1950年以来の開催に沸くブラジルW杯の裏で、大会への抗議運動もテレビを通じて世界中に流されている。 サッカー王国ブラジルでのW杯への反対運動は、民衆に培われた国民競技がFIFAや多国籍企業に経済的に占拠されることへの強い抵抗感も根元にあると見られる。 「ブラジルでFIFAのブレザーなんて着たがるヤツはいない。殴り倒されるからだ」 産業の支配 搾取の対象 貧困の固定化 脱クリの観点からは中南米の飢餓と治安の不良にも影を落としている一次産品輸出(コーヒー、カカオなど)への依存を通じた食料の南北問題を取り上げてみたいと思う。 コーヒー農園(プランテーション)は途上国の70ヶ国以上の熱帯・亜熱帯の国々で見られ、過剰な輸出競争~コーヒー価格の低迷、不当に輸出価格から引かれた安い代金による失業・貧困・欠乏・破産といった悲劇を世界各地に発生させている。 以下の資料によればコーヒー豆生産者の取り分は、ショップで売られている一杯のコーヒーの値段の1%以下にすぎず、その労働も1日1ドルに満たない。 コーヒー産業は豆を買う多国籍企業側の寡占状態で農家への賃金が低い水準に押さえ込まれ買い叩かれている状態だ。 http://www2.rikkyo.ac.jp/web/taki/contents/2013/20130527.pdf アフリカのブルンジは79%、エチオピアは54%もの外貨をコーヒー豆輸出に依存し(2002年)、食糧は外国からの輸入で賄っている。 主要農業の不作が経済全体の危機にも直結する輸出型経済が第三世界の人間を飢饉の脅威に放り込んでいるのだ。 必要な物が国内で生産されない輸出用単一作物(モノカルチャー)経済は地中海から飛び出したヨーロッパ人の植民地政策がそのルーツである。 食糧を自国で生産してきた人々はヨーロッパの市場・工場に投入できそうな農産物を生産するための集中栽培システムに駆り出され、今も働き者の農民がいながら食糧不足の拡大に歯止めが掛けられないおかしな構造「モノカルチャーの呪縛」の中にいる。 (過去の支配地域)
傷跡はなお深い サッカーボール生産にパキスタンの子供が従事している(児童労働)問題の由来はサッカー発祥の地・イギリスが植民地時代に牛がいるインドでボール製造をさせていたことだった。 (サッカーの初期には豚や牛の膀胱に皮革をつけて蹴っていた) 日本チームの緒戦の相手コートジボワールは世界のカカオ生産の4割を担う最大輸出国でやはり児童労働が問題になっている。 日本は世界有数のコーヒー、カカオ輸入消費国として盗まない生き方を模索しなければならない。 フェアプレイの実現を願う者なら誰でも、地上にラフプレイを呼び込むばかりの屑神にレッドカードを突きつけ、その残渣を地球外へキックアウトする衝動を隠す事ができない。コーヒーよりも滋養になるパスタを選択する工夫は、その脱クリの道を平易にするだろう。
画像出典: Whats 関連記事: 脱クリとは 自炊の勧め |