

2009年5月30日公開 アメリカ 105分
ソフィー・キンセラの「レベッカのお買いもの日記」シリーズの映画化です。舞台はロンドンからニューヨークとなり、物語の展開も原作とは異なっているとか。
監督がジェリー・ブラッカイマーというのもかなり異色ですが、とても楽しいラブコメに仕上がっています。何しろスタイリストは『プラダを着た悪魔』や『セックス・アンド・ザ・シティ』のパトリシア・フィールドなんですから、ファッションについてはもう文句無し!
25歳のレベッカ(アイラ・フィッシャー)の夢は、一流ファッション誌の記者になること。でも現実は地味な園芸雑誌の編集者。そんな彼女のストレス解消法は大好きなお買いものをカード払いですること。子供の頃に倹約家の母にオシャレ心を抑え込まれてしまったレベッカは、反動でファッションへの憧れを過剰に募らせ、買い物中毒に陥っていたのでした。
彼女が親友のスーズ(クリステン・リッター)とシェアしてるアパートはまるで部屋自体が巨大なクローゼットのよう。あらゆる色に囲まれたパラダイスだけど、現実はカード会社の督促人の電話に怯える毎日です。
転職の面接に出かけたのに、ショップのセールに寄り道して衝動買いしてしまったグリーンスカーフが縁となり、マネー情報誌の編集長ルーク(ヒュー・ダンシー)の下で働くこととなった彼女ですが、二人の出会いからして彼女の嘘が始まりというのは、後半の波乱を予感させます。
憧れのファッション誌「アトレ」に移るための踏み台という不純な動機で、経済雑誌編集者になったレベッカですが、自身の買い物から得た知識をわかりやすく例えに用いたユニークな文章が世間に受け、経済ジャーナリストとして人気者になります。ルークとも良い感じになりハッピーな彼女は、親友が心配して紹介してくれた自助会にも殆ど参加せず、TV出演のために親友を裏切るあることをしてしまいます。
天罰覿面というか、その番組内で督促人(映画の中では悪役だけど、彼自身は悪いことをしてるわけではなく、仕事に忠実なだけなんだよなぁ。そう思うとちょっと可哀想でもあります。後日のレベッカの強烈なお返しには笑ったけれど。)に今までの嘘をばらされたレベッカはルークを怒らせ、親友にも裏切りを知られ絶交されてしまうのです。
親友の涙と、父親が長年の夢を叶えて手に入れた(節約はそのためだったのね)ワゴン車を娘の借金のために換金して肩代わりしようとの申し出(「お前とママが一番大事」というセリフが泣けるね)に、レベッカは自分の本当の願いに気付くのです。
自分は愛されている、背伸びして着飾らなくてもありのままの自分でいいのだ。
それに気付いた時、レベッカの買い物中毒症は癒されたのです。
憧れのアトレの編集長の欺瞞の香りする仕事の申し出をきっぱりと断り、部屋いっぱいの衣装を売り払いすっきりした彼女は親友とも仲直りして、語りかけてくるマネキンたち(レベッカの心の代弁者としてマネキンが手招きしたり語りかけたりするという手法が新鮮で面白かったです)に祝福され、そしてラストはもちろんルークとハッピーエンド♪
呆れるほどいい加減だけど、根は素直で天真爛漫なレベッカには、どこか人を惹き付ける魅力があります。それは彼女の真っ直ぐな行動力と明るさから来るのかな。演じたアイラもとてもキュートでヒロインにぴったりでした。
そして相手役のヒューがまた甘いマスクのイケメンです。
母親の家名(NYの名士)に縛られずに自力成功しようと努力しているルークを好演しています。
もちろん、プラダやグッチ、ディオール、ミウミウ、フェラガモ、バレンシアガなどなどブランド品も目の保養になりました。