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〈あらすじ〉
アランに、時間をくれというジュワルを退けたウノ。
その夜、アランはあらためてウノに告げた。
「それでもだめよ」
「どうしてもか?」
「そのかわり、なるべく使道を苦しめないようにする」
そう言って背を向けたアランに、ウノは引き下がらなかった。
「今度はだめだ。簡単に引き下がったりするものか。
正直な気持ちだなんて嘘だと知りながら、かっこつけて理解するふりなんかしないぞ」
「どうするつもり?複雑なことなんか何もない。
わたしはゆき、使道は残る。簡単なことよ。それなのにいったいどうすると?」
アランも苦しんでいるのだ。
ウノはアランを後ろから抱きしめた。
「こうするよ。抱きたければ抱き、捕まえたければ捕まえる。
会いたければ会い、言いたいことはすべていう。
ちくしょう、後のことはそれから考えればいい」
しかし、アランは静かにウノの腕を解き、部屋へ戻って行った。
彼の言うとおり、したいことを全部すればその後はもっとつらくなる。
使道はどうしてそれがわからないんだろう?
アランはチェ大監の屋敷を見に行った。
偶然ジュワルが出てきて、アランの腕を取る。
ふたりは静かな場所で言葉をかわした。
「そなたの心を、わたしにくれないか?
そうしてくれれば、もう少し違った生き方ができるような気がする……」
「若旦那、どうして急にそんなこと……」
アランは、彼の気持ちを受け入れられない。
一度もイ・ソリムを愛したことはない、と言い切るジュワルに、
アランは複雑な思いだった。
巫女に預けた壺は、まだ開かない。
9代前の祖母の本がどうしても見つからないのだ。
「はやくしてね、時間がないの」
アランは巫女に頼んだ。
「聞いたわ。あの世に帰るそうね。
どうせなら一生をくれればいいのに」
「仕方ないわ。じじいたちに言われたとき、気づくべきだった」
「ふたりが何を探しているかは別として、やめたほうがいいわ。
旦那様は何かを耐え、アランさんも一人でいる。
時が惜しくない?日々はどんどん過ぎてゆくわ」
アランは神妙な顔できいている。
「旦那様を残すのが心配?」
アランはうつむいた。巫女はたしなめるように舌打ちする。
「あなたたちだけじゃない。誰にだって死別はあるのよ。
それをこわがって何もしないなんて。
気持ちはわかるけど、もうやめて。
本当に旦那様を思うなら、悔いが残らないようにしてあげなきゃ。
あなたもそうよ。あの世で何をたよりに過ごす気?」
心を与えて別れれば、後がつらいと思うでしょ。
その力で生きるのよ。
心が張り裂けてしまうでしょう。その悲しみで生きられるのが人よ。
それが愛であり、記憶であり、思い出になる。
どれかひとつでもあれば、人は生きてゆけるの。
もし何もなかったら、その時は本当に生きられないわ。
巫女の言葉を、アランはかみしめている。
ムリョンは、壺がひとつ持ち去られていることに気が付いた。
使道の仕業だと断言するジュワル。
使道を刺激し、侵入者を許したチェ大監の失態に怒り心頭のムリョンだが、
大監はアランの正体を教えてやる、と逆に取引を持ちかけた。
「あの老いぼれめが!」
ムリョンは壺を探すよう、手下の悪霊を送り出した。
悪霊たちは、アランの部屋にも現れたが、
壺がないために黙って去る。
何かを感じ、目を覚ましたウノはアランの無事を確かめてほっとした。
なぜ、天帝は必死にムリョンを退治しようとするのか?
アランというもろ刃の剣ともなる餌をまいてまで。
それは、ムリョンの存在を許すことで、世界の秩序が崩れるからだ。
このままではいつか天界も、人間界も、何もかもが滅んでしまうだろう。
天帝は、ウノを信じている。
ムヨンが失敗した後、残された希望だ。
ムリョンが信ずるものは、兄であったムヨンであり、
彼が自分を滅することはないと、わかっている。
目が覚めたアランは、部屋の前で座っていたウノを見つけて驚いた。
「久しぶりだな」とウノ。
「俺をさけていたのか?俺も試してみたが、長くは続かないぞ。
昨日の言葉は取り消さないぞ。そのかわり待つよ。
お前は自分のしたいときにするやつだからな。
ああ、腰が痛い。これだけ言うのに手間をかけさせやがって」
アランはウノに相談した。
チェ大監の家を見張らせた幽霊がいなくなっているのが解せない。
大監に、霊力があるのだろうか?
それともジュワルに?
「幽霊とも知らずにつきまとってるやつだぞ?」
「そうね、告白までしてきたもの。違うわね」
「告白?!」
ウノはぎょっとするが、もちろんアランはジュワルを受け入れられないと断言した。
しかし、いったいあの屋敷の誰が、結界を張るような霊力を持っているというのか。
役所の庭に、大勢の羅卒志願の村人が集まってきた。
慌てる役人三人組をしりめに、ウノはご満悦だ。
トルセに全員を鍛えるよう、命令する。
「これでやっと、役所らしくなった」
チェ大監は、ひそかに針母を連れてこさせ、アランの面通しをした。
そしてアランの正体がイ・ソリムだと確信する。
これで夫人との交渉ができる。
哀れな針母は、秘密を知る者として殺されてしまった。
ムリョンは、大監に病を治すという護符を与えた。
かわりに得た情報は、アランの正体、アランの望み。
娘の一番の望みは、己を殺した者への復讐に間違いない。
それさえわかれば、ジュワルは用済みだ。
「お前はもう手を引け。バカなことは考えるでないぞ」
そう告げられて、ジュワルは顔色を変えた。
巫女は、やっと祖母の本を見つけ、壺を抱えて役所へやってきた。
アランとウノの前で、壺の封印を解く。
すると、中から悪霊が立ち現れた。
悪霊は、アランの体をよこせと迫ってくる。
襲い掛かってくる悪霊と闘うウノ。
師匠の授けてくれた扇で一閃すると、敵は煙のごとく消え去った。
その瞬間、ムリョンはウノの力を感じた。
ウノの扇は、かつて師匠が授けてくれたものだ。
「お師匠様はこうなることを見越していたというのか?」
若い頃、母の心を得たくても得られず、諸国をさまよっていた。
偶然出会った導師が、幽霊を滅ぼす技を教えるというので、一緒に山にこもった。
修行を重ね、最後に授かったのが、この扇だ。
「ウノや、この世には意味のない生も、価値のない死もない。
私とお前、この縁をいつか思い出す時がくるだろう」
あのかんざしは、その時一緒にもらった。
母に贈れば、心を得られるだろうと言われたのだ。
「この先、もっとも切迫する時がきたら、この言葉を思い出せ。
すべての問の始まりは、お前にある」
そう言って、師匠は去った。
「その人とはもう会えないの?」とアランはきいた。
「うん、何か特別の縁がなければ会えないだろうな」
「そんな扇をくれるくらいだから、いろいろ知ってるかと思ったんだけど……」
そうとばかりは限らない。
母にかんざしを渡したあの日から、母は失踪したのだから。
ウノは、何か言いたげなアランの手が小刻みに震えているのを見た。
「どうした?何があったのか言ってみろ」
「……悪霊たちがわたしの体を欲しがるの。
洞窟の悪霊もそうだった。もし本当ならたいへんなことになるって。
どういうことなのかな?なぜわたしをこんな体にして送り返したんだろう?
ムヨンに会わなくちゃ……」
ムリョンは、ウノの力にあらためて気が付いた。
アランの正体を知りつつ一緒にいるあの男。
うかつだった。このまま放っておくわけにはいかぬ。
「ムヨン!ムヨン!」
アランは夜空に向かって呼びかけたが、ムヨンはあらわれなかった。
「こうしていても仕方ない。悪霊を呼ぶ方法を考えるか」
アランはあきらめて部屋へ戻る。
ひとりで月を見上げていたウノの背後に、ムヨンが立った。
「なぜ悪霊がアランの体を欲しがる?お前たちは何を考えているのだ」
「アランは不死の身だ。人にとってはどうということもないが、
悪霊がその体を得れば永遠に生きられる」
「どういう意味だ?」
「キム・ウノ、アランを守れ」
「なんの戯言かしらんが、それなら奴らを一掃して行け。それがお前たちの仕事だろう」
ウノは、そのまま夜中にこっそりと大監の屋敷に忍び込んだ。
木柱に刻まれた護符を扇で仰ぐと、またたくまに消え去った。
祠堂に入ると、誰もいない。
ウノは先日見つけた地下道に潜ろうと、ムヨンとともに悪霊を斬った。
地下への入り口を扇であける。
「これを誰にもらったか気になるか?俺のお師匠さまだよ」
「玉皇上帝だ」
ムヨンの言葉にウノは驚いた。
「なんだと?おい、死神!」
一足先に降りて行ったムヨンを追って、地下に下る。
そこに立っていたのは、ムリョン。
ウノは言葉を失う。
「は、母上……」
(つづく)
ガーン!忘れかけていた母上の存在が急浮上。
これでまたウノはマザコン道まっしぐらのイタイお子ちゃまに戻ってしまうのでしょうか?
しかし今や愛する女性がいますからね~。
ジュワルと同じ心理構造になっているウノくんが、
恋敵と協力してお母さんの呪縛から解き放たれるといいな。
ってか、そういう展開にならざるを得ないだろう、物語としては。
わざとなんだと思うけど、ちょっと観ていてめんどくさいというか、
もたつく感じのストーリー展開になってる気がする。
視聴者にはすでにわかっていることがあるじゃん。
なぜ悪霊たちはアランの体を欲しがるのか、とか。
ウノの役割はなんなのか、とか。
当の本人たちがわかってなくてウロウロしているのが、
こっちとしては非常にもどかしい。
あれ?まだわかってないの?と感じます。
謎解き部分があまりうまくないのかな、と。
ミステリーな部分に視聴者を巻き込んでドラマを引っ張っていくつもりなら、
そのへんは最後までわからない部分を残しておくとかね。
主人公たちと一緒に「はてな?」と思いながら進めるラインを残しておいてほしかった。
ここまでくると、あとは登場人物たちがどう落としどころを見つけていくのか、という点が
興味の対象であり、視聴意欲にかかわってくるんだと思うわけ。
セリフまわしとか、ドラマチックな演出とか、
うまくやってくれないと、わかっていたことを予想通りにえんえん説明しつつ
ラストまで6話も引っ張る形になってしまう。
そうなると、案外つまんなかったな、という印象に落ち着きそうで心配です。
ただね、今回、巫女のセリフがすっごくいいんですよ。
コメディ部分担当かと侮っていた巫女パンウリが、人生哲学を語るシーン。
わたしは感動したな~。
ただの刹那主義とは違う、人生の真理って気がして、ジーンときました。
こういう感じでね、要所要所を押さえてくれれば、この後も楽しめるだろうな、と
期待しております。
ウノの師匠でチョン・ボソク氏が登場したときは「おおっ!」とつぶやいてしまった。
ハイキック以来のボ様ファンですので、ちょこっとテンションあがりました。
わたくしの主観にすぎないと思いますが、またこのボ様の抑えた演技がイイ!
「天帝が姿を変えた存在なんだ」ということがよく伝わってきます。
壮年のボ様の向こうに、スンホ君がちゃんと透けて見える。
ここが素晴らしいと思いましたね。
そのあたり、ホンリョン夫人は弱いんですよ。
そもそも、中身であるムリョンの印象が弱い。
ムリョンを演じる女優さんはわたし、好きな人なんですけどね。
ムリョンがどういう性格の女性だったのか、どういうしぐさ、雰囲気の人なのか、
露出がほぼなかったでしょう?
そのせいか、ホンリョン夫人が「体を乗っ取られてる人」に見えないんですね。
最初は役者さんがよくないのか、と思ったけれど、
まあ、ここはわざとそういう演出なのかな。
最初の頃、悪さをしている女がウノのお母さんだった、ガーン!みたいなミスリードが必要でしたからね。
失踪前のお母さんの状態が、乗っ取られた今のお母さんとあんま変わんない、というのは、
視聴者をモヤモヤさせるための演出なんだろうな、と思います。
んで、最後は、お母さんが失踪したのは、かんざしをもらって本来の母の心を取り戻して、
ウノを立派にするためにあえて選択した結果だったのだ、ということになるのかな?
恨みつらみを持ち続けながら放浪して、ムリョンに付け込まれ乗っ取られた、
という可能性はまだ消えないけどねぇ。
そう考えると、ラストまで見えているようでまだはっきりしていない部分も残っていますな。
ムリョンは、アランの真の願いを見切ったつもりになっているけど、
たぶん、彼女の望みは復讐ではない。
その誤算が、ムリョンを滅ぼすカギになるんじゃないかなー。
いろいろふっきって開き直ったウノの活躍に期待します。
マザコンラインを断ち切って大人におなり。
アランに、時間をくれというジュワルを退けたウノ。
その夜、アランはあらためてウノに告げた。
「それでもだめよ」
「どうしてもか?」
「そのかわり、なるべく使道を苦しめないようにする」
そう言って背を向けたアランに、ウノは引き下がらなかった。
「今度はだめだ。簡単に引き下がったりするものか。
正直な気持ちだなんて嘘だと知りながら、かっこつけて理解するふりなんかしないぞ」
「どうするつもり?複雑なことなんか何もない。
わたしはゆき、使道は残る。簡単なことよ。それなのにいったいどうすると?」
アランも苦しんでいるのだ。
ウノはアランを後ろから抱きしめた。
「こうするよ。抱きたければ抱き、捕まえたければ捕まえる。
会いたければ会い、言いたいことはすべていう。
ちくしょう、後のことはそれから考えればいい」
しかし、アランは静かにウノの腕を解き、部屋へ戻って行った。
彼の言うとおり、したいことを全部すればその後はもっとつらくなる。
使道はどうしてそれがわからないんだろう?
アランはチェ大監の屋敷を見に行った。
偶然ジュワルが出てきて、アランの腕を取る。
ふたりは静かな場所で言葉をかわした。
「そなたの心を、わたしにくれないか?
そうしてくれれば、もう少し違った生き方ができるような気がする……」
「若旦那、どうして急にそんなこと……」
アランは、彼の気持ちを受け入れられない。
一度もイ・ソリムを愛したことはない、と言い切るジュワルに、
アランは複雑な思いだった。
巫女に預けた壺は、まだ開かない。
9代前の祖母の本がどうしても見つからないのだ。
「はやくしてね、時間がないの」
アランは巫女に頼んだ。
「聞いたわ。あの世に帰るそうね。
どうせなら一生をくれればいいのに」
「仕方ないわ。じじいたちに言われたとき、気づくべきだった」
「ふたりが何を探しているかは別として、やめたほうがいいわ。
旦那様は何かを耐え、アランさんも一人でいる。
時が惜しくない?日々はどんどん過ぎてゆくわ」
アランは神妙な顔できいている。
「旦那様を残すのが心配?」
アランはうつむいた。巫女はたしなめるように舌打ちする。
「あなたたちだけじゃない。誰にだって死別はあるのよ。
それをこわがって何もしないなんて。
気持ちはわかるけど、もうやめて。
本当に旦那様を思うなら、悔いが残らないようにしてあげなきゃ。
あなたもそうよ。あの世で何をたよりに過ごす気?」
心を与えて別れれば、後がつらいと思うでしょ。
その力で生きるのよ。
心が張り裂けてしまうでしょう。その悲しみで生きられるのが人よ。
それが愛であり、記憶であり、思い出になる。
どれかひとつでもあれば、人は生きてゆけるの。
もし何もなかったら、その時は本当に生きられないわ。
巫女の言葉を、アランはかみしめている。
ムリョンは、壺がひとつ持ち去られていることに気が付いた。
使道の仕業だと断言するジュワル。
使道を刺激し、侵入者を許したチェ大監の失態に怒り心頭のムリョンだが、
大監はアランの正体を教えてやる、と逆に取引を持ちかけた。
「あの老いぼれめが!」
ムリョンは壺を探すよう、手下の悪霊を送り出した。
悪霊たちは、アランの部屋にも現れたが、
壺がないために黙って去る。
何かを感じ、目を覚ましたウノはアランの無事を確かめてほっとした。
なぜ、天帝は必死にムリョンを退治しようとするのか?
アランというもろ刃の剣ともなる餌をまいてまで。
それは、ムリョンの存在を許すことで、世界の秩序が崩れるからだ。
このままではいつか天界も、人間界も、何もかもが滅んでしまうだろう。
天帝は、ウノを信じている。
ムヨンが失敗した後、残された希望だ。
ムリョンが信ずるものは、兄であったムヨンであり、
彼が自分を滅することはないと、わかっている。
目が覚めたアランは、部屋の前で座っていたウノを見つけて驚いた。
「久しぶりだな」とウノ。
「俺をさけていたのか?俺も試してみたが、長くは続かないぞ。
昨日の言葉は取り消さないぞ。そのかわり待つよ。
お前は自分のしたいときにするやつだからな。
ああ、腰が痛い。これだけ言うのに手間をかけさせやがって」
アランはウノに相談した。
チェ大監の家を見張らせた幽霊がいなくなっているのが解せない。
大監に、霊力があるのだろうか?
それともジュワルに?
「幽霊とも知らずにつきまとってるやつだぞ?」
「そうね、告白までしてきたもの。違うわね」
「告白?!」
ウノはぎょっとするが、もちろんアランはジュワルを受け入れられないと断言した。
しかし、いったいあの屋敷の誰が、結界を張るような霊力を持っているというのか。
役所の庭に、大勢の羅卒志願の村人が集まってきた。
慌てる役人三人組をしりめに、ウノはご満悦だ。
トルセに全員を鍛えるよう、命令する。
「これでやっと、役所らしくなった」
チェ大監は、ひそかに針母を連れてこさせ、アランの面通しをした。
そしてアランの正体がイ・ソリムだと確信する。
これで夫人との交渉ができる。
哀れな針母は、秘密を知る者として殺されてしまった。
ムリョンは、大監に病を治すという護符を与えた。
かわりに得た情報は、アランの正体、アランの望み。
娘の一番の望みは、己を殺した者への復讐に間違いない。
それさえわかれば、ジュワルは用済みだ。
「お前はもう手を引け。バカなことは考えるでないぞ」
そう告げられて、ジュワルは顔色を変えた。
巫女は、やっと祖母の本を見つけ、壺を抱えて役所へやってきた。
アランとウノの前で、壺の封印を解く。
すると、中から悪霊が立ち現れた。
悪霊は、アランの体をよこせと迫ってくる。
襲い掛かってくる悪霊と闘うウノ。
師匠の授けてくれた扇で一閃すると、敵は煙のごとく消え去った。
その瞬間、ムリョンはウノの力を感じた。
ウノの扇は、かつて師匠が授けてくれたものだ。
「お師匠様はこうなることを見越していたというのか?」
若い頃、母の心を得たくても得られず、諸国をさまよっていた。
偶然出会った導師が、幽霊を滅ぼす技を教えるというので、一緒に山にこもった。
修行を重ね、最後に授かったのが、この扇だ。
「ウノや、この世には意味のない生も、価値のない死もない。
私とお前、この縁をいつか思い出す時がくるだろう」
あのかんざしは、その時一緒にもらった。
母に贈れば、心を得られるだろうと言われたのだ。
「この先、もっとも切迫する時がきたら、この言葉を思い出せ。
すべての問の始まりは、お前にある」
そう言って、師匠は去った。
「その人とはもう会えないの?」とアランはきいた。
「うん、何か特別の縁がなければ会えないだろうな」
「そんな扇をくれるくらいだから、いろいろ知ってるかと思ったんだけど……」
そうとばかりは限らない。
母にかんざしを渡したあの日から、母は失踪したのだから。
ウノは、何か言いたげなアランの手が小刻みに震えているのを見た。
「どうした?何があったのか言ってみろ」
「……悪霊たちがわたしの体を欲しがるの。
洞窟の悪霊もそうだった。もし本当ならたいへんなことになるって。
どういうことなのかな?なぜわたしをこんな体にして送り返したんだろう?
ムヨンに会わなくちゃ……」
ムリョンは、ウノの力にあらためて気が付いた。
アランの正体を知りつつ一緒にいるあの男。
うかつだった。このまま放っておくわけにはいかぬ。
「ムヨン!ムヨン!」
アランは夜空に向かって呼びかけたが、ムヨンはあらわれなかった。
「こうしていても仕方ない。悪霊を呼ぶ方法を考えるか」
アランはあきらめて部屋へ戻る。
ひとりで月を見上げていたウノの背後に、ムヨンが立った。
「なぜ悪霊がアランの体を欲しがる?お前たちは何を考えているのだ」
「アランは不死の身だ。人にとってはどうということもないが、
悪霊がその体を得れば永遠に生きられる」
「どういう意味だ?」
「キム・ウノ、アランを守れ」
「なんの戯言かしらんが、それなら奴らを一掃して行け。それがお前たちの仕事だろう」
ウノは、そのまま夜中にこっそりと大監の屋敷に忍び込んだ。
木柱に刻まれた護符を扇で仰ぐと、またたくまに消え去った。
祠堂に入ると、誰もいない。
ウノは先日見つけた地下道に潜ろうと、ムヨンとともに悪霊を斬った。
地下への入り口を扇であける。
「これを誰にもらったか気になるか?俺のお師匠さまだよ」
「玉皇上帝だ」
ムヨンの言葉にウノは驚いた。
「なんだと?おい、死神!」
一足先に降りて行ったムヨンを追って、地下に下る。
そこに立っていたのは、ムリョン。
ウノは言葉を失う。
「は、母上……」
(つづく)
ガーン!忘れかけていた母上の存在が急浮上。
これでまたウノはマザコン道まっしぐらのイタイお子ちゃまに戻ってしまうのでしょうか?
しかし今や愛する女性がいますからね~。
ジュワルと同じ心理構造になっているウノくんが、
恋敵と協力してお母さんの呪縛から解き放たれるといいな。
ってか、そういう展開にならざるを得ないだろう、物語としては。
わざとなんだと思うけど、ちょっと観ていてめんどくさいというか、
もたつく感じのストーリー展開になってる気がする。
視聴者にはすでにわかっていることがあるじゃん。
なぜ悪霊たちはアランの体を欲しがるのか、とか。
ウノの役割はなんなのか、とか。
当の本人たちがわかってなくてウロウロしているのが、
こっちとしては非常にもどかしい。
あれ?まだわかってないの?と感じます。
謎解き部分があまりうまくないのかな、と。
ミステリーな部分に視聴者を巻き込んでドラマを引っ張っていくつもりなら、
そのへんは最後までわからない部分を残しておくとかね。
主人公たちと一緒に「はてな?」と思いながら進めるラインを残しておいてほしかった。
ここまでくると、あとは登場人物たちがどう落としどころを見つけていくのか、という点が
興味の対象であり、視聴意欲にかかわってくるんだと思うわけ。
セリフまわしとか、ドラマチックな演出とか、
うまくやってくれないと、わかっていたことを予想通りにえんえん説明しつつ
ラストまで6話も引っ張る形になってしまう。
そうなると、案外つまんなかったな、という印象に落ち着きそうで心配です。
ただね、今回、巫女のセリフがすっごくいいんですよ。
コメディ部分担当かと侮っていた巫女パンウリが、人生哲学を語るシーン。
わたしは感動したな~。
ただの刹那主義とは違う、人生の真理って気がして、ジーンときました。
こういう感じでね、要所要所を押さえてくれれば、この後も楽しめるだろうな、と
期待しております。
ウノの師匠でチョン・ボソク氏が登場したときは「おおっ!」とつぶやいてしまった。
ハイキック以来のボ様ファンですので、ちょこっとテンションあがりました。
わたくしの主観にすぎないと思いますが、またこのボ様の抑えた演技がイイ!
「天帝が姿を変えた存在なんだ」ということがよく伝わってきます。
壮年のボ様の向こうに、スンホ君がちゃんと透けて見える。
ここが素晴らしいと思いましたね。
そのあたり、ホンリョン夫人は弱いんですよ。
そもそも、中身であるムリョンの印象が弱い。
ムリョンを演じる女優さんはわたし、好きな人なんですけどね。
ムリョンがどういう性格の女性だったのか、どういうしぐさ、雰囲気の人なのか、
露出がほぼなかったでしょう?
そのせいか、ホンリョン夫人が「体を乗っ取られてる人」に見えないんですね。
最初は役者さんがよくないのか、と思ったけれど、
まあ、ここはわざとそういう演出なのかな。
最初の頃、悪さをしている女がウノのお母さんだった、ガーン!みたいなミスリードが必要でしたからね。
失踪前のお母さんの状態が、乗っ取られた今のお母さんとあんま変わんない、というのは、
視聴者をモヤモヤさせるための演出なんだろうな、と思います。
んで、最後は、お母さんが失踪したのは、かんざしをもらって本来の母の心を取り戻して、
ウノを立派にするためにあえて選択した結果だったのだ、ということになるのかな?
恨みつらみを持ち続けながら放浪して、ムリョンに付け込まれ乗っ取られた、
という可能性はまだ消えないけどねぇ。
そう考えると、ラストまで見えているようでまだはっきりしていない部分も残っていますな。
ムリョンは、アランの真の願いを見切ったつもりになっているけど、
たぶん、彼女の望みは復讐ではない。
その誤算が、ムリョンを滅ぼすカギになるんじゃないかなー。
いろいろふっきって開き直ったウノの活躍に期待します。
マザコンラインを断ち切って大人におなり。
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