2018年8月3日公開 イギリス 107分
“敵”の名簿を愉しげにチェックするスターリン。名前の載った者は、問答無用で“粛清”される恐怖のリストだ。時は1953年、モスクワ。スターリンと彼の秘密警察がこの国を20年にわたって支配していた。
下品なジョークを飛ばし合いながら、スターリンは側近たちと夕食のテーブルを囲む。道化役の中央委員会第一書記のフルシチョフ(スティーヴ・ブシェミ)の小話に大笑いする秘密警察警備隊長のベリヤ(サイモン・ラッセル・ビール)。スターリンの腹心のマレンコフ(ジェフリー・タンバー)は空気が読めないタイプで、すぐに場をシラケさせてしまう。 明け方近くまで続いた宴をお開きにし、自室でクラシックをかけるスターリン。無理を言って録音させたレコードに、ピアニストのマリヤ(オルガ・キュリレンコ)からの「その死を祈り、神の赦しを願う、暴君よ」と書かれた手紙が入っていた。それを読んでも余裕で笑っていたスターリンは次の瞬間、顔をゆがめて倒れ込む。
お茶を運んできたメイドが、意識不明のスターリンを発見し、すぐに側近たちが呼ばれる。驚きながらも「代理は私が務める」と、すかさず宣言するマレンコフ。側近たちで医者を呼ぼうと協議するが、有能な者はすべてスターリンの毒殺を企てた罪で獄中か、死刑に処されていた。仕方なく集めたヤブ医者たちが、駆け付けたスターリンの娘スヴェトラーナ(アンドレア・ライズブロー)に、スターリンは脳出血で回復は難しいと診断を下す。その後、スターリンはほんの数分間だけ意識を取り戻すが、後継者を指名することなく、間もなく息を引き取る。この混乱に乗じて、側近たちは最高権力の座を狙い、互いを出し抜く卑劣な駆け引きを始める。表向きは厳粛な国葬の準備を進めながら、マレンコフ、フルシチョフ、ベリヤに加え、各大臣、ソビエト軍の最高司令官ジューコフまでもが参戦。進行する陰謀と罠――果たして、絶対権力のイスに座るのは誰?!(公式HPより)
1953年の旧ソ連を舞台に、独裁者スターリンの死によって巻き起こった政権内部の争いを辛辣かつコミカルに描き、ロシアで上映禁止となって話題を集めたブラックコメディです。
緊張と恐怖が支配する独裁社会で日常的に行われる残虐行為に、権力者たちの感覚も麻痺しています。そこに生まれる不条理なユーモアを単純に笑い飛ばすことができるのはよほどお気楽な人だかも。ヒステリックなまでの滑稽さの中にある不気味さとユーモアはまさにブラックコメディの真骨頂です。当事国での上映禁止も頷けるといったもの
倒れたスターリンを見下ろしながら、側近たちはどの医者を呼ぶべきかも判断できずにいます。これまで毒殺の疑いで名医と呼べる者はことごとく投獄され、残ったのは藪医者ばかりなんですものね 表面的には、さもスターリンを心配しているように装いながら、側近たちの頭にあるのは、次の椅子!権力闘争の始まりです。誰と組んだら有利になるのか、誰を蹴落とさなければならないのか・・腹の探り合いと化かし合いの様子は俯瞰で見る分にはコメディですが、実際現実に起きたら笑いごとじゃないですね
スターリンの娘に取り入ろうと、我先に迎えに走る姿は滑稽そのもの。スターリンのバカ息子ワシーリー(ルパート・フレンド)の方が、まだましに見えるほど