モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

実は難しい引き立て方

2025-02-13 23:28:33 | 大人 油絵・アクリル


加瀬 油彩

マユカです!今回は加瀬さんの作品をご紹介いたします!

動物が大好きな加瀬さん。飾りを付けたツリーとふわふわでかわいらしいワンちゃんを描かれました。被っているのは手編みのニットでしょうか。クリスマスの寒い時期ですから、暖かそうな格好のワンちゃんに心がほっこりとします。色の使い方が描きこみ量に合わせてあり、暖色+手前+しっかり描きこんであることで「この子を見せたかったんだな」と誰が見ても理解できますし、背景のクリスマスツリーに少しだけ、それも抽象的に同じ色の装飾を乗せ、まとまりのある印象を作りながら脇役として立たせることができているため、メインを邪魔しない程度にきらびやかで、それでいながら、目立ち過ぎず…というように、絶妙なラインで調整された描き方をされています。全体的にどこか絵本のようで、優しい印象のある仕上がりがとても素敵です。

描かれている途中、ワンちゃんはどんどん良くなっていく中、実は背景のクリスマスツリーの処理がなかなか捗りませんでした。背景に対して「処理」と書きましたが、加瀬さんの様に主役を特に引き立たせたい場合、背景は描き過ぎてはいけません。状況や季節を説明するための物であっても、制作するのではなく処理する感覚で十分なのです。長い時間をかけて制作していると、どうしても「自分はこれが何であるかわかっているけれど、他の人が見たときに分かってくれるだろうか」なんてことを考えてしまい、分かりやすいように描きこみたくなってしまうものですが、意外と抽象的な描き方をしても何があるのかはわかりますし、雰囲気や意図は伝わってくるものなのです。

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光が照らす神域

2025-02-12 23:31:28 | 大人 油絵・アクリル


大塚 油彩

最近の趣味は蕎麦打ちです、ナツメです。月曜大人クラスより大塚さんの油彩をご紹介します!

水の中に立つ鳥居の存在感と、水の中に入り祈る巫女。実際にある水の鳥居写真をもとに、大塚さんのオリジナルで巫女を加えたことで、より美しく、神秘的な光景になりました。
この池のもつ深遠さを表現するために水面の反射を控え、画面下部に水の広がりだけを見せることで、まるで底の見えない神聖な領域のような雰囲気に。さらにローポジション・ローアングルで構えることで、頭上に広がる木々の迫力を強調しつつ、鳥居の荘厳さも際立たせています。
また色の使い方も絶妙で、広がる木々の深い緑、静かな水の重い青が大部分を占める中、巫女の装束の赤をアクセントに、引き立て合う補色のコントラストは、シンプルながらも目を引く色彩構成です。
ライティングも見どころのひとつ。左上の明るい光に対して、下の池には暗い青が使われていて、そのグラデーションの中で、鳥居と巫女を際立たせているのが上手いポイント。視線が自然と主役に集まるようになっています。

鳥居は、神域と俗世を分ける結界であり、神聖な領域への入口。その向こうから光が差し込むことで、神様の存在を感じさせる雰囲気が出ています。そして、巫女は神託を受けて伝える役目を持つ存在。まるで、彼女が神のお告げを受け取っているような、許しを請い人々の救済を求めているような、そんな物語を感じさせる一枚です。
水面の映り込み、色のバランス、光と影の演出、そしてストーリー性のある構図。そのすべてが組み合わさり、ただの視覚芸術ではなく、見る人それぞれに考えさせる思想や文学にまで昇華されました。幻想的な作品を前に、皆さんはどのような祈りを捧げ、どんな詩を詠いますか?

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光の感じ方を描く

2025-02-11 21:54:12 | 大人 油絵・アクリル


香月 油彩

サヤカです。2月になり、本格的な寒さになってきましたね…!本日は、大人クラスの香月さんの作品をご紹介します。

旅先で見た景色やご家族の姿を描かれることが多い香月さんですが、今回はご自身で撮影された風景写真を元に制作されました。こちらの2枚はF20号(727×606mm)という少々大き目のキャンバスですが、早描きの方なので、あっという間に完成させてしまわれました。(ご自宅に持ち帰って描くことももちろんあります。)前回のブログで岩田先生がアップしたのが11月25日ですから、お休みの多かった年末年始の2ヶ月で2枚完成されたことに驚きを覚えます。

左の作品は、石垣に這う根っこと奥から差し込む光の力強さが印象的な作品です。コントラストがしっかり描かれていて、光の強さが表現されています。描き込みも素晴らしく、画面全体のバランスが取れているので、画面右側のより手前に強く伸びている根っこが勢いづいています。また、階段の端に積もった木の葉が、まるで光の道筋のようで、階段を登った先にある景色への想像力が膨らみますね。

右の作品は、先ほどの力強い光とはうって変わって、夜の静けさの中の光を描いています。その他の背景の彩度が下げられているため、街の煌めきと月の静かな灯りに目を引くことができています。水平線を画面のどの高さに置くかによって、印象がかなり変わります。低い位置に置くと、開放感ある印象になりますが、香月さんの作品は真ん中に水平線を置いていて、まるでこの景色を、自分の目で見ているような実感が沸きます。

どちらの作品も光が印象的ですが、香月さんがこの景色を見た時の心の揺れが光の表現にも反映されているように感じます。生き生きとした表現力で、見た人を引き込む作品ですね!次回の香月さんの作品も楽しみにしています!

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幼児の埴輪vs.中学生の埴輪

2025-02-10 23:07:44 | 幼児


幼児クラスの埴輪

オバラです。先週は大竹先生が風邪でダウンでしたので、久し振りに私が幼児クラスを担当しました。「よーし!幼児クラスでも埴輪の制作にしようっと!」しかしカラー粘土は少量しか余っていなかったので、白ベースで作りました。
せっかくなので中身がどうなっているかも、写真でお見せしましょう。下の写真左上にあるように、トイレットペーパーの芯の上部に切り込みを入れて、先端を丸くしています。そこにビニール袋をかぶせ、粘土と相性の良い紙の芯がくっついてしまうことを防ぎます。そのビニール袋の上から、薄く伸ばした粘土を貼り付けているのが下の写真右上。粘土同士の接続部分には、水を多めに付けてどべ(粘土の糊)状態にすれば、割れることがありません。

目や口の部分は凹ませたり穴を空けましょう。写真下段中央。形ができたら他の色の粘土で何を付けようかな…?みんな生き物を作りましたが、マズル(口吻-こうふん)を付けさせたので、イキイキして見えますね。子どもの作る立体動物はのっぺりした顔になりがちですが、出っ張ったマズルが重要なんです。私は幼児だからって好きなようには作らせないぞ!

こちらは変わって女子中学生5人の埴輪。「階段にみっちりある埴輪、私も作りたーい!先生粘土余ってない?」「えー?じゃあアタシも作るー!粘土少なかったらちっちゃいのでも良い。」と1時間位でワイワイ作り上げた作品。さすがに上手いな。騒がしいけど。

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外と内、部分と全体

2025-02-08 22:23:34 | 大人 パステル・色鉛筆・他


中山 左-色鉛筆 / 右-透明水彩

岩田です。今回は、中山さんの作品をご紹介します。
最初のデッサンを一通り終え、さて次から何をしましょうとなって、以前からやりたいと思っていた人物を描くことにチャレンジをし始めました。

初回は、左手の色鉛筆を使った作品。ファッションモデルをモチーフに、あっという間に描き上げました。
その前に描いていたデッサンを見ていても、躊躇なく手が進み、形の狂いなどもさほどなく、スイスイと描き進めるタイプの方と認識していましたが、色鉛筆になると、更に細部へのアプローチも見られ、鉛筆以外の描画材を柔軟に使いこなす器用さも持ち合わせていると感じます。
右手の透明水彩の作品に関しても同様、積極的に明度の低い色や鮮やかな色を置き、初めてながら実に楽しんで描いているのが見て取れます。

特にここ最近土曜日のクラスでは、人物を描けるようになりたいというニーズが多いような気がしています。確かに静物や風景と比べても、同じ人間として思い入れを感じやすく、描いていて面白いモチーフだと思いますが、それだけに、ちょっとした構造的なバランスの違いにすら、鑑賞者側に立つと気になってしまうものです。

人物や生き物に関してはもちろんのこと、モノを描く上では、目に見える外側だけでなく、目に見えない内部への意識、部分だけでなく、大きく全体を捉える意識といった、双方向への見方が大事になってきます。

中山さんも是非これから、構造、特に人物を作り上げる土台となっている「骨格」がどのようなものなのか、ということにアプローチしながら、更にリアリティのある人物画を描いていって欲しいです。

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主役を引き立てる影

2025-02-07 20:25:07 | 大人 水彩


釘宮 透明水彩

サトルです。今日は僕の担当している日曜クラスの釘宮さんの作品を紹介します!

晴れの日の美しい光の差し込む浅草寺と、参拝客が緻密かつ軽やかに描かれていますね。とても情報量の多い風景で、参拝客を一人一人描くだけでも非常に時間のかかる大変な題材です。賑わいを表現する為にここまで沢山人を描かないと行けない時、焦って雑になってしまいがちですが、釘宮さんはデッサンの段階から計画的に描かれていました。水彩画を写実的に描く際、油画やアクリル画の様に途中で形を変えることが出来ないので、デッサンのクオリティが作品の完成度に直結します。完成した作品からはわかりませんが、参拝客以外の部分の下描きがとても丁寧に描かれており、そのおかげで宝蔵門や看板の文字まで絵具で細かく仕上げることができました。

門に差し込む光が美しく描かれています。光を描くということは影を描くということです。美しい光を描くためには美しい影の色が必要です。門の影の色に注目してください。正面の柱は強くはっきりとした色で影を描き、それに対して門の奥、提灯左の柱などは背後から差し込む光を紫に近い色にして、奥行きのある表現がされています。また、最も太陽に近い位置の屋根を少々はっきりと描き過ぎてしまった為、青と白の瓦の対比を最後に洗い流しました。そのおかげで主役となる提灯が手前に感じられて立体感が出たのです。

この作品を見た時まず主役となる提灯や手前に描かれた参拝客のクオリティに目が行くのですが、それは主役を引き立たせる影の表現がとても繊細に描かれているからです。緻密で美しい表現がこの作品の一番の魅力ですが、それを活かす絵全体の組み立てが釘宮さんはとても上手です。デッサンから焦らず時間を掛けて絵作りしたおかげで完成した素晴らしい作品ですね。

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白土の役割

2025-02-06 22:19:45 | 小学生 工作

寒波を理由に布団にくるまってます、かさねです。月曜から続き、小学生クラスのみんなが作った埴輪を紹介していきます。

導入では、小原先生が埴輪についてお話をするところからスタート!(詳しい埴輪の歴史は、火曜日の大志先生のブログをチェック
「知ってる人〜!」という質問に、ほとんどの人が手を挙げていて驚きました。小学校で古墳を習うのは6年生なのに!聞くと、どうぶつの森などのゲーム(動物以外に、埴輪も36種類集められるらしい)やアニメ(はに丸は小学生の親御さんが世代?)を通して知っていたらしく、キャラクター化されて案外日常でも見かけるものなんですね。それだけ日本人には愛着が湧く造形なのだと、改めて見入ってしまいます。

今回埴輪づくりで使った粘土は、昨日のひとみ先生のブログでも詳しく書いてありましたが、初めて触れる丈夫な粘土!なので触り心地や匂いが珍しかったのか、粘土がついた手を眺めたり、「変な匂い~」と嗅いだりしている子が多かったです。中には「良い匂い!」と気に入る子もいました。(パン種を発酵させた酵母のような匂いです。)乾けば雨に濡れても大丈夫になるほど強く密度の高い粘土なので、ほぐしたりくっつけたりが難しいのですが、それぞれが粘土ベラや水を使い工夫していました。

最初は、黄色、赤茶色・黒色の3色から取り掛かりました。トイレットペーパーの芯でつくった筒型の土台にどんどん粘土が乗っていき、剣士、うさぎ、山や恐竜などみんなの面白い発想が形になっていく様子はとてもワクワクしました!設計図通りにいかなくても、うまく粘土が扱えなくても、みんな目の前の粘土に合わせて柔軟に手を動かしていきます。そしてまずは1日目、3色での埴輪が完成!これだけでも十分個性的で存在感を放っています。

ちなみに粘土が乾ききらぬ翌日に、中の芯とビニールは抜き取ります。(本人たちは1週間に1回のみアトリエに来るので、先生たちの仕事。)カチコチになると、固いトイレットペーパーの芯が抜きづらく過剰な力が必要な為、割れてしまう事があるからです。

芯を抜いて内側からも乾かしていきます。穴も開いているので、通気性も良いですね。そうして1週間乾かしたら、最後は白色の粘土で仕上げです!白色の粘土の使い方は特に個性が出てて、埴輪本体をゴージャス・カラフルにする為にたくさん使う子もいれば、何体も眷属(けんぞく=従者?手下?脇役?)を作る子など。前の週でつくった埴輪の世界観がさらにパワーアップし面白かったです。
ちなみに一気に白の粘土まで使わせなかった理由は、白土粘土だけ異常に固く芯材にくっつきにくかった&カラー粘土と同時に使わせると、子どもは面倒くさがって手を洗わず白が汚れる。というものです。

白土を付ける週に欠席してしまい、カラー粘土だけの作品↓ 白が入ると急に見栄えがしますね

毎週「今日は持って帰れる!?」と聞いてくる子も多かったので、今週ついに持ち帰れる際のみんなの顔が嬉しそうで、見るのが楽しかったです!

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埴輪の能力

2025-02-05 22:37:10 | 小学生 工作

最近は子供たちの制作意欲に影響され、作品作りに没頭中のひとみです。

月曜日から返却をしているので、もう持ち帰られたお子さんも多いと思いますが、埴輪作りの様子をお話しようと思います。
今回の埴輪作りで使った粘土は、小学生が馴染みのある紙粘土や油粘土より少し硬めのもので、子供たちは伸ばすのに大苦戦!水を少量つけて粘土をくっつけるのですが、中々に調整が難しくべちゃべちゃになってしまう子や逆に足りないせいでひびが入ってしまう子も。普段使わない粘土だと硬さの感覚だったり水加減が違うので、伸びない・つぶせない・ちぎれやすいetcやはり苦戦はしますが、新鮮な体験だったと思います。しかし子供たちのすごいところが、最初は戸惑っていても一緒にやるとすぐにコツを掴んでさくさく作り上げるところです!上手くならしたり、くっつけられると「見てみて上手くできた!」とニコニコしながら見せてくれて、こちらまで嬉しくなります。

完成形が見えだすと、みんな想像力がどんどん湧いてくるのか、埴輪に名前をつけたり、性格やどんなスキルを持っているのか(例えば身長を越える跳躍力がある・とてつもない腕力を持っているなど)教えてくれる子がたくさんいました。また、近くの子同士で「こんな能力っぽいね!」など話していて、自分の考えを共有し合っているところを見ることができました。今回の授業では枠に囚われない、発想力の展開を子供たちは感じることができたようです。

また授業前の様子としても、アトリエに早めに来ている子供たちが階段に並ぶ埴輪たちを見て「この子可愛い!これは何?すごい!」などと、他の子の作品もじっくり見ていて楽しそうにしていました。全員分の埴輪たちが並んであると、一人一人違った個性がよく分かり、子供たちが興味津々になるのも納得でした。

保護者の皆様、お子さんが作った埴輪の名前や能力、お気に入りの箇所を質問すると、きっと喜んでお話してくれると思います!是非作品を見ながら聞いてあげてください。

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埴輪ブーム

2025-02-04 22:54:23 | 小学生 工作

年末にブログを書いてからもう1ヶ月が過ぎてしまったなんて、あっという間で驚きです。お久しぶりです、河原です。

昨年末、東京国立博物館で【挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」】と、東京国立近代美術館で【ハニワと土偶の近代展】が開催されていましたが、今は九州国立博物館で【はにわ特別展】が開催されているのをご存知ですか? 東京国立博物館で飾られていたものを、今度は九州で展示中なのです。なぜ今【埴輪】がブームなのかと言えば、昨日の小原先生のプログにあったように、国宝指定50周年ということで、国を挙げてチヤホヤ?しているのです。今から1750年ほど前、古墳時代の350年間、時期や地域ごとに個性豊かな埴輪が作られたという古い歴史ながら、現代でも通じる愛くるしさを持つ【はにわ】。ブームに便乗して、小学生クラスでも歴史を勉強してから製作することになりました。 ユーモアと発想力を活かした個性豊かな【はにわ】たちをご紹介しま〜す。 

まず、形の基礎となる土台をトイレットペーパーの芯を使って紙工作。 
はにわの中は円筒(中が空洞)なので、後でトイレットペーパーの芯を取り外す必要があります。どのようにすれば後で取りやすくなるのか、粘土を使う前に考えなくてはなりません。そこで、見本と見比べながら試行錯誤し、工夫して取り組んでいきました。 
みんなソワソワ、早く粘土を触りたい気持ちを抑えているのがすごく伝わってきました(笑)

さて、いよいよ待ちに待った粘土の時間です! 
今回は、素焼きではなく「焼かない陶芸」という自然乾燥で陶器のように固まる特別な粘土を使用しました。(粘土の商品名などは、昨日のブログを参照ください。)赤茶・黄土・黒土・白土の4色販売されています。これによりさまざまな色を組み合わせた埴輪を作ることができます。 
頭の中で思い描いていた理想のはにわを目指して一斉に作業開始。 中には、シャチ(シャチホコ?)のはにわや、カニ・クワガタの形をしたはにわなど、驚きのアイデアが次々と誕生!最後に、仕上げとして目や鼻、口の穴をストローで開けていきます。 目をたくさん開けてみたり、口を大きく開けてみたり、開けた穴に違う色の粘土を入れてみたりと、それぞれが工夫を凝らしました。 

制作期間中、階段にずらりと並べられたはにわを見て、通りかかった方々も興味津々の様子でした(笑)

この授業では、はにわ作りを通して日本の歴史を学ぶことができ、とても有意義な時間になったと感じています。実は私も、生徒たちの楽しそうな雰囲気に影響され、個人的に粘土を買ってはにわ作ってみたりしました(笑) 
みんなにはミオスでの経験を糧に、柔軟な発想を形として残せるクリエイティブな人になってほしいと思っています! 今年もよろしくお願いします!

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結界を張る埴輪

2025-02-03 11:54:35 | 小学生 工作

埴輪が国宝に指定されてちょうど50年。ミオスではそれにちなみ1月のカリキュラムで『はにわ』を作りました。埴輪は王などの古墳の外側に立てて並べられた素焼きの土製品です。一説によると、墓の周りに結界を張る為(聖域を画し、邪を払う機能=古墳に邪悪なものが入り込むことで埋葬された死者が荒ぶり、人々を苦しめないようにする為)に置いたのではないかとも言われているそうです。

粘土細工と埴輪制作の最大の違い、なんだか分かりますか?
『空洞であること』です。 素焼きの陶芸のようなものなので、粘土が均一の厚みでないとなかなか乾燥しないだけでなく、窯の中で破裂するおそれがあります。 また本当の埴輪は、小学校1年生くらいの身長がありますから、空洞にしないと粘土も大量に必要になりますし、重すぎて運べなくなってしまいますね。
特徴その2は、空洞であることを活かし、目や口に穴を空けています。それが素朴でゆるい表情を作り出し、魅力となっているのです。
今回は焼成しなくても、雨にあたっても大丈夫なテラコッタ状態になる粘土を使いました。庭の植木や、室内の観葉植物の横に置いてあったら、コロボックルのようにも見えて、とってもかわいらしいですね!

ユーチューバーのりきんが、全員分のはにわを一挙にご紹介。YouTubeはこちら

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良い絵だなぁ

2025-02-01 19:14:31 | 大人 油絵・アクリル


服部 油彩

岩田です。今回は、服部さんの作品をご紹介します。

こちらは、外国にいらした時の風景を描いたもの。夕暮れ時、日が沈みかかった空。ほの暗闇を背景に浮かび上がるトラムの電線が空を切り分けるような面白い景色を作り上げています。

下塗りをし、地面は先ずはナイフで絵の具を盛り、トラムの線路や街中のあれこれを立体的に仕立て、色を塗り重ねました。対して空は、筆を使い何層にも絵の具を重ね、雲のこんもりとした雰囲気を表現。プルシアンブルーやネイビーブルーを中心に、手前から徐々に奥へと繊細なグラデーションを表現しました。

雲と夕焼け、それらが夜の暗さに段々と侵食されていく、ほんの僅かなひと時。オレンジ、ピンク、黄色といった暖かみのある色と白、そして寒色が渾然一体となったその美しさを作者は、旅先のその場にドリップしているような感覚でキャンバスに筆を運んでいたのかもしれません。

夕暮れを眺めながら、ただ一言「今日も豊かな一日であった」、見ていると、そんな言葉が胸の中に去来するかのような1枚。

見れば見るほど、あぁ良い絵だなぁと感じさせる作品であります。

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柔らかな寂しさ

2025-01-31 23:40:13 | 大人 油絵・アクリル


岡崎 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、岡崎さんの油彩作品です。前回ご紹介した絵はこちらですが、パズルの様に隙間なく建てられたビルの街の風景から一転、森の拓けたキャンプ場を描いています。3つのテントに群がる3頭の鹿と、側にがワゴン車が停まっています。
前作に比べると、都会の息苦しくも感じられるビルの喧騒から離れ、穏やかな時間が流れている様に思います。しかし、ビルや崖の代わりに、周囲が森で壁のように囲まれている光景は、作者の根底にある心情が反映されているように感じました。柔らかな寂しさや閉塞感のある空間で、消えかけの小さな火や大人しい鹿達が描かれているのは、ひと時心の安寧を感じさせます。
ワゴン車やテント、焚き火といった人の存在を感じさせるモチーフが多く配置されていながら、そこに人は描かれておらず、野生の鹿だけが集まっているのも興味深いですね。鹿たちは、消えかかる焚火からのぼるほのかな煙を見つめているのでしょうか?それとも、新月を見上げているのでしょうか?

私は大学で絵画による心理テスト(バウムテストなど有名ですね)の授業をほんのさわりだけ受講したのですが、それによると左は過去、真ん中は現在、右は未来を表すそうです。右側で見切れて配置されたワゴン車は、未来に向けて今ここから走り出したい!といった前のめりの姿勢にも思えます。左側、特に左上は思想や哲学が表れるそうで、星ひとつない夜空の三日月は、満ち足りない何か、もしくは消耗を連想させます。(岡崎さんが意図したものとは全く違うものかもしれませんが、私はこちらの作品でこのように鑑賞を楽しませて貰いました!)

厚塗りにならないように、おつゆ描きを重ねている為、一見テンペラ画のようにも見えます。その厚みを持たせない質感によって森閑とした空気を作り出しているのでしょう。三日月だけが浮かぶ吸い込まれそうな夜空の色合いも、色を少しずつ重ねて深みを作っていったのでしょう。シンプルな描写ほど、魅力的に見せる為に気を遣う必要があります。

前作は「乾杯」というタイトル(タイトルの由来も面白いです)でしたが、今作はどんなタイトルを付けられたのでしょうか?とっても気になります。

常に自分の世界観を深め、追及していく制作は、産出の悩みや苦しさも伴う事でしょう。イメージした通りに手を動かす事は難しく、きっと岡崎さんも苦労されたかと思います。しかし、自分のイメージを出力したいという欲求は、研究や上達の為の原動力にもなり得る燃料です。是非ご自身の欲求を燃料に、どんどん手を動かしていって欲しいと思います。

 

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観察力と客観視

2025-01-30 22:57:10 | お知らせ


置田 油彩

こんにちは!マユカです。今回は置田さんの作品をご紹介していきます。
海外情緒あふれる表情の2枚。どちらも洋画のワンシーンや映画ポスターを描写したものです。洋画の特徴として、豊かな表情でのコミュニケーションがありますが、その活き活きとした表情筋を上手く画面に写しとれています。顔がメインの作品になってくるため、細かなバランスや陰影のつけ方に置田さんのこだわりを感じます。肌に使われている色や重ね方からも自然な立体感を感じ、人の顔の描写に手馴れている雰囲気を感じます。これらの映画を見たことのある方であれば、そのセリフやストーリーなどを思い出すことが出来るのではないでしょうか。

始めに目に飛び込んでくる情報が強いため、絵の「顔」を見てしまうと満足感を得ることが出来てしまうのですが、メイン以外は目に入らないだろう...と手を抜いてしまうと、日ごろよく見るものなだけあってバランスの違いなどがすぐにばれてしまい、かえってそこが目立ってしまうこともしばしば。顔だけ描ければいい!というわけではない扱いの難しいモチーフなのです。
しかし置田さんの作品はそれがなく、例えば左の作品であれば、ただ黒を混ぜるだけだと緑っぽくなってしまう影色が、茶やオレンジを混ぜたような色身を使うことで黄色の上着の影色が自然なところを見るに、観察力の高さが伺えますし、右の作品であればニット帽の高さや幅なんかは顔に近い部分であるため骨格などが気になりがちですが、それも違和感なくスッと見ることが出来ます。肩の位置が見えない分、手の場所を調整するのが難しそうですが、なんだか絵の外に書かれている部分も脳内で補完できてしまいそうなほど、自然な描き方が出来ています。

観察力は、モチーフを見て理解するだけではなく、背景やパーツと比較して調節していくような「違和感に気が付く力」も必要になってきます。自分の絵を客観的に見ることが出来ればより実物に近づけて描く力が付いて行くので、なんだかうまくいかない時には少し立ち止まって自分の絵をじっくりと見直す時間を作ってもいいかもしれませんよ

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思い出を落とし込む

2025-01-29 23:34:43 | 大人 水彩


横山 透明水彩

今になってようやく布団を冬掛けに変えました、ナツメです。本日は、土曜大人クラスより横山さんの作品をご紹介します!
今回は、ご自身が撮影された写真をもとに水彩画を描かれました。たくさんの高級そうな果物が乗ったババロアが、まるで作家もののような器に美しく盛られています。思わず「食べるのがもったいない!」と思ってしまうほど、魅力的な一枚です。

テーブルの奥に設置された天然の小枝は、カフェの雰囲気や居心地の良さを伝える重要なポイントです。ところどころに映り込む葉や、赤寄りの茶色を基調とした色使いからは、素朴で温かみのある空気感が伝わってきます。

背景もババロアも暖色系で統一されているため、全体的に柔らかく温かみのある印象になっていますが、それだけでは主役がぼやけてしまいがちです。今回は器の左側に接する木の影に青を取り入れることで、デザートをより美しく際立てる工夫をされました。また、お皿に落ちる器の影や、ババロアの上に添えられたフルーツにも青系の色を使うことで、暖色の中にさりげなくコントラストを生み出し作品全体を引き締めています。このように周囲から引き立つように見栄え(見映え)をする効果は、補色(反対色)を効果的に使うと色のバランスがより洗練されうまくいきます。

まるで雑誌のグルメ特集に掲載されていそうな、美しく魅力的な一枚。見ているだけで「これを食べてみたい!」という気持ちになります。それはきっと、横山さんが実際にこのデザートを味わったときの「美味しかった」「楽しかった」という記憶や、素敵な時間を過ごした思い出が込められているからこそ。そんな温かい気持ちまで伝わってくる作品です。

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表現したい印象を描く

2025-01-28 23:25:53 | 学生


菜希 中1 / 彩希 中1 二人共油彩

課題やテストが地味に続き、春休みを迎えられずにいます…。サヤカです。今回は学生クラスの油彩をご紹介します。どちらもF4号(333mm×242mm)と少々小さ目のサイズのキャンバスに描きました。

菜希
朝焼けでしょうか?爽やかな空に生き生きとした太陽の光が眩しく描かれています。地平線が画面の下の方に設定されていることによって、開放感ある印象になり、また空の動きも魚眼レンズで写したように丸くなっていて、空の広がりや存在感が強調されています。赤や黄色、緑といった色を入れることによって空に複雑な表情が加わりました。本人が意識したかどうかは分かりませんが、このようなポイントにより臨場感ある景色が表現され、見応えのある作品になるのです!

彩希
パキッとしたレモンイエローが印象的で、見ただけでエネルギーを貰えそうな作品ですね!両手の中にあるのは柘榴。個人的に、柘榴は作品のモチーフとして扱われる時、ダークなイメージがあったので、ポップなレモンイエローとの組み合わせは新鮮でした!背景には黄色の他に緑も使われていますが、手の平や腕にも黄色と緑が使われていて全体の統一感があります。柘榴のつぶつぶ感を再現するのは難しかったと思いますが、よく観察したことが伝わってくる描写です。

二人共、基礎デッサンが終わって初めての油絵でしたが、それぞれが描きたい意思をしっかり持ち、表現できているように感じます。これからも2人の作品を楽しみにしています!

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