2018年6月30日公開 イタリア 105分
神経生物学者のピエトロ(エドアルド・レオ)は大学での職を追われ、恋人に打ち明けることもできず、ふとしたきっかけで思いついた新しいドラッグを開発することを決意。自分同様才能がありながら不遇をかこつ研究者仲間を集めてチームを結成する。新開発のドラッグは大人気となり、大きな富をもたらすが、ドラッグ市場を牛耳るボスに目を付けられたことから、次から次へと予想だにしない事態が発生する。ピエトロとその仲間たちは事態の収拾に奔走するが…(公式HPより)
社会から弾き出された学者たちが、合法ドラッグでひと儲けしようとする姿を描いたイタリア製クライムコメディ。
研究に人生を捧げてきたのに、大学から研究費を削減され失職したピエトロ。家庭教師代を生徒に払ってもらうこともできない気弱な彼は、恋人に本当のことが言えず思わずついた嘘のせいでますますピンチに追い込まれます。切羽詰まった彼は、自分の知識を生かして合法ドラッグを製造することを思いつきます。 (イタリアの法律では、保険衛生省が公表している違法成分リスト外のドラッグを、警察が取り締まることができないんですね
)
自分同様、社会から不遇な扱いを受けているかつての研究仲間のアルベルト(ステファノ・フレージ)やラテン語学者のマッティア(ヴァレリオ・アプレア)とジョルジオ(ロレンツォ・ラヴィア)、考古学者アルトゥーロ(パオロ・カラブレージ)、数理経済学者バルトロメオ(リベロ・デ・リエンツォ)、人類生物学者アンドレア(ピエトロ・セルモンティ)ら専門家たちを集めて作ったドラッグは大人気に。このメンバーがまた強烈な個性の持ち主たちで、その会話だけでも笑えます。ディスコで若者たちにドラッグを売りさばく様子もコミカルに描かれています。
お金が入ったら当然使いたくなるのが人間。急に羽振りがよくなったピエトロを恋人のジュリア(ヴァレリア・ソラリーノ)が怪しみます。彼女だけではなくドラッグの元締めのムレーナからも目を付けられ、ジュリアを誘拐されてドラッグとの交換を要求されます。その原材料調達のために、薬局に強盗に入ることを計画した彼らが調達した武器がエルミタージュ博物館所蔵の剣や銃。ところが、薬剤師がピエトロの生徒だったことから慌てた彼らは強奪に失敗します。
ピエトロは窮余の策で、試作品のドラッグをムレーナに飲ませて信用させ、砂糖で作った偽ドラッグを渡してムレーナを嵌め、当局と取引して自分ひとりが罪をかぶる代わりに仲間を見逃してもらうのです。まぁ、自分が誘ったせいでこうなったのだから当然ではありますが、彼は決してずるい男ではないんですね
この作品、三部作ということで、冒頭の刑務所での面会シーンが次作へつながっているようです。やっぱり全部見ないとね