息子が亡くなってから毎月一度は墓参りをしている私たち夫婦。お陰様で年月と共に老いている私たちではあるが、花を供え、供物を供え、お線香を手向けられている。
数年前から、我が家の墓石の香炉の中に、蜂の巣が造られている。蜂と言えば、獰猛な蜂もあれば、そうでない蜂もいるようだが、どちらにしても、香炉の線香を置く器に手を伸ばすことになる。幸いとして、蜂に刺されたことは無いが、春先から出来始める巣を、早い段階で始末しないと、一カ月後の墓参時には、数段大きくなっている。
毎年、蜂が香炉の中に入りにくいように、幅広のセロファンテープなどで、香炉の中に入りにくいようにしていたのだったが、その御陰で、いつの間にか蜂の存在を忘れていた我ら家族。ところが今年の春。直径三センチほどの巣が、香炉の中の上の部分に張り付いているのが見えた。しかも、数匹の蜂が、忙し気に巣の周りをうろついていた。もう、卵が産み付けられている。蜂が守るように群がって居るので、巣立つのを待つことにした。
七月に入って梅雨明け間近の曇りの日。香炉の中の巣の様子を見ると、何ということでしょう? 巣は、直径十センチ以上も大きくなっていて、蜂の子がうようよと巣の周りで遊んでいた。線香を置く器を外に出し、線香を焚くと、ぶんぶんと大人の蜂が飛び出してきた。それは、それは、巣を守る。子を守る。蜂の勢いは、恐れをなすほどである。さんざん考えた末に、自分たちで駆除できそうもないので住職へ電話を入れた。
「境内の他の場所にも蜂の巣があるので、駆除しますので大丈夫ですよ」と言ってくれた。半日後、住職から電話連絡がきた。クロスズメバチと言う種類の蜂だったそうだ。お陰様で迎え盆や、送り盆も恙無く済ますことができた。
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「と・ある日のこと」をお送りします。
日々の暮らしの中から、ちょっと心に引っかかった事を綴っています。
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