田中悟の片道旅団

大阪で芝居と弾き語りをしています。

幸せに向かって走る人、そして歩く人

2013年12月04日 | 日記
今日も最近観たDVDのお話です(^-^)
どうぞお付き合い下さいませ☆



『幸せのちから』
2007年ですか…。この映画、実は当時映画館で観たんです。
で、とても辛い気持ちになったのを覚えています。

映画が悪い訳じゃないんですよ、
当時の僕の生活や身心の状態が原因だと思います。

仕事がうまく行かず、多額の借金を抱えて、奥さんに出て行かれて、小さな息子の手をひいて、ホームレスになって、大企業の研修に励む男の物語。

セールスに走って、地下鉄の階段で走って、バスを追いかけ走って、
仕事を終えて走って、息子の手を引いて走って、ホームレス宿舎まで走って、
上司のお使いに走って、取引先相手のオフィスまで走って、泥棒を追いかけ走って、
走って、走って、走って…。

観ていて胸が張り裂けそうになったんです。
当時の僕はそこまで過酷な状況じゃなかったけど、
公演がうまくいかず、赤字が重なって、台本書くのに焦って、制作費の支払いに青息吐息。
バイト先からバイト先へと走って、駅まで走って、地下鉄の階段で走って、梅田の地下街で走って、稽古場まで走って、走って、走って、走って…。


温厚なはずの主人公クリフが時間を急ぐあまり、
バス停に並ぶ女性を押しのけるシーンがあるのですが、
僕も自分が道を急ぐあまり、歩道を自転車で飛ばしたり、
人を追い越しぶつかりながら地下街を駅から駅へと移動していた毎日。

心がね、随分荒んでました。
クリスと何かが重なって、観ていて辛くなったんでしょうね。
当時は気付かなかったけど。


クリスは最終的に成功するんですが…結局何が幸せなんだろう?って、
逆に思ってしまったんです。
『努力はいつか報われるんやな~♪』とか、
『ええ話や…よし、俺も頑張るぞー!!』と素直に思えなかったんです。
何だかさもしい気持ちでした。


前回のブログに書いた『ミッドナイト・イン・パリ』の主人公ギルはとにかくのん気。
婚約者のパパのお金でフランス旅行に来て、
「映画の脚本家より、僕は小説家になってフランスで暮らしたい」と言い出す。
一方クリスは今日を生きるために命がけ。
努力の末にギルの婚約者のパパみたいな人達の仲間入りをする。
アリとキリギリスじゃあるまいし、どちらか正しいのかって話じゃなく、
どちらも幸せに向かおうとしているんだと、思います。


詩人、シンガーソングライター、役者としての田中悟はギル派で、
プロデューサーとしての田中悟はクリス派…なのかな?

どちらにもなりきれないな。
どちらかになりきる必要はないけれど。

なんで今また僕はこのDVDを観たんだろうか?
少なくと当時より僕はクリス派でありギル派でもあるという気がします。
コメント
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