181225 電源をどうする <再生エネ・主力電源への難路 /番外編 二人の専門家の提言>を読みながら
昨夜の満月(欠けていましたが)、オレンジ色に大きく輝き、とてもすてきでした。ちょうど地平線の上方10度くらい?の低い位置でしたか、とても大きかったですね。こんなすばらしい月を見て一句ひねろうかと思っても、それは無理でした。
すがすがしい夜の闇は朝方とても澄んだ空気をもたらしてくれたように思います。野鳥もいつものように楽しそうに飛び交い声高に鳴いています。でも地面を見ると霜が降り、冷え冷えとしています。凍結した柿畑の枝条や下草も朝日に映えて美しいものです。
そんな自然の移ろいとは関係なく、昨日のNY市場が大幅下落した影響をまともに受けた東京市場は1000円安と、一気に2万円の大台を突き抜けました。安倍政権はいつものように日本経済のその指標全般がよろしいとのことで、一喜一憂しない姿勢を示しています。
私自身、以前にも書きましたが、この間の株式高騰はアメリカ市況の影響が主流で、経済指標も当てにならないと思っています。そのアメリカ自体怪しい不動産・株式バブルの中にあるとしかいえないように映りますから、こういった状況は当然と思っていました。いや、こんなものではすまないとさえ思っています。私が保有しているわずかな株式も風前の灯火ですが、そんなことは関係なく、適切な経済政策をとらないでいる各国政府の問題かと思っています。
さて素人の株式の話はこの程度で十分ですね。今日も話題を見つけがたく、つい毎日朝刊記事<再生エネ・主力電源への難路/番外編 東京大学特任教授・荻本和彦氏、環境エネルギー政策研究所所長・飯田哲也氏に聞く>の紹介で、短時間に終わらせようかと思います。
この連載記事<<再生エネ・主力電源への難路>は<今秋の北海道地震時に発生した大規模停電(ブラックアウト)などを機に、日本のエネルギー政策のあり方が問われている。>ことを受けて特集されていました。そして今回はその番外編として、<専門家2人による日本のエネルギー戦略に対する大胆な政策提言を紹介する。【聞き手・袴田貴行】>というものです。
荻本和彦氏は消費者の立場に、飯田哲也氏は供給サイドの立場に重点を置き、それぞれ議論しています。むろん、両氏とも総合的な対策を十分検討されているわけですが、紙面の関係でそこに重点を置いた意見を述べたのでしょう。
<二酸化炭素(CO2)を排出する化石燃料を使わない「脱炭素化」の世界的な流れが強まっている。>ということは前提にしつつも、何がより効果的な手法かということを荻本氏は、EVを例にとって指摘しています。
EVといえば環境にやさしいと一般に思われている節があります。しかし、<電気自動車(EV)も化石燃料で発電した電気で動かせば、結果的にガソリン車とCO2排出量は大きく変わらない。>というのはライフサイクルを考えたとき、現段階では容易に想定できることでしょうね。
そして上記の脱炭素化の目標に向かう手法として、供給サイドより、<私はEV普及をはじめ社会全体の電化推進という需要側の取り組みを先行した方がいいと考える。>というのです。
そして蓄電技術の革新・普及を狙うのです。<EV普及など社会の電化が進めば、蓄電池の技術革新が進んで、再生エネ活用の余地も広がる。電源構成に占める比率もおのずと上昇し、地球はどんどんクリーンになる。>
直ちに石炭火力の発電設備の廃止(新設は?)するのではなく、現実策として、消費サイドでの蓄電活用を勧めるのです。
<家庭用蓄電池の代わりになるEVは、災害時には非常用電源として使える。災害でブラックアウトが起きても、家庭は節電しながらEVの電池から電気を引くことで、数日間は生活をしのげる。>
そして現在風当たりの強い火力発電擁護論に言及し、<石炭火力発電などの設備は慌てて廃止せず、天然ガス高騰などに備えて、(再生エネが主力電源化される)ぎりぎりまで温存するのが賢明ではないか。>と指摘します。
なるほどと思いつつ、投資の優先順位だけでなく、どの程度にするか、廃止は少し遅らすとしても、新設はダメでよいのかは、この論からははっきりしません。それとどの程度消費サイドにこの意見が受け入れられるかも気になるところです。EVの普及はわが国ではまだまだですね。政府の推進策もいまいち効果的とは思えません。このあたり蓄電池開発も含めどの具体策を講じるかそこがポイントのように思うのですが、これはどこかで述べられているのでしょうね。
他方で、飯田氏は、<集中型電源の危うさ>を指摘し、<分散型の電源配置をしていれば、どこか1カ所がダメージを受けても全域で電気が使えなくなるような事態は起きない。>と結論し、その手法のありようについて議論を展開しています。
それはデンマークが先進例というのです。<地域熱供給システム>です。これは大都市でも<住宅などを含む全ての建物に対するカバー率は約6割に達する。温水が導管を通じて各家庭などに送られ、バルブをひねれば暖房や給湯ができる。建物ごとに灯油やガス、電気など別々の燃料でストーブや給湯器、エアコンなどを使う日本などに比べて、エネルギーの利用効率が高い。>
こういった地域熱供給システムは、別にデンマークだけでなく、ヨーロッパでは割合普及していると思いますが、大都市となるとデンマークが先進的でしょうか?カナダでも相当な都市で普及していたように思うのですが、そこはしっかりしたデータが手元にないので、・・です。
ともかく飯田氏が指摘するように、<地域熱供給システムを支えるのは、デンマーク全体で約1000カ所に分散されたコージェネレーション(熱電併給)だ。コージェネは、総発電量の約4割を占める風力発電の出力制御にも力を発揮している。政府はコージェネの燃料を天然ガスからバイオマスや太陽熱などの再生エネに移行し、電気、熱利用とも二酸化炭素(CO2)を排出しない環境に変えていく方針だ。>
これまでの住宅政策、住宅関連企業、電力・ガス会社などのあり方が一変する内容ですので、考え方に共感できても、いかにその方向に制度のパラダイムシフトをするかの道筋を示さないと、絵に描いた餅になりかねません。おそらく飯田氏は相当具体的な策をすでにお持ちだと思いますが、一度勉強したいものです。
<デンマークを参考に北海道で再生エネと分散型電源、地域熱供給を組み合わせた電力と熱のネットワークを構築してみてはどうか。政府が再生エネの主力電源化を本気で目指すなら、それくらいの大胆なトータルデザインが必要だ。>というグランドデザインは期待大ですが、これまた消費者・一人ひとりがついて行けるかも大きな課題でしょう。
と簡単に30分で切り上げることにしました。
今日はこれにておしまい。また明日。