優緋のブログ

HN変えましたので、ブログ名も変えました。

あの日から 一 「時が止まった」

2005-06-16 09:35:25 | あの日から
あなたを送ったあの日…
湖のほとりで、何も残していかなかったあなたを送るために、ノートの切れ端を燃やして送ったあの日…

私はまだあなたがいなくなった事実を受け入れられないでいた。
信じたくなかった。
だから…私は泣かなかった。
「君が泣かないから余計辛い…。」とサンヒョクは言ったけれど。
泣いてしまえばあなたが本当にいなくなってしまうような、もう二度と会えなくなってしまうような、そんな気がしていた。

家へ帰ると、一通の郵便物が届けられていた。
開けてみると、それは一本のカセットテープだった。
あなたからのクリスマスプレゼント。

スピーカーから流れる「初めて」
… 私だけに弾いてくれた曲。
そして…
「…幸せでありますように…。」
あなたの明るい声…

私の中で何かが崩れ落ちた。
支えていたものが…
涙が溢れ出した…

翌朝
目を赤く腫らしている私を見て
「ユジン、どうしたの?」と母が聞いた。
「あの…、同級生が急に亡くなってね、転校してきたばかりの人…。だから、そんなに親しかったわけじゃないんだけど、同じ放送部だったし、…昨日までいた人が急に居なくなるのって、淋しいでしょ…。」
「そう、気の毒にね…。なんていう人?」
「カン・ジュンサン…」
声が震えた。
泣いてしまいそうだった。

「ユジン、大丈夫?顔色も良くないわ。」
「大丈夫よ。ちょっと夜更かしして睡眠不足なだけだから。」
〈母にはこれ以上心配はかけられない。〉
それからは、母の前では勤めて明るく振舞わなければならなかった。

一ヶ月も経つと、皆はもう何事もなかったかのよう。
あのチェリンでさえ…
あなたの机に飾ってあった花もいつかなくなっていた。
三月になって三年生に進級すると、あなたのことを話す人もいなくなった。
私だけがあの日のまま、取り残されてしまった。


あの日から…
私は一人で居ることが多くなった。
いいえ、一人で居たかった。
一人で居れば傍(かたわ)らにあなたが居るような気がしたから…
幸い皆受験で頭がいっぱいだったから、私の変化に気付く人もいない…と思っていた。

あの日から…
遅刻魔だった私が朝早く学校へ行くようになった。
母と顔をあわせているのが辛かったから…。
母には「遅くまで補習を受けられないから、早く行って勉強する。」
と嘘をついて…。

朝、誰もいない放送室。
レコードを棚から取り出す。
「初めて」…
あなたが私にくれるといって持ってきてくれたあのレコード

レコード盤がゆっくりと回転を始める。
針を落とす。

誰にも邪魔されない、私とあなただけの時間…。


あの日から…



もういない 天国からの メッセージ
        あなたの声が 私を泣かす

気丈にも 振舞うしかない 切なさに
        名を告げるとき 声が震える

一人でも 一人ではない あなたとの
        秘密の時間 放送室で

ゆっくりと 回るレコード 針落とす
         私を包む 「初めて」の調べ


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