杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

海街diary

2015年06月24日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2015年6月13日公開 126分

まぶしい光に包まれた夏の朝、鎌倉に住む三姉妹のもとに届いた父の訃報。15年前、父は家族を捨て、その後、母(大竹しのぶ)も再婚して家を去った。父の葬儀で三姉妹は腹違いの妹すず(広瀬すず)と出会う。三姉妹の父を奪ったすずの母は既に他界し、頼りない義母を支え気丈に振る舞う中学生のすずに、長女の幸(綾瀬はるか)は思わず声をかける。「鎌倉で一緒に暮らさない?」しっかり者の幸と自由奔放な次女の佳乃(長澤まさみ)は何かとぶつかり合い、三女の千佳(夏帆)はマイペース。そんな三姉妹の生活にすずが加わった。季節の食卓を囲み、それぞれの悩みや喜びを分かち合っていく。しかし、祖母の七回忌に音信不通だった母(大竹しのぶ)が現れたことで、一見穏やかだった四姉妹の日常に、秘められていた心のトゲが見え始める。


湘南・鎌倉を舞台に、異母妹を迎えて4人となった姉妹の共同生活を通して家族の絆を描いた吉田秋生のコミックの実写映画化です。
この手の作品は原作ファンからすれば賛否両論ですが、私はコミックは全く読んだことが無いので、新鮮な気持ちで鑑賞できました
舞台となる鎌倉や湘南の海は行ったことがあるので、海岸や極楽寺の駅などを目にする度に何となく懐かしいような親近感を覚えました。というより、あの景色が観たくて劇場へ行ったのですが

幸が帰りの電車の中からすずに「一緒に暮らさない?」と声をかけるシーンはやや唐突な感もありましたが、伏線として義母が頼りなさの仮面を被ったけっこうしたたかな性格らしいこと、なさぬ仲のすずとの折り合いもそれほど良くなさそうな描写が葬式の場面でしっかり描かれていたので違和感はありませんでした。

父だけではなく母からも捨てられた形になった姉妹は祖母と母親代わりの幸に育てられたようです。幸は長女としての責任と、両親を見返してやりたい思いに縛られています。教師だったという祖母の性格を受け継いでいるのかな?佳乃は、そんな姉に反発するかのように自由奔放に生きています。この性格は母親似?そして三女の千佳はどちらの姉にも似ず、マイペースのちょっと不思議ちゃんです幼い頃に出て行った父の記憶もあまりないので、父に対する負の感情も少なく、一番年が近いすずの良き相談相手になります。スポーツ店に勤め、店長(いわゆるイケメンではない)と地元の少年サッカーの応援をしていて、すずにチームに入るよう声掛けもします。

父親が出て行ってから15年という月日が経っていたことが、異母妹の存在を大らかに受け止められた理由かも。既に大人になっている三姉妹にとって、中学生のすずは保護すべき者です。そこにわだかまりの入る余地がないのね。

すずはサッカー少女で原作ではサッカーを通した恋愛感情も描かれているようですが、映画では家族の関係に主眼が置かれているため、友情物語としてサラッと描かれています。
姉妹やサッカー部員たちが訪れる食堂のおばちゃん(風吹ジュン)のアジフライが本当に美味しそうでお腹が鳴りそうでした
生しらす丼が登場するのも湘南ならではですね

四姉妹としての暮らしに馴染んできた頃に、祖母の七回忌に今まで音信不通だった母親が現れたことで、幸と母親の間に波風が立ちます。それはずっとぶつけられなかった幸の不満が爆発したかのよう。そんな幸を冷静に分析する次女の佳乃や、その不思議ムードで場を和ませる千佳。三人いると自然と役回りが出来てくるのね雨降って地固まるの如く、本音をぶつけあった幸と母は凍っていた関係が緩やかに溶けていきます。

一方すずは自分が生まれたことで色んな人に迷惑をかけているのではないかと思い悩んでいました。自分の居場所はどこにもないと感じていたのです。そんなすずに幸は「すずはここに居て良いのだ」と諭します。父の思い出や母の記憶をもう封じ込めなくても良いのだとねすずが本当の意味で姉妹になれた瞬間ですね

不倫関係にあった職場の医師(堤真一)との関係を清算し前を向いて歩き始めた幸、ダメ男に引っかかっては振られていた佳乃は職場の上司に淡い恋心を抱き始め、千佳と店長も良い雰囲気。三姉妹の気持ちもすずの登場で変化が生じました。

大叔母役で登場する樹木希林さんは相変わらずの存在感お節介で言いにくいことをズバッと言うこんな親戚のおばさん、いるいる~!!

鎌倉の景色、四姉妹が庭先で浴衣を着て花火をする風景、ちょっと懐かしいような日本の家族の姿が情緒たっぷりに描かれ、カンヌで好評価だったのも頷けます

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