何度観ても、ウノの使道姿が凛々しいです。官服が似合うわ。
〈あらすじ〉
ウノはアランに愛を告白するが、アランは受け入れない。
「それがお前の正直な気持ちか?」
「ええ」
ウノは、静かにその答えを受け入れた。
「そうか、わかった。もう行け」
アランも、ウノも、今夜は眠れそうになかった。
翌朝、ウノは市場へ出かけた。
羅卒募集の張り紙や、村人の挨拶。
ウノもだんだんと使道らしくなっている。
市場で求めたのは、アランの靴。
いつまでもわらじではかわいそうだ。
ウノは、アランにてずから靴を履かせてやった。
いつもと変わらぬウノの態度に、不安げなアラン。
「怖がるな、アラン。何を考えているかはわかってる。
天上に送ってやるといったろう?それに専念するさ」
ウノは、アランの心を少しでも軽くしてやりたいのだ。
「着たいものや食べたいものは行く前に何でも言え。
この兄上がかなえてやるよ」
「ほんとに?」
「言ってみろ」
「じゃ、桃は必ず毎日用意して。あと、三度の食事は欠かさずにね。
使道が抜くと、わたしも忘れられちゃうんだから」
「なんだ、食いもののことだけか?」
「うん、満腹の幽霊は色つやもいい」
ふたりは少しだけ笑った。
相変わらずトルセの怒りは治まらないようだったが、仕方がない。
ふたりは巫女のところへ護符について尋ねにいった。
チェ大監のもとにあったしるしは、天を遮る結界だった。
誰が、なんのために?
チェ大監は、夫人とジュワルの思惑を探ろうと調べ始めた。
そして、アランが不死の存在であることに気が付いた。
彼女が、イ・ソリムであることも。
「死の真実を知ることが、今は怖い」
「怖がるな、真実が何であれ、天上へ行けばいい。俺に任せろ」
ウノは、チェ大監の屋敷に忍び込むことにした。
天界では、ムヨンが心を決めていた。
ムリョンを討つ準備はできている。
「お前に確信があるなら、そうしよう」
天帝はムヨンに小刀を渡す。
彼がムリョンを倒せる唯一の者であるのは、彼が肉親だから。
その情を断ち切れるほどの強い思いだけが、彼女を滅ぼせる。
一撃。
最初の一撃を心臓に打ち込むしか、手はない。チャンスは一度しかない。
アランとウノは、屋敷の前に来た。
ウノは密かに忍び込み、アランは目立たぬように暗がりに息をひそめる。
ムリョンは、そのアランの気配を感じ、一目顔を見てやろうと祠堂を抜け出した。
と、そこへ現れたのはムヨン。
思わぬ出会いにも、ムリョンは不敵に笑った。
ムリョンは、天女であったが、どうしても人間になりたかった。
そのため、死んだ直後の女の体に乗り移ったのだ。
気づいたムヨンは、それを許さなかった。
ムリョンを捕え、天帝に差し出した。
天帝は彼女を追いだしたが、そのことを深く深く、彼女は恨んでいる。
自分を助けてくれなかった兄を。
実の妹であっても、罪もない者を殺して命を長らえる存在など許せない。
人間でもなく、怨霊でもなく、生きながらえる哀れな妹。
ムヨンは彼女を滅すべく小刀を取り出したが、どうしても手を下すことができなかった。
「まだ再会の時ではなかったのに。油断したわ。また会いましょう、兄さま」
そのころウノは、ムリョンが留守にした祠堂に侵入していた。
師匠にもらった扇が役に立った。
隠されていた地下に潜ると、いくつもの壺がある。
ウノはそのひとつを抱えて外に出た。
屋敷の外では、アランがウノを待っている。
そこへジュワルが声をかけた。
「何をしているんですか、ここにいてはいけない!」
ジュワルがアランを帰そうとしたところへ、ムリョンが登場。
「そちらはどなた?」
必死でアランをかばい、隠すジュワルに意味深な視線をやるムリョン。
「わたしはジュワルの叔母だ。今度遊びにくるといい。
美しいお嬢さんだこと」
ムリョンはアランをじっくりと眺めて、屋敷へ戻って行った。
ジュワルは、アランの手を固く固く握っていた。
「若旦那、手を、離して?」
痛そうに手をさするアランに、ジュワルは謝った。
「すまない。叔母が来ているんだ。帰り道は気をつけて」
そういって帰るジュワルをじっと見つめるアラン。
その様子をすべて見ていたウノは、
「どうした?いったん帰るぞ」と静かに声をかけた。
一向に娘を差し出す気のないジュワルに、ムリョンは腹を立てている。
「お前には特別に機会をやったというのに。
金、名誉、権力、復讐、限りない人の欲とは違い、
お前の望みはささやかなものだった。
人らしく暮らしたい、と。温かい家で食事をして暮すこと、
そして母を望んだ。
あんまり簡単な望みだったから、悪いと思って機会をやったのに。
恩知らずめ!わたしのものを狙うとは!」
アランとウノは取ってきた壺を調べている。
すごく冷たいし、イヤな気を感じる。ふたは開かない。
ウノはごろりと横になった。
「巫女のところへいくさ」
「わかるわけないわ。わたしのことだって声しか聞こえなかったもの」
返事もせず、目をつぶってしまったウノを見て、アランは部屋へ戻ろうとする。
「アラン」
ウノはアランを呼びとめて、目をつむったまま言った。
「お前が俺を見ないのは仕方ないが、
別の奴を見るのは耐えられない」
アランは黙って部屋を出て行った。
翌朝、ウノは壺を持って巫女のところへ出向いた。
一緒に行くというアランを置いて。
巫女にはなんとか、壺の封印を解いてもらわねばならない。
簡単にはいかないだろうが、とにかくやってみなくては。
アランは役所でウノの帰りを待っている。
トルセを見つけて、声をかけた。
「怒るのは無理ないけど、使道を助けてあげて。
わたしはもうすぐあの世に帰るから、少しだけ辛抱して」
その様子を見ていたウノは、トルセに説明してやった。
アランは、イ・ソリムだと。
「俺は身勝手な男だったが、かわったんだ。幽霊に惚れたわけじゃない。
初めて自分以外のものが心配になったんだ。
俺よりもお前の方が偉いと最近思うようになったよ。
両班の地位に生まれたというだけの人間より、
人を思いやる心をもったお前のような人間が使道になるべきだ」
トルセは一応の理解を示した。
相変わらず若旦那の様子はおかしいと思うけれど。
ウノは、チェ大監の情報を集め始めた。
もともとは漢陽の人間だったチェ大監。
彼を左遷した張本人が、キム大監、ウノの父親であったわけだ。
意外なつながりに気づかされた。
ジュワルは物憂げに部屋にこもっている。
食事の膳が届けられたが、とても食べる気にならない。
ホンリョンの言葉が頭によみがえる。
温かい家で飯を食べながら暮らすことを望んだ自分。
そんな願いと引き換えに、自分は何を差し出さねばならなかったのか。
思わずジュワルは膳をひっくり返していた。
「使道のことばかり考えている場合じゃない」
アランは立ち上がった。
チェ大監の家に、張りこませたはずの幽霊を探しに行くという。
「俺が行く」
「わたしがいく」
「俺が行くって」
「わたしのことだもの」
「素直に聞け!」
ウノの剣幕に、向き合うアラン。
「なぜわたしを避けるの?なぜ目もあわせないの?なぜ一日中……」
「わからないからだ」
「どうすべきか、わからないからだ。
お前を困らせないと約束したが、簡単じゃない。
必死で耐えているのに、お前が、あいつを見た。
その瞬間、抑えていた心が波だったよ。
心が乱れて手に負えなくなった。
それで、あの夜を悔やんだ。
あの言葉を信じたりせず、説得すればよかったと。
でもダメだろ?こころ穏やかに天上に送ると約束したのに、
今更覆せるはずもない。
だから、どうしていいかわからなくて。
くそっ、何がこんなに複雑なんだ!」
ウノは、そう言って去って行った。
ところが、役所の門を出ようとしたとき、
アランを訪ねてきたジュワルと顔を合わせた。
ジュワルは、アランに「少しだけ時間をくれないか」と頼みに来たのだ。
アランがどう返事をしたらいいか戸惑っていると、
ウノが戻ってきた。
「それはできないな」
「わたしは彼女に用が……」
「できないと言っただろう。
アランは行かせないから、失せろ」
男たちが睨み合った。
(つづく)
大事なシーンなので2回放映します。やめてくれ!by ウノ
最初はね、すっきりさっぱり恋心を封印して、
自分のことを「オラボニ(兄上)」と言ったりして、
なんとかアランを楽にしてやろうとするウノくんに心打たれました。
紳士ね~!と感激。
それが、「お前が俺を見ないのは仕方ないが、別の奴を見るのは耐えられない」
などと弱音を吐くくだりになって、せつなさ倍増。
最終的には、アランを避けて避けて、無理がたたって大爆発を起こしてしまうウノ君。
爆発してすっきりした後は、以前のウノ君に戻って、
アランを自分のものとしてジュワルを退ける傲慢王子に……。
いいわー、この恋する若者の迷走っぷり。
てか、なんでいつも言うこと聞いちゃうんだ、ジュワルは。
そもそも貧民の出だということで押しが弱いのか?
おやじには強く出るくせにな。
強気が魅力のウノが弱っている姿もいとおしいし、
開き直った彼の姿もまた素敵。
たった1時間のドラマにして、一粒で二度おいしい展開でよかった。
それもこれも、マザコン気質が一時的に封印されているからだと思うのよ~。
愛する女性のためになりふり構わず、ってとこが、ぐっとくるんですね。
恋する男のカラ元気もよし、
イジイジ悶々な姿もまたよろし。
女の子だけじゃなくて、男子もこういうふうになっちゃうものなんですね。
ひるがえって、気弱男子ジュワルの苦悩は深い。
牛の餌をすすって生き延びるみじめさは、ひどいものだったでしょう。
罪もない無垢な乙女を殺めてでも、人間らしく生きたかった……。
ただ、その生贄を愛してしまったら?
大事な誰かを殺すことで得られる幸せなど、真の幸福と言えるだろうか?
まぁ、まだまだ愛の段階としては初歩の初歩なんですけどね~。
最終的には、相手の幸福だけを考える無償の愛の域に達してくれればいいと思います。
そうなればムリョンを滅するお手伝いをしてくれると思うのよね。
ムリョンが乗っ取ったホンリョン夫人とウノは、母子の関係。
そしてムリョンは、ジュワルと擬似的な母子の關係を築いています。
支配する母と、言うなりになる息子だけど。
そもそものホンリョン夫人とウノは、母子関係が成立していたかどうかも疑わしいわけで。
息子がエディプス・コンプレックスを乗り越え、
一人前の男となるためには、父親殺しを経なければならない、という学説もありますが、
今回のドラマの場合は、
直接的に母親を殺すことでしか、ふたりの自立は得られない。
ジュワルの父もウノの父も存在しないも同然ですから。
もしかしたら終盤、なんらかの形で父親の存在がクローズアップされるかもわからないですが。
とにかくいろんな意味でムリョン(ホンリョン)はラスボスなわけで、
どう料理されるか楽しみです。
ムヨンは腰抜けだったしなぁ~。
しかし、天女も死神も元人間っていう設定はデフォなの?
それともこの兄妹がイレギュラー?
そのへんの設定が曖昧というか、はっきり提示されていないように感じるので、
おいおい、天部の管理がずさんすぎるせいでこんなことになっちゃってんでしょ?感が残る。
何千万年もの間、秩序が保たれていたのは運用側の倫理感のおかげであり、
そもそもシステムに欠陥があるんじゃないか、と。
閻魔が天帝を非難するのも、もっともです。
物語としての整合性は深く追求しないけど、
「そりゃそうなってもしょうがないよね~」っていう納得感を与えてほしいなぁと思います。
いまのところ、天女として何不自由なく暮らしていけたはずのムリョンが、
必死になって人間になりたがった理由がよくわからん。
人間として現世で生きるって、楽しいけどつらいことも多いものね。
ん……でもまぁ、刺激があって楽しいかな、下界の方が。
今回、チェ大監の若い頃のお姿が回想シーンで出てまいりまして驚愕。
若い!
そしていい男じゃないですか!
年月って、容赦ないですね……。
実子も持たず延々と魔女に仕える……。お前は基本Мだろ。
〈あらすじ〉
ウノはアランに愛を告白するが、アランは受け入れない。
「それがお前の正直な気持ちか?」
「ええ」
ウノは、静かにその答えを受け入れた。
「そうか、わかった。もう行け」
アランも、ウノも、今夜は眠れそうになかった。
翌朝、ウノは市場へ出かけた。
羅卒募集の張り紙や、村人の挨拶。
ウノもだんだんと使道らしくなっている。
市場で求めたのは、アランの靴。
いつまでもわらじではかわいそうだ。
ウノは、アランにてずから靴を履かせてやった。
いつもと変わらぬウノの態度に、不安げなアラン。
「怖がるな、アラン。何を考えているかはわかってる。
天上に送ってやるといったろう?それに専念するさ」
ウノは、アランの心を少しでも軽くしてやりたいのだ。
「着たいものや食べたいものは行く前に何でも言え。
この兄上がかなえてやるよ」
「ほんとに?」
「言ってみろ」
「じゃ、桃は必ず毎日用意して。あと、三度の食事は欠かさずにね。
使道が抜くと、わたしも忘れられちゃうんだから」
「なんだ、食いもののことだけか?」
「うん、満腹の幽霊は色つやもいい」
ふたりは少しだけ笑った。
相変わらずトルセの怒りは治まらないようだったが、仕方がない。
ふたりは巫女のところへ護符について尋ねにいった。
チェ大監のもとにあったしるしは、天を遮る結界だった。
誰が、なんのために?
チェ大監は、夫人とジュワルの思惑を探ろうと調べ始めた。
そして、アランが不死の存在であることに気が付いた。
彼女が、イ・ソリムであることも。
「死の真実を知ることが、今は怖い」
「怖がるな、真実が何であれ、天上へ行けばいい。俺に任せろ」
ウノは、チェ大監の屋敷に忍び込むことにした。
天界では、ムヨンが心を決めていた。
ムリョンを討つ準備はできている。
「お前に確信があるなら、そうしよう」
天帝はムヨンに小刀を渡す。
彼がムリョンを倒せる唯一の者であるのは、彼が肉親だから。
その情を断ち切れるほどの強い思いだけが、彼女を滅ぼせる。
一撃。
最初の一撃を心臓に打ち込むしか、手はない。チャンスは一度しかない。
アランとウノは、屋敷の前に来た。
ウノは密かに忍び込み、アランは目立たぬように暗がりに息をひそめる。
ムリョンは、そのアランの気配を感じ、一目顔を見てやろうと祠堂を抜け出した。
と、そこへ現れたのはムヨン。
思わぬ出会いにも、ムリョンは不敵に笑った。
ムリョンは、天女であったが、どうしても人間になりたかった。
そのため、死んだ直後の女の体に乗り移ったのだ。
気づいたムヨンは、それを許さなかった。
ムリョンを捕え、天帝に差し出した。
天帝は彼女を追いだしたが、そのことを深く深く、彼女は恨んでいる。
自分を助けてくれなかった兄を。
実の妹であっても、罪もない者を殺して命を長らえる存在など許せない。
人間でもなく、怨霊でもなく、生きながらえる哀れな妹。
ムヨンは彼女を滅すべく小刀を取り出したが、どうしても手を下すことができなかった。
「まだ再会の時ではなかったのに。油断したわ。また会いましょう、兄さま」
そのころウノは、ムリョンが留守にした祠堂に侵入していた。
師匠にもらった扇が役に立った。
隠されていた地下に潜ると、いくつもの壺がある。
ウノはそのひとつを抱えて外に出た。
屋敷の外では、アランがウノを待っている。
そこへジュワルが声をかけた。
「何をしているんですか、ここにいてはいけない!」
ジュワルがアランを帰そうとしたところへ、ムリョンが登場。
「そちらはどなた?」
必死でアランをかばい、隠すジュワルに意味深な視線をやるムリョン。
「わたしはジュワルの叔母だ。今度遊びにくるといい。
美しいお嬢さんだこと」
ムリョンはアランをじっくりと眺めて、屋敷へ戻って行った。
ジュワルは、アランの手を固く固く握っていた。
「若旦那、手を、離して?」
痛そうに手をさするアランに、ジュワルは謝った。
「すまない。叔母が来ているんだ。帰り道は気をつけて」
そういって帰るジュワルをじっと見つめるアラン。
その様子をすべて見ていたウノは、
「どうした?いったん帰るぞ」と静かに声をかけた。
一向に娘を差し出す気のないジュワルに、ムリョンは腹を立てている。
「お前には特別に機会をやったというのに。
金、名誉、権力、復讐、限りない人の欲とは違い、
お前の望みはささやかなものだった。
人らしく暮らしたい、と。温かい家で食事をして暮すこと、
そして母を望んだ。
あんまり簡単な望みだったから、悪いと思って機会をやったのに。
恩知らずめ!わたしのものを狙うとは!」
アランとウノは取ってきた壺を調べている。
すごく冷たいし、イヤな気を感じる。ふたは開かない。
ウノはごろりと横になった。
「巫女のところへいくさ」
「わかるわけないわ。わたしのことだって声しか聞こえなかったもの」
返事もせず、目をつぶってしまったウノを見て、アランは部屋へ戻ろうとする。
「アラン」
ウノはアランを呼びとめて、目をつむったまま言った。
「お前が俺を見ないのは仕方ないが、
別の奴を見るのは耐えられない」
アランは黙って部屋を出て行った。
翌朝、ウノは壺を持って巫女のところへ出向いた。
一緒に行くというアランを置いて。
巫女にはなんとか、壺の封印を解いてもらわねばならない。
簡単にはいかないだろうが、とにかくやってみなくては。
アランは役所でウノの帰りを待っている。
トルセを見つけて、声をかけた。
「怒るのは無理ないけど、使道を助けてあげて。
わたしはもうすぐあの世に帰るから、少しだけ辛抱して」
その様子を見ていたウノは、トルセに説明してやった。
アランは、イ・ソリムだと。
「俺は身勝手な男だったが、かわったんだ。幽霊に惚れたわけじゃない。
初めて自分以外のものが心配になったんだ。
俺よりもお前の方が偉いと最近思うようになったよ。
両班の地位に生まれたというだけの人間より、
人を思いやる心をもったお前のような人間が使道になるべきだ」
トルセは一応の理解を示した。
相変わらず若旦那の様子はおかしいと思うけれど。
ウノは、チェ大監の情報を集め始めた。
もともとは漢陽の人間だったチェ大監。
彼を左遷した張本人が、キム大監、ウノの父親であったわけだ。
意外なつながりに気づかされた。
ジュワルは物憂げに部屋にこもっている。
食事の膳が届けられたが、とても食べる気にならない。
ホンリョンの言葉が頭によみがえる。
温かい家で飯を食べながら暮らすことを望んだ自分。
そんな願いと引き換えに、自分は何を差し出さねばならなかったのか。
思わずジュワルは膳をひっくり返していた。
「使道のことばかり考えている場合じゃない」
アランは立ち上がった。
チェ大監の家に、張りこませたはずの幽霊を探しに行くという。
「俺が行く」
「わたしがいく」
「俺が行くって」
「わたしのことだもの」
「素直に聞け!」
ウノの剣幕に、向き合うアラン。
「なぜわたしを避けるの?なぜ目もあわせないの?なぜ一日中……」
「わからないからだ」
「どうすべきか、わからないからだ。
お前を困らせないと約束したが、簡単じゃない。
必死で耐えているのに、お前が、あいつを見た。
その瞬間、抑えていた心が波だったよ。
心が乱れて手に負えなくなった。
それで、あの夜を悔やんだ。
あの言葉を信じたりせず、説得すればよかったと。
でもダメだろ?こころ穏やかに天上に送ると約束したのに、
今更覆せるはずもない。
だから、どうしていいかわからなくて。
くそっ、何がこんなに複雑なんだ!」
ウノは、そう言って去って行った。
ところが、役所の門を出ようとしたとき、
アランを訪ねてきたジュワルと顔を合わせた。
ジュワルは、アランに「少しだけ時間をくれないか」と頼みに来たのだ。
アランがどう返事をしたらいいか戸惑っていると、
ウノが戻ってきた。
「それはできないな」
「わたしは彼女に用が……」
「できないと言っただろう。
アランは行かせないから、失せろ」
男たちが睨み合った。
(つづく)
大事なシーンなので2回放映します。やめてくれ!by ウノ
最初はね、すっきりさっぱり恋心を封印して、
自分のことを「オラボニ(兄上)」と言ったりして、
なんとかアランを楽にしてやろうとするウノくんに心打たれました。
紳士ね~!と感激。
それが、「お前が俺を見ないのは仕方ないが、別の奴を見るのは耐えられない」
などと弱音を吐くくだりになって、せつなさ倍増。
最終的には、アランを避けて避けて、無理がたたって大爆発を起こしてしまうウノ君。
爆発してすっきりした後は、以前のウノ君に戻って、
アランを自分のものとしてジュワルを退ける傲慢王子に……。
いいわー、この恋する若者の迷走っぷり。
てか、なんでいつも言うこと聞いちゃうんだ、ジュワルは。
そもそも貧民の出だということで押しが弱いのか?
おやじには強く出るくせにな。
強気が魅力のウノが弱っている姿もいとおしいし、
開き直った彼の姿もまた素敵。
たった1時間のドラマにして、一粒で二度おいしい展開でよかった。
それもこれも、マザコン気質が一時的に封印されているからだと思うのよ~。
愛する女性のためになりふり構わず、ってとこが、ぐっとくるんですね。
恋する男のカラ元気もよし、
イジイジ悶々な姿もまたよろし。
女の子だけじゃなくて、男子もこういうふうになっちゃうものなんですね。
ひるがえって、気弱男子ジュワルの苦悩は深い。
牛の餌をすすって生き延びるみじめさは、ひどいものだったでしょう。
罪もない無垢な乙女を殺めてでも、人間らしく生きたかった……。
ただ、その生贄を愛してしまったら?
大事な誰かを殺すことで得られる幸せなど、真の幸福と言えるだろうか?
まぁ、まだまだ愛の段階としては初歩の初歩なんですけどね~。
最終的には、相手の幸福だけを考える無償の愛の域に達してくれればいいと思います。
そうなればムリョンを滅するお手伝いをしてくれると思うのよね。
ムリョンが乗っ取ったホンリョン夫人とウノは、母子の関係。
そしてムリョンは、ジュワルと擬似的な母子の關係を築いています。
支配する母と、言うなりになる息子だけど。
そもそものホンリョン夫人とウノは、母子関係が成立していたかどうかも疑わしいわけで。
息子がエディプス・コンプレックスを乗り越え、
一人前の男となるためには、父親殺しを経なければならない、という学説もありますが、
今回のドラマの場合は、
直接的に母親を殺すことでしか、ふたりの自立は得られない。
ジュワルの父もウノの父も存在しないも同然ですから。
もしかしたら終盤、なんらかの形で父親の存在がクローズアップされるかもわからないですが。
とにかくいろんな意味でムリョン(ホンリョン)はラスボスなわけで、
どう料理されるか楽しみです。
ムヨンは腰抜けだったしなぁ~。
しかし、天女も死神も元人間っていう設定はデフォなの?
それともこの兄妹がイレギュラー?
そのへんの設定が曖昧というか、はっきり提示されていないように感じるので、
おいおい、天部の管理がずさんすぎるせいでこんなことになっちゃってんでしょ?感が残る。
何千万年もの間、秩序が保たれていたのは運用側の倫理感のおかげであり、
そもそもシステムに欠陥があるんじゃないか、と。
閻魔が天帝を非難するのも、もっともです。
物語としての整合性は深く追求しないけど、
「そりゃそうなってもしょうがないよね~」っていう納得感を与えてほしいなぁと思います。
いまのところ、天女として何不自由なく暮らしていけたはずのムリョンが、
必死になって人間になりたがった理由がよくわからん。
人間として現世で生きるって、楽しいけどつらいことも多いものね。
ん……でもまぁ、刺激があって楽しいかな、下界の方が。
今回、チェ大監の若い頃のお姿が回想シーンで出てまいりまして驚愕。
若い!
そしていい男じゃないですか!
年月って、容赦ないですね……。
実子も持たず延々と魔女に仕える……。お前は基本Мだろ。
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