優緋のブログ

HN変えましたので、ブログ名も変えました。

あの日から 五 「チヨンの思い」

2005-07-07 11:30:24 | あの日から
[サンヒョク社会人となって数年後 キム家の居間]

「お父さん、お父さんの誕生祝にユジンを呼んでもいいかな。」

「ああ、そうだな。
そういえばユジンの顔も久しく見ていないな。

ユジンのお母さんからもくれぐれもよろしくと頼まれているんだ。
こちらがソウルにいるのに知らん顔というのも申し訳ない。

何かないとユジンも遠慮して来にくいだろうから、ぜひ呼んであげなさい。」

「あなた、誕生祝は家族でするものですわ。
それに、ユジンだってもう子供じゃないんですから、呼ばれたらかえって気を使わせることになってかわいそうですよ。
仕事も結構忙しいんでしょう?」

「そんなに気を回すこともなかろう。
ユジンは小さい頃から良く知っている間柄なんだから、まあ、心配なら誕生祝といわずに、たまにはご飯を食べにおいでと誘ってもいい。

サンヒョク、少し息抜きしにおいでと誘ってあげなさい。」


サンヒョクの一家はジヌの転勤で今はソウルに住んでいた。



それにしても…

夫もサンヒョクも困ったものだとチヨンは思った。


大学に入って広いソウルに行けばたくさんの人と出会ってユジンへの熱も冷めるに違いないと高をくくっていたのがいけなかった。

社会人になった今でも相変わらず、サンヒョクの話に出てくる女性といえばユジンばかり。
もうあきれてばかりもいられない。
何とかしなければ…。



「ねえあなた、ユジンで思い出したのだけれども…
ユジンにどなたかお世話してあげたらどうかしら。

サンヒョクの話だと毎日残業続きで休みの日も仕事に出ることが多くて、恋人を作る暇もない生活をしているようですよ。

ユジンはチョン家の家長なんだから、早く結婚してお母さんを安心させてあげなくちゃいけないわ。
もう学生じゃないんですもの。

ユジンにのことを気にかけてあげることも結構ですけれども、いいお相手を、できれば養子に来てくださる方をお世話してあげるのが、ヒョンスさんの親友としてのあなたの勤めではありませんか?


ほら、あの方なんかどうかしら?

あなたの研究室の助手をしている方で、ご両親をなくして学生時代は苦学していたからとても人柄がよくてっていう方がいらっしゃったでしょ。

確か次男だって言ってたし、いいんじゃありません?」


「ああ、ソン君か。彼は真面目でいい青年だ。

しかし…、サンヒョクは今でもユジンのことを想っているんじゃないのか?
サンヒョクの気持ちも考えてやらんと。」


「あなた、サンヒョクはうちの跡継ぎですよ。
ユジンがうちの嫁になるわけにはいかないでしょう?

それは、ユジンはいい子だし、あなたも気に入っているかもしれないけれども、いくら親友の娘でもそれとこれとは別ですよ。

第一、ユジンはサンヒョクのこと友達以上には想っていないんじゃありませんか?

それではいくらサンヒョクがユジンのことを好きでもサンヒョクが不憫ですよ。


ねえあなた、ソンさんのこと考えておいてくださいね。」


ユジンのことは、それこそ幼い頃からよく知っていて良い娘だと思っていたが、嫁としてはサンヒョクに相応しくないとチヨンは考えていたのだ。



もっと早く手を打つべきだったのだ、とチヨンは今更ながら後悔した。


そういえばサンヒョクの学生時代もこんなことがあった。
あの時に何とかしていれば…。



[サンヒョク学生時代 ある休日]


「もしもし、母さん。
今日これからそっちへ行くから、うん、昼前には着くと思う。
じゃあ、後で。」


「あなた、今日サンヒョクが顔を出すそうよ。
泊っていかれるのかしら。
聞き損っちゃったわ。

せっかくだから夕食も一緒にできるといいんだけど。
サンヒョクももっとちょくちょく帰ってくればいいのに。
車があるんだから。」


「まあ、学生とはいっても、放送部に入っていれば結構忙しいものだ。
サンヒョクは勉強も真面目にやっているし、長い休みには戻ってくるのだから、いいじゃないか。」

「それは、そうですけれども…。」




「ただいま、母さん。」

「お帰り、サンヒョク。あら、ユジンも一緒だったの?」

「おば様、こんにちは。ご無沙汰しております。
いつも母が大変お世話になり、ありがとうございます。」

「ユジン、わざわざ挨拶に寄ってくれたのね。
こんなところで立ち話もなんだから、あがってお茶でもいかが。」

「いえ、母が待っていますので、ここで失礼します。」

「そお、お母様によろしくね。」

「母さん、ユジンを家まで送ってくるから、すぐ戻る。」



〈サンヒョクが帰ってくるときはいつもユジンが一緒だわ。

あの子、サンヒョクを足代わりにしているのかしら?〉




「サンヒョク、今日は泊っていかれるんでしょ。
お夕食も一緒にと思って準備してあるのよ。」

「ああ、でもユジンが今日のうちに戻るっていってたから…どうしようかな。」

「どうしていつもユジンと一緒に帰ってくるの?
ユジンに乗せて欲しいって頼まれるの?」

「違うよ。
僕から誘ってるんだ、一緒に帰ろうって。

ユジンは春川に帰る時はバスに乗るからいいっていつも断るんだけれども、忙しくてこんなときぐらいしか会えないからさ。」


「まあ、あなたはいつまでユジンばかり追いかけているの?
他に誰かいい人はいないの?

放送部の後輩とか、もっとあなたに相応しい人がいるんじゃないの?

恋人ができたらちゃんとお父様に紹介するのよ、わかった?」




[ジヌの誕生日数日前]

「サンヒョク、お父様の誕生祝にユジンを誘ったの?
もしまだなのなら、今回は辞めておきなさい。

あなたもユジンももう社会人なんだから、中途半端なお付き合いはお互いの為に良くないわ。

あなたがいくら幼馴染のユジンを友人として気にかけてお付き合いしているつもりでも周りはそうは見ないわよ。

恋人として付き合っていると勘違いされたら、男のあなたは良くても、女のユジンは困るのよ。
わかるでしょ。

いくら世の中が変わってきたといっても、きちんとした考えの人はまだまだ女性が複数の男性とお付き合いしたことがあるということに批判的なのよ。
だから、ユジンの為にももう少し考えてあげないと、そうでしょサンヒョク。

ユジンはチョン家を継がなきゃならない人なんだから、仕事も大切だけど早くきちんと結婚相手を決めてお母さんを安心させてあげることも大事なのよ。
あなたも友人として、親切にしてあげるだけではなくてそういうことも言ってあげるべきなんではなくて?」


「母さん、僕はけして中途半端な気持ちで、幼馴染だから気軽にユジンと接しているわけではないことぐらいわかっていてくれると思ったのに…。
僕は真剣にユジンと一緒になりたいと思っているんです。
ユジンではだめなんですか?」

「当たり前です。
あなたは二つの家を一人で背負い込むつもりなの?

第一、こんなことを言っては失礼だけれども、ユジンの家と我が家ではつりあいませんよ。

ユジンのお母さんが苦労されるだけじゃありませんか。

結婚となれば色々な手続きや準備があって嫁の家で負担しなければならないことも多いんです。
ただ好きなだけではすまないんですよ。

ユジンだって苦労することになります。」


「母さん、そんなことは僕がうまく何とかすればいいことじゃないんですか。
あやふやにしているのが気に入らないのなら、僕がちゃんとユジンに結婚を申し込むよ。

お父さんにも恋人としてユジンを紹介する。
それならいいだろう?母さん。」


サンヒョクのあまりに真剣な顔に、チヨンは二の句が告げなくなってしまった。




別れの後 六 「ビンの中の海②」

2005-07-07 11:22:33 | 別れの後
 [場面はソウルに移ります。]

7月の終わりのころ、マルシアンのキム次長宛に小包が届いた。パリにいるユジンからのものだった。

「キム次長様
大変ご無沙汰しております。お元気でいらっしゃいますか。

私は今、友人の家に遊びに来ています。
海沿いのとても静かな町です。
パリでは季節が替わったのもわからないほど勉強に追いまくられる慌しい毎日ですが、なんとか元気でやっていますから、ご安心ください。

お願いがあって手紙を書きました。
同封した荷物をジュンサンに届けていただけないでしょうか。
私からということは伏せて、できれば(ニューヨークへ行く機会がありましたらで結構です)ジュンサンの部屋の窓辺へそっと置いてきていただけないでしょうか。
勝手なお願いですみません。

ジョンアさんは元気ですか。
電話をすればいいのですが、ジョンアさんの声を聞くとホームシックにかかりそうなので…よろしくお伝えください。

サンヒョクやチェリン、ヨングク、ジンスクに会う機会がありましたら元気でいることをお伝えください。
返事はいただかなくて結構です。
わがままをお許しください。        チョン・ユジン」

小包から取り出した小ビンを見つめ、フーっとキム次長はため息をついた。

「ああ、ジョンアさん、マルシアンのキムです。
今日こっちに来ます?見せたいものがあるんで僕の所によって下さい。よろしく」

「ジョンアさん、呼びたててすみません」
キム次長はユジンの手紙を渡した。
「何です?ユジンからの手紙?
何でキム次長のところに来るんですか!」
ジョンアはむっとした顔をして手紙を開いた。

「ユジンたら…、そんなに頑張らなくても…いいのに。
本当にあの二人、いつになったら…。
理事はまだユジンが一人でフランスへ行ったこと知らないんですよね。
キム次長、これどうするつもりなんですか?」

「あぁ…、ちょうど来月アメリカへ行く予定があるからそのときに持っていくとして…、ミニョンにどこまで話すかだ。
…俺たちにはこのビンの意味はわからんが、きっと二人にはわかっているんだろう。
どうしたもんかなぁ?」

「ジョンアさん、とりあえずこの手紙、サンヒョクさんに見せてあげてよ。
心配しているんだろう?」

「ええ、そうですね。
ユジンもさすがにお母さんのところには何回か手紙を寄こしているらしいんですよ。
サンヒョクは時々ユジンのお母さんを訪ねているようなので、少しは聞いているとは思うんですけどね。まあ、見せてやったほうがいいですね。
これ、お預かりしていきます」

「それにしても、キム次長?
私達いつになったらあの二人のじいやとばあやを卒業できるんでしょうね?」

ああ、チキチキ…と言いながら帰っていくジョンアの後姿を見ながらキム次長は苦笑していた。

[ 数日後、ヨングクの病院 サンヒョク、ジンスク、チェリンが顔を揃えている。]

「ジョンアさん、遅いな。
それにしても、何でユジンはキム次長のところになんか手紙を寄こしたんだ?
サンヒョクにもまだ何の連絡もないんだろ?もう4ヶ月もたつのに」とヨングク。

「ああ、こっちからもなんか連絡しづらくてな…」

そのとき、ばたばたとジョンアが駆け込んできた。
「…サンヒョク、皆さん、ごめんなさい待たせて…、あの後仕事の電話が続いちゃって…。
キム次長から預かったユジンからの手紙、これ」

サンヒョクが受け取り手紙を開いた。
「ここに書いてある荷物って何ですか?」
とサンヒョクは手紙をヨングクに回しながらジョンアに尋ねた。

「小さなビンだったわ。中に水と砂とコイン、貝殻が入っていた」

「海…か。
ユジンとジュンサン、別れる前に二人で海へ行ったんだ…」

〈ユジン、君は今何を思っているんだ?辛くはないのか?僕がアメリカまで君を連れて行けばよかったんだろうか…。〉

「わたし仕事があるし、帰るわ。
まったく、何なのよ、どうして二人は連絡取り合ってないのよ。
ジュンサンはユジンが一人でパリにいることも知らないんでしょ。
ジュンサンはジュンサンで、手術をしたのかどうか、元気なのか何にも知らせてこないし。
みんながこんなに心配しているっていうのに。

これじゃ、何のために私やサンヒョクが辛い思いをして身を引いたかわかんないじゃない!」

チェリン! とサンヒョクが追いかけた。
「チェリン、お前の気持ちもわかるよ。でも、キム次長が来月アメリカへ行くそうだし、もう少しだけそっとしておいてやれよ」

「わかってるわよ。でも、これでいいのかしら。
ただこうやって時間が解決するのを待つだけなの?
このままじゃ、あの二人も、あなたやあなたのご両親も、カン・ミヒさんも皆が辛いままじゃないの?」

怪我をした!

2005-07-07 10:04:18 | 日々の歌
怪我したら 消毒そして 絆創膏?
        それでは治るの 遅くなるのよ

体には 自然に治る 力がある
        それを殺さず うまく使おう

かさぶたは 百害あって 一利なし
        それなら作らず 治してしまおう

心の風邪をひいたとき…

2005-07-07 09:52:59 | 日々の歌
治すには よく寝て休み 食べること
        頑張らないこと 薬もだいじ

「頑張って」 明るく励ます 禁物です
          そっとしずかに 休ませてあげて

酒飲んで 気晴らしすれば 治るでしょ
          とんでもござらん 誘わないでね