ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第41節 水戸ホーリーホックvsFC琉球

2020-12-18 18:33:58 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の水戸の記事はこちら(39節・徳島戦)
※前回の琉球の記事はこちら(34節・長崎戦)

前節は6-0の虐殺ゲームで勝利した琉球。
これで4得点以上での勝利は今季4度目となりましたが、過去の3戦はいずれも、その次の試合は無得点で敗戦という結果に終わっています。
前の試合を観た相手が警戒するのは当然で、その壁を突破するのに難儀している感じでしょうか。

ただしこの日の相手の水戸はそんな事情までは気付いていなかったのか、試合前のインタビューで秋葉忠宏監督は、「点の取り合い上等」といった趣のコメントを残していました。
水戸も今季は攻撃力自慢のチーム故、そんな志向になるのはある意味当然ですが、果たしてブラフか否か。

琉球のキックオフで始まりましたが、いきなりバックパスに対し沼田が転倒してしまい水戸のスローインに移ったシーンが印象的だった前半の入り。
上記の要素による緊張があったのでしょうか、そこからコーナーキック・フリーキックと水戸がセットプレー攻勢に出ます。
その後もペースを握り攻撃権を掴んだものの、中々フィニッシュには持ち込めず、前半13分のアレフ・ピットブルの遠目からのシュート(GK田口キャッチ)ぐらい。

この日は3バック(右が細川、中央がンドカ・ボニフェイス、左が乾)で終始通した水戸ですが、ドイスボランチ・1トップによる3-4-2-1を選択。
以前はボランチ1人・2トップというのが3バックでの水戸の基本でしたが、ここに来て変更されたのでしょうか。
攻撃面では、右ウイングバック・河野の突破力を活かしつつ、ショートパス・ロングパスをバランス良く交えてボールを展開。

一方琉球の攻撃。
立ち上がりは今一つで、8分に市丸のパスカットから、風間宏矢が右ハーフレーン・エリア手前辺りからシュート気味にクロスを送ったシーン(ファーサイドで小泉跳び込むも合わず)ぐらいが好機。
水戸のプレスに悩まされていたでしょうか、ショートパス主体の攻撃は冴えず。
20分過ぎから徐々に攻撃権が移り、ペースを掴む事に成功しますが、この時も後方からのロングパス主体の攻撃を展開していました。
25分は左サイドで沼田が裏へとロングパス、受けた河合が時間を作り、上がってきた沼田がクロス。
クリアされたボールを風間宏矢がミドルシュート、ブロックされてエリア内へ浮き球がこぼれ、田中がヘディングシュートを放つもGK松井のセーブに阻まれます。
その後CK攻勢となり、2本のCKいずれもシュートに結び付けますがゴールはならず。
直後の飲水タイムを経てもペースは琉球のまま推移します。
この時は縦パスメインの攻撃を見せつつ、李栄直(リヨンジ)のドリブルシュートもあり(30分・ブロック)と多彩な攻め。

片方にペースが傾く展開は33分辺りまでで、次第に好機の数は減っていく前半戦。
ともにボールを握りたいチームであり、水戸はその通りに繋ぎメインの攻撃を続けるも、遮断されるシーンが目立ち。
反対に縦パス・ロングパスを交えてペースを握ってきた琉球、この時間帯は繋ぎたいという欲にかられていたでしょうか。

そんな展開の中、好機は41分の水戸。
最終ライン(乾・細川)からのドリブルを交えつつサイドを振り、平野の浮き球での縦パスを奥田が落とし、ピットブルがシュート。
しかし枠を捉えられず(左へ外れ)に終わり、結局前半はスコアレスで終える事となりました。

ハーフタイムで水戸サイドが前嶋→外山へと交代し、迎えた後半のキックオフ。
琉球のミスで始まった前半の入りでしたが、後半の入りは琉球選手が痛む入りとなってしまいます。
後半1分に田中が自陣深めで水戸・外山と足同士で接触(反則)、直後の2分には中盤で池田が乾との空中戦で痛み、ともに倒れ込むシーンが。
後者に反則が無かったのも切欠となったのか、続く4分にはロングパスを収めた水戸・ピットブルに対し、李がしつこくチェックにいき腕でチャージして反則に。
すると両軍ヒートアップし一触即発の雰囲気が生まれてしまいます。

そんな珍妙な入りを経て、水戸は5分に好機。
右サイド奥からスローインで、サイドから河野がエリア内へ送り、ピットブルのスルーから木村がシュート。
しかし李が足でブロック(→こぼれ球をGK田口キャッチ)して間一髪防ぎます。

後半も水戸ペースの立ち上がりかと思われましたが、ここから琉球が押し返し。
11分に河合が右サイドへスルーパス、受けた池田が時間を作ってからパスを繋ぎ、再度受けた池田からのクロスをファーサイドへ沼田が走り込んでヘディングシュート。
しかし僅かにゴール左へと外れてしまいます。
これで水戸は浮足立ったのか、13分にはビルドアップのミスで小泉がカット、そのままエリア内に進入してシュート。
しかしふかしてしまい枠外になり、これもモノに出来ず。

以降も琉球が攻撃権を掴み、13分に風間宏矢がミドルシュート(GK松井キャッチ)を放つなどしましたが、依然として得点は生まれず。
冒頭で述べた、大勝後のジンクスが頭を過りかねない状況となったのか、20分以降からペースは水戸に以降する事に。
ここでの水戸は敵陣でショートパス攻勢を強め、琉球ディフェンスを翻弄していくも、こちらも得点を奪う事は出来ず。
22分には度重なるアタッキングサードへの侵入ののち、右サイド手前から河野がクロスを上げると、木村がヘディングシュートを放ちますがゴール左へと外れ。
秋葉監督の試合前コメント(内心は不明)とは裏腹に、撃ち合いとは懸け離れた試合展開となっていきます。

水戸はハーフタイム以降も早めに選手交代を敢行していき、10分に奥田→中山。
これで従来の3-3-2-2へ戻した(中山とピットブルの2トップ、木村が一列上がりシャドーに)かと思えば、22分にはピットブル・木村→森・安東へと交代。
これで再び3-4-2-1へと戻るなど慌ただしく変化。(中山の1トップ、平野と安東のドイスボランチ)
そして24分に飲水タイムが挟まれます。

ここで琉球サイドも動き、市丸→人見へと交代。
この交代で4-2-3-1から4-4-2へと、こちらも布陣をマイナーチェンジして臨みます。(小泉がトップ下→ボランチ、池田と人見の2トップ)

2トップでプレスを掛ける体勢に移ったのが功を奏したか、それとも単純にフレッシュな人見のチェイスが効果的だったのか。
28分に敵陣深めでボール奪取に成功した琉球、奪った風間宏矢がそのまま右サイド奥へと進入しマイナスのクロス。
そしてペナルティアーク内で河合が受け、シュートを放つとブロックを掻い潜りゴール右隅を捉えネットに突き刺さり。
GK松井も反応出来ない程の、絶妙なシュートで先制点が生まれました。

先制を許した水戸、攻撃力自慢のチームらしく以降反撃に出ます。
交代出場の外山が居る左サイド中心に攻撃し、度々奥へ進入します。
反対に右サイドは、疲労からか河野が目立たなくなり沈静化。
敵陣でパスを繋ぐ攻撃は相変わらずも、中々琉球の守備ブロックを崩す事は叶いません。

逆に琉球は2点目を狙いにいき、前節ハットトリックを達成した風間宏矢が果敢にゴールの姿勢を見せます。(34分に小泉・河合→上里・山口和樹に交代)
38分には上里の縦パスをエリア内右で受けてシュート(GK松井セーブ)、39分にはエリア内での田中の戻しからミドルシュート。(枠外)
勢いそのままに2試合連続得点を狙いにいくも、それは果たせず。

しかしその姿勢がチームに還元されたのか、41分に貴重な追加点が。
李が左サイド奥へロングパス、拾った山口和から戻りながらパスワークしたのち中央へと展開し、風間宏希が縦パス。
受けた池田がドリブルで前進、エリア内左に進入してシュートを放つと、コントロールされたボールがゴール右へと突き刺さり。
池田の2試合連続得点は、ジンクスを振り払う勝利を手繰り寄せたゴールとなりました。

尚も勝負を捨てずに攻め込む水戸。
43分にはCKの二次攻撃で、森が左からのカットインののちミドルシュートを放つもGK田口がセーブ。
結局はこれが最後のシュートとなりました。

琉球は最後の交代枠で風間宏矢→フェリペ・タヴァレスへと交代。(田中が右サイドバック→右サイドハーフへシフト)
故障が相次いだのか、背番号4の岡崎(この日ベンチ入り)と5のタヴァレスが、最終盤になってようやく出番を得ているというのが苦しかったシーズンを象徴しているかのようでした。

アディショナルタイムも押し込み続けた水戸ですが、ゴールが生まれる事は最後まで無く。
0-2のまま試合終了のホイッスルが鳴り響き、連勝を達成した琉球。
これで前年の勝ち点(49)を上回り、成績的にも上昇を描く事となりました。
後は今季一度も無かった3連勝を達成し、順位的にも前年(14位)の上をいく事が出来るか、最終節に託されました。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第41節 栃木SCvsジェフユナイテッド千葉

2020-12-17 16:50:33 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の栃木の記事はこちら(35節・水戸戦)
※前回の千葉の記事はこちら(34節・新潟戦)

今年開場となったカンセキスタジアムとちぎ
予定では5月から栃木のホームとして使われるはずでしたが、延期により流れてしまい日程も再編。
そしてリーグも最終盤となった12月、ようやく初めて使用される事となりました。
(Jリーグ以外では女子サッカー・皇后杯で既に使用)

ともにボランチがサスペンドで出場停止となったチーム同士の対戦で、栃木は佐藤祥が出れず。
その穴には明本を流用するという大胆な策を採りました。
以前も試合途中でシフトする事はあったものの、試合終盤で追い掛けなければならない場面が主であり、頭からの起用には驚かされました。
一方の千葉、同じく田口がサスペンドで、しかも2度目であり2試合出場停止。
よって残り2試合である今季は終了してしまった田口、今季はチームの緩さもあり守備で奔走する事が多かった(パスカット数がリーグトップだとか)だけに、彼を欠いて戦うのは攻守両面で大きなマイナス要因。

かくして双方とも中盤の穴埋めに頭を使う事となりましたが、試合が始まるとそれは頭では無く身体を使う事にシフトした、と言わんばかりの内容が描かれます。
激しいぶつかり合いで反則となる場面が目立つと、双方遠目からでもゴール前へ放り込んでくるチームなので、フリーキックで試合が止まる時間も長くなり。
序盤から自陣や中盤からのFKが頻発する展開に、審判団の方も憂慮したのか、明らかに反則のようなシーンでも簡単に取らないという姿勢にシフトしたようで。
それがピッチレベル、特に千葉サイドにとってはマイナスに作用してしまったようで、選手達やピッチサイドの尹晶煥(ユンジョンファン)監督が苛立ちを露わにする場面が続発。
文字通りに、難しい試合を強いられていたという印象でした。

それでも明本が前線に居ない事で、いつもよりプレスの圧が悪かった栃木。
千葉はボールを握って攻撃に出ようとしますが、こちらも田口不在が響いて展開力に欠け、攻撃リズムを掴めず。
前半14分、左サイドでロングパスを為田が受けてから、為田・工藤・下平・小島でパスを回したのち工藤の縦パスが中央の川又へ。
川又は2タッチでポストプレイで繋いだものの、小島・工藤の2人が受けにいったところ被ってしまいシュート出来ません。
リズムの悪さが招いたようなシーンとなりました。

一方栃木にはアクシデントという誤算が降りかかります。
22分にエスクデロ競飛王が、千葉・高橋のスライディングで足を痛めてしまい続行不可能に。
折りしもそこで飲水タイムが挟まれ、明ける際に交代カードを切る事となった栃木。
西谷がボランチとして投入され、明本がエスクデロの代わりにFWへシフト。

しかしこの日は怪我の功名になったようで、本来の前線でプレスを掛ける役割にシフトした明本により、いつも通りのサッカーが出来るようになった栃木。
29分の好機は、右サイドでスローインから組み立て、グラウンダーのクロスが柳(スローインの前のFKにより前線に残っていた)に入るもクリアされてから。
後方から岩間のロングパスを受けた森がエリア手前からシュート、これが明本に当たってエリア内にこぼれると、素早く反応した明本がシュート。(GK新井章太セーブ)
続く30分もスローインから、相手の跳ね返しを拾った山本が切り込んで中央へ送り、明本がミドルシュート。
ブロックされたボールに大島が走り込みシュート(ゴール右へ外れる)と、連撃を浴びせる厚い攻撃を魅せていきました。

対する千葉はロングボール主体の攻撃に切り替えるも、ターゲットの川又がラフプレイに苦しみ中々繋げられず。
受けようとした所を田代や柳に潰され、ボールが収まらず相手に攻撃権を支配される事となってしまいました。
反則で得たFKによるセットプレーが唯一の攻撃手段となり、栃木に流れを明け渡してしまっていた時間帯。

前半から5分と長いアディショナルタイムになったのが、度重なる反則・選手の負傷によって彩られたこの日の試合内容を象徴しているようでした。
その中で栃木、敵陣での岩間のボール奪取から、矢野がミドルシュートを放つもゴール上に僅かに外れ。
惜しいシーンを演出したものの、得点は奪えず前半を終えます。

ボールの蹴り合いともいうべき入りとなった後半。
それを経て、栃木がGK塩田ロングフィード→矢野前へ落とす→明本拾うというパターンの攻撃を2度続け(1度目は明本がエリア内でシュートもブロックされる)れば、対する千葉はセットプレーから好機。
後半9分の右サイド中盤からのFK、キッカー矢田のクロスがエリア中央へ送られると、GK塩田が飛び出すも抑えられず。
栃木ディフェンスに当たり続けこぼれたボールをゲリアが戻し、為田がループでミドルシュートを狙いましたが、惜しくもゴール上へ外れてしまいました。

内容はともあれ、再び双方好機を作る互角の展開へと移っていく試合。
新スタジアムでどうしても初勝利が欲しい栃木、13分には再びGK塩田のロングフィードを矢野が合わせにいく攻撃からチャンス。
拾った山本からのクロスがクリアされると、拾った矢野が右サイドから、明本とワンツーでエリア内へと進入。
するとカバーに入った千葉・小島の後ろから、矢野が足を伸ばして強引にシュートを放つもGK新井章がセーブ。
強引な姿勢でも得点しようという意気込みが感じられましたが、その後もそんな精神からの、激しさによるラフプレーが目立つ事に。
16分に為田に反則を犯した岩間が警告を貰えば、18分にはロングボールを収めにいった川又に対し、既に警告を貰っていた田代が後方からチャージしてしまい反則。
主審も思わずカードに手が伸びたものの、千葉サイドの怒号が飛ぶ中、何とか命拾い。
しかしこれにより川又が痛んで倒れ込み、今度は千葉がヒヤリとする事に。(一旦ピッチに出るも復帰)

そんな試合展開の中、スコアが動いたのは22分、やはり反則によるFKからでした。
今度は栃木サイドで、矢野が千葉・鳥海に倒されて中盤でのFK。
キッカー田代からのロビングがクリアされ、空中戦を経て矢野が拾った栃木。
右サイドへ展開し、西谷の手前からのクロスが上がると、ファーサイドで柳が合わせヘディングシュート。
これがループの軌道となり、絶妙にゴール右上を捉えるボールにGK新井章もセーブできず、サイドネットに突き刺さりゴール。
新スタジアムの初ゴールがとうとう生まれました。

流れを変えたい千葉、27分に3枚替えを敢行。
為田・工藤・矢田に代え、米倉と山下そしてアラン・ピニェイロが投入されました。
以降はサイドからクロスを上げにいく攻撃を仕掛ける千葉。
しかし右サイドでは、米倉のクロス精度を軸にするものの、彼自身の突破力は不足。
そのため彼のクロスを活かすにはカバーが必須ですが、サイドバックのゲリアとは連携が今一つといった感じ。
一方の左サイドでは、アランが頻繁に奥で受けるものの、逆にクロス精度に欠けてシュートに結び付かず。
試合終盤は中央へのバックパスに切り替えていたアラン。
33分にはさらに川又→佐藤寿人へと交代した千葉ですが、効果的な攻撃は生み出せず時間を浪費していきます。

一方の栃木、36分に2枚替え。
大島・山本→瀬川・高杉へと交代し、3-4-2-1の形へ、つまり実質5バックへとシフト。
解り易い逃げ切り体勢となり、勝利への執念を前面に押し出す田坂和昭監督。

終盤はアランのクロス能力をカバーするように、左サイドで人数を多くして攻め上がる千葉。
44分にはアランが左サイド深めでボールを持つと、カットインしたのちヒールパスと意表を突き、小島→下平と渡ってクロス。
クリアされたのち逆サイドからゲリアのクロスも流れて再び左サイドへ、拾った下平が再度クロスを送り、米倉が折り返すも中央の山下には繋がらず。
45分はロングパスを山下が収めたのち、下平のエリア内左へのスルーパスに走り込んだ高橋からマイナスのクロスを入れるも合わず。
パスを繋いで好機を作るものの、成果は挙げられず。

結局1-0のまま試合は動かず。
最後は2種登録の小堀を交代出場させた(矢野と交代、同時に明本→有馬へと交代・AT)栃木、無事に逃げ切り新スタジアムでの初試合で初勝利達成という運びとなりました。

これで水戸・新潟をかわし、一桁順位である9位に浮上して最終節を迎える事となった栃木。
その最終節は磐田との対戦で、勝てばさらに順位を上げられるという、重要な試合を演じる事となるカンセキスタジアムとちぎ。
初年度はイレギュラーなシーズンとなった事で目立たなかったものの、来季はフル稼働できるシーズンとなるでしょうか。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第40節 ギラヴァンツ北九州vsジュビロ磐田

2020-12-16 16:20:48 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の北九州の記事はこちら(37節・岡山戦)
※前回の磐田の記事はこちら(35節・甲府戦)

来季への編成のニュースが飛び交う季節。
しかしそれに先んじて、マリノスからレンタルで所属していた椿が、レンタルバック・かつ再度のレンタル移籍でオーストラリアへと旅立ち。
最終戦を迎える前にチームを離れる事となりましたが、今季の経験を糧に飛躍の足掛かりを掴めたという事でしょう。

そんな椿とは裏腹に、現在連敗中、しかも2戦とも1-4の大敗というスコアで最後の3連戦を迎えた北九州。
特に前節・山口戦は、若いメンバーが多数を占めている故か、相手助っ人のパワーに圧倒されたという感じだったでしょうか。
その助っ人外国人に頼る事は物理的に不可能(0人)な北九州ですが、「終わり良ければ……」で今シーズンを閉められるか。

試合開始後、立ち上がりは相手の磐田が優勢に。
前半3分、大森・松本・伊藤がショートパスを繋ぎ左サイドを突破。
松本のクロスがクリアされたのち小川大貴が拾い、パスを受けた遠藤がミドルシュート。(ゴール右へ外れる)
遠藤中心のパスサッカーはこの日も健在でしたが、この日スタメンのGK杉本の存在もそれに拍車を掛け。
マリノス出身という事で、足元の巧さを活かしてショートパスを繋ぎ、ビルドアップに加わる動きを見せていました。

もちろん北九州も只でやられている訳では無く、7分には敵陣で加藤のパスカットから、佐藤亮がエリア手前でキープしたのちシュート。
GK杉本がセーブしてコーナーキックとなり、キッカー高橋大悟のニアサイドへのクロスをディサロ燦シルヴァーノが擦らし、エリア外で拾った藤原がシュートするも枠外に。
それでも磐田の圧力の前に、普段のようなビルドアップは中々展開出来ず。
普段は上がり目のサイドバックも、最終ラインでボールを持っている際は中々前にいけないという光景が目立ちました。

15分、磐田に決定機が訪れます。
山田→小川大→大森と中盤で繋ぎ、大森のエリア内へのスルーパスに山田が走り込むと、飛び出してきたGK永井の横を抜くシュートを放った山田。
しかし戻った北九州・生駒がゴール寸前でスライディングでクリア、まさに「かき出す」という表現がピッタリの足の動きを見せてピンチを防ぎました。

その後は一進一退の攻防が続き、飲水タイムを挟んで(25分)もその流れは変わらず。
ただボールポゼッションを底流に置くチーム同士ですが、監督交代・遠藤加入後の磐田は、裏狙いのスルーパスでフィニッシュに結び付ける事も多用するサッカー。
プレッシングの激しさで中々ビルドアップから好機に結び付かない展開では、磐田のスルーパスという選択肢が冴え渡り。
逆に北九州は、ディサロ狙いのロングパスによる攻撃を見せるも、相手の警戒もあり効果は薄く。
そのおかげか、前半も終盤戦を迎える36分以降は磐田が攻撃権を独占していく事となります。
43分、パスワークで左サイド奥に進入してから、尚もショートパスの連続で中央へ向かいエリア内へ。
そして山田がシュート、ブロックされたボールを大森が拾いさらにシュートするも、これもブロックされゴールならず。
結局絶好機はこの場面ぐらいで、スコアレスのまま前半終了となります。

磐田が若干押し気味といった前半でしたが、その内容は相変わらず攻守両面で激しくポジションを動かすサッカー。
連動性溢れる反面、体力面の消耗という不安が常に付き纏います。
そんな訳で、先にスコアを動かした方が大きく有利になりそうな試合だと感じました。

後半が始まると、現場レベルでもそれを感じ取っていたのか、一転して北九州が押し込んでいく展開となります。
最初の好機は相手の反則によるフリーキックから(福森のクロスを直接GK杉本抑える)でしたが、その直後の後半3分。
ディサロの戻しを受けた加藤が右サイドへロングパス、福森が受けてクロスを上げ、逆サイドへ流れるも永田が拾って再度クロス。
ディサロが合わせにいったこぼれ球を、藤原が豪快にシュートしますがボールは左ポストを直撃してしまい先制ならず。

絶好機を逃してしまい、ともに流れも失いかねない場面でしたが、その後CK攻勢に入ったのが幸いした北九州。
6分の右CK、キッカー福森が中央へクロスを上げると、ディサロが首を振ってヘディングシュート。
枠ギリギリを捉えたボールが左サイドネットに突き刺さり、技ありのヘディングで先制点を奪ったディサロ、エースストライカーの存在感を見せ付けました。

追う立場となってしまった磐田、8分という早い段階で交代カードを切ります。
ウィルス感染→クラブから謹慎の雌伏の時を経て、この日ベンチに復帰した小川航基を投入し(大森と交代)勝負を賭けにいきます。

その小川航の下にチャンスが訪れたのが13分。
山田の左サイドへのスルーパスから、走り込んだ伊藤がグラウンダーでクロス。
小川航はノーマークで、ワントラップからシュートしましたが、GK永井のセーブに阻まれます。
最初のシュートチャンスを逃してしまった小川航。

すると北九州が流れを持って攻撃。
16分、村松の浮き球でのスルーパスを受けた佐藤亮が中央へ送り、高橋大がエリア手前でキープしつつカットイン。
そしてシュートを放ち、ブロックに阻まれるも拾い直して再度シュート、しかしゴール上に外れてしまいます。
それでも尚攻勢を続けた北九州、17分には中盤で高橋大を中心にパスワーク、そして佐藤亮のスルーパスでディサロが裏を取って受けてエリア内に進入。
GK杉本の脇を抜くシュートを放ちゴール。
この日2得点目となり、再びチームメイトの祝福を浴びるディサロ。

以降も北九州の流れは止まらず。
19分には永田が敵陣左サイドでボール奪取、佐藤亮のパスを受けた高橋大がエリア内に進入するも、プレスバックしてきた藤川に倒されシュートは撃てず。
PKかと思われたものの笛は鳴らず、冷や汗モノの場面。

飲水タイム(25分)直後にも北九州の決定機。
28分、村松のロングパスを受けた高橋大が右サイドへスルーパス、走り込んだ佐藤亮からのクロスに頭から跳び込んだ永野。
綺麗に捉えたヘディングシュートが放たれましたが、ゴールバー直撃で惜しくもモノに出来ず。
3点目は奪えずも、実に楽しそうに、かつ伸び伸びとチャンスを作っている印象を受ける北九州の攻撃。

一方の磐田、29分のチャンス。
クリアボールを山田が拾い、左サイド奥へとドリブルで進入すると、カットインを見せた後グラウンダーでクロス。
これを小川航が合わせにいきましたが、シュートはまさかの空振りとなってしまいます。(その後逆サイドからクロスが上がるもモノに出来ず)
一連のゴタゴタを経て、そのプレーぶりも堅さが目立ち、何処と無く悲壮感が漂っている印象だったこの日の小川航。

その後反撃に転ずる磐田でしたが、両チームのエースが対称的な雰囲気とあっては凋落ぶりを止める事は叶わず。
2-0のまま終盤を迎え、42分の磐田の攻撃は松本が左サイドからクロス、クリアが中途半端となった所に山本康裕が走り込んでエリア内からシュートするもGK永井がセーブ。
45分には同じく左サイドから、伊藤のグラウンダーのクロスにニアサイドで上原が合わせると、ループ気味の軌道でゴールに向かったものの惜しくも右へと外れ。
北九州ゴールを脅かす事は脅かしますが、後一歩が足りず得点を奪えません。

その間に北九州サイドは、奮闘を続けたディサロが足を攣らせて途中交代。(佐藤颯汰が出場・44分)
担架で運ばれ退きますが、ほぼ満点だったこの日の結果もあり、悲壮感は見られず。
アディショナルタイムに入り、交代で入った佐藤颯のドリブルでの見せ場もあり、敵陣で逃げ切り体制に入る事に成功した北九州。
右コーナーで執拗にキープを続け時間を稼ぎます。

そして磐田に攻撃権が移るもシュートを撃たせず、そのまま試合終了。
無事に逃げ切り、実に6試合ぶりの勝利となりました。

試合から一日後、長らくクラブを支えてきた池元の引退を発表した北九州。
レジェンド的なベテランの決断は、一時代が終わった事とともに、来季に向けての編成も考えなければならないという事も痛感させます。
今季の好成績で他クラブの食指も容赦無さそうですが、果たしてこの日のような明るい雰囲気を、翌年も保つ事が出来るでしょうか。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第40節 東京ヴェルディvsV・ファーレン長崎

2020-12-15 18:35:41 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回のヴェルディの記事はこちら(35節・山口戦)
※前回の長崎の記事はこちら(36節・松本戦)
※前回の両クラブの対戦はこちら(9節)

シーズンも終了が見えて来て、来季に向けた動きのニュースも膨れ上がる時期に突入。
そんな中ヴェルディはというと、先日ラウンドテーブルが開催され、このご時世で来季以降一段と経営面で苦境を迎えるとの事。
それに合わせるかのように、社長である羽生英之氏の退任が濃厚というニュースも流れました。

かつての黄金期の面影は全くと言っていい程無いヴェルディ、そのクラブ規模の小ささ(にも拘らず首都圏で活動しているから?)故にウィルス蔓延による影響がとても大きなものとなり襲い掛かっているようです。
羽生社長はJリーグから派遣されてきた人材で、日テレ撤退後の窮地に陥っていたヴェルディの立て直しに奔走する事となった人物。
何とか存続し現在に至るものの、緊縮財政によりJ1復帰の現実性は薄れ、その面で批判を浴びたりもしていたようで。
主力選手の移籍でのやり繰りが目立ち、高木三兄弟をはじめ河野(復帰して現在も在籍)・中島(ポルトガル)・三竿(鹿島)・畠中(マリノス)・安西(ポルトガル)といった辺りが代表例でしょうか。

しかしヴェルディだけで無く、どのクラブも緊縮財政を強いられるというのが今オフ以降であり、そのため完全移籍で移籍金を……という事は容易にはいかなくなるでしょう。
今夏にポルトガルにレンタル移籍した藤本も、その要素が無ければ完全移籍となっていたかもしれません。
得意としていた手法が使えなくなりどん詰まりの状況に陥った故、羽生社長は身を退く決断をしたのでしょうか。(邪推)

岐路となるオフがもうすぐやってくる中、この日ヴェルディは馬場が今季初出場・初スタメン。
ユース出身の新人で、センターバックの薄さ故チャンスは来るかと思われたもののそんな事は無く。
同期の藤田譲瑠チマ(売り時と目されている感があるがオフにどうなるか)に大きく水を開けられたシーズンとなりましたが、ここでアピールなるか。

立ち上がりは長崎がボールを握る展開となり、ヴェルディの最初の好機は3分。
クリアボールを拾った森田が、そのまま左サイドをドリブルで一気に敵陣に切り込みカットインからシュート(GK徳重キャッチ)という、ポゼッションスタイルのヴェルディとは一線を成したチャンスの作り方でした。
未だ昇格を狙う位置である長崎のチーム強度に対し、一筋縄ではいかない事を予感させたシーン。

その後は最後方からのビルドアップを図るヴェルディですが、ここでもややイレギュラーな形に。
最後方を3枚にするのは当然ですが、左サイドバックの福村が中に絞っての変形を見せ、空いた左サイドには新井がベタ張りという変則型。
左ウイングの新井は29節・山形戦以来のスタメンであり、彼の突破力を活かす事を考えた結果この形となったのでしょうか。

その新井ですが、むしろ中央でフィニッシュに絡むシーンが続発。
前半12分、敵陣での若狭のパスカットから、チマのパスを受けて中央からミドルシュートを放った新井。(GK徳重セーブ)
19分には左サイドからのフリーキック、佐藤はクロスでは無く中央へのショートパスを選択し、受けた新井がこれまたミドルシュート。(枠外)
いずれもビルドアップとは無関係の流れでしたが、中央突破を容易にするためのデコイとも考えられる新井のサイド張り。

しかし飲水タイムを挟む(24分)と、長崎が本領発揮。
27分、ロングパスで揺さぶったのち富樫が左サイド奥で受け、氣田から中央へと戻されたボールをルアンがミドルシュート。(ブロック)
その後もボールを繋いで左コーナーキックを得ると、キッカー秋野の中央へのクロスが角田にドンピシャで合い、ヘディングシュートでゴール。
ヴェルディはチマと馬場の2人が競りにいったものの角田のポジショニングの巧さもあり、遅れてしまいシュートを許してしまいました。

先制点を許したヴェルディ、センターラインの若さ故か気落ちした感を隠せず、早期に追加点も献上する事となります。
32分、毎熊のボール奪取から左サイドへと展開する長崎、氣田がエリア内左からカットイン。
ディフェンスに遭いこぼれるも、拾いにいった大竹がワントラップで浮かせてからシュートを放つと、GKマテウスも反応できずネットに突き刺さり。
こぼれた際に氣田の手にボールが当たり、ハンドを期待して一瞬動きを止めてしまったのが拙かったヴェルディサイド。

短い時間で2点のビハインドを背負ったヴェルディ、以降も長崎優勢で展開。
39分にはカウンターでカイオ・セザールとルアンの2人で攻撃を完結。
ルアンのスルーパスを受けたカイオが左からカットインしてシュート。(ブロック)
42分は氣田がエリア手前で左からカットインののちミドルシュート、ブロックされてCKに。
キッカー秋野のクロスがクリアされたのちルアンがミドルシュート、これがエリア内の二見に当たり左サイドへ、拾った秋野が再度クロス。
ファーサイドでカイオがヘディングシュート(枠外)と、ヴェルディサイドの対応の遅れもありシュートを重ねる長崎。
前半は0-2で終える事となります。

流れが悪いのは明らかなヴェルディ、ハーフタイムで2枚替え。
新井・佐藤に代えて山下・井出を投入しました。

しかし開始早々の後半3分、端戸が筋肉系トラブルで痛み、交代となってしまうアクシデントに見舞われます。
井上が投入されて端戸と同ポジションに入るも、別のサッカーを余儀なくされる事態に。

その間隙を突き再び長崎の攻勢に。
7分にはCKから、クリアされたボールを秋野がミドルシュートするもGKマテウスがセーブ。
9分にはGK徳重のフィードから左サイドで攻撃、ルアンが左寄りの位置からミドルシュートを放つも、GKマテウスがキャッチ。
11分にはサイドチェンジを受けた米田が左サイドをドリブル、クロスはクリアされるも氣田が拾い、エリア内に進入してシュートしますがこれもGKマテウスがキャッチ。
マテウスが大忙しの展開を強いられます。

ヴェルディはビルドアップからの攻撃は巧くいかずに時間を浪費。
新井が退いたためか、福村はサイドに位置する事が多くなりますが効果的とはいえず。
途中出場の井出のドリブルも交えるものの、長崎の守備の堅さの前にやはり好機は生まれません。
17分のチャンスは敵陣での山下のボール奪取から。
チマが小池とのパス交換でエリア内右へ進入、シュートを放つもブロックされ、森田が繋いで井出がミドルシュート。(ブロック)
連撃となりますが長崎の守備ブロックは厚く、モノに出来ず。

19分に福村→奈良輪へと交代。
奈良輪は福村と異なり左サイドで上がり目の位置を取り、そこを糸口にして攻撃権を掴みに行く以降のヴェルディ。

しかし飲水タイムが挟まれ(24分)、以降長崎が順々に交代カードを切っていきます。
25分にルアン・富樫→玉田・畑へと、28分には大竹・角田→加藤・庄司へと交代。
角田はどうやら故障絡みの交代のようでしたが、運動量を補填したうえ、奈良輪が橋頭堡となっていたヴェルディ左サイドを加藤の投入で抑えにかかったでしょうか。

30分に長崎が決定機、敵陣で氣田がカットしてそのままドリブルでエリア内左へ。
迷い無くシュートを放ちましたがGKマテウスがまたもやセーブ、こぼれ球を加藤が走り込んでシュートしますがブロックに阻まれます。
決定的な3点目こそ許さなかったものの、反撃したい時間帯で守備にも追われる事となったヴェルディ。
以降は「持たされる」感を抱えながらもボールを握って攻撃を仕掛けます。
37分は左サイドからのスローイン、パス回しののち奈良輪からクロスが上がるもクリアされ、右サイドで若狭が拾って再度クロス。
ファーサイドで奈良輪がヘディングシュートを放つも、枠外でサイドネットに。
無得点のままアディショナルタイムへと突入、その早々に小池の右サイドからのパスを受けた井上がエリア内へ。
ディフェンスに遭いこぼれ球となり、若狭が繋いだボールを井出がエリア内やや左からダイレクトでシュートしますが枠を捉えられず。
これが最後のシュートシーンとなったヴェルディ。

最終盤は長崎が、左サイドで米田の突破を切欠に時間を稼ぐ展開となり、試合巧者ぶりを見せ付けていきます。
そしてCKからのボールキープが終わった所で、主審の試合終了を告げる笛が。
0-2のまま逃げ切った長崎、昇格に希望を繋ぐ勝ち点3を加えました。

以降は完全な余談ですが、この記事を書いている最中、ヴェルディ公式ではこんな一報が。
マスコット界の話題故素直な気持ちになりたい所ですが、冒頭の話題をぶり返すようなタイミングだっただけに笑えない……(この日の選手入場で、来場していた長崎のマスコット・ヴィヴィくんに喰われていた感があっただけに尚更)

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TV観戦(録画) 第100回天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会4回戦 筑波大学サッカー部vs高知ユナイテッドSC

2020-12-14 18:45:35 | サッカー視聴記(2020年以前)

前回の天皇杯の記事-3回戦・Honda vs マルヤス

<筑波大スタメン> 4-2-3-1
GK 櫻庭
RSB 三浦 CB 森侑里 CB 角田 LSB 山原
DH 手塚 DH 加藤
RSH 瀬良 CH 小林 LSH 山内
FW 森海渡

<高知スタメン> 4-4-2(入りは4-3-3もすぐに変更?)
GK 池上
RSB 玉川 CB 藤﨑 CB 下堂 LSB 平田
RSH 西村 DH 横竹 DH 青木 LSH 田口
FW 赤星 FW 長尾

今季も既に最終盤で、JFLではヴェルスパ大分が優勝、Hondaの連覇は4でストップ。
テゲバジャーロ宮崎が2位に入り、来季のJ3入りを達成という結果になりました。
その下のカテゴリでは、JFL入りを目指すべく激戦が行われた地域リーグチャンピオンシップ。
死闘の末に、FC TIAMO枚方FC刈谷のJFL昇格が決定。
真に目出度い限りであります。
そんな下位カテゴリの熱戦も、後は天皇杯を残すのみ。
大学勢で唯一勝ち残っている筑波大と、JFLに昇格してまだ日の浅い高知ユナイテッドSCとの一戦。

Jリーグ参入の意思は持っているものの、四国4県で唯一出遅れている立ち位置の高知。
それもそのはずで、2016年というまだ少し昔に「アイゴッソ高知」と「高知UトラスターFC」が合併して創立したクラブです。
2017年に四国リーグで初優勝を果たすも、地域リーグCLで敗退。
これを翌年も繰り返し、2019年に3度目の挑戦で勝ち上がり、2位でJFL参入が決定と出来立てホヤホヤ感がある現在。
監督はかつてJリーグ(セレッソ・京都)でも指揮を執った西村昭宏氏で、今季が2度目の就任。(2016年終了後退任、以降フロント入り)
予算繰りが厳しいとの事ですが、果たして四国4県ともJクラブで染まる日は来るでしょうか。

立ち上がりは西村が右ウイング・田口が左WGの4-3-3という配置でしたが、すぐに4-4-2に切り替えを見せた高知。(それとも予想フォーメーションが間違いで最初からか?)
ボールを繋いでいく筑波大に対し、2トップでプレスを掛ける事を選択したのでしょうか。
前半2分、藤﨑のロングパスを受けた田口が左サイド奥に進入、クロスを入れるとニアサイドに長尾・赤星の2人が走り込み。
こぼれ球を赤星がシュート(ブロック)と、ファーストシュートは高知が放ちました。

しかし以降は筑波大が怒涛の攻撃。
ボールポゼッションを下地として、パスワークでサイドを突破していきます。
5分に加藤が、6分にフリーキックから手塚が、7分に山原がそれぞれシュートを放ち高知を押し込んでいきました。

4-2-3-1のフォーメーションで、手塚が主に最終ラインに降りる役割を担っていましたが、左サイドハーフの山内がそれに伴い降りてくるのが基本のビルドアップ。
山内は殆ど第3ボランチという感じで、4-3-2-1のようにも見える形を採ります。
立ち上がりの好機はモノにならず、以降もボール支配を際立たせたものの、フィニッシュに繋げぬまま中盤戦へ。

一方の高知、立ち上がりはロングボールに傾倒していた攻撃で繋がりは悪かったものの、筑波大の攻勢を凌いで本領を発揮。
ビルドアップの形は筑波大同様、最終ラインが3枚という形を採ります。
しかしその内訳は、ボランチ(主に横竹)が降りるのが基本なものの、時には片方のサイドバックが中央に絞っての形を見せる時も。
そしてもう片方が前線に赴く、いわゆる左右非対称型も披露しました。
22分の高知の決定機はこの形から生まれ、GK池上も含めての最終ラインでのキープの間に、中に絞っていたはずの左SBの平田がスルスルと前進。
そして青木がロングパスを出す際には既に左サイドの最前線に居ましたが、青木は中央を選択して裏を狙い、そのパスに赤星が抜け出しに成功。
GK櫻庭の飛び出しを見て、ダイレクトでループシュートを狙った赤星でしたが、ボールは惜しくもゴール左へ外れ。

飲水タイムを挟み、尚もボール支配を続ける筑波大に対し、高知は上記のような裏狙いのパスで対抗します。
攻め込むもフィニッシュに結び付かず、イライラも募って来たか25分には瀬良が、29分には小林が反則で警告を受けてしまう筑波大。
そんな状態も味方に付けたか、高知は狙い通りに好機を作っていきます。
35分にはカウンターで玉川のロングパスを筑波大・角田がクリアミス、拾った赤星が中央へとスルーパスを送ると、受けた長尾がGKと一対一に。
エリア内に入ってシュートしたものの、枠を捉えられず決定機を逃してしまいます。

肝を冷やした筑波大、その後は37分に山内が相手クリアを直接シュート(枠外)、アディショナルタイムにも山内が相手クリアを直接シュート(ゴール左へ外れる)とこちらもシュートで終わるシーンを作ります。
しかし前半最後に再び高知の決定機、ゴールキックから敵陣でエアバトルを制し、長尾→赤星ポストプレイ→西村と渡り再びGKと一対一に。
エリア内右からシュートするも、GK櫻庭の好セーブに遭いまたもモノに出来ず。
前半はスコアレスのまま終了となりました。

攻撃機会は少ないも、それに比して決定機の割合が高かった高知。
期待を持たせての後半開始となると、その後半2分でした。
西村がラフにロングパスを送り、長尾の落としを拾った田口がスルーパス。
するとここも赤星がディフェンスラインの裏を取り、走り込んでダイレクトでループシュート。
今度は枠を捉え、ゴールに吸い込まれて先制に成功。
何度も筑波大の最終ラインを置き去りにするシーンを作ってきた高知、ようやく報われました。

一方攻撃権を支配しながら先制を許した筑波大。
以降は焦りが加わるような展開を強いられる、そう思わせた矢先に事故のような得点が。
5分、ビルドアップから左サイドへ展開し、山原が手前から早めにクロス。
これを中央で高知・下堂がクリアにいきましたが、あろう事かキックミスでボールは逆方向へ飛び、ゴールに入ってしまいます。
勿体ないオウンゴールで、あっという間にリードが無くなりました。

気を取り直す高知、7分に左コーナーキックを得て攻撃。
キッカー田口が中央へクロス、下堂が合わせにいく所をGK櫻庭が飛び出してこぼれ、浮いたボールを赤星がヘディングシュート。
しかしゴールバーを叩いてしまい、跳ね返りをGK櫻庭がキャッチ。
14分には中盤でのエアバトルを経て、左サイドで田口がスルーパス、受けた長尾がエリア内左へと進入。
ここでシュート気味にクロスを入れ、中央で赤星が触るもGK櫻庭にキャッチされゴールならず。
しかし依然として高知の方がゴールに近づく展開をキープします。

筑波大はスルーパスをメインに再三サイド奥まで進入するも、そこから崩しを選択する事でシュートまで辿り着けない場面が目立ちます。
FWの森海も孤立気味となり、中々得点の気配が漂って来ない時間帯に。
そして20分過ぎから攻撃権は高知に移っていきます。

ようやく自分達のターンを迎えた高知、その最後の攻撃で結果に結び付けます。
最後方でのビルドアップから、一旦GK池上まで下げた後のフィード。
巧く筑波大のプレスを剥がし、玉川の胸での落としを西村が拾い、ドリブルからスルーパス。
これが再度抜け出した赤星のGKとの一対一を演出し、今度は股抜きのシュートを選択した赤星、見事に抜き去ってゴール。
再びの裏抜けで勝ち越しに成功します。

丁度飲水タイムが挟まれ、筑波大は加藤・瀬良→和田・庄司へと交代。
森海と庄司の2トップにシフトし、加藤の抜けたボランチに山内が移り反撃体制に入ります。
ある程度繋いだのち、積極的にアタッキングサードへボールを送る攻撃へと移り変わる筑波大ですが、高知の必死の守備の前に相変わらずシュートまでいけず。
その最中に高知はセンターバックの下堂が足を攣らせたりもします(29分)が、根性で下堂はプレーを続けます。

ようやくの筑波大のシュートは38分、CKから中央で森海がヘディングシュート(GK櫻庭セーブ)と、フィニッシュに絡むシーンを作った森海。
しかし直後の39分、高知は相手クリアの跳ね返しを赤星が落とし、拾った西村がエリア内右からシュート。
GK櫻庭がセーブしたボールを長尾が収め、反転シュートを放つもブロックで凌ぎ、3点目は何とか防ぎます。

40分に再び筑波大は2枚替え、手塚・小林→井川・池谷へと交代。
井川が中央に入る3バックへと変更し、以降は森侑(右CBにシフト)も積極的に攻撃参加します。
その後高知も交代カードを切り始め、41分に西村→山下へ、45分に田口・長尾→泉・前原へと順次交代。

6分と長いアディショナルタイムに突入し、圧力を持って攻め続ける筑波大ですが、高知の逃げ切り体制の前にゴールを奪う事無く時間が経過。
そして5分台に突入し筑波大最後の攻撃、和田のシュートがブロックされたのち右サイドでボールを繋ぎ、庄司のパスをエリア内右で受けた三浦がクロス。
この速いボールを中央で森海が合わせてヘディングシュートを放つと、ループ気味の軌道でゴールに突き刺さり。
ゴールを決めた森海、ベンチサイドに駆け寄った際に足を攣らせてしまうなどまさに満身創痍での執念が炸裂した同点劇で、延長戦へともつれこみました。

フォーメーション的には、1アンカーの3-3-2-2へとシフトした(と思われる)筑波大。
延長突入後は、シャドーに位置する和田と池谷が再三サイドを入れ替えつつ攻撃を仕掛け、以降も押し気味に試合を進めます。
それでも中々シュートが生まれず、双方停滞気味に。
その過程で延前10分に三浦→遠藤へと交代した筑波大、山原が左SB→右SBへとシフト。
以降はお互いミドルシュートを撃ち合う展開に突入、11分には高知・青木が、前原のポストプレイを経てシュート。(枠外)
14分には筑波大・山原が、右サイドから中央へと流れてグラウンダーのシュート。(ゴール右へ外れる)
15分には左サイドから、中央で受けた池田が遠目からシュート。(枠外)
疲労度もピークを通り越し、遠目からでも撃っていく意識が現れた内容を描いて延長前半を終えます。

勝負の延長後半。
入りは高知が攻め上がるも、有効打にはならず逆にカウンターを浴びてしまいます。
延後2分、クリアボールを山内が拾ってそのままスルーパス、森海が抜け出す筑波大。
GKと一対一かと思われた刹那、GK池上が判断良く飛び出しスライディングでクリア。

しかし直後の3分。
自陣で角田がカットして再び素早いトランジションから攻撃する筑波大、角田から受けた森海がスルーパスを送ると、走り込んで受けた庄司がエリア内左へと進入。
そして足を振り抜くと、GK池上は止める事が出来ず値千金のゴールがネットに突き刺さり。
この試合初めてリードを奪った筑波大。

既に延長前半に、泉→藤井と交代カードを切っていた高知。(泉は何故かインアウト)
最後のカードは玉川→中桝(7分)で、ボランチに中桝が入って青木が右SBへ。
総攻撃の体制へと移ります。

11分、左サイドからロングスロー(前原)を入れると、赤星がニアサイドで落とした所を山下がボレーシュートの体勢へ。
しかしミートせず手に当たってしまい、ハンドの反則に。
同じく11分に横竹の裏へのロングパスに赤星が走り込み、GK櫻庭がパンチングでクリアしたボールを前原が拾い、GK不在のゴールへシュート。
しかし枠に飛ばす事が出来ず。
尚も攻め上がる高知、14分に最後のシュートシーン。
左CKでキッカー平田から中央へクロスが上がると、前原が擦らしたボールがファーサイドへ落ち混戦に。
そして拾った藤井がエリア内右へと抜け出し、角度の無い所からシュート。
狭い所を抜けたものの、ライン際で筑波大・山原がクリアして惜しくもゴールならず。

勝ち越された後もノーチャンスでは無かった高知ですが、後一歩及ばず、そのまま無念のタイムアップに。
激闘の末筑波大が5回戦進出を決め、もう少しでJリーグのクラブと対戦できる、という所までやって来ました。
しかしその前に立ちはだかる壁は強豪・Honda、果たして突破はなるでしょうか。

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