優緋のブログ

HN変えましたので、ブログ名も変えました。

あの日から 二 「サンヒョクの不安」

2005-06-21 11:04:33 | あの日から
「やっぱりあなたが弾いてくれたほうがずっといいわ。」
〈おかしいな、よほどの大声で話していない限り外には聞こえないはずなのに。
大体こんな時間にユジンは誰と話しているんだ?〉

静かにドアが開くのをユジンは気付いていない。
放送室に流れる音楽に身を委ねている。
眼を軽く閉じているユジンの体は、メロディーにあわせてゆっくりと揺らいでいた。

〈さっきの話し声はなんだったんだ?〉
僕はふと、ユジンの姿が消えてしまうような錯覚を覚えた。
〈ユジンはジュンサンと話していたのか?ジュンサン、ユジンまで連れて行くな!〉

「ユジン、こんなに朝早くどうしたの?珍しいじゃないか。」
僕は波立つ心を押し隠して話しかけた。
ユジンははっとしたように振り返り
「ああ、サンヒョク。おはよう。
勉強しようと思って早く来たんだけど、なんか久しぶりに放送室で音楽が聞きたくなって。
サンヒョクこそどうしたの?」
ユジンは明らかに狼狽していた。

「放送部の引継ぎ資料を取りに来たんだ。朝のうちに後輩に渡す約束をしていたから。」
僕は何気なくユジンから目を逸(そ)らしながら答えた。

[その日の昼休み]
「ヨングク、ジンスク、相談があるんだ。ちょっといいかな。屋上へ行こうか。」
「何だよサンヒョク。皆に聞かれちゃ困る話か?」
「教室ではちょっと…。
ユジンのことなんだ。
二人とも、最近のユジン、ちょっと変だと思わないか。
遅刻もしなくなったし、一人でいることが多くて皆としゃべらないし…。」
「そうかな?サンヒョク考えすぎじゃない?
そりゃ、部活動もなくなったし、ヒジンちゃんを遅くまで一人にしておけないからユジンだけ補習に出ないで早く帰るでしょ。前よりは一緒にいる時間が減ったけど、私は元気になってよかったなって思っていたんだけど。ね、ヨングク。」
「そうだな、前よりは静かになったかもしれないけど、あんなことがあったわけだし、ユジンも大人になったって事じゃないの?
それとも、サンヒョクなにか気になることでもあったか?」

僕は一瞬躊躇(ちゅうちょ)したが、今朝あったことを二人に話した。
「ジュンサンの亡霊を見てしまったようで、背筋が凍ったよ。
まさか、ユジンがジュンサンの後を追うようなことはないと思うが、なんか不安なんだ。
僕の思い過ごしならいいんだけど。
なあ、ヨングク、ジンスク、ユジンが一人きりにならないように、協力してくれないか。
なるべく声をかけてやって欲しいんだ。頼むよ。」
「そうだな、ユジンがまだ立ち直れるわけないよ。
皆に心配かけまいと気を張っているんだ。せめて俺たちだけでもわかってやらないとな。」
「そうだね。サンヒョク、心配しないで、私も協力するから。
それにしてもユジン、何で私に何も言ってくれないのかなぁ。水臭いよ、友達なのに。」

それからしばらくの間、僕は朝ユジンを迎えに行くようになった。
「サンヒョク、小学生じゃあるまいし、毎朝迎えに来なくてもいいわよ。一体どうしたの?」
「いや、別になんとなく。
最近顔をあわせること少なくなったからさ、朝ぐらい一緒に行こうかなと思って。」
「同じクラスで一緒に授業受けていて顔をあわせてないって?
全く、なんなの?変なサンヒョク!勉強のしすぎじゃないの。」
ユジンは苦笑していた。

「そういえばそうだ。でも、迷惑じゃなかったら、もうしばらく朝一緒に行こうよ。いいだろう?」
「別に迷惑じゃないけど、またチェリンに『付き合ってる』なんて冷やかされるわよ。」

今思えば、ユジンはその時そっとしておいて欲しかったに違いない。
それなのに、僕は自分の不安な気持ちに囚(とら)われていて、彼女の心を慮(おもんばか)ることができなかった。

別れの後 三 「ニューヨークで②」

2005-06-21 10:57:27 | 別れの後
入院した当初、頭痛やめまいがひどくジュンサンはベットで過ごす日が多かった。
二ヶ月を過ぎるころからようやく症状も落ち着き、気分の良い日は散歩をしたり、目に負担をかけない程度の読書もできるようになった。
 
ミヒはスケジュールを調整して、なるべくジュンサンのそばにいるようにしていた。
傷つけてしまった彼の心をいまさら癒すすべもないが、せめて傍(そば)にいてやりたかった。
ミヒの前では勤めて明るく振舞っているジュンサンだったが、体調が落ちついてきたころからだろうか、じっと考え込むことが多くなった。


[イ家の居間]
「あなた、ミニョンを見舞ってやってくださらないかしら。
私には何も言わないけれど、何かずっと考え込んでいるの。力になってやってください」
「うん、そうだな。私も話したいこともあったから近いうちに行くつもりだったんだが、もう少し様子を見てはどうだね。
ミニョンから何か言ってくるかもしれない。それからでも遅くはないだろう」

 
[その数日後、ジュンサンの病室]
「母さん、お願いがあるんだけど頼めるかな」
「なあに」
「お父さんにお願いしたいことがあるんだ。忙しいとは思うけど、時間をつくっていただけませんかとお父さんに伝えて」
「ええ、わかったわ。お父様も近いうちに顔を見に行きたいっておしゃっていたから多分大丈夫よ」

[数日後 ジュンサンの病室]
「ミニョン、気分はどうだい。なかなか顔も見に来られなくて悪かったな」
「お父さん、お忙しいのにすみません」
「どうだ、外に出て少し歩かないか。今日は天気が良くて気持ちがいいぞ」

[病院の庭 漫(そぞ)ろ歩くイ氏とジュンサン]
「何か頼み事があるそうだが、…そろそろ仕事がしたくなったんじゃないかな?
人間何もしないでいるのは辛いものだ」

 体が落ち着いてくるに従って悩んでいた気持ちをわかってくれている父の存在がありがたかった。
「お父さん、障害を持った人のための住宅、単なるバリアフリーというのではなくて、残された機能を最大限に生かして、なおかつ健常者にも心地よくて美しい家はどんなものなのか勉強してみようと思うんです。
それを生かす場があるのか、僕にそれだけの時間があるのかわかりませんけれど…。やってみたいんです。
それともう一つ、やりかけた仕事があって、自分の手で図面を仕上げておきたいんです。
いつでも建築できるように」
「それは誰かからの依頼なのか?」
「いえ、自分でやりたくて手がけたものです。
模型から書き起こしたものはあるんですが、きちんと手直ししたいんです」
「そうか。じゃあ勉強と、作業のための部屋が必要だな。
家に戻ってきても良いが、病院の近くに部屋を借りたほうが良いだろう。
主治医の先生にも事情を話して、なるべく早く退院できるよう相談してみよう。
まず、当座の資料になる本を探させて届けさせよう」
「ありがとうございます」

「私が力になれるのは、こんなことだ。
それより、ミニョン。
…余計なことかもしれないが、ユジンさんのことはどうするつもりなんだ。
愛する人を守りたい。苦しい思いをさせたくないというお前の気持ちはわかるが、果たしてそれがユジンさんの幸せだろうか…。
美しい花園を歩くだけが幸せとは限らんよ。
たとえ茨の道でもお前と手を携えて乗り越えていくことをユジンさんは望んでいるのではないかな。
これは私が敬愛している方の言葉だ」
と言ってイ氏はそっと一枚の紙を置いて帰っていった。

『静かな花壇の道を選ばずに、
自ら茨の道を進むのは、
熱い涙の永遠の人生を創りたかったからだ』

夜、ジュンサンはポラリスを見上げながらイ氏の言葉を考えていた。

ユジン。僕は間違っていたんだろうか。

年齢を重ねても瑞々しくありたい

2005-06-21 10:33:13 | 冬のソナタ
先日の日曜日、都内某所においておかみさんのサイト(hit-meの掲示板)に集う「冬ソナ」仲間が大集合いたしました。総勢23名!

「冬のソナタ」が放映されてから早2年、今はもう他の韓ドラや韓流スターに熱を上げていらっしゃる方々も、「冬ソナ」とくればもう心はひとつ。大いに盛り上がります。

おかみさんの企画で皆さんが詠んだ”句”にそれぞれ”画像”をつけた『かるた』をフィールドさんとジュンさんが作ってくださいました。
そのかるたを使って皆さんで遊んだのですが、皆さん少女のようにはしゃいで、じつに生き生きとしていらっしゃいました。

”句”を詠んだり”画像”をキャプチャーしたりUPしたりと、今までした事がないことに皆さん夢中で取り組んで、できない時は教えあい、助け合い「本当に楽しかったね。」と語り合う姿。

私より「お姉さま」もたくさんいらっしゃるようでしたが、皆さん瞳をきらきらさせて、本当に「かわいらしい、素敵だな」と思いました。
特に最高齢(失礼!)のばあやさん、図書館が見えればさっそく覗き込み「立派なところねぇ」とリサーチ。
パソコンのことを説明してもらって言葉がわからないときは「パソコン用語辞典で調べながら説明を読むのよ。」との事。脱帽。

おかみさんに「いくつになっても、もう歳だからなんて自分を諦めてはいかんのよ。阿波ちゃんは自分を捨ててへんけど、女捨ててるで~!」

あ、いたた・・・。
皆さん2次会に向けてお化粧直しに余念がない中、一人ボーっとしていた私。
終日すっぴんでございました。恥

クマは「クマッ」となく?!

2005-06-20 11:39:37 | 読書
「冬ソナ」仲間のフィールドおやじさんこと熊谷さとし氏の著書。偕成社刊

フィールドワークに裏打ちされた豊富な知識、かわいらしく分かりやすい挿絵はもとより、熊谷さんの”動物たちへの愛”が各ページからあふれ出てくるような本です。

普段動物にはあまり興味がない私でも面白く読める内容が満載。
ページをめくるたびに「へ~そうなんだぁ、なるほどねぇ」と唸ることしきり。
人間の都合、思い込みでする”動物保護”ではなく、動物の目線、立場で考えなければいけないのだということが良く分かり、大人も子供も読みたい本です。

うちの子供らにも読ませなくちゃ。