住宅セーフティーネットの充実を
~府営住宅の移管を考える~
~府営住宅の移管を考える~
【府営住宅移管の概要】
【府内の状況】
移管を受け入れたのは大東市・門真市・池田市の3市のみ
※大阪市は約60戸のみ
【エレベーターの設置】
府営住宅では「大阪府営住宅ストック活用事業計画」に沿ってエレベーターの設置や耐震化・バリアフリー化などの事業が進められています。
事業期間は2016年~2025年の10年間。これは大阪府が責任をもって進めるべき事業です。
しかし大東市はいち早く移管を受け入れるとしたため、その事業費は大東市の負債となってしまいます。
移管によって請け負う予定負債総額33億円!
この負債額は大東市の財政規模497億(2021年度一般会計予算額)と照らし合わせてもとても大きな額となります。
ちなみに移管を受けない地域での整備事業費は大阪府負担です。
移管によって優先的にエレベーターの設置工事が可能に⁈
エレベーターの設置は先に書いたように2016年~2025年に府内ほとんどの府営住宅で実施計画が作られています。
「大阪府営住宅ストック活用事業計画」
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/15894/00000000/jigyokeikaku.pdf
詳しくは上記の資料を見ていただくと分かりますが、府内167団地でエレベーター設置工事予定で、そのうち前期(2016年~2020年)が126団地、後期(2021年~2025年)は残りの41団地で大東市はすべて前期に実施予定となっています。
エレベーター設置予定の府内167団地中、移管される団地は9団地(大東市4団地)そのうち前期工事は8団地です。
※要は府営住宅の移管受入れ=エレベーター設置ではないですよと、お伝えしたいのです
エレベーターの設置や耐震化・バリアフリー化などは(財政負担も含めて)府が責任をもって行うべき事業です
【要望書提出】
既存の市営住宅と府営住宅の三次移管までを含めると約3800戸の公営住宅を大東市で抱えることになります。
私たちは、住宅セーフティーネットの拡充について要望書を提出しました。
年間公募回数(現在年1回)を増やすこと、災害時の入居を保障すること、共用部分等の掃除負担の軽減などを求めました。
[住宅セーフティーネットの拡充についての要望書]陳情第20-073号回答.pdf
大東市はあくまで府営住宅を移管した場合に実施を検討などとの回答に終始しました。
【移管で活性化が期待できるのか】
府営住宅では高齢化が進んでおり、移管によって若い方が流入し活性化することが期待されています。
しかし、高齢化などにより自治会活動や住民の共同活動など、困難を抱えているのは府営住宅だけでなく、全市的に同じような傾向が見られます。
これは、移管が解決するものではありません。
特に新興住宅エリアや、比較的若い世代が多く住む地域などで、核家族化によるライフスタイルや価値観の変化などから自治会の加入率が低い傾向があります。(大東市見解)
自治会活動への支援が求められます。
【財政面・労力で大きな負担】
府営住宅を大東市へ移管した場合の将来収支のシミュレーション(30年間)では建替え時に80%まで戸数を減らし、余剰地を寺川住宅17.2億円、朋来住宅66.3億円で売却することが黒字の前提となっています。
さらに、大東市内では今後、深野園住宅、嵯峨園住宅、楠公園住宅など既存の市営住宅の建て替え事業が必要となります。
その後、令和25年には寺川住宅、令和27年には朋来住宅と30年間建て替え事業が続きます。
財政面・労力で大きな負担が予測できますが、財政難などを理由に住宅セーフティーネットを後退させない取り組みが必要です。
大東市には他の福祉施策を後退させることなく、住宅セーフティーネットを維持していく努力が求められます。