田中悟の片道旅団

大阪で芝居と弾き語りをしています。

天国まで

2025年02月28日 |  歌詞
ここがもし世界の隅っこだとしたら?
そんなことを考えてみた。
しかし当然そこは世界の隅っこなんかじゃない。
だから敢えてそう思ってみることにしたのだけれど。
仮にそこが世界の隅っこだとして、その場所から周囲を見渡せば360度世界が広がっている。いや広がっているとは言い難い。それほどまでに世界は窮屈なのだ。そこに世界が在る、ただただ在るだけなのだ。
しかし問題はそこが決して世界の中心ではないということだ。
そこは隅っこでもなければ中心でもない。
じゃあ、どこだ?

そんなことを考えているうちに季節が変わってゆく。
つまり時間が流れてゆく。
時間が流れてゆくのか、それとも自分が流れてゆくのか、どちらが正しいのだろうか。
その場所にずっと居続けるとすれば自分は動かない。自分が動かないのだから流れてゆくのは自分ではなく時間のほうだろう。
でも違うというのが恐らく真理だ。

そこはどこで、
今はいつなんだろうか。

つまりそこには自分がいるだけなのだ。
ならばやはりそこは世界の隅っこであって欲しい。
そこがもし世界の隅っこであったなら、
少しばかり幸せになれそうな気がするからだ。





天国まで

何もかもが僕を置いてきぼりにして行く
気がついたらもう誰もいない
あの時だってそうさ振り返れば何もない
優しさだってそうさ何も残らない

傾いた路地の影
消えかけの五線紙
誰かが飲んで捨てた
空き缶のサビ

ねぇ僕らをどこかへ
連れて行ってくれないかい
行き先など分からなくていいから
ねぇあの娘とどこかへ
連れて行ってくれないかい
行き先など分からない方がいいよ
淡い夢を見てたい

真夏僕は病んで 汗の中で夢見た
追いかけたら幻 踵突き刺さる
あの時知ったのは 星空 闇 雨 風
あの時知ったのは 揺れる瞳と君

鳴き止まない蝉の声
真夜中の自販機
誰かが盗って捨てた
原付のサビ

ねぇ僕らをどこかへ
連れて行ってくれないかい
昔の記憶 未来の果て どちらでもいいよ
ねぇあの娘とどこかへ
連れて行ってくれないかい
幸せだけ 幸せだけの国へ
飛んで行けないの?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日暮れ色

2025年02月18日 |  歌詞
昔の話ばかりしてしまう。
というか昔の話しか出来ない。
そんなふうになってしまったのはいつの頃からだろうか。
思い出してみる。
それはたぶん30代後半頃だったと思う。
なぜそうなったのだろうか。
理由は分らない。
年齢のせいだろうか。
やっぱり分らない。

未来がなくなったのだと思う。

この感覚、自分でもよく分からない。
それ以来ずっと未来を思い浮かべることが出来なくなった。
明日の約束がないからだろうか。
何度も何度も同じ道を行ったり来たりしている。
そもそも人生に明日ってあるのだろうかと思ってしまうほど明日が見えない。

記憶があるから振り返ってしまうのだろうか。
思い出に一体何の罪があるというのだろうか。
未来もないし今もないのだ。
こうして一秒一秒、過去を作っているのかも知れない。
何かに弾かれて時間の流れからはみだしてしまったのかも知れない。

思い出はどうして、
いつも夕暮れの色をしているのだろうか。





日暮れ色

何かに弾かれたみたいな
気持ちが空を飛んで
不確かな形をなぞった
指先途切れてた

今 昨夜のこと思い出し
また明日の約束をしよう

何度も歩いたこの道
日暮れ色の空

あの日あなたから聞こえた
言葉は歌のようで
たまに歌ってくれた歌は
言葉のようだった

翌朝には雨が降ってる
かも知れないと夜空見上げた

今は待っているのだろう
時が満ちていくのを
それはやがて花になるのかな
答えは知らないまま

何かが羽ばたきそうだった
でもこのままでいて

何かに抱かれた夢見た
このままあなたと
あなたと歩きたい

日暮れ色の空
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

消えちまえ大切なもの

2025年02月13日 |  歌詞
そもそも自分自身が消えてしまいそうなのに、
それでも記憶の中からあなたを消そうとしている。
消えない傷はもう癒されて、
その跡形だけが薄っすらと残っている。
もう痛みさえも伴わないのに、
ズキズキと胸に引っ掛かる。

誰にも言えない悲しみと、
ひとりでは癒えない悲しみと、
どこにも行けないもどかしさと
どこにも居られない寂しさと。

衝動を抑えている。
なのに景色だけが流れてゆく。
涙をこらえている。
なのに心だけがこぼれてゆく。

消えてしまえばいいのに。
こうして朽ちていく前に。
いつまでもこうしていられない。
だけどどこにも行けない。
消えてしまえばいいのに。
大切な輝きは、
輝きとしてして永遠になってくれればいのに。





消えちまえ大切なもの

嫌な夢を見た朝にそっと
あなたに赦されることを望んだ

昨夜のことも覚えてないさ
ひび割れた日々 風に消されて

もう少し あともう少し
強ければよかったね
悲しい夢でもさめないで
もう何も言えないけど

消えちまえ大切なものすべて
愛しいあなたでさえも
きれいな世界からはみ出している
二人は自由過ぎたね

遠ざかる半端な強がりだけの日々
愛しいあなたの涙
きれいな世界からこぼれ落ちた
雫は音もたてずに
消えちまう

モノクロの街 滲んで消えた
夕陽はあの日 二人照らした

喜びとか悲しみでさえ
宝石みたいだね
こんなにほら輝いてるのに
もう何も見えなくなる

消えちまえ大切なものすべて
愛しいあなたでさえも
きれいな世界から
はみ出している
二人は自由過ぎたね

泣かないで大切なあなただけが
こんなに小さく見える
時には寂しさに慰められる
ことだってあるのかも
消えないで

もう少しだけ
あと少しだけ
あなたの影が
消えないように
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銀色の詩

2025年02月12日 |  歌詞
銀色夏生の詩集があまりにも痛くて読めなかった。
途方に暮れる前に途方に暮れた。
破れた地図みたいな心が痛んで、
どこに行けばいいのか分らなくなった。

銀色夏生の詩を俺に教えてくれた君は、
ほんとはあの日俺に何を言おうとしていたんだろう。
それより俺はあの日ちゃんと君の声を聞いていたんだろうか。
さよならも言えなかった。

喧騒に飲み込まれてゆく街の中で、
逆立ちしたくても出来ないし、
アスファルトに寝転がっても、
蝶のように羽ばたけないし、
空をとぶ鳥を目で追っても、
君の背中には届かない。

すべてが銀色だったあの夏、
世界は真っ白になったまま、
君の声だけが空回りしていた。
オープンリールに巻かれたテープのようにそれは擦り切れていて、
太陽と一緒にどこかへ行ってしまった。

だけどもう一度、
あの詩を俺に読んで聞かせてくれないか。
君の大好きだった銀色の詩を。




銀色の詩

遠ざかる影 日々の隙間
こぼれた思い 冷えた唇
真夏のアスファルトの匂いがした
ああ、熱い、熱い夜

もう一度さよなら言葉にしてよ
聞かせてかすれた声で
銀色の詩を俺に読んでくれた
あの日みたいにさ

破れた地図を
裏側から覗き込み
お前の足跡も
見失ったまま

午前零時の
喧騒に除外されてゆく
余り物じゃ心
埋めることも出来ない

明日お前の名前でさえも
忘れるんじゃないかってほどボロボロ

遠ざかる影 日々の隙間
こぼれた思い 冷えた唇
燃え尽きた太陽は途切れ途切れ
俺を突き放す

忘れられない
風の匂いと引き換えに
お前の輪郭が
ほどけて消えてゆく

夜に飛ぶ鳥を追いかけるアゲハ
がらんどうの心に咲き散る花

遠ざかる影 日々の隙間
こぼれた思い 冷えた唇
真夏のアスファルトの匂いがした
ああ、熱い、熱い夜

もう一度さよなら言葉にしてよ
聞かせてかすれた声で
銀色の詩を俺に読んでくれた
あの日みたいにさ

あの日みたいにさ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラブ

2025年02月11日 |  歌詞
書けないからって、なんでそんなに悩むのだろうか?
自分でも不思議だった。
何がなんでも詩を書きたかったし曲を作りたかった。
今思ってもなぜそこまで思い詰めていたのか分らない。

それは十四歳から始まり、
十代後半も続き、
二十歳を過ぎると更に強大な苦しみとなっていった。

二十代半ばになったある日『24人のビリーミリガン』という本を読んだ。
著者はダニエル・キイス。
実際に起きた犯罪事件と解離性同一性障害を抱えた犯人について書かれたノンフィクションだ。
解離性同一性障害、つまり多重人格者。
絵を描く趣味のない人間の中にいる別の人格が絵を描く。
空手をしたことのない人間の中にいる別の人格が空手をする。
悪意のない人間の中にいる別の人格が犯罪を犯す。
それらの不思議な現象に驚いた。

不謹慎かも知れないが自分も多重人格者になりたいと思った。
「作詞作曲が出来る別の人格を宿してでも作詞作曲がしたい」
その時、本気でそう思ったのだ。
そうでもしなければ不可能だと思っていた。

目を閉じる。
頭の中を空っぽにする。(もともと空っぽだけど)
空っぽになった頭蓋骨の中に部屋があることを想像する。イメージは「カリオストロの城」のクラリスの部屋だ。
その部屋の真ん中にピアノを置く。
白いワンピースを着た金髪の少女が現れる。
あまりリアルに想像すると怖いので昔のファミコンなんかに出て来そうな二頭身のカクカクした絵を思い浮かべた。
その少女がピアノに座って歌い出す。
僕は耳を済ませた。
少女が歌うままに僕も口ずさみギターでコードをつけながら追いかけてゆく。
歌い出しから歌詞とメロディが一緒に出てくる。
どんな内容の歌詞なのか、メロディやコードがどう展開していくかなんて僕には分らない。
全ては少女が歌ってくれる。
それをそのままアウトプットする。
そうやって一曲完成した。

「名曲なんて作れないし作ろうとも思わない。でもこれでやっと歌が作れる」

そう思った。
それは震え上がるほどの喜びだった。






ラブ

目を閉じて耳を澄ましてほら
唄をうたって好きな色描いて
君はもう辿り着いたの?
あの頃目指してた世界へ

手をつないで息を切らしても
夢の中でしか今は逢えないんだけど
君はまだ可愛い笑顔
どこかの誰かさんにだけ見せているの?

空は遠く高く果てしのない道を
それぞれに映すけど
今も僕は君のこと好きだなんて
誰にも言えないし言いたくないし
言える訳もないし

目を閉じて耳を澄ましてほら
君のことだけをどうか幸せを
ラララ…

君の声 君の影
キャンドルライトの中揺れていた

今も記憶は思い出に変わらないよ
川辺りの散歩道
藍色のチェック 君がくれたこのマフラーも
一人じゃ巻けないし巻きたくないし
負けるもんか僕は

地球は回る僕はここにいる
宇宙って広いんだろう?君はどこにいる?
それはラブ
それはラブ
それは何なのかな?
たぶんラブ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

次回最終回

2025年02月06日 |  歌詞
何がなんだか分らなくのはしょっちゅうだ。
物語を放置していると知らない間に話が進んで気がつけば何もかもが終っている。
巻き戻して観れるのは映画かドラマの類であって現実はそうもいかない。
その癖、恋はまるでドラマのように人を登場人物に仕立て上げてしまう。
それを知って演じていれば結末とは関係なく勝者になれる。
俺は分かってないからいつも敗者になるのがお決まりのパターンだ。
そうやっていつの間にが戦っている。

戦わずに勝つ者が強いってこと。

君は無手勝流。
いつも自分勝手に物語を進めて、
いつも自分勝手に物語から姿を消す。

決まって夜。
このままが朝が来ないんじゃないかと思うような、
そんな夜に限って君は部屋に戻らない。
その時点でやっと寂しくなる俺も俺だけど。

このシナリオは誰が書いているんだろう。
予定調和じゃ面白くないから君はいつも途中で姿を消してしまう。
たぶんこれは喜劇なんだろうけど、
一応、俺はピエロを演じるつもりはなくて、
だから余計に虚しくなる

さて、

この物語に続きはあるのだろうか。





次回最終回

話をしたくても
どこにもいないから
それじゃ仕方ないねと
割り切れないから
性質が悪いよね
きまぐれ子猫みたい

嫌な予感ほど当るって
君はよく言っていたね
誰もいない部屋で君を待つ
まるで
次回最終回の予告みたいだ

チェックのテーブル
コーヒーにはミルク
煙草に火をつけて
いつか観た映画の真似
気取ったところで
一人じゃ芝居も出来ない

好きな物にだけ囲まれて
生きてみたいと思うけれど
それじゃすぐにドラマは終るね
まるで
次回最終回の予告みたいだ

シナリオどおりじゃ
主演女優は気が乗らないみたいだ
確かに予定調和じゃ
君は輝かないタイプだよね
だけど

夜になるほどに
朝が遠くなる
そんな気分にやられて
クランクアップした
フィルムじゃあるまいし
ラッシュも見たくない

次の場面になればどんな顔で
恋を演じるの
願うならばせめて口づけを
これで終わりだとしても

君に捧げる花束なんて
俺は用意してないけれど
誰もいない部屋で君を待つ
まるで
次回最終回の予告みたいだ
次回最終回の予告みたいだ

抱きしめたいけど
台詞を忘れた
恋の物語の続きを見せて

君の物語の続きを見せて




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

彼女によれば

2025年01月27日 |  歌詞
素肌が毛布に触れると自由を感じる。
ただしその自由は極めて小さい。
極めて小さいその自由は極めて巨大なんだけど。
しかし人間、あるいは自分はそれを抑えてしまう。
抑えてしまうのか、それとも自然に抑えられてしまうのか。
本能を抑制するのは理性じゃない。
本能が本能を抑制する。
そんなことを実感するけど、
そんなことを実感するよりも早く納得している。
納得するよりも早くそれを知ってしまう。
いや最初から知っている。
あるいは知っているという気になっている。
知っているということは罪だ。
自分にとっても自分以外の誰かにとっても。
たとえそれが知っているという気になっているだけのことだったとしても。
冷めているわけでもないのに燃えあがることがない。
もう限界だ。
だから本能的に本能を抑えるんだ。

動いたらこぼれそうになる衝動なんてものは、
さっさとこぼしてしまったほうが楽なはずなのに。
どうしてそれを抑えるのだろうか。
勿論そんなことをいつも考えている訳じゃないし、
今この瞬間も考えていないけど。

ところで、

いつからだろうか、
自由がこんなに怖くなったのは。





彼女によれば

彼女によれば
俺じゃ駄目らしい
噂によれば
多分そうらしい

狭いベッドの上
足を組んでほどいて
ちらりと見えるハートの
形が刺激的で

彼女によれば
どうでもいいらしい

彼女によれば
恋はいらないらしい
噂によれば
愛も邪魔らしい

パツンと前髪
短く切って揃えて
紫色のリップが
いかにも誘惑的で

彼女によれば
わざとじゃないらしい

どうして今頃
俺を呼び出したんだろう
気まぐれ 悪戯
まさか情緒不安定

狭いベッドの上
足を組んでほどいて
ちらりと見えるハートの
形が刺激的で

彼女によれば
ちょっと淋しいらしい

彼女によれば
俺じゃ駄目らしい
噂によれば
多分そうらしい

彼女によれば
彼女によれば
彼女によれば

そういうことらしい
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

もらい煙草

2025年01月18日 |  歌詞
ミナミも随分と変わった。

とは言え若い頃はミナミに遊びに出ることはあまりなかった。
通勤や帰宅のルート、住んでいた場所の都合でキタに出ることのほうが多かったのだ。

大阪ミナミと言えばまず道頓堀がイメ-ジされるかも知れない。
でもその場合は御堂筋の東側、道頓堀川沿いのグリコの看板がある辺りをイメージすることが多いのではないだろうか。
道頓堀は御堂筋の西側にもまだ少しだけ続く。『道頓堀』の大きな電飾が目印だ。
その電飾をくぐり最初の角を右に曲がると橋がある。その橋のたもとに「出世地蔵さん」がおられ、その向かい側には喫茶店がある。時流に即さず店内に煙草の煙が漂っている懐かしい匂いの喫茶店だ。

煙草を吸わなくなったのは30代後半。
記憶が正しければ2回目の値上げがあった頃だ。そのタイミングで禁煙をして以来喫煙はしなくなった。
煙草を吸わなくなったからと言って喫煙者に嫌悪感を抱くことはないが、なぜか突然体質が変わったのか副流煙により唇が痙攣するようになり、時には体が痙攣するようになってしまった。そんな訳で煙草の煙を避けている。

煙草に思い入れがあるのかと言えばそれなりにはある。だけど大した思い入れではない。今ではその味や匂いもすっかり忘れてしまっている。
それでも煙草は人生やストーリーにとかく寄り添うアイテムだと思う。それがフィクションであったとしてもノンフィクションだったとしても。映画の中にも生活の中にも煙草は自然に溶け込んでいる、いや溶け込んでいた。
さて、これからの時代はどうなるのだろうか。

「何を吸っていたのか?」と問われると返答に困る。
やはり大して思い入れがないのだ。その時々の気分でころころと変わった。
喫煙をしていても愛煙家ではなかったってことだ。
煙草の銘柄がころころと変わる男は恋愛に対しても軽薄だなんてことを若い頃よく耳にした。
断じて否定したいところだが、いなめないのもまた事実だ。





もらい煙草

とっくにやめた煙草を今でも
持ち歩いているのは
せこいあいつがあたしの煙草を
いつでも欲しがるからさ

わりと良い男だと思ってた
あたしがつまり馬鹿だった
やめられない煙草とおんなじで
手の届く場所に
いつでも置いている

火をつけてくゆらせて
あとは灰になるだけ
くわえても束の間の
あいつのもらい煙草

コーヒーと煙草だけが二人を
テーブルに繋ぎ止める
昔は嫌だと言ってたくせに
平気で吸うメンソール

わりとお似合いだねと思ってた
あたしがほんと甘かった
使い捨てのライターみたいにさ
手の届く場所に
置き忘れられてる

火をつけてくゆらせて
あとは灰になるだけ
くわえても束の間の
あいつのもらい煙草

火をつけて抱きあって
二人ハイになるまで
口うつし繰り返す
あいつのしけた煙草

火をつけてくゆらせて
あとは灰になるだけ
くわえても束の間の
あいつのもらい煙草

あたしがあげた煙草
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする