7月28日の早朝、仙台から南相馬へ。
以前から、この地域に「野馬追」という神事があることを知っていたのですが、
福島の浜通り地方にはなかなか足を伸ばす機会がなかったことと東日本大震災での津波や放射能によるダメージで野馬追が2011年は中止、2012年は規模の縮小と、
どうもきっかけがつかめなかったのでした。
そんな矢先の仙台出張。
今年はどんな感じなのかわからないけど、とりあえず行くとだけ決め、研修に来てくださっていた南相馬市の職員さんに、事前に相談し、教わったとおりに行動することにしたのでした(志賀さんありがとうございました!)
で、まずは、仙台から常磐線と代行バスを乗り継いで原町まで向いました。
しかし、今年は行ってみて知ったことなのですが、震災前の9割まで出場する騎馬数が回復したとのこと、ス・ス・ス・素晴らしい!
そして、行列の行われる道路まで、駅から歩いて10分ぐらいでしょうか、甲冑行列に間に合いました。
初めて見た時に、もうめちゃくちゃ感動しました。
心の中では「かっけー」の連発です。
しかもどこまで続くんだ、大行列やぞ・・・
で、ものすごく疑問だったのは、年に1度の野馬追に出るのに、どうしてこうも皆さん馬の扱いに慣れているのか?
ということ。
小学生ぐらいのこどもから高齢の方まで、馬は全く暴走することなく威風堂々たる列を成しているのは、日々の鍛錬の成果なのか?
それにしても、小高地区の方は、まだ線量の関係で居住することはできないと聞いていたけど、なぜにこんなに馬にうまく乗れるのか?
相馬地区ではこれが男のたしなみなのか?
ならばますます「かっけー」です。
もう、感動して涙してしまいました。
そして、この町がこうしてこの伝統の神事をどんな気持ちで守ってきたのかと思うと益々泣けてきました。
行列の見物を途中で切り上げ、急いで甲冑競馬の会場へ。
すでにたくさんの見物客がスタンバイOKという感じで、私は出遅れてしまったようですが、どこに座っても多分、感動できたでしょう。
実際に、甲冑競馬、本当に素晴らしかった。
甲冑着て大変だと思うんですけど、旗を翻し、駆け抜けていく様子はプロの競馬騎手の方みたいでした。
途中でバテテしまった馬、なかなか調子が上がらない馬、それから騎手を振り落として放れ駒となった馬の暴走など、ハプニングもありましたが、
見物客はみな暖かく見守っていました。
というより、私はこの地域が震災で大きな被害を受けているのにこうして伝統を守り、真剣勝負の競争を繰り広げている様子には、刺激を受けました。
大会運営本部からの挨拶の中には「逆境に負けず」と繰り返されていました。
そこにはたくさんの「武士」がいました。
(ご本人様に許可なく使用させていただきました。不都合あればご連絡くださいませ。)
先日から参加している「おとな力向上カフェ」のテーマで「日本人であること」をテーマとして扱っていますが、正直、我々は見落としているものがあります。
それは、日本人の「強さ」です。
粘り強さ、物事の真髄を守り抜く頑固さ、切磋琢磨すること、恥を知り、毅然と凛とすること。
表現の仕方が違うだけで、様々なところで表現されているのかもしれない。
だけど、こんなにここで心が揺れ、震えるなんて、私の日常ではもしかしたら当たり前のことではないのかもしれない。
「はっ」とした。
自分の甘さや、自分の伸び悩んで突破できない部分を見た。
周囲との調和のために、何か押し殺しているものを見た。
もっと昔は、厳しさの中にいたのに、何だろ今の環境・・・
そんなことが自分の蓋を開けて溢れてきた。
多分、こんな瞬間がやってくるということがわかっていたんだろうと思う。
なぜ、野馬追に憧れていたのか。
なぜここに来たのかも。
実は自分の深いところの自分は知っていて、何か本当の強さに触れたかったんだ。
それが叶ってよかった。
なんだかまとまりないけど、つまりは行ってよかった。
相馬の野馬追は世界に誇る日本の文化です。