地方に仕事で行った帰りの電車で
壊れたカバンを直していたら
大事にしていた黒いコートに
瞬間接着剤が2滴ついた。
寒いところへ行ったから
久々に出したコート。
白い点が2つ目立つ。
・・・へこんだ。
「ちょっといやなこと」があって
へこんでいたところだったから
尚へこんだ。
携帯サイトでしみぬきの方法を探したが
これといってない。
それどころかかなり難しいことがわかった。
家に帰ってからPCで調べても
お湯につけて「もむ」だの
「はがし隊」って液がいいだのの情報は
出てくるものの
お湯につけてもだめだったし、
「液」は素材によっては生地が痛むとある。
翌朝、
適当なクリーニング店に電話したら
方法はあっためるぐらいかなあ、
・・・といわれた。
ほかの店も「難しい」と、乗り気ではない
しかたない、と思ったとき
ある個人が住んでいる町並みを紹介しているHPに、
「近所のクリーニング店で
あきらめていた染みがとれ、感動!」との記述が。
自分のサイトは持っていない店のようだが、
近くではないか。
一応電話すると
受話器から耳を離さないと鼓膜がやぶけそうな
明るい声のおばちゃんが出て
「きょうはお店休みだけどあいているよ。(?)
持っておいで!預かるわ」との返事。
「うちはねー。木綿なら瞬間接着剤
100%取れるのよ。
その素材でできるかはわからないけどやってみるわ。」
まじでか?100%なんて記述、ネットにもなかったど。
行ってみると、昔ながらの、
いや、チェーン店全盛の今ではむしろ珍しくなった
個人経営のお店だった。
最初、気付かずに素通りするほどの。
中では、かわいい笑顔のおばちゃんが
ひとりで待っててくれて
コートをあずけようとすると
いきなり薬品の瓶を持ってきた。
ちゅちゅっと裏地に試したあと、
染みにかけてみる。
その間も、おばちゃん
ずーっとしゃべっている。
「NHKにも出ているクリーニングの先生」に
誉められて紹介されたこと。
キャリア10年ぐらいじゃまだまだ染みは取れないこと。
そして伝票の束。
見てびっくり、
都内はもちろん、(銀座のママとかだ)
大阪や苫小牧からも!
そして大手の店からも!
「内職みたいなもんよ。
みんな、最後に持ってくるの。
あのね?あたしねえ、
いっぱいいっぱい弁償してきたの」
ええっ!?それ、不安!
「でもね、何十年もやってきて
最近やっと弁償しなくなったの」と笑う。
それはつまり
ほかの店が自信がなかったものまで
どうにか客のその衣類への想いに答えようと
努力してきたことを意味している。
「昔この横浜に住んでいた人が
遠くに遠くに行っても
遠くの町から送ってきてくれるの。
これおねがいねって。
それがとても嬉しいの」
しかし、接着材のあとは薄くはなった気がするが
なかなか消えない。
「あら?これ本当に瞬間接着剤?」
そうです。有名なやつではないから
成分がちがうかもしれないけど。
「あたためろっていわれたの?
だめ。この生地は白くなっちゃうわ。
別の薬で分解できるかもしれない」
再別の薬をつけ、
おばちゃんは指先でもみ始める。
揮発性の薬品を直に指で・・・だいじょうぶ?
そのとき、おじいさんが帰ってきた。
おじいさんはソフトバンクが買ったので
機嫌がいい。
ん?ということはやっぱり休みなの?
おじいさんいわく
いいんだよ。
このひとは仕事がしたいんだ。
こうして来てくれるのが嬉しいんだよ。
「あら!ほら!消えたわよ!」
・ ・わあ、本当だ。びっくり。
手品みたいだ!
みんな一緒に大喜び。
いくらですか?
「ひとつ500円」
ええっ!?
30分はもみつづけてくれましたよ!?
あら、ここも汚れているわ。
また今度持っていらっしゃいね。
おばちゃん、
ちょっと「もみあと」が残ったけれど
それ、かえって記念になったよ。
プロとしての仕事への心構えを
教えていただいた記念に。
壊れたカバンを直していたら
大事にしていた黒いコートに
瞬間接着剤が2滴ついた。
寒いところへ行ったから
久々に出したコート。
白い点が2つ目立つ。
・・・へこんだ。
「ちょっといやなこと」があって
へこんでいたところだったから
尚へこんだ。
携帯サイトでしみぬきの方法を探したが
これといってない。
それどころかかなり難しいことがわかった。
家に帰ってからPCで調べても
お湯につけて「もむ」だの
「はがし隊」って液がいいだのの情報は
出てくるものの
お湯につけてもだめだったし、
「液」は素材によっては生地が痛むとある。
翌朝、
適当なクリーニング店に電話したら
方法はあっためるぐらいかなあ、
・・・といわれた。
ほかの店も「難しい」と、乗り気ではない
しかたない、と思ったとき
ある個人が住んでいる町並みを紹介しているHPに、
「近所のクリーニング店で
あきらめていた染みがとれ、感動!」との記述が。
自分のサイトは持っていない店のようだが、
近くではないか。
一応電話すると
受話器から耳を離さないと鼓膜がやぶけそうな
明るい声のおばちゃんが出て
「きょうはお店休みだけどあいているよ。(?)
持っておいで!預かるわ」との返事。
「うちはねー。木綿なら瞬間接着剤
100%取れるのよ。
その素材でできるかはわからないけどやってみるわ。」
まじでか?100%なんて記述、ネットにもなかったど。
行ってみると、昔ながらの、
いや、チェーン店全盛の今ではむしろ珍しくなった
個人経営のお店だった。
最初、気付かずに素通りするほどの。
中では、かわいい笑顔のおばちゃんが
ひとりで待っててくれて
コートをあずけようとすると
いきなり薬品の瓶を持ってきた。
ちゅちゅっと裏地に試したあと、
染みにかけてみる。
その間も、おばちゃん
ずーっとしゃべっている。
「NHKにも出ているクリーニングの先生」に
誉められて紹介されたこと。
キャリア10年ぐらいじゃまだまだ染みは取れないこと。
そして伝票の束。
見てびっくり、
都内はもちろん、(銀座のママとかだ)
大阪や苫小牧からも!
そして大手の店からも!
「内職みたいなもんよ。
みんな、最後に持ってくるの。
あのね?あたしねえ、
いっぱいいっぱい弁償してきたの」
ええっ!?それ、不安!
「でもね、何十年もやってきて
最近やっと弁償しなくなったの」と笑う。
それはつまり
ほかの店が自信がなかったものまで
どうにか客のその衣類への想いに答えようと
努力してきたことを意味している。
「昔この横浜に住んでいた人が
遠くに遠くに行っても
遠くの町から送ってきてくれるの。
これおねがいねって。
それがとても嬉しいの」
しかし、接着材のあとは薄くはなった気がするが
なかなか消えない。
「あら?これ本当に瞬間接着剤?」
そうです。有名なやつではないから
成分がちがうかもしれないけど。
「あたためろっていわれたの?
だめ。この生地は白くなっちゃうわ。
別の薬で分解できるかもしれない」
再別の薬をつけ、
おばちゃんは指先でもみ始める。
揮発性の薬品を直に指で・・・だいじょうぶ?
そのとき、おじいさんが帰ってきた。
おじいさんはソフトバンクが買ったので
機嫌がいい。
ん?ということはやっぱり休みなの?
おじいさんいわく
いいんだよ。
このひとは仕事がしたいんだ。
こうして来てくれるのが嬉しいんだよ。
「あら!ほら!消えたわよ!」
・ ・わあ、本当だ。びっくり。
手品みたいだ!
みんな一緒に大喜び。
いくらですか?
「ひとつ500円」
ええっ!?
30分はもみつづけてくれましたよ!?
あら、ここも汚れているわ。
また今度持っていらっしゃいね。
おばちゃん、
ちょっと「もみあと」が残ったけれど
それ、かえって記念になったよ。
プロとしての仕事への心構えを
教えていただいた記念に。