2024年12月13日公開 109分 G
人間の体内には37兆個もの細胞が存在し、酸素を運ぶ赤血球AE3803 (永野芽郁)や細菌と戦う白血球U-1146(佐藤健)など無数の細胞たちが、人間の健康を守るため日夜はたらいている。高校生の漆崎日胡(芦田愛菜)は、父の茂(阿部サダヲ)と2人暮らし。健康的な生活習慣を送る日胡の体内の細胞たちはいつも楽しくはたらいているが、不規則・不摂生な茂の体内では、ブラックな労働環境に疲れ果てた細胞たちが不満を訴えている。そんな中、彼らの体内への侵入を狙う病原体が動き始め、細胞たちの戦いが幕を開ける。(映画.comより)
人間の体内の細胞たちを擬人化した同名漫画の実写映画化です。原作漫画「はたらく細胞」とスピンオフ漫画「はたらく細胞 BLACK」から、ある人間親子の体内世界ではたらく細胞たちの活躍と、その親子を中心とする人間世界のドラマが並行して描かれます。
「翔んで埼玉」「テルマエ・ロマエ」シリーズの武内英樹監督で面白くならないわけがない✌
細胞たちのキャラと俳優さんたちがナイスマッチです。
白血球(好中球)U-1146を演じた佐藤健が全身白塗り姿で「ぶっ殺す!」と叫びながら細菌をなぎ倒す様なんて原作から抜け出したようにはまってました。なんたってアクション演出は「るろうに剣心」シリーズの大内貴仁ですからね😁
「キラーT細胞」役の山本耕史や「NK細胞」役の仲里依紗のキレッキレなアクションも魅せてくれました。
前半はコメディタッチで進みます。
大人になっても方向音痴?な赤血球を何かと守ってくれる白血球を軸に、特徴ある細胞たちが続々登場。優しいマクロファージ先生(松本若菜)や、可愛すぎる血小板(マイカピュ)たちに癒され、ヘルパーT細胞(染谷将太)の司令塔や美しい肝細胞もキャラに合っていました。
黄色ブドウ球菌(小沢真珠)、肺炎球菌(片岡愛之助)、化膿連鎖球菌(新路慎也)の悪玉菌トリオは黄・青・赤の信号トリオじゃないか😓 とは後で気付いた次第💦
それぞれ思いっきり楽しんで演じたんだろうな~というオーラ全開でした。
身体の持ち主であるニコちゃんとお父さんのやりとりに仲良しぶりが感じられ、ニコが想いを寄せる先輩・武田新(加藤清史郎)にときめいた時に神経細胞(DJ KOO)が絶妙なアゲアゲDJを披露するシーンでは細胞たちも踊り出します。
不摂生なお父さんの体内にいた先輩赤血球(加藤諒)と新米赤血球(板垣李光人)の視点で描かれるゴミ(LDL)だらけの血管内や肛門での悲壮な攻防に笑いながら、ふと我が身を顧みて反省も💦
この二人に訪れた悲しい別れから、新米君がニコの細胞の仲間入りをするいきさつにはやや難がありますが、原作二つを巧妙に融合させた結果なのね。
ちなみに健康的な生活を送っていたニコの体内はファンタジックで綺麗な街として描かれ、不健康なお父さんの方は戦後の日本のような荒廃感が漂う街になっていました。
ニコの食事指導のおかげで健康を取り戻したお父さんでしたが、今度は娘の方に病魔が忍び寄りました。
先輩白血球の「お兄ちゃん」に憧れ立派な白血球になろうとしていた子(SEKAI NO OWARIのFukase)が異常細胞と判断され白血病細胞に変貌(がん化)しちゃうんですねぇ😔
Fukaseは「キャラクター」でも殺人鬼(悪役)を演じていましたが、今回の悪役も合っていました。
ここからはシリアス全開で細胞たちの戦いが描かれます。
体内で抗がん剤は爆弾投下のごとく炸裂し、放射線治療はオーロラのように全身をなめ尽くし、細胞たちを全滅させていきます。輸血によりニコの体内に移植された新米赤血球君と出会い、共に行動し励ます姿はすっかり先輩赤血球なAE3803でした。
無数の白血病細胞と戦い力尽きるNK細胞やキラーT細胞。白血球U-1146も白血病細胞を倒して死亡し、最後まで酸素を届け続けた赤血球AE3803も放射線で死亡するという何とも哀しい最期です。まぁ、細胞にも寿命があるわけで仕方ないのだけど、やりきれなさを残します😭
ニコのために必死に看病を続けたお父さんとBFの新君の微笑ましいやりとりや、笑うことで免疫力があがると一生懸命に励ます姿には涙腺が緩みました。そういえば愛菜ちゃんと阿部さんは「マルモ~」以来の親子役共演ですね💛
辛い治療に耐え抜き、骨髄移植により病気に打ち勝ったニコの体内では新たな細胞たちが生き生きと働いています。
赤血球AE3803や白血球U-1146に似た二人も再び巡り会って、細胞の物語は続いていくようです。