紫陽花記

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別館★写真と俳句「めいちゃところ」

写真を撮る

2021-01-22 08:23:38 | 「とある日のこと」2021年度



 運転免許証の更新に出かけた。午前8時半に最寄りの警察署に着いた。

新型コロナウイルス感染症予防策なのか、入り口には誘導係の署員が3人ほどいた。そう広くない署内は、既に満員。それでも間もなく、受付用紙を渡され、5台ほど並んだ長椅子の一番前の端に案内された。狭い空間。足元には案内の番号が貼り付けてある。更新に来た人々が案内係に誘導されて、次々と受付を済ませ、更新料を支払い、安全協会への寄付などを済ませ、視力検査を済ませると、免許証用の写真を撮る。

 私の前の人物は背丈が180cmほどもあるような40歳前後の紳士。綺麗に剃られた頭に眼鏡。濃紺のスーツを着ている。その人物は、写真を撮るスペースに入ると、リックと持っていたダウンコートを荷物置き場に置いた。壁に向かった。顔が映る程度の大きさの鏡が掛けている。その前で眼鏡をはずし、じーっと顔を見回すと、口の周りを撫で、また一通り顔を眺めた。カメラの前の椅子に向かう態勢から、また戻って鏡をもう一度見ると、待っていたカメラマンに会釈をして椅子に座った。「カシャリ」写真を撮る時間は数秒であった。

 私の番になった。前回は壁の鏡に気づかなかったが、今回は私も鏡を見て髪を整えた。
「はい、オッケーです」という私に、カメラマンが口を歪めて笑いを堪えた。

 早い時間帯は若い人が多かった。仕事前に済ませるためなのだろうか?
 先ほどの紳士のことが楽しく思い出される。どのような仕事をしているのだろうか? 剃髪しているということは、何処かの御坊様かもしれない。



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