセンカ、庭に蒔きましたか。
世話好き、あなたの姿が目に浮かぶ。
なにもなかったのです、とくべつ書きたいことなど。
ただ、すこし気になっていまでもお元気ですか。
自宅から通りに出るまでに短い路地がある。
隣家との境界にブロック塀が建てられてあって、その壁際30cmばかりに土が盛ってあり様々な木々が植えられている。
生前に父が植えた木だ。
あれからそんな木々もだいぶ入れ替ってしまったが、菊桃の木だけは狭い路地にいまも枝を張りめぐらせている。
桜の散る春も終わりの頃になるとその名のとおり、桃色をした小菊のような可憐で美しい花が狭い路地一面に咲いて、その花が終わると梅干しくらいの実を着ける。
実は長い日にちをかけて熟し、初夏のころには路地に毎日のように数個が落ちていて、手をわずらわせる。
この実を踏もうものならすってんころりんと滑って怪我をするので、つまんでは壁際の土に放り投げないといけないからだ。
夏も終わって秋風が立ちはじめたころ、もうすっかりそんな朝の行為も忘れかけていたら、ひとつの実が路地のコンクリートに落ちていた。
上を見上げると枝にはもう一つも実は成っていなかった。
きっと最後の一個だったのだろう。
壁際に放り投げるまえに写真を撮りたくなって、自宅に戻ってカメラを持ちだし、たったひと粒の実を十数枚撮った。
撮りながら父が地面に落ちたその梅干しくらいの、ちいさな菊桃の実を手で皮を剥いて、毎日のように食べていたのを思い出した。
「美味いんやから、いっぺんだまされたとおもうて食べてみ?」と家族にいつも言っていたが、ついに誰も食べることはなかった。
来年もしこの木が枯れたら生涯たぶん食べれないし、だまされたとおもうて食べてみよか。。と手に取ってみたがやはり口には入れられなかった。
ただ実はいつものように壁際に放り投げないで、菊桃の根元の土を浅く掘って埋めておいた。
隣家との境界にブロック塀が建てられてあって、その壁際30cmばかりに土が盛ってあり様々な木々が植えられている。
生前に父が植えた木だ。
あれからそんな木々もだいぶ入れ替ってしまったが、菊桃の木だけは狭い路地にいまも枝を張りめぐらせている。
桜の散る春も終わりの頃になるとその名のとおり、桃色をした小菊のような可憐で美しい花が狭い路地一面に咲いて、その花が終わると梅干しくらいの実を着ける。
実は長い日にちをかけて熟し、初夏のころには路地に毎日のように数個が落ちていて、手をわずらわせる。
この実を踏もうものならすってんころりんと滑って怪我をするので、つまんでは壁際の土に放り投げないといけないからだ。
夏も終わって秋風が立ちはじめたころ、もうすっかりそんな朝の行為も忘れかけていたら、ひとつの実が路地のコンクリートに落ちていた。
上を見上げると枝にはもう一つも実は成っていなかった。
きっと最後の一個だったのだろう。
壁際に放り投げるまえに写真を撮りたくなって、自宅に戻ってカメラを持ちだし、たったひと粒の実を十数枚撮った。
撮りながら父が地面に落ちたその梅干しくらいの、ちいさな菊桃の実を手で皮を剥いて、毎日のように食べていたのを思い出した。
「美味いんやから、いっぺんだまされたとおもうて食べてみ?」と家族にいつも言っていたが、ついに誰も食べることはなかった。
来年もしこの木が枯れたら生涯たぶん食べれないし、だまされたとおもうて食べてみよか。。と手に取ってみたがやはり口には入れられなかった。
ただ実はいつものように壁際に放り投げないで、菊桃の根元の土を浅く掘って埋めておいた。