今日は暗室での液温管理について自分が数年まえからしているちょっとした事。
フィルムメーカーの液温指定はおおむね20℃から24℃が基本でもちろん温度をグラフ化して時間を変えれば18℃から26℃くらいまでは可能ですが、年間を通してコンスタントなネガ濃度を作ろうとするならやはりこの範囲あたりが無難なようです。
液温を高くすれば当然、処理時間も短くなるわけで少しのもたつきや手際の違いで毎回わずかに濃度のバラつきや現像むらが出てしまいます。
また18℃より以下の低温だと時間を長くしても最高濃度があがりにくくよく言われる眠いネガや現像かぶりの原因にもなります。
ピンスポット(フィルム膜面の微細な埃りや乳剤膜面の不均一化で現像が進行しないで針先で突いたような肉眼では見えない白い点の跡)も適温以外では発生しやすくなります。
このピンスポットについては前浴でいくぶん防げる(現像液を注入するまえに同温の水道水で膜面への浸透を図ることですが、推奨する派〈ピンクステインが減る※フィルムに塗布されたハレーション防止剤を初期で流すので水洗後のネガがピンク色やマゼンタ色に残らない、現像むらが気持ち減る、等々〉と否定する派〈液温管理がかえって複雑になる、現像液が薄められる、水道水のハイポが見現像フィルムに及ぼす影響、等々〉に別れています)記述も見れますが僕はめんどくさい派(笑)なのでしていません。
100円で売っている500ccペットボトル(口いっぱいまで水を入れると凍ったとき裂けます)に水をいれて冷凍庫で凍らせておきます。
現像液を入れたビーカーにこの氷結ペットボトルを直接つっこみます。
(液温を希釈するときは氷を直接入れて適温に近いところまでもっていきます。)
教本等では二重ビーカー法を勧めますがあれはなかなか液温は下がりません。
このペットボトルサイズは35mm4本用(120なら2本)タンクにもぴったり納まりますのでもっと高温のときはタンクもあらかじめ冷やしておけます。
現像の処理温度は僕の場合、夏は20℃で冬は22℃にしています。
室温からすれば逆のようですが夏に22℃にすればすぐに24℃くらいまで上昇し冬に20℃にすればすぐに18℃まで下がって適性温度から外れてしまうのが嫌だからです。
現像中のタンクを30秒置いているあいだはペットボトルを両手で握って手のひらの温度を抑えてからタンクを触ります。
氷結ペットボトルはこの手の平を冷却するのがいちばん利点で手の平が冷却材になります。
またタンクに注いだビーカー底にわずかに現像液を残しておき液温計の先を浸けて室温との上昇を予測しながら溶けかかったペットボトルを直接タンクに密着させて液温の上昇を防ぎます。
処理時間が長くなってきたらペットボトルの溶けかかった氷水を直接タンクの上からかけながら液温上昇を抑えます。
また冷えすぎた場合はタンクを乾いたタオルですぐに拭いてドライヤーの熱風を当てると2℃や3℃はすぐに上がります。
水洗に入ればペットボトルの溶けかかった冷水で咽喉も潤せますしお酒好きな方は水の代わりにアルコールを入れておいてもいいでしょうね(笑)
停止液・定着液はこの時期まだ常温ですが30℃近くになれば同じ方法でします。
汚い暗室でお見せするのが恥ずかしいですが、部屋の横を針金で渡したフィル吊りと2段スイッチ(白熱灯と暗室ランプに切り替わる)のヒモ先に結んだフィルム軸が泣かせます(笑)
もう数十年も経ったフジのS690です。
シュナイダーのコンポノン50mmと80mmを着けています。
後ろの窓をコンパネで塞いだ板には暗室専用換気扇と同電気式換気扇、汚らしいホースはシャープのタンク式水冷冷房機(これも博物館ものです)