《あらすじ》
チョンミョンの遺言を守る気はない、と、きっぱり言い切るトンマン。
「姉上は、私の身を案じ、身代わりに死んだ。
無理です。人として女として幸せに?無理だ。幸せにはなれない!」
トンマンに非はないと、慰めるユシンだが、
「ユシン郎にだって非はない。でも、ユシン郎の顔が見られない。
ユシン郎だって私と同じ気持ちでしょう?お互いの顔もまともに見られないんだ」
というトンマンの言葉に、感情の堰が切れてしまった。
男泣きに泣く、ユシン。
宮中では、チョンミョンの葬儀が粛々と行われていた。
悔やみの言葉を口にするミシルに、マヤ王妃は激情もあらわに
呪いの言葉をぶつける。
「この女!お前も死ね!
すべてを失い、奪われ、踏みつけられて、一人寂しく死ぬがいい!
夜も眠れず、食事ものどを通らず、生きる屍のごとく過ごし、
声にならない叫びをあげて死ぬがいい!
石碑も墓も建てられずにこの世から去るのだ!
お前の名など後世にただの一字も残させはしない!」
どうしてもトンマンを連れて国を出たいユシン。
しかし、トンマンの決心は固い。
新羅で生きる道を探り、新羅で生き抜き、新羅を、手に入れる。
トンマンは必死でその方法を考える。
ユシンはその横で彼女を見守るしかない。
トンマンは、ユシンを置いて洞窟を出た。
ピダムだけが気付いて後をついてくる。
「狙われてるお前がソラボルに戻ってどうすんだよ?」
「お前、一緒にやってみないか?」
「なんだよ、詳しく話せよ」
トンマンの考えに大笑いするピダム。
「ほんとに本気なのかよ?トンマン!」
街にもどったピダムは、人々が口々に噂をしている現場に居合わせる。
「ミシルが王女様を殺したんだろ?」
「そんなことがほんとにあるのか?」
思わず見たこと聞いたことを話してしまいそうなピダムを見つけたのは、ムンノ。
「ふたりを助けると言うから船を出してやったのに……。
本当に助けようとしていたのか!」
ピダムを叱るムンノだったが、彼はあの双子が産まれた日のことを思い出していた。
同じように船を用意して、ソファと赤子を逃がした。
自分も後から行くつもりで、大人物になるはずの赤子をソファに任せた。
その頃から一緒にいたピダムはまだ幼子だったが、
赤子をいとおしそうに撫でてやっていた……。
ムンノはピダムに許しを与えた。
ソラボルでは、アルチョン郎が覚悟の郎粧をほどこし、王に直訴していた。
チョンミョン王女の死の真相を明らかにするようにと。
ミシルは王の側近と自らの側近を同席させ、この問題について話し合った。
「わたくしもアルチョン郎の進言に賛成です。すべてをあきらかにしなくては」
しかし、王女の死の真相を暴こうとすれば、双子の存在を認めねばならなくなる。
「チョンミョン王女の死は、事故であった」
断腸の思いで、そう言わざるを得ない王。
またもやミシルはすべてを思い通りに収めてしまった。
ミシルは、自分に反抗した弟ミセンに毒を飲むように笑顔で言う。
「弟に毒を飲めなんて、姉上……」
「私は息子を捨てた女ですよ。弟ごときが何です。
私に従わないものは捨てます」
チョンミョンの死で、絶好の好機を逃してしまったミシルは容赦がない。
しかし、ミセンは日蝕の可能性を口にした。
もしそれが本当なら、月蝕の時よりも大きなチャンスとなる。
ミセンは、ソリとともに自分を処分するなら、そのチャンスはどうなるかわからないと、
命乞いをするのだった。
上天官ソリは、ミシルが変わったと言う。
天意はミシルにあるとかつて言ったが、天意は本来移ろいやすいもの。
同じところに長くとどまりはしない。
しかも天意は天を恐れぬものから離れやすい。
「どうか天意をおろそかにしないでください」
ソリの言葉は、以前交わしたチョンミョンとの会話に酷似していた。
憮然とするミシルは、そっと毒薬の小瓶を置いて神殿を立ち去った。
ミシルは、読んでいる。
おそらくトンマンが、自らソラボルに乗り込んでくるだろうと。
そしてその通り、トンマンはすでにソラボルに入っていた。
裏山で、自害しようとしていたアルチョンをとめたのは、トンマン。
「お前の出る幕ではない」
アルチョンは彼女を退けようとするが、トンマンは引き下がらない。
「無礼者!ミシルや王が認めぬからとお前も私を認めぬのか」
そうだ、いまやトンマンは神国新羅の王女なのだ。
「私は逃げない。そして生きる。生きて神国の王女となってやる。
そしてお前たちの、あるじとなる。
だから、生きなさい」
アルチョンは動揺を隠せない。
「しかし、今の私は大罪人です。王女様を死なせ……」
「耐えなさい」
トンマンの言葉に、ハッとするアルチョン。
「私も、耐えている。死ぬ覚悟があるならその心で生きろ。
生きて自分を恥じる気持ちと絶望に耐えるのだ。
花郎の主として命令する」
アルチョンは、トンマンの前にひざまずき、忠誠を誓った。
王妃は病に倒れ、王は悲嘆に暮れている。
ウルチェ大等は、今後の対策を進言するが、王により罷免されてしまう。
幼い頃から支えてくれたウルチェ。
彼の忠誠心は信じている。しかし、今、この自分の姿はどうだ?
何もかも失いかけている王は、ウルチェの顔を見ることに耐えられないのだ。
忠臣ウルチェは、チヌン大帝への謝罪の念を胸に宮中を去った。
アルチョンは、王に親書を手渡す。
それは、トンマンからの手紙。
自らを新羅の王女と名乗る、手紙であった。
ユシンはソラボルに帰ってきた。
アルチョンに会い、トンマンの居場所を尋ねる。
彼は、トンマンが何をしようとしているか知らないのだ。
トンマンはピダムと話していた。
「俺は誰も恐れないし、自分でさえわからないのに、
心を悟られることなんてあり得ないよ」
「では私の前では敬語を使わずともかまわない。本当に誰の前でも恐れないな?」
「あ、ああ」
そこへ現れたユシンは、トンマンに強く主張する。
「生きる道でも死ぬ道でも、お前について行く」
しかしトンマンは、ユシンを仲間に入れることをためらっている。
「私と一緒にくれば、ユシン郎はもう、二度と、私の頭をなでられない。
二度と、名前も呼べない。二度と、私に触れられない」
ユシンは、その事実の重さに何も言えなくなってしまうのだった。
倒れたきりだった王妃は、チョンミョンの慰霊祭を行いたいと神殿へ向かう。
上天官ソリは具合が優れず同席しない。
王妃は、神官に化けて神殿へ入り込んだトンマンと密かに言葉を交わす。
これは神殿の隠し部屋をさぐる計画でもあり、
アルチョンの手配で実現した母娘の再会でもあった。
「どうして戻ってきたの?どうするつもり?何を始めるつもりなの?」
トンマンは、チョンミョンが見つけていた隠し部屋に入りこみ、
ソリの首に刀を突きつけて彼女を脅す。
「私を殺すの?」
「ハッ、お前ごときを?」
そう言い放ったトンマンに、ソリは王者の幻影を見た。
「大明暦を分析した者の名と居場所を教えよ」
「開陽星は……お前なの?」
と、そこへ何者かが入ってくる物音が。
ソリは咄嗟にトンマンを屏風の裏へ隠した。
入ってきたのはミシルだった。
「私に従う気は?」
ソリはあきらめたように、言った。
「私から最後のご忠告です。双子の片方を見つけたら、すぐに殺すべきです。
宮主様は、すべてを手に入れておいでだ。
しかし、王妃にはなれぬ運命です」
「私の運命がわかるとでも?!何様のつもりだ!」
「天が世を動かす時代が終わるのかもしれません。
私は、その瞬間を見たくはない」
ソリは一息に毒の小瓶をあおった。
「これで、宮主様をお助けできるのはファドク寺のウォルチョン大師だけです。
暦本を分析できるのは、あのお方だけ……。
お忘れなく、ファドク寺の……ウォルチョン大師……」
断末魔の苦しみの中、ソリは重要な情報をトンマンに伝えたのだ。
ミシルはすぐさま、ファドク寺へ向かった。
もちろんトンマンも向かうつもりだ。
しかしそこには、もうひとつ、ウォルチョンを狙う一団が隠れていた。
トンマンは洞窟で作戦会議を開いている。
「ファドク寺へ行って、ウォルチョン大師を確保します」
「お前は……お前はいったい何をするつもりなのだ!」
ユシンは、トンマンを問いただす。
「お前の究極の目的は、何なのだ!」
「王座」
トンマンの瞳は揺るがない。
王への親書にしたためたように、
神殿の母に約束したように、彼女の娘として生きていくためにすべきことをする。
「私は新羅の王となります」
(つづく)
おおおっ!トンマンが覚醒したっ。
にやっと笑って櫛を折るなんて、ミシルみたーい!
などと盛り上がっていましたが、やっぱりトンマンはトンマンでした。
姉上は、私を守るために、私のせいで死んだのだから、
女として、人として、愛する人と幸せに生きるなんてできない……。
もう、幸せにはなれない。
う、うううう……悲しすぎる……。
道義的に自分だけが幸せになることなんてできない。
もし、ここですべてを忘れて逃げ出したとしても、
姉の死を背負って、心から幸せだと感じることなんてできない。
と、トンマンは思っているんでしょうね。
これが単なるヒューマンドラマだったら、
幸せになっていいんだよ!いつかは傷も癒えるんだよ!と
言ってあげたいところですが、そうもいきません。史劇なんで。
でもユシン郎の顔がまともに見られない、なんて可哀想ですよね。
お互い、愛し合っているのに、互いの顔を見れば、
チョンミョンのことを思い出す。
ユシンを愛していたチョンミョンを。
それでも、祝福してふたりを送り出してくれたチョンミョンを。
死ぬまで一緒と誓い合ったはずの、チョンミョン王女を……。
悲しすぎる……。
でもでも、そんなのチョンミョンは望んでいなかったでしょ!
幸せになってほしいってあれほど言ってたじゃん!
罪悪感なんか抱かなくていいから、もう逃げてー!
そうも、いかないんだろうね。
またトンマンが普通の子じゃないからね。
「英雄」に憧れ、知恵も勇気もある、強い子だからね。
トンマンの作戦に巻き込もうが、巻き込まなかろうが、
ユシンはトンマンとそういう仲にはもう、なれないんじゃないでしょうか。
別天地へ行って、自分たちをリセットしたとしても、できるかどうか。
どうせ触れられないのなら、離れた方がストレスも少なく、お互いのためですが、
ユシン郎、頑固ですから。
絶対離れないって言ってます。
つらい恋だわね。
一方、ピダムの方はタメぐちきいて気楽~。
でも彼、幼少の頃トンマンに会っていたのね。
1さいぐらいお兄さんなのかな。
てか、そんな小さい頃からムンノと一緒にいたのか。
そりゃ強くなるはずだ。
ユシン郎とちょっと気まずい分、ピダムとは気楽にしゃべれるトンマン。
ちょっと変な奴だしね。
でもピダムがトンマンを助けたい気持ちは、本物みたい。
この感情はどこから来るんだろう?
自分には欠けている何かを持っているトンマンへの興味?
そもそも、物心つかない頃に本能的に感じた愛着?
正体はわかりませんね。
ひゃっはー!って感じの時と、師匠の前では全然態度違うし。
つかみ所のない男だ。
アルチョンは、郎粧決意も受け入れてもらえず、殉死しようとしますが、
またもやトンマンに助けられます。
彼の化粧?正直微妙ですが、別に超絶美しくなくたっていいし!
「陛下ー!」の声が迫力あったので、いいです。
この人も基本真面目な人なんで、トンマンの言葉に激しく反応しちゃうんだよね。
さっさと死ぬことは、罪であり、
もしチョンミョン王女に申し訳ないと思うなら、耐えて生きよ!と言われて
すとんと落ちちゃうんだわよ。
「生きよ!」って韓国語だと「サララ!」って聞こえるので、ちょっと迫力に欠けますが。
トンマンの変化にユシン郎がついて行けなくて知恵熱出しちゃいそうな勢いだし、
信頼できる臣下としてとしてアルチョン郎にはがんばってほしい!
ユシン郎にも相談できる友達が必要だしね!
波乱の毎日だけど、やっぱり男同士でちょっとバカな話とかしたって
いいと思うのよ!
この人たち、真面目だからあんまりそんなことないかもしれないけど。
「トンマンが女だと気付いたのはいつなのだ?」
「や、いや、風呂で……」
「風呂?!」
みたいな。
こんなに真面目にトンマンを愛しているユシンなのに、
トンマンは思い出にした方がいいのかも……とか言ってるし、
ピダムの立ち位置がずるすぎて、かわいそう。
ピダムをタメぐちオッケーの扱いにしたのは、何かの戦略?
それとも、これから王になろうという人間には、
イエスマンじゃない側近が必要だから?
うーん、いろいろありそうですね。
あ、そういえば今まで影が薄めだったミシル、すごかったですね。
弟ミセンに「お飲み」と笑顔で毒をすすめる恐ろしい女です。
双子なんかこわくないわ、という過剰反応が、
かえってミシルの恐怖心を表現しているような気がしますね。
かつての盟友を平気で切り捨てるミシル。
ソリも、あまりにも傲慢なミシルの態度に嫌気がさしたのでしょうか。
それとも天の意志を読む神官としての本能が、ミシルの斜陽を感じ取ったのでしょうか。
逃れられないと知って、トンマンに最後のメッセージを残します。
ちょっとしつこいなー、ミシル不審に思わないか?と不安ですが、
死に際の名演がすごいので、よしとしましょう。
毎度毎度すごいよね、俳優陣。
あっさり死ぬ奴はエキストラだけだ。
王妃の呪いもすごかったなー。
さすがのミシルもちょっとびびってた気がする。
あんな風に感情をぶつけられたのって、はじめてなんじゃない?
お前の名など後世に残すものか!っていうのが、
歴史上では言及の少ない、ミシルという人物を描いたこの物語への
エクスキューズとなっているわけですね。
こんなすごい女がいたなら、なんでもっと資料が残っていないんだ!
いやいや、歴史は勝者がつむぐもの、憎まれていたミシルは歴史から抹殺されたのですよ、
みたいな感じなんでしょ。
わたしは特に史実の検証とかしないので、別に大丈夫です。
彼女の存在が完全フィクションであったとしても!
面白いし。
トンマン、若い人たちと話している時はいいのですが、
やはり年配の方々と相対すると、まだまだ迫力負けしちゃいますね。
何も知らなかった郎徒なりたての頃の方が、堂々と渡り合っててかっこよかった。
「お前ごときを?」の顔が、似合ってないもーん。
彼女の中に、まだ迷いがあるからなんでしょうか?
あとは衣装のせいでそう見えるのかなぁ、体幹を鍛えなさい!と言いたくなるような立ち姿。
これでナイフを突きつけられててもねぇ。
もうちょっとがんばってほしいな。
トンマンの成長とともに、さまになってくるんですかねぇ。
まーしかし、本当にいろんなことが次々に起こる25話でしたね。
トンマン、どうやって王宮に帰るのかしら……。
ミシルと同じ方法で王座をとるっていってるけど、いいのかしら?
目的のためには手段を選ばず、でもいいの?
最後の一線だけは越えないで欲しいわ~。
チョンミョンの遺言を守る気はない、と、きっぱり言い切るトンマン。
「姉上は、私の身を案じ、身代わりに死んだ。
無理です。人として女として幸せに?無理だ。幸せにはなれない!」
トンマンに非はないと、慰めるユシンだが、
「ユシン郎にだって非はない。でも、ユシン郎の顔が見られない。
ユシン郎だって私と同じ気持ちでしょう?お互いの顔もまともに見られないんだ」
というトンマンの言葉に、感情の堰が切れてしまった。
男泣きに泣く、ユシン。
宮中では、チョンミョンの葬儀が粛々と行われていた。
悔やみの言葉を口にするミシルに、マヤ王妃は激情もあらわに
呪いの言葉をぶつける。
「この女!お前も死ね!
すべてを失い、奪われ、踏みつけられて、一人寂しく死ぬがいい!
夜も眠れず、食事ものどを通らず、生きる屍のごとく過ごし、
声にならない叫びをあげて死ぬがいい!
石碑も墓も建てられずにこの世から去るのだ!
お前の名など後世にただの一字も残させはしない!」
どうしてもトンマンを連れて国を出たいユシン。
しかし、トンマンの決心は固い。
新羅で生きる道を探り、新羅で生き抜き、新羅を、手に入れる。
トンマンは必死でその方法を考える。
ユシンはその横で彼女を見守るしかない。
トンマンは、ユシンを置いて洞窟を出た。
ピダムだけが気付いて後をついてくる。
「狙われてるお前がソラボルに戻ってどうすんだよ?」
「お前、一緒にやってみないか?」
「なんだよ、詳しく話せよ」
トンマンの考えに大笑いするピダム。
「ほんとに本気なのかよ?トンマン!」
街にもどったピダムは、人々が口々に噂をしている現場に居合わせる。
「ミシルが王女様を殺したんだろ?」
「そんなことがほんとにあるのか?」
思わず見たこと聞いたことを話してしまいそうなピダムを見つけたのは、ムンノ。
「ふたりを助けると言うから船を出してやったのに……。
本当に助けようとしていたのか!」
ピダムを叱るムンノだったが、彼はあの双子が産まれた日のことを思い出していた。
同じように船を用意して、ソファと赤子を逃がした。
自分も後から行くつもりで、大人物になるはずの赤子をソファに任せた。
その頃から一緒にいたピダムはまだ幼子だったが、
赤子をいとおしそうに撫でてやっていた……。
ムンノはピダムに許しを与えた。
ソラボルでは、アルチョン郎が覚悟の郎粧をほどこし、王に直訴していた。
チョンミョン王女の死の真相を明らかにするようにと。
ミシルは王の側近と自らの側近を同席させ、この問題について話し合った。
「わたくしもアルチョン郎の進言に賛成です。すべてをあきらかにしなくては」
しかし、王女の死の真相を暴こうとすれば、双子の存在を認めねばならなくなる。
「チョンミョン王女の死は、事故であった」
断腸の思いで、そう言わざるを得ない王。
またもやミシルはすべてを思い通りに収めてしまった。
ミシルは、自分に反抗した弟ミセンに毒を飲むように笑顔で言う。
「弟に毒を飲めなんて、姉上……」
「私は息子を捨てた女ですよ。弟ごときが何です。
私に従わないものは捨てます」
チョンミョンの死で、絶好の好機を逃してしまったミシルは容赦がない。
しかし、ミセンは日蝕の可能性を口にした。
もしそれが本当なら、月蝕の時よりも大きなチャンスとなる。
ミセンは、ソリとともに自分を処分するなら、そのチャンスはどうなるかわからないと、
命乞いをするのだった。
上天官ソリは、ミシルが変わったと言う。
天意はミシルにあるとかつて言ったが、天意は本来移ろいやすいもの。
同じところに長くとどまりはしない。
しかも天意は天を恐れぬものから離れやすい。
「どうか天意をおろそかにしないでください」
ソリの言葉は、以前交わしたチョンミョンとの会話に酷似していた。
憮然とするミシルは、そっと毒薬の小瓶を置いて神殿を立ち去った。
ミシルは、読んでいる。
おそらくトンマンが、自らソラボルに乗り込んでくるだろうと。
そしてその通り、トンマンはすでにソラボルに入っていた。
裏山で、自害しようとしていたアルチョンをとめたのは、トンマン。
「お前の出る幕ではない」
アルチョンは彼女を退けようとするが、トンマンは引き下がらない。
「無礼者!ミシルや王が認めぬからとお前も私を認めぬのか」
そうだ、いまやトンマンは神国新羅の王女なのだ。
「私は逃げない。そして生きる。生きて神国の王女となってやる。
そしてお前たちの、あるじとなる。
だから、生きなさい」
アルチョンは動揺を隠せない。
「しかし、今の私は大罪人です。王女様を死なせ……」
「耐えなさい」
トンマンの言葉に、ハッとするアルチョン。
「私も、耐えている。死ぬ覚悟があるならその心で生きろ。
生きて自分を恥じる気持ちと絶望に耐えるのだ。
花郎の主として命令する」
アルチョンは、トンマンの前にひざまずき、忠誠を誓った。
王妃は病に倒れ、王は悲嘆に暮れている。
ウルチェ大等は、今後の対策を進言するが、王により罷免されてしまう。
幼い頃から支えてくれたウルチェ。
彼の忠誠心は信じている。しかし、今、この自分の姿はどうだ?
何もかも失いかけている王は、ウルチェの顔を見ることに耐えられないのだ。
忠臣ウルチェは、チヌン大帝への謝罪の念を胸に宮中を去った。
アルチョンは、王に親書を手渡す。
それは、トンマンからの手紙。
自らを新羅の王女と名乗る、手紙であった。
ユシンはソラボルに帰ってきた。
アルチョンに会い、トンマンの居場所を尋ねる。
彼は、トンマンが何をしようとしているか知らないのだ。
トンマンはピダムと話していた。
「俺は誰も恐れないし、自分でさえわからないのに、
心を悟られることなんてあり得ないよ」
「では私の前では敬語を使わずともかまわない。本当に誰の前でも恐れないな?」
「あ、ああ」
そこへ現れたユシンは、トンマンに強く主張する。
「生きる道でも死ぬ道でも、お前について行く」
しかしトンマンは、ユシンを仲間に入れることをためらっている。
「私と一緒にくれば、ユシン郎はもう、二度と、私の頭をなでられない。
二度と、名前も呼べない。二度と、私に触れられない」
ユシンは、その事実の重さに何も言えなくなってしまうのだった。
倒れたきりだった王妃は、チョンミョンの慰霊祭を行いたいと神殿へ向かう。
上天官ソリは具合が優れず同席しない。
王妃は、神官に化けて神殿へ入り込んだトンマンと密かに言葉を交わす。
これは神殿の隠し部屋をさぐる計画でもあり、
アルチョンの手配で実現した母娘の再会でもあった。
「どうして戻ってきたの?どうするつもり?何を始めるつもりなの?」
トンマンは、チョンミョンが見つけていた隠し部屋に入りこみ、
ソリの首に刀を突きつけて彼女を脅す。
「私を殺すの?」
「ハッ、お前ごときを?」
そう言い放ったトンマンに、ソリは王者の幻影を見た。
「大明暦を分析した者の名と居場所を教えよ」
「開陽星は……お前なの?」
と、そこへ何者かが入ってくる物音が。
ソリは咄嗟にトンマンを屏風の裏へ隠した。
入ってきたのはミシルだった。
「私に従う気は?」
ソリはあきらめたように、言った。
「私から最後のご忠告です。双子の片方を見つけたら、すぐに殺すべきです。
宮主様は、すべてを手に入れておいでだ。
しかし、王妃にはなれぬ運命です」
「私の運命がわかるとでも?!何様のつもりだ!」
「天が世を動かす時代が終わるのかもしれません。
私は、その瞬間を見たくはない」
ソリは一息に毒の小瓶をあおった。
「これで、宮主様をお助けできるのはファドク寺のウォルチョン大師だけです。
暦本を分析できるのは、あのお方だけ……。
お忘れなく、ファドク寺の……ウォルチョン大師……」
断末魔の苦しみの中、ソリは重要な情報をトンマンに伝えたのだ。
ミシルはすぐさま、ファドク寺へ向かった。
もちろんトンマンも向かうつもりだ。
しかしそこには、もうひとつ、ウォルチョンを狙う一団が隠れていた。
トンマンは洞窟で作戦会議を開いている。
「ファドク寺へ行って、ウォルチョン大師を確保します」
「お前は……お前はいったい何をするつもりなのだ!」
ユシンは、トンマンを問いただす。
「お前の究極の目的は、何なのだ!」
「王座」
トンマンの瞳は揺るがない。
王への親書にしたためたように、
神殿の母に約束したように、彼女の娘として生きていくためにすべきことをする。
「私は新羅の王となります」
(つづく)
おおおっ!トンマンが覚醒したっ。
にやっと笑って櫛を折るなんて、ミシルみたーい!
などと盛り上がっていましたが、やっぱりトンマンはトンマンでした。
姉上は、私を守るために、私のせいで死んだのだから、
女として、人として、愛する人と幸せに生きるなんてできない……。
もう、幸せにはなれない。
う、うううう……悲しすぎる……。
道義的に自分だけが幸せになることなんてできない。
もし、ここですべてを忘れて逃げ出したとしても、
姉の死を背負って、心から幸せだと感じることなんてできない。
と、トンマンは思っているんでしょうね。
これが単なるヒューマンドラマだったら、
幸せになっていいんだよ!いつかは傷も癒えるんだよ!と
言ってあげたいところですが、そうもいきません。史劇なんで。
でもユシン郎の顔がまともに見られない、なんて可哀想ですよね。
お互い、愛し合っているのに、互いの顔を見れば、
チョンミョンのことを思い出す。
ユシンを愛していたチョンミョンを。
それでも、祝福してふたりを送り出してくれたチョンミョンを。
死ぬまで一緒と誓い合ったはずの、チョンミョン王女を……。
悲しすぎる……。
でもでも、そんなのチョンミョンは望んでいなかったでしょ!
幸せになってほしいってあれほど言ってたじゃん!
罪悪感なんか抱かなくていいから、もう逃げてー!
そうも、いかないんだろうね。
またトンマンが普通の子じゃないからね。
「英雄」に憧れ、知恵も勇気もある、強い子だからね。
トンマンの作戦に巻き込もうが、巻き込まなかろうが、
ユシンはトンマンとそういう仲にはもう、なれないんじゃないでしょうか。
別天地へ行って、自分たちをリセットしたとしても、できるかどうか。
どうせ触れられないのなら、離れた方がストレスも少なく、お互いのためですが、
ユシン郎、頑固ですから。
絶対離れないって言ってます。
つらい恋だわね。
一方、ピダムの方はタメぐちきいて気楽~。
でも彼、幼少の頃トンマンに会っていたのね。
1さいぐらいお兄さんなのかな。
てか、そんな小さい頃からムンノと一緒にいたのか。
そりゃ強くなるはずだ。
ユシン郎とちょっと気まずい分、ピダムとは気楽にしゃべれるトンマン。
ちょっと変な奴だしね。
でもピダムがトンマンを助けたい気持ちは、本物みたい。
この感情はどこから来るんだろう?
自分には欠けている何かを持っているトンマンへの興味?
そもそも、物心つかない頃に本能的に感じた愛着?
正体はわかりませんね。
ひゃっはー!って感じの時と、師匠の前では全然態度違うし。
つかみ所のない男だ。
アルチョンは、郎粧決意も受け入れてもらえず、殉死しようとしますが、
またもやトンマンに助けられます。
彼の化粧?正直微妙ですが、別に超絶美しくなくたっていいし!
「陛下ー!」の声が迫力あったので、いいです。
この人も基本真面目な人なんで、トンマンの言葉に激しく反応しちゃうんだよね。
さっさと死ぬことは、罪であり、
もしチョンミョン王女に申し訳ないと思うなら、耐えて生きよ!と言われて
すとんと落ちちゃうんだわよ。
「生きよ!」って韓国語だと「サララ!」って聞こえるので、ちょっと迫力に欠けますが。
トンマンの変化にユシン郎がついて行けなくて知恵熱出しちゃいそうな勢いだし、
信頼できる臣下としてとしてアルチョン郎にはがんばってほしい!
ユシン郎にも相談できる友達が必要だしね!
波乱の毎日だけど、やっぱり男同士でちょっとバカな話とかしたって
いいと思うのよ!
この人たち、真面目だからあんまりそんなことないかもしれないけど。
「トンマンが女だと気付いたのはいつなのだ?」
「や、いや、風呂で……」
「風呂?!」
みたいな。
こんなに真面目にトンマンを愛しているユシンなのに、
トンマンは思い出にした方がいいのかも……とか言ってるし、
ピダムの立ち位置がずるすぎて、かわいそう。
ピダムをタメぐちオッケーの扱いにしたのは、何かの戦略?
それとも、これから王になろうという人間には、
イエスマンじゃない側近が必要だから?
うーん、いろいろありそうですね。
あ、そういえば今まで影が薄めだったミシル、すごかったですね。
弟ミセンに「お飲み」と笑顔で毒をすすめる恐ろしい女です。
双子なんかこわくないわ、という過剰反応が、
かえってミシルの恐怖心を表現しているような気がしますね。
かつての盟友を平気で切り捨てるミシル。
ソリも、あまりにも傲慢なミシルの態度に嫌気がさしたのでしょうか。
それとも天の意志を読む神官としての本能が、ミシルの斜陽を感じ取ったのでしょうか。
逃れられないと知って、トンマンに最後のメッセージを残します。
ちょっとしつこいなー、ミシル不審に思わないか?と不安ですが、
死に際の名演がすごいので、よしとしましょう。
毎度毎度すごいよね、俳優陣。
あっさり死ぬ奴はエキストラだけだ。
王妃の呪いもすごかったなー。
さすがのミシルもちょっとびびってた気がする。
あんな風に感情をぶつけられたのって、はじめてなんじゃない?
お前の名など後世に残すものか!っていうのが、
歴史上では言及の少ない、ミシルという人物を描いたこの物語への
エクスキューズとなっているわけですね。
こんなすごい女がいたなら、なんでもっと資料が残っていないんだ!
いやいや、歴史は勝者がつむぐもの、憎まれていたミシルは歴史から抹殺されたのですよ、
みたいな感じなんでしょ。
わたしは特に史実の検証とかしないので、別に大丈夫です。
彼女の存在が完全フィクションであったとしても!
面白いし。
トンマン、若い人たちと話している時はいいのですが、
やはり年配の方々と相対すると、まだまだ迫力負けしちゃいますね。
何も知らなかった郎徒なりたての頃の方が、堂々と渡り合っててかっこよかった。
「お前ごときを?」の顔が、似合ってないもーん。
彼女の中に、まだ迷いがあるからなんでしょうか?
あとは衣装のせいでそう見えるのかなぁ、体幹を鍛えなさい!と言いたくなるような立ち姿。
これでナイフを突きつけられててもねぇ。
もうちょっとがんばってほしいな。
トンマンの成長とともに、さまになってくるんですかねぇ。
まーしかし、本当にいろんなことが次々に起こる25話でしたね。
トンマン、どうやって王宮に帰るのかしら……。
ミシルと同じ方法で王座をとるっていってるけど、いいのかしら?
目的のためには手段を選ばず、でもいいの?
最後の一線だけは越えないで欲しいわ~。
オルチョン郎の化粧、私はけっこう綺麗と思いましたわw
ひいきしてるから欲目でしょうか?
(*^m^)
トンマンはなぜピダムを誘ったのかなー?
何か引き合うものがあったのでしょうか?
あれよあれよという間にドラマが展開していって、
すっごく密度の濃い1時間でした。
ふふふ、しーまさんもひいきしてるんですのね。
彼、善徳で思わぬ人気が出て、当時は日本でファンミーティングもあったそうですね。
すごくいい役で、かっこよかったです。
(でも花郎化粧はちょっと怖かった。必死の形相だったからかな?)
このころのピダムはほんとにカワイイです。
トンマンは姉への愛情やユシンへの情念に自分自身も疲れ果てて、
あまり感情がない(ように見える)ピダムと一緒にいることが楽だったのかもしれませんね。