181204 森林経営管理法(その2) <制度概要と森林所有者の意向調査>
家の窓から見える光景にも紅葉が目立っています。もう12月初旬ですから少し遅いのではと思う向きもあるかもしれませんが、そんなものかもしれません。イチョウの見事なイエローカラーはすでにほとんど枯れ木になりそうです。東京の日比谷公園や絵画館前のそれもきっと黄色の絨毯かもしれません(前者は管理者がせっせと葉っぱを肥料に使っているのでかき集めますが)。
でも和歌山の場合、久しぶりに和歌山まで出かけていきましたが、和泉山脈はほどよいカラフルな紅葉に思えました。和歌山城はちょっとみた感じではあまり紅葉が残っていない印象で、むしろマツの緑が映えていました。
ところで、東京・豊洲市場については開業時期にはいろいろ報道がありましたし、それ以前は土壌汚染問題で賑わっていましたが、これからのあり方を考えるような本質的な議論は少なかったように思えます。その点、今朝の毎日記事<そこが聞きたい 東京・豊洲市場の課題 東京財団政策研究所上席研究員 小松正之氏>は、相当程度、その疑問に答えてくれているのかなと思い、このブログで紹介させてもらいます。中身は引用し出すと、私も別の見方があり、長くなりそうなので、今日のお題に入れなくなりそうなので、別の機会に思い出したら触れてみたいと思います。ただ、市場のあり方の根本に迫るもので、傾聴に値すると思います。
さて昨日のブログで少し続けてみるといったお題、新法の森林経営管理法について、概要版の第2として、昨日の続きを始めたいと思います。残り30分強で仕上げれば御の字ですが、どうなることか。
今日も林野庁の<森林経営管理制度(新たな森林管理システム)について>を引用しながら、できるだけ整理してみたいと思います。もう少し続けることができれば(他に関心が移らなければ)森林経営管理法の条文についても言及したいと思いますし、政省令ができていれば、これも当然、触れたいと思います(すでにあるのか?まだチェックできていません)。
さて、森林経営管理制度(新たな森林管理システム)の概要については次のように説明されています。
① 森林所有者に適切な森林の経営管理を促すため責務を明確化
② 森林所有者自らが森林の経営管理を実行できない場合に、市町村が森林の経営管理の委託を受け
③ 林業経営に適した森林は、意欲と能力のある林業経営者に再委託
④ 再委託できない森林及び再委託に至るまでの間の森林においては、市町村が管理を実施
上記の①は、農地や宅地・建物の管理に問題がある事例が顕著になってきていますが、森林についても私の理解では遅くとも80年代から言われ続けてきたことだと思いますので、遅かりし所有者責務論でしょうか。ただ、他の不動産利用と異なり、「適切な経営管理」という用語を用いたところが新鮮です。とはいえ、ようやくここにたどり着いたかという感じで、林野庁のご努力は評価したいと思います。
私の狭い体験では、バブル期に森林の破壊・荒廃が顕著となり、日弁連で各地の森林調査をしたり、個人的には90年代初頭、森林の荒廃を憂い、一つは葬送の自由をすすめる会を立ち上げた一因でしたし、他方で全国の学者・研究者に呼びかけ(私は単なる事務局としてお手伝いしただけですが)森林の明日を考える自然塾を立ち上げたりもしました。力不足で実際にはほとんど有効な結果を見いだすことができませんでしたが。
②は森林管理について、経営管理というタームを切り口に、所有者がこれを適切にできないとき、市町村が所有者から委託を受けるという仕組みを創設したのですね。経営管理の委託という、これまでの<森林経営計画制度<>における所有者が森林組合や林業事業体に<森林経営委託契約>をする場合とは同じフェーズに立っていないことは理解できますね。
実際の森林の伐採、販売、造林などはこの制度では、別のことばとして、③で「林業経営」が使われています。市町村は所有者から森林経営管理の委託を受けますが、ここでは「管理」の方に重点が置かれている印象です。林業経営は市町村から林業経営者に再委託という形でなされるということです。
ところが④では、すべて再委託といったことは想定しておらず、再委託できない、あるいは暫定的にできない場合にその間、市町村が管理を実施することになっていますが、これは市町村が林業経営を行うということではなく、公的管理という、まさに生物多様性保全や温暖化防止など多様な機能維持のために管理するということに収まっているようです。
これで30分経ちました。この制度概要の説明もさらにしたいところですが、まだ制度の重要な柱にたどり着いていません。
来年度実施が予定されている<森林所有者の意向調査>について少し触れておいて今日はおしまいとします。
市町村の多くは(例外もありますが)、森林所有者とのコンタクトをとる機会があまりないと思われます。全国の市町村で、林務課なり林業振興課が活発に活動しているところは中山間地など限られた地域くらいではないでしょうか。
その意味で、現在の森林所有者の意向がどうなのか調査の必要性が高いと思います。そもそもどこに所有者がいて、どの範囲で森林を所有しているか、税務課でも完全に把握できているところが少ないでしょう(地番はわかっても具体の場所を特定するという意味で)。
新法も森林所有者の意思がまず基本であり、その意思がどういうことかということを踏まえて、次の段階の経営管理権集積計画を作成していくわけですからね。
この意向調査も時間がかかりますし、長期の計画が必要でしょう。まずは<地域の実情を踏まえた意向調査対象区域の設定>を行い、順次、優先順位を決めてやっていくことになるでしょう。
第2ステップとして、<地域の協力を得て意向調査を実施>ですが、これが大変ですね。90年頃に全国的に有名になった掛川市のまちづくり条例制定に当たり、当時の市長が先頭に立って各地で持続的な地域懇談会的な催しを続けていましたが、こういった首長の努力なしには容易ではないかもしれません。当時の市長は榛村純一氏で、森林組合長をされた後首長になられた方で、その後もご活躍されていましたね。
第3ステップが重要で、ここで次の段階へのさまざまな仕分けが行われます。ここから先は明日にします。