杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

こんにちは、母さん

2024年02月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年9月1日公開 110分 G

大会社の人事部長として日々神経をすり減らし、家では妻との離婚問題、
大学生になった娘・舞(永野芽郁)との関係に頭を悩ませる神崎昭夫(大泉洋)は、久しぶりに母・福江(吉永小百合)が暮らす東京下町の実家を訪れる。「こんにちは、母さん」しかし、迎えてくれた母の様子が、どうもおかしい...。割烹着を着ていたはずの母親が、艶やかなファッションに身を包み、イキイキと生活している。おまけに恋愛までしているようだ!
久々の実家にも自分の居場所がなく、戸惑う昭夫だったが、お節介がすぎるほどに温かい下町の住民や、これまでとは違う“母”と新たに出会い、次第に見失っていたことに気付かされてゆく。(公式HPより)


山田洋次監督が吉永小百合を主演に迎え、現代の東京・下町に生きる家族が織りなす人間模様を描いた人情ドラマ。同じく山田監督と吉永主演の「母べえ」「母と暮らせば」に続く「母」3部作の3作目にあたり、劇作家・永井愛の戯曲「こんにちは、母さん」を映画化した。(映画.comより)

いわゆる下町の人情もので、家族の形が変化するなかで、受け継がれていく親子の絆が描かれます。

昭夫は大会社の人事部長で世間的には勝ち組ですが、その実、人事問題で神経をすり減らす日々を送っています。妻とは別居中で離婚話が持ち上がっており、大学生のひとり娘・舞との関係にも頭を悩ませています。

ある日、同僚で大学時代からの親友・木部(宮藤官九郎)に頼まれ、昭夫は大学の同窓会の場所を母・福江に相談するために久しぶりに実家を訪ねます。実家は東京・隅田川沿いの下町で、昭和感の残る家が立ち並ぶ向こうにスカイツリーが見える向島にあり、母は足袋職人だった亡き父の後を継いで足袋屋を営んでいます。

「こんにちは、母さん」と実家の暖簾をくぐった明夫を笑顔で迎えてくれた母は、エプロン姿で髪も染めていて とても若やいで生き生きとして見えました。相談をしようとした矢先、幼馴染の番場百惠(枝元萌)や 琴子 (YOU)ら近所の人たちが次々やってきます。母は昭夫に、こらからホームレスに物資を支援するボランティア団体「ひなげしの会」の会議があり、夜には配給支援に行くと話します。遅れて荻生牧師(寺尾聰)もやってきて挨拶を交わします。

夜にホームレスを訪ねて弁当や飲み物を差し入れをして回る中、福江と萩生は高架下で寝泊りしているイノ(井上)さん(田中泯)に声をかけます。生活保護を受け屋根下で暮らすよう説得する二人ですが、行政嫌いのイノさんは拒絶します。イノさんは萩生には無言ですが福江とは会話するのね。😁 

久々の実家にも居場所がなく早々に自宅に帰ってきた昭夫に、妻から電話がかかってきます。一緒に暮らしている筈の舞が帰っていないことを知らされ母の家を再訪した昭夫は、舞が母と仲良く暮らしているのを目にします。家出の理由を母に過小評価されたことと明かした舞は、鍵をかけずに近所の人の出入りのある下町の暮らしが気に入っていると話し、おばあちゃんは好きな人がいるようだと言いました。驚いて「これ以上、悩みのタネを増やすな」と怒鳴った昭夫に、「どうしてだめなの?」と舞は不思議そうです。

会社では早期退職者を募っていて、昭夫は人事部長として早期退職を促された社員の離職手続きをしていました。ある日木部がやってきてリストに自分が入っているのにどうして話してくれなかったのかと責め、絶対辞めないと宣言します。休日、百恵や琴子もいる中、昭夫を探して実家に押し掛けてきた木部と口論し取っ組み合いの喧嘩になります。この時、昭夫が妻と別居中なことや会社での立場を母たちは知ることになるのね。
昭夫は木部のために退職金の上乗せや次の勤務先の調整もしていましたが、木部は会社に居座り続けました。

福江は萩生に恋をしていました。教会で説教を聞いた後、椅子の修繕を手伝い買い物も付き合います。その途中、沢山の空き缶を自転車に積んで引いて歩いているイノさんを見かけ、フラフラと倒れてしまった彼を介抱します。イノさんは萩生が福江の夫だと勘違いしていました。

足袋を縫うミシンで萩生の上履きを作っているのを見た舞は祖父との馴れ初めを聞きます。戦争孤児で中学しか出ていない祖父との結婚は反対されたと言いますが、足袋の採寸する祖父の手の感触でこの人と結婚すると直感したと聞いて舞は感動します。
この時の会話で、「おばあちゃんは萩生さんにいつ告白するの」と聞いた舞に「言われるまで待つの」と答える福江の表情はまさに恋する乙女です。😘 

舞から母が萩生に恋をしていると聞き呆れて思わず「やめてくれよ!」とぼやく昭夫。母からは妻に好きな人がいるようだと聞かされ更に気持ちが落ち込みます。仕事や家庭の悩みが募り気持ちに余裕がなくなっていきますが、荻生が宣教師になった理由を聞き、彼が自分と同じ悩みを抱えていたことを知ります。荻生は「彼はまだ若い、これからいくらでも新しい挑戦ができる」と昭夫のことで悩む福江を励ましました。

数日後、木部が呼ばれていない営業会議に乱入して上司に怪我をさせたと聞いて慌てて駆けつけた昭夫は、木部から事情を聞き、事故だと知ります。追い出されそうになってドアを閉めた時に上司の腕が挟まってしまったというのです。

荻生からピアノリサイタルに誘われた福江は着物を着て出かけます。
リサイタルの後、カフェでお茶をしながら水上バスに乗るのが夢だと語る福江の希望を荻生は叶え、幸福感に包まれて帰宅した福江に、荻生は故郷の北海道の教会に赴任することを告げ、誰かの口から伝わる前に伝えたかったと言って帰っていきました。

帰宅した舞は、灯りも点けずに着物のままテーブルに突っ伏している福江を見て心配しますが、ボランティアで知り合った学生とご飯に行くという舞に、福江は大丈夫と答えます。

事件後、懲戒解雇が決まった木部の処遇に苦しむ昭夫がモヤモヤした気持ちを抱えながら言問橋を通りかかると、酔っぱらったイノさんが話しかけてきます。彼は東京大空襲の時の話を始め、川に飛び込もうとして警官に止められます。イノさんは川に飛び込んで戦火を逃れ生き延びたのでした。

人事部長権限で木部を依願退職扱いとし、再就職先を与えたことで、昭夫は久保田常務(田口浩正)に呼び出され責任を問われクビになります。彼は常務に「もう疲れた、自分には合わなかった」と自ら辞めたのです。
木部に感謝され、部下の女性から憑き物が落ちたような穏やかな顔になっていると言われた昭夫は気持ちが晴れ晴れとしているのを感じます。

木部は過去にも昭夫に助けられています。この時はラブレターの代筆で妻を射止めたのですが、その彼女のことを昭夫も好きだったの。リストラの話を素直に受けていれば昭夫も苦労せずに済んだのに迷惑をかけた挙句に自分は再就職できてるし、個人的には友達にしたくない奴だけど、そういう男と長年付き合ってきた昭夫の根は優しく情の篤い人間性を示すエピソードになっているんですね。😌 

萩生が教会を去る日。信者やひなげしの会のメンバーが見送りに集まる中、福江は車に乗り込んだ荻生に手作りの弁当を手渡しながら思わず「私を北海道に連れてって」と言いますが、すぐに冗談と誤魔化しました。福江の思いを知る百恵は助手席の荻生に「福江さんは本当に先生のことが好きだった」と泣きながら訴えました。
(全く男って奴はどうしようもなく鈍いんだよな~~)

舞から福江が失恋したと聞いて実家を訪ねた昭夫は、夕飯の支度もしないで酒を飲んでいる母をみます。
木部から先日のお詫びにと預かってきた佃煮を渡す昭夫に、福江は「こんな蓋も開けられなくなった」と寂しそうに呟きます。
二人で酒を飲みながら、福江は死ぬことは恐くないけれど動けなくなって何も出来なくなるのが不安だと言いました。
昭夫は離婚届に判を捺して送ったことを話し、舞とこの家に戻ってきてもいいかと聞きました。それを聞いて福江は落ち込んでなんていられないと俄然元気を取り戻します。

外から花火の上がる音がししてきます。その日は隅田川の花火大会で昭夫の誕生日でもありました。庭に出た福江は昭夫が生まれた日も花火大会で、まるで誕生を祝っているように感じたと話し懐かしみます。新しい生活のスタートを祝うかのように大輪の花が夜空に打ち上がり輝いていました。

無口な父親とソリが合わずに家を出た昭夫は煩いくらいにお喋りで演じている大泉さんに重なります。😁 その娘である舞も容姿は母似のようですがお喋りなところは父とよく似ていました。
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