優緋のブログ

HN変えましたので、ブログ名も変えました。

ハイドランゼア・オタクサ(紫陽花)

2005-06-28 09:21:41 | 日々の歌
たっぷりと 梅雨の恵みを 吸い込んで
          我らの季節 謳うオタクサ

愛い(うい)方を 垣間見た日の 乙女らの
            頬を染めたる 紅に似ていて

万葉の 昔から咲く 紫陽花に
      愛した人の 思い出重ね

あの日から 三 「ヒジンが見たもの」

2005-06-27 10:41:15 | あの日から
いつだったか…、
それはジュンサンお兄ちゃんが死んだと聞かされた後の事だったと思う…。
お姉ちゃんの部屋を覗くと、いつものように絵を描いていた。

お姉ちゃんは写生が得意だから、何かを見ながら描くことが多いのに、(私も時々モデルをさせられて大変な目にあう)その日はそうじゃなかった。

お姉ちゃんの手が、一時も休むことなく紙の上を走っている。
お姉ちゃんはいったい何の絵を描いているんだろう?

お姉ちゃんは描いている手を休めると、今度はじっとその絵を見つめている。
〝ポトリ〟
お姉ちゃんの手からペンが落ちた。
肩が小刻みに震えている。
私はお姉ちゃんに声がかけられなくなってしまっていた。
私は、音を立てないようにそっとドアを閉めた。

私が向こうの部屋へ行こうとすると、
ドアの向こうからお姉ちゃんの声が聞こえてきた。

ジュンサン、サンヒョクは忘れろというの。早く忘れて元気になれって。ジュンサンのことを想っていても辛いだけだからって。
でも、私は忘れられない。
ううん、忘れたくないの、あなたのこと。
一つも忘れたくない。
あなたの声。
あなたの笑顔。
あなたの息づかいさえも。
辛くてもいいの、ううん、そうじゃない、辛いままでいたいの。
あなたのことを好きな私のままでいたいの。
これからもずっと。
だから…あなたを描いた。忘れないように。
あなたは私に写真の一枚も残してくれなかったじゃない。
さよならも言わないで…
酷(ひど)い人…

でも、許してあげる。
カセットテープをくれたから。
そういえばプレゼントのお礼をまだ言ってなかったわね。
ありがとう。

ジュンサン、あなたのこと覚えていていいでしょう?
あなたのこと、好きなままでいていいでしょう?


それ以来、お姉ちゃんが絵筆を取ることはなかった。



恋うるとは 何かも知らず あの日から
         悲しみだけは 知ってしまった

好きなのに なぜか悲しい 微笑を
        うかべるだけの 人になりたり

お姉ちゃん 私を置いて いかないで!
         ママと私を さみしくしないで

別れの後 四 「ニューヨークで③」

2005-06-27 10:35:33 | 別れの後
六月の終わりにジュンサンは退院した。
一週間に一度通院することを条件に主治医から許可が下りたのだ。
その際もなるべく早く手術をした方が良いと勧められたが、ジュンサンは同意しなかった。

[イ氏が用意してくれた病院近くのマンションの一室]
マンションへ行ってみると、生活に必要なもののほかに、製図用の作業台、デスク、パソコンなどがすでに用意されていた。

部屋に入る。
初めて持った自分の家が思い出された。
ユジンと二人で家具を配置し、これから創る未来に夢を膨らませていたあのとき…。

なぜだろう?全く違う部屋なのに。
白いソファ…。
あの部屋にあったソファも白だった。
ユジンの好きな白…。
一緒にクッションを並べたね。
いたずらして君の手を握ったりして・・・。

ジュンサンはフッと微笑んだ。
白いソファを指でなでながら、
「ユジン、ここで君の家を造るよ。最後までできるかわからないけれど…、君も一緒にやってくれるよね」

部屋の傍らには、ミヒの心遣いだろうかピアノが置かれてあった。

♪♪♪「初めて」♪♪♪

拍手が聞こえた。
「ジュンサン、今でも結構弾けるわね」
いつの間にかミヒがドアのそばに立っていた。

「ピアノなんかいらないと思ったんだけど、そうやってたまに鳴らすのも気晴らしになるかしらと思って。邪魔だったかしら?」
「いいえ、嬉しいです。十年間弾いてませんでしたけれど、子供のころに覚えたことって忘れないもんですね。
こうやってピアノを弾いていると、僕はやっぱり母さんを憎んでいたんじゃなくて母さんが恋しかったんだなって思いますよ。
本当に憎んで、嫌いだったらピアノなんかには触れなかったでしょうね」
「ありがとう、ジュンサン」

[8月 ジュンサンのマンション]
マルシアンのキム次長が尋ねてきた。
「よお、ミニョン久しぶり。体の具合はどう?
仕事でこっちに来たもんだから、ちょっと顔を見に来た。
イ会長から言われたんだが、なんか俺に頼み事があるんだって?」
「ええ、先輩。今コーヒーでも淹れますから」
「何だよ、俺がやるよ。理事様に淹れていただくなんて畏れ多いよ。第一、病人だ」
「大丈夫ですよ。先輩は座っててください」

「全部自分でやっているのか?」
「いえ、毎日朝晩家政婦さんが来てくれて、身の回りのことはほとんどやってくれています。
僕が無茶していないかもちゃんとチェックしながらね。
無理をすると母さんがうるさいですから、毎日のんびりやってますよ。どうぞ」

「そうか。で、頼みって何だ?」
「これです」ジュンサンは完成した部分の図面を見せた。
「あぁ、むこうを離れる前に描いていたやつだな。これをどうする。建てるのか?」
「まだそこまでは考えていません。あの時はとにかく模型から図面を起こしただけだったので、今細かい手直しをして使える図面に少しづつ仕上げているところなんです。
出来上がったものから先輩に送りますから、時期が来たら建築できるようにマルシアンで保管しておいてもらえませんか」
「それだけで良いのか?土地を探すとかその他の手配は良いのか?大体、誰からの依頼なんだい、これ?前も仕事じゃないって言っていたが」

「・・・・・・・・・」
「全く。相変わらず肝心なところは口が堅いよな。まあいい、わかったよ」
「いつも無理言ってすみません。先輩」
「いいよ。お前の無理難題は慣れっこさ。
 …ところで、ミニョン。
ユジンさんとは全然連絡を取り合っていないのか。
ユジンさん一人でパリにいること、お前知らないんだろう」

「サンヒョクと一緒じゃないんですか」
「やっぱりそうか。
ユジンさんも全然連絡を寄こさないもんだから、ジョンアさんも心配しているんだ」
「何でサンヒョクは一緒じゃないんですか」

キム次長は経緯を手短に話すと
「サンヒョクさん、ニューヨークへ行けって飛行機のチケットまで用意して、…だからサンヒョクさんは一緒にフランスへ行くはずがないんだ。
・・・そうか、ユジンさんは全てのことを承知で、もうお前と離れていなければならない理由は何もないはずなのに、お前のところへは行かずパリへ行ったんだな」

キム次長とジュンサンは、しばらくの間黙ったままだった。
それぞれの思いをめぐらせていた。

「ユジンさんは、…サンヒョクさんではなく、お前と生きる道を選んだんだ。
そうじゃないのか?今は離れ離れになっていてもだ。
お前を信じて、手術の成功を信じてフランスへ行ったんじゃあないのか?

……イ・ミニョン!お前はユジンさんの心に答えてやらないのか?」

雨が好き

2005-06-27 10:19:58 | 日々の歌
雨音も 雨の匂いも 好きなんだ
       そう言う君の 前世はかえる?

突然の 雷雨に驚き 来てみれば
       坂に寝転び 雨と戯る(たわむる)

乗ったらば 座席が濡れるよ どうせもう
          パンツの中まで びっしょりさ 

幻獣を科学する(熊谷さんのブログより)

2005-06-26 10:38:08 | 日々の歌
古の(いにしえの) 人々にある 敬いの(うやまいの)
        心現す 幻の獣(けもの)

歯を見れば 君が誰だか 分かるのだ
        はい、あーんして 君は犬だね

PとM 迷った時は 噛み合わせ
        重なった歯が ポイントなのよ


歯式(ししき)
動物の歯の種類および数を表す式。通常、片側の上下の指数を門歯・犬歯・前臼歯・後臼歯の順に並べ、分数式で表す。哺乳類の分類で重要。
(岩波書店 広辞苑 昭和57年10月15日 第2版補訂版)

熊谷さんのブログ
http://blog.livedoor.jp/kumagai_satoshi219/