2018年1月6日 88分 スウェーデン・デンマーク・フィンランド合作
2095年、温暖化による海面上昇で、大陸のほとんどが海に沈み、動植物の多くが“塩病”で絶滅した。真水が貴重品となり人類の滅亡も間近に迫る中、ある女性科学者の研究にわずかな希望が見いだされる。彼女は海水を真水に変える研究を完成させたと言われていたが、その内容を発表しないまま2017年に飛行機事故で他界していた。研究結果を入手するよう政府から密命を受けたファン・ルン大尉(カーステン・ビィヤーンルン)は、特殊技術で生み出された自らの分身“QEDA”を2017年にタイムスリップさせる。しかし、分身が過去に辿り着き、女性科学者に接触した直後、通信が途絶えてしまう。果して、そこで何が起こったのか……?人類は生き延びることができるのか……?過去に送り込むが……。
大地のほとんどが海に沈んだ地球を救うべく過去にタイムスリップした男の奮闘を描いた北欧製SFサスペンスとのことですが、奮闘??していたの?
タイムスリップしたのは本人じゃなくて分身(でも当人であることに変わりないわけで)。感覚で繋がっている筈なのに切れてしまって慌てたルン大尉は、分身を連れ戻すため自身も過去に行くわけです。実はこの女性科学者は大尉の祖母なんですね
2017年で知ったのは、彼の世界ではとっくに失われている自然や動物の生き生きとした様や、雨に打たれる感触。分身が繋がりを断ちこの世界に留まっている理由は察しましたが、それで歴史が変わることは許されないんです。「彼」を縛り上げ拘束しておいて自らが分身に成り代わって修正を試みるものの、事態は最悪な結末を迎えます。本来は彼女が一人で搭乗する筈だったのに娘(大尉の母になる存在)も一緒に乗ってしまったの。即ち、大尉自らもその娘をも消してしまうということなんですね。
未来(2095年)を救う筈の計画は自らの存在を歴史から葬り去る結果になってしまうという結末は救いがないけれど、作品自体は一篇の詩のような穏やかで絵画的な色を感じました。ハリウッド作品とは全然違う感覚ですね。