ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第34節(順延) 愛媛FCvsヴァンフォーレ甲府

2020-12-12 18:35:20 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の愛媛の記事はこちら(38節・大宮戦)
※前回の甲府の記事はこちら(38節・山口戦)

前の試合(39節・千葉戦)での敗戦で、今季の昇格の根は完全に断たれてしまった甲府。
前線の選手に故障者が膨れ上がり、金園がスタメン1トップで出場。
しかしその金園も負傷で途中交代を余儀なくされるという具合に、何かが憑いていると言われても可笑しくない甲府の終盤戦。
ドゥドゥと太田(前節途中出場)が戦線復帰し、スタメンに起用されたこの日。
そんな負の感情を払拭する効果はあったでしょうか、あるいは昇格争いのプレッシャーが無くなったからか、序盤から躍動感溢れるプレーを展開していきました。

キックオフ直後、いきなり山本が愛媛・有田のプレスを受けるというシーンから始まったこの試合。
しかしこれをかわした山本、以降は彼のロングパスを軸に甲府の攻撃が繰り広げられます。
1トップのドゥドゥを裏へと走らせる攻撃を繰り返し。

開始直後以外は愛媛のプレッシャーが甘く、それを悠々と許していると、甲府の狙い通りの得点が生まれる事に。
前半10分、山本のロングパスでドゥドゥが愛媛・山﨑の背後を取り、1トラップしたのち2タッチ目でループシュート。
前に出たGK加藤の頭上を嘲笑うかのように、ボールは綺麗にゴールに吸い込まれました。

一方、後方からパスを繋ぐ愛媛に対し、激しいプレスでそれを遮らんとする甲府。
こうしたプレッシングに対し愛媛サイドも、パススピードを高めて対抗するのですが、逆にその所為で繋がりに欠ける側面が目立ちます。
ビルドアップに対するハイプレスという図式は現代サッカーには欠かせないものですが、今季の愛媛のプレスへの対抗策はパススピードの向上なのでしょう。(同じ四国のクラブである徳島が、ポジションを盛んに動かす事で対抗するのとは別のアプローチでしょうか)
しかしそのスピードに、愛媛の選手が付いていけていないという感じでボールロストを頻発させてしまい、結果的に甲府の攻撃権の独占に繋がっていきます。

悪い流れの中、ついに生まれてしまったのが最終ラインでの決定的なミス。
16分、長沼の浮き球でのバックパスを受けたGK加藤でしたが、トラップが大きくなり甲府・中山がそれを掻っ攫うとゴールは空っぽに。
当然中山は悠々とシュートを転がし、早い時間で追加点を奪った甲府。

甲府の多彩な攻撃に、反則に繋がるディフェンスも膨れ上がっていきます。
19分に甲府・橋爪が渡邊のスライディングを受けて倒れ込む場面あったと思えば、その直後(21分)にはドゥドゥが同じく渡邊に倒されてエリア付近でのフリーキックに。(ここではキッカー荒木のクロスがクリアされる)

「何をやっても駄目」という状況に追い込まれつつあった愛媛。
そんな所に挟まれた飲水タイム(25分)で、早くもベンチは激しい動きを見せます。
川村に代えて岩井を投入するとともに、フォーメーションも3-4-2-1から4-4-2へとシフト。

これで多少は攻め上がる事が出来るようになった愛媛。
33分に敵陣で岩井がパスカットの後、忽那エリア内右へスルーパス→渡邊走り込んでクロス→有田シュート(ブロック)と流れるように攻撃。
ようやく初シュートを放ったものの、暗雲を振り払うまでには至りません。

以降もボールを握って攻め上がるものの、結局シュートは上記の1本だけだった前半。(44分にFKから山﨑がヘディングシュートするもオフサイドに)
相手のプレスに対して速いパスを繰り出してかわし、その上で手薄になった前線へ長いパスを送るという理想形は窺えました。
しかし先程も述べたように、速いパスを中心とすれば、それだけ自分達もボールコントロールが難しくなる。
相手の裏を突くロングパス・スルーパスも、精度を欠いてGK小泉に処理されて終了という場面が目立ち、実り無く終わった感があり。
結局前半は0-2のまま終える事となりました。

ハーフタイムで甲府が選手交代。
故障上がりのドゥドゥが退き、中村を投入(ボランチに入る)すると共に太田・野澤が一列ずつ前へシフトします。

再び山本のロングパスを軸に攻撃を展開する甲府に対し、今度は敵陣でプレスを掛けて奪わんとする愛媛。
後半3分、忽那のボール奪取からパスを繋ぎ、渡邊がミドルシュートを放つも枠外に。
ショートカウンター狙いに切り替えた風を見せたものの、以降はそんな場面も無くなり。
逆に甲府も無理にフィニッシュを狙わずスローペースになり、かつロングパスの出どころである山本がプレッシャーを掛けられ始めた事もあり、試合も落ち着いた展開となります。
渡邊のシュート以降は、13分に甲府がセットプレー(サイドからのFK)から、太田がヘディングシュートを放った(右サイドネット)ぐらいだったシュートシーン。

しかしスローペースに移行しても、昇格に向けて必死に戦っていた甲府のダメージは深刻だったようで。
ドゥドゥとともに5試合ぶりのスタメンとなっていた野澤が、15分に足を攣らせてしまいます。
何とかその後もプレーを続け、19分に交代・退く事に。(宮崎と交代、同時に橋爪→内田へと交代)

甲府が2枚替えで運動量を担保、それに対抗するべく愛媛も21分に選手交代。
3枚替えを敢行し、有田・忽那・渡邊→丹羽・清川・森谷。
ボランチは森谷・横谷のベテランコンビになり、長沼が左サイドハーフ→右SHへとシフトするなど再び配置転向も混ざります。

以降も愛媛は、後方から速く長いパスを繰り出す事で攻撃を試みるのは変わらず。
しかし時計の針も進んだ事で甲府の守備も甘くなったのか、大分組み立てる事が出来るようになります。
30分には横谷の浮き球でのスルーパスを受けた長沼が右サイドからクロスを上げようとするもブロックに遭い、拾い直して攻撃継続。
戻してから再び受けた長沼、エリア内右へとスルーパスを送り、岩井が走り込んで低いクロス。
これを丹羽がファーサイドで受けてシュートするも、惜しくもオフサイドに。

結局有利な時間帯で得点する事が出来ず、以降再び甲府ペースに。
33分には宮崎のドリブルから、中村を経由して内田がエリア内からシュートするもGK加藤がセーブ。
守勢に回ると苦しさを隠せない愛媛、35分には茂木が甲府・中山をスライディングで倒してしまい反則・警告を受けてしまいます。
その後セットプレー中心で攻める甲府、36分にはスローインから左サイドで組み立て、中央で荒木が豪快にミドルシュートを放つもこれもGK加藤がセーブします。

甲府の攻撃を何とか凌いだ愛媛、以降得点を返すべく反撃を試みるも、フィニッシュには中々到達出来ず。
アタッキングサードにスルーパスを通そうとするも、守備を固める甲府の前には中々通らず、無得点のままアディショナルタイムへと突入。
時間も押し迫り、疲労からか甲府サイドも苦しさを見せるようになります。
GK小泉があろう事かキックミス、ペナルティアークの位置で丹羽が拾い、そのままシュートしましたがゴール上に外してしまいます。
この日がデビュー戦だった小泉、蓄積疲労とは無縁のはずですが、無失点で終われそうな展開で気が緩んでしまったのでしょうか。

最後の愛媛の攻撃、山﨑の裏へのロングパスがクリアされるも、右サイドで長沼が拾って奥へとドリブル。
戻しを受けた茂木からクロスが上がり、中央で跳んだ清川を越えて丹羽がファーサイドで合わせヘディングシュートを放ちます。
しかしGK小泉がセーブ、落ち着きを取り戻したか失点は許さず。
結局これが両軍最後のチャンスとなり、試合終了。
昇格という肩の荷が降りたかのような甲府の勝利でした。

試合から一日経ち、愛媛から監督人事についてのリリースが。
甲府・山本よりも若い青年監督、川井健太氏の挑戦も今季で一旦終了という事になりました。
ボールポゼッションを中心に色々と理想のサッカーを表現していたものの、今季の過密日程の中、それを落とし込むのは難儀なものとなっていたのだと思います。
それでも戦術家としての片麟は十分見せられたと思いますので、果たして次は何処のクラブに雇われるでしょうか。

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DAZN観戦 2020年J3リーグ第32節 SC相模原vsアスルクラロ沼津

2020-12-11 18:42:21 | サッカー視聴記(2020年以前)

J3も残り3試合、熾烈さを増している2位争い。
長野が3位集団に巻き込まれた間隙を突き、相模原が2位浮上を果たしたのが前々節ですが、前節再び入れ替わり現在に至ります。
その相模原、イメージ的には「望月重良(代表)のチーム」でしょうか。
現役引退(2007年)から1年後に、私財を投げうってチーム設立という大胆な行動を起こした望月氏。
2014年にJ3参入を果たし、今季は念願のJ2ライセンス承認と共に、昇格を目指さんとしている立ち位置。

その選手編成を見ると、J3のクラブとは思えないほど顔ぶれは豪華。
稲本・藤本・富澤・水野といった超ベテランの名手だけで無く、GKビクトルをはじめ清原・三島・梅鉢ら、少し前までJ2でプレーしていた選手の名前も多数見られます。
助っ人外国人も4人在籍しているなど、戦力は上々。
これに監督の力が加われば……とは誰もが考える事でしょう。

しかしその監督人事は非常に疑問。
2016年以降、薩川了洋(現ヘッドコーチ)→安永聡太郎(横浜FC・安永玲央の父親)→西ヶ谷隆之→三浦文丈(現職)という顔ぶれですが、4人とも共通点が。
いずれも静岡県立清水商業高校出身の人物であり、それは望月氏の母校という側面もあり。
これ程綺麗に自身のOBで揃えているのはある意味清々しいですが、逆に言えば望月氏の人脈の脆弱ぶりが露わになっていないか。

現役時代の望月氏は司令塔タイプのMFでしたが、ボランチとしては守備力・走力に欠け、監督から見ると扱いづらい選手だったとの事。
「王様」というニックネームも頂戴していたらしく、監督と対立し契約解除されるなんて事もあったそうで。
チームを運営する財力はあっても、こうした現役生活故に人との繋がりという面で弱点を露呈している、と考えれば納得出来なくもありません。

長野・岐阜と激しい2位争いの真っ只中である相模原。
この日の相手は沼津で、既に優勝を決めている秋田で現在指揮を執っている吉田謙氏が前年まで監督を務めていたというクラブ。
何処と無く「監督は大事」と相模原に訴えかけているようであり、試合内容もそんな感じの展開となりました。

相模原は後方からのロングボールを、才藤を目掛けて送るという攻撃がメイン。
前半7分には敵陣での鹿沼のパスカットから、自らファーストシュートを放ちました(GK長沢キャッチ)が、次第に沼津の攻撃が目立ち始めます。
同じ7分に、菅井が左サイドへパスを出してから、藤嵜→大迫→菅井→鈴木→渡邊→染矢とダイレクトパスを連続して繋いでチャンス。
そして染矢から受けた渡邊がドリブルからミドルシュート(枠外)と、流れるような攻撃を魅せました。

入りを経てすっかり試合に馴染んだ沼津、以降はしっかり最後方からショートパスを繋ぐビルドアップを展開。
菅井・普光院のドイスボランチを軸にパスを散らす中に、縦パスからのポストプレイを交えるというパスワークでボール支配率を高めていきます。
こうしたセンターバック+ドイスボランチ中心のポゼッションは、得てして何かの工夫が無いとどん詰まりになり易いもの。(現在のJ2で言えば町田がそんな感じか)
しかし左サイドハーフの佐藤が様々な場所に降りて来て、ビルドアップの出口を作り解決に導く動きを採っていたのも見逃せず。
かなり組織立ったサッカーを見せており、そのビルドアップにしばし釘付けになっていました。

しかし先制点は相模原に入ります。
20分、ミルトンのロングパスを受けた藤本からパス回しを展開、その中に加わっていた1トップのホムロがエリア内へとスルーパス。
これが綺麗に才藤の抜け出しに繋がり、エリア内からシュートを放った才藤。
見事にゴールゲットしリードを奪いました。

直後に飲水タイムが挟まれ、明けた直後の23分にも相模原のチャンス。
梅鉢のスルーパスを藤本が走り込んで受け、エリア内に入ってシュート、ループ気味に狙ったもののゴール右へと外れ。
選手のクオリティの高さを見せ付けるかのように、スルーパスを通して決定機を演出していきました。
組織で攻め上がる沼津と、単純ながら個人技を炸裂させんとする相模原という攻撃の図式が出来上がり。

パスは繋がるも中々決定機に結び付けられない沼津でしたが、40分にビッグチャンス。
普光院が敵陣でボールを持ち右へ展開、尾崎から中央へ浮き球で戻され、佐藤の落としを受けた渡邊がエリア内へ進入。
ディフェンスに遭いこぼされるも、大迫が走り込んでシュート、しかし至近距離でGKビクトルがセーブ。
尚もエリア内でこぼれたボールを、佐藤がシュートしますがゴールバーを直撃して跳ね返り、決定的なチャンスを逃してしまいました。
さらに染矢が拾った所に相模原・ミルトンが反則気味にチャージし倒れ込む一幕も作られ、ヒートアップする両サイド。
前半は1-0で折り返す事となります。

後半の入りは、セットプレーから相模原が追加点を狙いにいく様相に。
後半1分に右サイドでのスローイン、才藤がロングスローと見せかけて近くの夛田へ投げ、その夛田のクロスから藤本がミドルシュートを放つも枠外に。
3分には中盤遠目からのフリーキックでしたが、キッカー星が直接ロングボールをエリア内右へと送り、ミルトンがヘディングシュート。(枠外)
その後ポゼッションに勝る沼津に攻撃権を支配されますが、13分には再びFK。
右サイド奥からという位置で、キッカー藤本のクロスを中央で才藤が擦らすヘディングシュート。(枠外)
J2昇格に向け、どんな形でも勝ち点3を得るという意気込みが現れた攻撃でしたが、それも長くは続かず。

パスワークで押し込んでいく沼津、CB2人(谷口・藤嵜)までもが敵陣に入るハーフコートマッチのような図式になる事も珍しくなく。
19分には相手のクリアを谷口が拾って二次攻撃、菅井のエリア内へのロビングを渡邊が落とし、エリア内右から鈴木がシュートを放ちますがGKビクトルのセーブに阻まれます。
シュートまで持っていけても、最後にはビクトルに阻まれるシーンが目立った沼津。

飲水タイムを挟み(22分)、尚も圧を強める沼津の攻撃。
24分には菅井の縦パスを受けようとした鈴木が、後ろから相模原・梅井に倒され反則・直接FKに。(梅井に警告)
ゴール中央・エリアからやや手前という絶好の位置から、キッカー尾崎の直接シュートがゴール上部を襲いますが、これもGKビクトルがナイスセーブで防ぎます。
27分には再び尾崎がミドルシュートを狙いますが、ゴール左へと外れ。

完全に防戦一方となった相模原、28分にホムロ→清原へと交代。
その後もカウンターを繰り出す事すらままなりませんが、次第に沼津のシュートシーンも見られなくなり、逃げ切り勝ちが現実的になる展開に。
37分にはミルトン・才藤→富澤・三島へと交代し、運動量を補填していきます。
そのカウンターのシーンが、遅まきながら44分に見られます。
鹿沼のスルーパスが和田(藤本と交代で出場・15分)に繋がり、ドリブルでエリア内へと進入してボールキープ。
こぼされたボールを、上がってきた鹿沼がエリア内へと送り、清原が跳び込んで足で合わせますが惜しくもゴール右へと逸れ追加点はなりません。

パスサッカーを展開し良い攻撃を繰り広げた沼津でしたが、最後の段階で阻まれ続け、得点を奪えぬままアディショナルタイムへ。
最大のチャンスは、右サイドで普光院からクロスが上がり、クリアボールを拾い左へ展開し大迫から再度クロス。
これを今村(渡邊と交代で出場・33分)がヘディングシュート、ループ気味の軌道にGKビクトルも反応できずでしたが、ゴールポストに当たりゴールならず。
運も味方とはなってくれず、万事休すとなった沼津。

結局1-0のまま試合終了、勝ち点3を得た相模原。
長野も勝利したため順位は3位のまま、残り2試合を迎えます。

しかし次節は首位・秋田との対戦という最大の試練。
17戦無敗と聞こえは良い相模原の成績ですが、守備重視で引き分け数が膨らんだ結果、2位集団から抜け出す事が出来ず。
しかもこの日の沼津のような「組織力はあるがタレント不足で……」というチームとは逆をいっている内容であり、選手の能力を発揮させる力に欠けている節が見受けられました。(まあJ2ライセンスが無くサッカーの質の向上に邁進できる沼津と比べるのはどうかという感じでしょうが)
果たして秋田とぶつかる事で、どんな結果が齎されるのか。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第39節 松本山雅FCvsアルビレックス新潟

2020-12-10 16:30:40 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の松本の記事はこちら(36節・長崎戦)
※前回の新潟の記事はこちら(34節・千葉戦)

試合前の監督インタビュー。
松本の柴田峡監督が、あくまでこの試合を戦ううえでの意気込みを中心に語っていたのに対し、新潟のアルベルト・プッチ・オルトネダ監督。
36節という近い過去まで昇格の可能性を残し、かつ自身は来季の続投が決定している事もあり、イレギュラーなシーズンであった今季を総括するようなコメントを残していました。
反面この試合については殆ど語られず、その差が結果となって表れたのでしょうか。

インタビューの場でアルベルト監督が語っていた通り、現状は満身創痍のチーム状況な新潟。
故障者が膨れ上がり、レギュラーに休養を与える事もままならず、34節(千葉戦)を境に成績は下降線を辿っていっています。
この日はとうとうセンターバックの舞行龍ジェームズが休養となり、苦しさ溢れるスタメンとなりました。(高木善ボランチとか)

試合が始まり、小競り合いが続いた入りを経てペースを掴んだのは松本。
前半5分ロングパスの連続で右サイド奥へと切り込み、鈴木からグラウンダーでクロスが入ると、ニアサイドで久保田・ファーサイドで阪野が合わせにいったもののどちらも撃てず。
しかしコーナーキックとなり、その二次攻撃で高橋のロビングがクリアされたボールを、杉本が拾ってエリア手前左からシュート。(ゴール右へ外れる)
ファーストシュートは松本のモノとなりました。
以降も攻め上がる松本に対し、新潟の流れは今一つ。
9分にはボールとは無関係な場所で島田が松本・浦田を倒してしまい反則。
かなり遠目からのフリーキックでしたが、キッカー・セルジーニョのクロスから橋内がヘディングシュートを放ち(GK藤田和輝キャッチ)、ここでもしっかりとシュートに繋げられました。

そして15分に松本が先制し、それもスローインからの攻撃。
右からのスローイン、阪野が受けにいくもこぼれ、奥で拾った久保田がエリア内右へと進入してクロス。
これが中央へ走り込んだ高橋の頭にピタリと合い、ヘディングシュートでゴールネットを揺らしました。

一方の新潟、今季はボールポゼッションが基調のサッカーを目指していたものの、この日は(前回取り上げた時と同様)ビルドアップに難儀。
開幕直後(正確には中断明け直後)に観た際は、CBの間にボランチが降りて後ろ3枚によるビルドアップ、その形は既に完成に近いという印象を受けました。
しかし高木善ボランチという急造に近い形だった事もあり、その姿は見る影も無く。
舞行龍不在でロングフィードによるチャンスメイクも上手くいかずと、良い所が殆ど見受けられない攻撃と化していました。

スコアが動いた後も松本優勢で時間は進み、飲水タイムへ。(22分)
すると再開後の新潟は、早くも布陣変更を敢行します。
3-4-2-1へとフォーメーションを代え、最終ラインは右から田上・マウロ・早川の3バックに。
ウイングバックは右が矢村・左が堀米となり、鄭大世(チョンテセ)1トップの後ろのシャドーには本間と中島が入りました。(ボランチは高木善・島田のまま)

この変更が早速奏功し、26分には本間がドリブルから好機を作り、中島とのパス交換ののちミドルシュート。
GK圍にセーブされるも、クリアされCKに。
そのCK、高木善のクロスを合わせにいった田上が、後ろから松本・浦田に引っ張られ倒れると審判の笛が鳴り響きます。
しっかりと主審に見られていた浦田、反則・PKを与えてしまう事に。
キッカーを務めた鄭がゴール左に蹴り込み、ネットに突き刺し同点、と思いきや高木が詰めにエリア内に入るのが早かったとされてやり直しに。
嫌な雰囲気が流れたものの、鄭は再度同じ左へと蹴り込み、GK圍は反応するも届かずにゴール。

同点に追い付いた新潟、以降も勢いを得て松本陣内に押し込んでいき、32分にはエリア内で鄭がシュート。(枠外)
布陣変更は大成功かと思われましたが、ここから松本が押し返し攻撃権を独占。

左サイドから攻め、右WB矢村という変更の弱点を突くような振る舞いを見せると、ここから全体もボールロストが多くなる新潟。
その隙を突き、38分には杉本がパスカットから一気にスルーパス、受けた阪野がエリア内に進入してシュート。
ループ気味に狙ったシュートでしたが、新潟・早川の必死のスライディングもありゴール左に外れてしまいます。
それでも決定機はこの場面ぐらいで、ペースは握ったものの勝ち越し点はお預けとなった松本。
アディショナルタイムには新潟もセットプレーの好機を得ますが、不発となり同点のまま前半が終了。

後半を迎えるに辺り、新潟ベンチはさらに動きます。
高木善・中島に代え、荻原・大本を投入。
代わった2人が両WBに入る事となり、堀米がボランチへ、矢村がシャドーへとシフトします。

後半の入りは、前半の勢いそのままに松本が攻勢。
後半2分に杉本が、3分に佐藤がシュートを放ちます。(前者はGK藤田和キャッチ・後者は枠外)

しかし新潟の攻勢へと移り変わり、苦しい状況の中で勝ち筋がほんのり見えるかのような展開に。
5分、ロングパスを左サイドで受けた鄭から、エリア内左へのスルーパスに荻原が走り込みます。(GK圍抑える)
7分には左サイドで本間がサイドチェンジを敢行、右の大本が受けて中央へとロングパス。
収めた鄭から本間→荻原へと繋がり、荻原がエリア内左からシュート。(GK圍キャッチ)
左サイドでの攻撃力が特徴である荻原が、積極的にフィニッシュにいくシーンを見せたこの時間帯。
荻原を活かしつつ、鄭や本間のチェックを緩めたうえで勝ち越しを狙う流れを作る、それがこの日の新潟の勝ち筋に思えました。

しかし新潟の攻勢は途切れ、迎えた10分。
松本は左サイドから常田がスルーパス、受けにいってスルーしたセルジーニョの存在もあり、抜け出しに成功した阪野が一気にGKと一対一の状況に。
そして前半と同様ループ気味のシュートでGK藤田和を抜くと、今度は枠を捉えてゴール。
新潟を再び崖下へと突き落とす勝ち越し点が生まれました。

そしてその通りに、以降の新潟の内容は悲惨なものに。
松本が尚も果敢に攻勢に出ると、アンバランスになった中盤を支配され続け押し込まれ。
13分には佐藤縦パス→阪野左へポストプレイ→セルジーニョキープからクロス→久保田ヘディングシュート(枠外)。
14分には杉本の縦パスを受けたセルジーニョ、ここも左サイドでキープしたのち、今度は巻くシュートを放ちますがゴール右へ外れ。
15分には相手のクリアを常田が繋いで右サイドで攻撃、鈴木の手前からのクロスが合わず、中央へ流れたボールに高橋が走り込んでシュートするもGK藤田和がセーブ。

怒涛のシュート連発を見せる松本、直後の16分。
左サイドでキープするセルジーニョから中央→右へと渡り、鈴木が右サイドをドリブルで奥へ進入。
戻されたのち佐藤からクロスが上がると、ニアサイドで久保田が擦らすようにヘディングシュート、GK藤田和がセーブするもこぼれ球を阪野が詰めてシュート。
必死のセーブを続けた藤田和も力尽き、追加点となる3点目を加えた松本。
以降は新潟もさすがに反撃に出ますが、単調な域を出ず時間を浪費し、飲水タイムへ。(直前の22分に矢村→シルビーニョに交代)

明けた後、松本はさらに追加点を狙いにいき攻勢に。
既に2得点の阪野は25分にエリア手前からシュート(ブロック)、29分にはセルジーニョのヒールパスを受けてエリア内からシュート(ブロック)と、ハットトリック完成を狙うべく果敢にシュートを放ちます。

30分にはCKから、セルジーニョのクロスを中央で常田が強烈なヘディングシュートを放ちましたが、枠を捉えられず。
34分には相手クリアを拾った山本真希(杉本と交代で出場・32分)が縦パス、受けた阪野が巧く反転してエリア内に進入するも、GK藤田和が飛び出して撃てず。
しかしこぼれ球に走り込んだ佐藤がシュート、これが右ゴールポストを直撃と、ひたすらに新潟ゴールを脅かしていく松本。

一方、反撃どころか追加点の心配が高まる状況の新潟。
35分にようやく、田上の縦パスを鄭がポストプレイで繋いでから好機を得、左サイドへ展開されたのち荻原が切り込んでグラウンダーでクロス。
ニアサイドで本間が合わせシュート、しかしGK圍がセーブしてゴールならず。

万策尽きたのか、40分に田上→秋山への交代後は、再び4バックへとシフトした新潟。(堀米がボランチ→右サイドハーフへ)
ボランチ秋山の存在により、後ろ3枚でのビルドアップを行いボールを繋がんとしましたが、正直この形にするならば後半頭からでは無いかとも思いました。
結局以降は効果的な攻撃を行えず。

ATに突入後も、阪野や鈴木がエリア内からシュートを放つ場面を作った松本。
終了直前に新人・村越をデビューさせるという余裕も作り(高橋と交代)、3-1のまま無事に逃げ切り勝利。
チケット完売となって迎えたホームゲームを、完勝という結果で締める事が出来ました。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第39節 アビスパ福岡vsツエーゲン金沢

2020-12-09 16:19:09 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の福岡の記事はこちら(30節・磐田戦)
※前回の金沢の記事はこちら(36節・山形戦)

最終節で首位・徳島との直接対決を控える福岡。
その舞台を胸すく優勝決定戦として迎えたい所ですが、ここに来て首位よりも3位・長崎との差が近くなっており正念場。

試合開始直後から福岡が盛んに攻め立て、前半1分に早くもフアンマ・デルガドの落としを拾ったエミル・サロモンソンがエリア内右からシュート。(ゴール左へ外れる)
3分にはフアンマの頭を越えるロングパスを遠野が拾い、そのままエリアライン際でシュート(ブロック)と、立て続けに2本シュートを浴びせます。

しかしその後は停滞し、徐々に金沢ペースへ。
4-4-2のミラーマッチなうえ、相手にボールを持たせるタイプのチーム同士の対戦。
そのため、福岡にとって自分達のペースに持ち込むのが難しい展開を強いられたようです。
後方からロングボールをフアンマに当てて、というのがメインの攻撃故、しっかり対応されると他の攻め方を採らざるを得ず。
13分にはセンターバックのドウグラス・グローリがドリブルで持ち込んだのち左の石津へパスを送り、石津のスルーパスでフアンマが抜け出しますがオフサイドに。
マンマーク基調の金沢が相手故、こうしたスペースを利用しての攻撃が望まれる所でしたが、中々そんな展開に持ち込めず苦戦します。

福岡が攻め手を無くした事で、金沢は憚らずも「ボールを持たされる展開」となります。
ビハインドを背負っていないにも拘らずこうした状況となるのは珍しい(町田戦がそんな感じか)ですが、この日はボランチ2人が藤村・大橋の「鉄板コンビ」だったためか、破綻せずにペースを握る事に成功。
この2人が巧に距離感を調節し、ビルドアップを苦にさせない工夫をしていたと思います。
19分、CBの廣井がボールを持っている段階で藤村・大橋の2人が距離を開き、廣井はその間を使い島津へとパスを通した場面が代表例。(その後島津→高安スルーパス→加藤走り込んでクロスもキックミス)
相手裏へとスルーパスを送る攻撃を主体に好機を作っていくも、福岡の最後の守備は堅く得点はならず。

一方偶発的に好機を得る事しか出来なくなった福岡、22分にはグローリの前目でのクリアがエリア内へと入り、フアンマがマークを振り切って収めシュートするもGK白井がセーブ。
そしてコーナーキック攻勢へと移り、3本のCKの中で前のミドルシュートが生まれたりもしましたが、やはりこちらも得点出来ず。

そして金沢に攻撃権が移り、迎えた27分。
藤村が左サイドへとロングパス、受けた渡邊がホドルフォとワンツーで奥に切り込み、低いクロスを中央へ入れます。
走り込んだ杉浦恭平が合わせ、綺麗に締めてゴールゲット。
先制点は能動的に崩す姿勢を見せていた金沢のものとなりました。

リードされた福岡、以降は両サイドバックが盛んに奥へと切り込みクロスを上げる攻撃を見せます。
しかしシュートを放てないまま、33分に金沢にカウンターを浴びる(ここもシュートには持ち込めず)と再びペースを失い、終盤へ突入。

41分にCKを得た福岡、キッカーのサロモンソンのクロスがクリアされるも、こぼれ球を拾った石津がミドルシュート。
これをエリア内で上島がコースを変えたものの、左へと逸れモノに出来ず。
以降も攻めるものの、流れは決して良くならないまま前半を終えます。

「5年に一度」という奇妙な一致関係がある福岡のJ1昇格。
昇格が現実的な位置に着けている今季、前回昇格を決めたのが2015年と、その方程式通りの流れを描いています。
前回は前年16位の後に昇格、今回も前年16位からここまでの位置に着けているという成績も、そんな奇妙さを後押ししています。
とにかく5年待てば昇格出来ると。

それまでは2005年は松田浩氏・2010年は篠田善之氏が、ともに3年目で悲願達成と、数年かけてのチーム強化が図られての成功となっていました。
それでも当時はクラブの経営難という問題もあり、J1定着を目指せるところまでは育てられず。
そして2015年(監督:井原正巳氏)に今季(現監督:長谷部茂利氏)は、新監督1年目で昇格を果たすシーズン。
何かのキッカケで状況はガラリと好転する、と言えば聞こえが良いですが、「地道なチーム作りなんて馬鹿馬鹿しい」という考えに傾倒してはいないか。
いずれのシーズンも1年でJ2降格となっており、J1昇格は出来ても残留は出来ないというクラブの現状。
気が早いですが、そんな状況を長谷部監督はどう打開していくのか。

過去5戦で3引き分け(2勝)という星取りもあり、昇格のためには勝ち点3を得て流れを変えたい状況。
1点ビハインドでハーフタイムを迎え、長谷部監督は大胆に3枚替えを敢行します。
フアンマ・石津・増山に代え、山岸・田邊・福満が投入されました。
アタッカーの顔ぶれを代える事で巻き返しを図り、大黒柱のフアンマも引っ込める事を厭わず。
一方金沢も、廣井→作田へと交代。

反撃の流れを作りたい福岡でしたが、その前に金沢が好機を迎えます。
後半3分にCKを得ると、キッカー藤村がニアサイドにクロス、これを杉浦恭がヘッドでフリック。
これが綺麗にファーサイドへと渡り、石尾が跳び込みヘディングシュートを放ち右サイドネットを揺らします。
福岡にとって文字通りの手痛い失点となり、これで0-2。

出鼻を挫かれた福岡、その後も金沢の攻勢は続き、サイド突破を許したのち何度もセットプレーのチャンスを与える苦境となります。
16分の金沢、右サイド奥からの直接フリーキック。
藤村のクロスがクリアされた所を、高安がミドルシュートを放ちましたがこれはGKセランテスがセーブ。

潮目が変わったのは、19分の金沢の反則からでしょうか。
島津がルーズボールを拾いにいった輪湖の頭部に脚を上げてしまい、危険なプレーとなり警告を受けます。
そのFKでは、キッカー・サロモンソンのニアサイドへのクロスを山岸がヘディングシュートにいくも、ディテンスに当たりゴールならず。
しかし以降金沢は守勢を強いられ、反撃体制を整える福岡。

フアンマは既におらずロングボールに頼れないので、必然的にショートパスを繋がざるを得ない状況。(それでも山岸がターゲットとなる事で一応出来るでしょうが)
サイド中心の攻撃を強いられる中、サイドハーフが片側に寄る場面も多く、パスコースを多く作り必死で繋いでいく福岡。
それでも金沢の守備の堅さに苦戦気味ですが、ボールを動かす事でマンマーク基調の金沢選手も動かされ、疲労は着実にダメージとなり。
33分には島津→大石へと交代を敢行した金沢ですが、丁度のタイミングで島津が足を攣らせてしまい、担架で運ばれざるを得なかったのはその象徴だったでしょう。

終盤に差し掛かり36分、上島のロングパスが左サイド奥にこぼれ、福満が拾ってグラウンダーでクロス。
山岸が合わせシュートするも金沢・作田がブロックで防ぐも、その後も攻撃を繋ぐ福岡。
輪湖が左サイドからグラウンダーで中に入れ、遠野が受けてエリア内左でヒールパス。
さらに重廣もヒールで流し、左から走り込んだ福満がシュートするも、これもブロック。
波状攻撃を掛けていき、尚も38分に右からのスローイン、パスワークを経て遠野からクロス。
山岸が落としたボールをグローリがボレーシュートするもこれも作田がブロックしてCKへ。
作田の手に当たったとしてハンドを要求するも、判定は覆らず。

しかしこれで怒りのパワーを持って攻撃したのが功を奏したか。
直後のCK、クロスがクリアされたこぼれ球を前がラフにエリア内へ蹴り込み、上島が右に落とし遠野が繋いで再びサロモンソンのクロス。
今度はグラウンダーで、中央へ入ったボールを田邊が合わせてシュート。
ようやくゴールに突き刺し、1点を返した福岡。
その際に金沢・高安が足を攣らせてしまい交代となる(杉井が出場)など、金沢サイドのダメージは深刻に。

そのためか直後は前目でのキープを試みる金沢。
しかし42分、敵陣左サイドでホドルフォがクリアボールを拾うも、前に奪われて福岡の攻撃に。
前縦パス→サロモンソンポストプレイ→重廣→遠野ドリブルから左へスルーパスと素早くアタッキングサードまで繋ぎ、田邊のグラウンダーにクロスに合わせたのは遠野。
シュートはGK白井を弾き、勢いそのままにゴール内に転がってゴール。
一気に同点に追い付き、歓喜の雰囲気一色になるベスト電器スタジアム。

ここで勢いそのままに逆転を狙いたかった福岡ですが、以降は金沢に流れを切られ、アディショナルタイムを迎えます。
そしてAT1分頃、大橋のカットから金沢が速攻、山根→大石→加藤と渡りエリア内でGKと一対一を迎えます。
加藤はドリブルでGKセランテスをかわしますが、戻って来た上島に奪われシュートは撃てず。
その後も金沢が押し込んでいき、疲労を見せる事無くチャンスを作っていきます。
疲労の蓄積といっても主に守備でエネルギーを使っていたため、攻めたいという欲で忘れる事が出来ていたのでしょうか。

そしてラストプレーで右CKを得た金沢。
キッカー藤村のクロスはニアに入り山根が頭でフリックと、2点目の再現というような攻撃を描き、作田がヘディングシュート。
しかし寸前でブロック(輪湖?)に阻まれ、尚も加藤が詰めてシュートするもGKセランテスが足を出してセーブ。
最後に最もゴールに近づいたものの、勝ち越し点が生まれる事はありませんでした。

2-2で引き分けに終わり、福岡にとって最悪の事態は免れたという試合。
それでも勝利した長崎との勝ち点差は2となり、残り3試合でどう転ぶか分からない状況に持ち込まれました。
前回の昇格はプレーオフで勝ち抜いてのものでしたが、それが出来ない今季は2位の座を死守する事は必須。
果たしてどんな結果が待ち受けているでしょうか。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第39節 水戸ホーリーホックvs徳島ヴォルティス

2020-12-08 17:19:52 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の水戸の記事はこちら(35節・栃木戦)
※前回の徳島の記事はこちら(30節・群馬戦)
※徳島観戦記はこちら(33節・栃木戦)

首位の徳島にとって、昇格への最後のヤマとなったこの5連戦。
京都・町田・金沢・北九州・水戸と、町田以外は前半戦勝てなかった相手と当たる事となる、まさに正念場となりました。

そしてグラウンド外でも障壁が。
指揮を執るリカルド・ロドリゲス監督が、来季浦和の監督に就任という真偽の程が不明のニュースが飛び込んでくる状況。
当事者のリカルド監督は町田戦の後に、実際浦和からオファーがあった事を明かし、以降口を噤み現在に至ります。
京都戦に敗戦(0-2)し、次の町田戦の当日にニュースが流れたという事から、徳島を揺さぶるべくの意図も感じられます。
といっても昇格を争う福岡や長崎がそんな事が出来るとは思えないので、「J2の戦線を面白おかしくしたい」というような意思を持った愉快犯的な記者から生まれたものだと思います。(本当に上記のような意図でのリークなら)

思わぬ逆風が吹いたかと思われた徳島ですが、そこからの3戦で3連勝。
しかも11得点と派手に攻撃力を爆発させ、悲願達成に向けて意気は軒昂。
3位・長崎の足踏みも手伝い、とうとう後1勝で昇格決定という状況を作りました。
「J2で最も組織的なサッカー」などと散々評価されてきた徳島ですが、このメンタルの強さが根底にあるからこその首位なのかもしれません。
そして5連戦の最後、歓喜の舞台とするべく水戸・ケーズデンキスタジアムへ。

杉森が離脱し、代わりに浜下が盛んに起用されるようになったこの5連戦。
西谷と共に栃木から移籍した浜下ですが、跳梁する西谷とは対称的に、長期離脱もあり出場数は低迷。(この日が6試合目)
前年は栃木で33試合出場も、終盤の残留を目指しての守備的戦術への変更を境に、自慢の突破力を見せる事は無くなり。
守備力が要求されるサッカーの中、その甘さが散見される場面が目立ちました。
今季も同様のスタイルの栃木とは真逆のチームで何とか飛躍を見せて貰いたかったですが、上記の通り。
ようやく最終盤でチャンスを貰い、前節・北九州戦で初ゴールを挙げ、昇り調子である事を証明しています。

試合が始まり、前半1分にいきなり水戸が好機、右サイドで奥田がドリブルで奥へと進入してクロス。
ニアサイドで深堀が合わせたものの、ジャストミート出来ず流れてしまい、最初の好機を逃します。
いきなりヒヤリとした徳島ですが、その後は攻撃権を支配。
5分には岩尾が右サイドへロングパス、受けた岸本が細かく刻むドリブルでカットイン、そしてエリア内右からシュートを狙います。
グラウンダーで放たれたボールは左ゴールポストを直撃し、詰めにいった渡井も撃てず惜しくも先制ならず。
その後も攻勢の徳島、良い流れと言えたでしょうが、この場面の決定機逸がその後も尾を引く試合となりました。

15分過ぎから、流れを断ち切りたい水戸も反撃に出ます。
ペースを奪い攻勢を掛け、その中でも20分のプレー。
ンドカ・ボニフェイスのエリア内へのロングパス、これをGK上福元が飛び出し抑えようとしますが、触る事が出来ず前嶋のヘディングを許します。
これはその後シュート出来ず終わりましたが、何処と無く「いつもとは違う」事を感じさせた徳島サイドのワンプレーでした。

一進一退の後、遅めの飲水タイム(27分)を挟んだ後もそれは変わらず。
29分には敵陣で水戸・中山がボールカット、ドリブルから山田へラストパスを送り、エリア内へ進入した山田がノーマークでシュート。
完全な1点ものという場面でしたが、シュートはゴール左へ外れ。

失点は免れた徳島ですが、これを境に以降の展開は水戸ペースに。
39分にはンドカの縦パスを深堀が右へポストプレイ、中山からリターンを受けたのちエリア手前からシュート。(ブロックされ枠外)
42分には山田が左サイド奥へ切り込んでクロス、これがブロックに当たり逆サイドへ流れ、前嶋が拾ってエリア内右へと進入。
そしてグラウンダーでクロスを入れると、ニアサイドに走り込んだ中山がヒールで合わせシュートするも枠を捉えられず。
思うようにボールが繋がらない徳島を尻目に、シュート数を重ねていく水戸。

アディショナルタイムに突入し反撃を試みる徳島、渡井の左サイドでのドリブルからコーナーキックに。
しかしこのプレーで水戸・住吉ジェラニレショーンと接触した渡井、足を痛めて倒れ込んでしまいます。
前半終了間際という事でそのままプレーに復帰し(直後のCKではシュートは生まれず)、前半終了を迎えましたが、ハーフタイムで交代となります。

そのHTで2枚替えを敢行した徳島(渡井・福岡→佐藤・石井)、流れを変えたい状況なのは明らか。
特に、前節・北九州戦でスタメン起用された佐藤。
垣田との2トップという起用で、戦術も相手のプレスに対抗する、FW目掛けたロングボールの多様へと切り替えを見せ勝利を奪った試合(4-1)でした。
この日も水戸のハイプレスを受け、その戦術へと切り替えを図ったでしょうか。

後半が始まり、前半は左サイドバック的に振る舞っていた田向が、上がりを控える事が多くなりました。
ナチュラルに3バックへと可変を見せていた節があり、立ち上がりは水戸が相手の出方を窺う事となりお互い様子見のような感じに。

そんな入りを経て後半7分の徳島の攻撃、右からのスローインののち岩尾中央へ縦パス→受けた佐藤が右へ展開→岸本クロス→ニアで浜下フリックという流れでエリア内左へと浮き球が。
垣田が合わせ上空へ上がり、そのボールをさらに佐藤が合わせにいくもGK牡川の飛び出しもありシュート出来ず。
ツインタワーの威力を発揮したい意図が現れた場面となりました。

しかし11分、反則でフリーキックを得た水戸。
ここから長いセットプレー攻勢で、(左サイド・エリアからやや手前という位置)キッカーを務める平野からクロスが上がり、ファーサイドでンドカが折り返すもディフェンスに当たりCKへ。
ここから3本CKが続いたのち、15分には流れの中から山田スルーパス→平塚→中山と渡ってエリア内左からシュート。
GK上福元にセーブされてさらにCKに。
長らくセットプレーでの守備を余儀なくされた徳島、このCKからのクロスを跳ね返したのち、エリア手前で垣田が水戸・山田に対し反則。
尚もセットプレーは続き、今度は直接狙える絶好の位置でのFKとなります。

左ハーフレーン・エリアからすぐ手前という位置で、平塚が左足で直接狙いに行くと、ボールは外からカーブを掛けてゴール左上へ。
GK上福元が触るもセーブしきれず、サイドネットへと突き刺さりゴール。
長期に渡ったセットプレー攻勢を先制点に結び付けました。

先制され、昇格のためにも得点が欲しい状況となった徳島。(残り試合全部引き分けでも昇格出来る)
その後はボランチの岩尾・小西からロングパスを配給する攻撃を展開します。
それも裏狙いがメイン。

そして22分、岩尾のエリア内左へのロングパスに垣田が走り込み、受けた所を水戸・ンドカのスライディングで倒れてしまいます。
審判の笛が鳴り反則・PKとなり、絶好の同点チャンスが訪れた徳島。
自ら蹴る垣田、シュート体勢の直前で一瞬溜めを作ったのちゴール右へと蹴り込みます。
しかしこの動きに釣られなかったGK牡川、左(垣田から見て右)へと飛んで見事にセーブ、こぼれ球を岸本が詰めにいくもクリアで失点を防いだ水戸。

後半も遅めの飲水タイムとなり(27分)、明ける際に両チームとも2枚替え。
徳島は垣田・浜下→河田・鈴木へと交代。
水戸は奥田・山田→松崎・細川へと交代。
既に深堀→森と交代カードを切っていた(22分)水戸、これ以降は3-4-2-1の形へとシフトします。

守備を固める水戸に対し、以降の徳島はミドルシュートをメインに得点を狙うも不発。
そんな展開の中、水戸・松崎に対し、ピッチサイドの秋葉忠宏監督から叱責が飛ぶシーンが。
スピードを活かしカウンターの橋頭堡を務めるも、ボールロストしたうえに戻りが遅れがちだった松崎。
水戸ベンチも不安を覚えたのか、再度の交代で松崎を下げる手を打ちます。(河野と交代・同時に中山→アレフ・ピットブルへと交代・44分)
屈辱のインアウトを余儀なくされた松崎を余所に、徳島の攻勢を凌ぎ続ける水戸。

一方ミドルシュート攻勢も得点に結び付かなかった徳島。(39分に岸本→藤田へと交代)
試合も最終盤となり、45分に決定機が。
内田が左サイド奥へとロングパス、受けた西谷が最奥へと進入してグラウンダーでクロス、これを佐藤がフリーで合わせる絶好機に。
しかし佐藤のシュートは外側へと逸れてしまい、河田の下へ転がるも撃てず。
そしてATへと突入し、2本目の右からのCK。
GK上福元も前線に上がる(1本目も上がっていた)中、藤田からのクロスがクリアされたのち、逆サイドから西谷がクロス。
これもクリアされますが、跳ね返りをエリア手前右から鈴木がボレーシュート、GK牡川がセーブするも目の前には詰めにいった河田が。
しかし河田が当てたシュートは左ポストを直撃し、どうしても得点出来ない徳島。
結局1-0のまま水戸が逃げ切り勝ち、目の前で徳島の昇格決定を阻止する事に成功しました。

得点出来ない時はどんな決定機を作っても得点出来ない、という試合の典型となってしまったこの日の徳島。
それでも状況は変わらず、残り3試合で勝ち点3(ないしは長崎の勝ち点ロスト3)。
こんな日もあると一週間で切り替えたのち、歓喜の瞬間を迎えたい事でしょう。

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