杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

最高の人生のつくり方

2015年06月07日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年製作 アメリカ 94分 日本劇場未公開

自己中心的で変わり者の不動産エージェント、オーレン・リトル(マイケル・ダグラス)のもとに、突然、疎遠になっていた息子から、存在さえ知らされていなかった孫娘(スターリング・ジェリンズ)を預かってくれと頼まれる。9歳の少女の面倒などどうやって見ればよいのかわからない彼は、責任感が強く愛嬌のある隣人のリア(ダイアン・キートン)に助けを求め、奇妙な3人の生活が始まる中、頑固者のオーレンは少しずつ家族、リア、そして人生に心を開いていく。

マイケル・ダグラス×ダイアン・キートン が等身大の役柄を演じているこの作品がどうして日本未公開だったのか疑問だわ。若者向けの甘い恋物語だけじゃなく、こんなちょっとシニカルな大人のラブコメだってスクリーンで観たいぞ

皮肉屋で頑固なオーレンは、最愛の妻と暮らした家を売りに出しているけれど、相場より遥かに高い額を設定しているため、なかなか売れません。それって本当は売りたくないってこと?

オーレンの自己所有のアパートには、腕白な子供たちを抱えた若夫婦や、警官の夫と身重な妻の夫婦、夫を亡くしたクラブ歌手のリアが住んでいます。騒ぐ子供を叱りつけたり、車を停めるスペースを独り占めしたりで、オーレンは嫌われ者ですがちっとも頓着していない様子。逆に困っている様子を楽しんでいるかに見えます。いかにも意地悪爺さんって感じね。

ところが、突然現れた息子ルークの孫娘サラを預かることになり、事態は変わります。
見かねたリアがサラの面倒をみる中、オーレンはルークの別れた妻の所在を探し(アパートの住人の警官を利用して住所を突き止めるのは本当は法律に触れることなんだけどね)彼女にサラを押しつけようとするのですが、彼女がまだジャンキー(あるいはアル中)だと気付くと連れ帰るだけの分別は持っていました。

サラを通してリアとの仲も急接近。彼女の歌声を認めるオーレンは歌の合間に挟む話術を磨けとアドバイスします。亡くした夫の話をしては泣いて歌えなくなる彼女に自分のことを話すよう勧め、今より割の良い仕事も斡旋します。私なんてと謙遜するリアに「僕はもっとボロくて古い家を売ってきた」と言っちゃうオーレンは悪気のないダメ男そのもので笑えます。ちゃっかりベッドインにも成功するのですが、事が終わって二秒後に帰ると言い出し大顰蹙を買うの。

リアの機嫌を損ねたと気付き、親友であり共同経営者?でもある女性に助言を求める姿が何だか可愛いぞ。彼女とオーレンはとても性格が似ていて、だからこそ二人は親友関係なのよね。
禁煙の店で喫煙して注意を受けると「未成年じゃないから平気」とのたまうご婦人ですもの

昔素行の悪かったルークは今は立派に更生していたのですが、上司の責任をかぶり無実の罪で刑務所に入ったことがわかると、オーレンは弁護士を雇い息子を釈放させます。なんだ、ちゃんと父親として息子を愛してるんじゃないの。

オーレンは、自分の本当の気持ちを辛辣な言葉や態度に隠してストレートに見せようとしない面倒くさい奴ですが、決して冷酷な人間ではないことがわかってくると、彼ら老年のカップルを応援したいという気持ちになってくるから面白い。

警官の妻の出産時に立ち会わされた時は散々なダメっぷりを見せますが、全てが丸く収まってアパートの住人皆でサラの「芋虫の研究」を鑑賞するラストではすっかり和気藹々な微笑ましいシーンが映し出されます。

いくつになっても人は恋をするし、人を愛する気持ちが人間関係の潤滑油になっているのね。

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