そこで、この矛盾と、そこから生じるところの思弁に対する批判とを分析し、反駁しておくことが今必要になる。もちろん、だからと言って、我々は歴史の目的や関心とその処理、ならびに哲学と歴史との関係について現に行われているところの、あるいは次々に産み出されている際限もない多くの偏見とか、
〔二、世界史の理性観〕哲学が提供する唯一の思想は、理性が世界を支配するということ、したがって世界史においてもまた一切は理性的に行われてきたという、単純な理性の思想である。この確信と洞察とは歴史そのものに関しては一般に一個の前提であるが、哲学そのものの中にあっては、
それは何ら前提ではない。と言うのも、理性が――ここではさしあたって、理性の神に対する関係については立ち入って論じることはしないから、この言葉だけに限って差し支えはない――実体であるとともに無限の力であり、それ自身一切の自然的生命と精神的生命との無限の素材であるとともに、