これはマジでヤバい。
久々にハマった感がある。
お、面白すぎるでしょ!
《あらすじ》
カン・チェユンは、学士殺人事件の捜査責任者に任命された。
ムヒュルは、彼の腕に見覚えのある刀痕を見つけて、衝撃を受ける。
あれは……自分の刀痕だ……。
北方から、ひとりの兵士が兼司僕として配属された。
チョタクといって、チェユンの友人だ。
パクポとは馬が合わないようだが、一緒に捜査に加わることになった。
ムヒュルは、王に呼ばれて上林園(サンニモン:王宮の植物や作物を管理する場所)へ赴いた。
そこには、作業服を着て、自ら肥えまきをしている王がいた。
役人たちが、国の作物の生育状況をはやく報告しないから、
直々に作業をしてプレッシャーをかけてやる作戦なんだという。
「わたしには時間がいくらあっても足りないというのに……」
怠慢な役人たちに、不満いっぱいの王なのだ。
畑の隅では、王に命ぜられ、男が犬の鳴き声を口まね(口戯)している。
「今のはどう聞こえた?」
「うむう、ウォル、ウォル(月)と聞こえましたが……」
「どうだ、同じ発音か?」
「いえ、少し違います」
側では、お茶目な女官がその音を書き記している。
「次は赤子の泣き声を研究してみよ」
王は、何かを研究しているようだ。
一方、チェユンは、チョン別監に泮村へ連れて行かれていた。
カリオンという検死の達人に話を聞くためだ。
殺されたホ・ダムの検死を行い、死因を説明するカリオン。
殴られた痕もなく、刀傷もない。
死因は窒息死だが、抵抗した痕がない。
気道に何かが詰まっての窒息のようだが、首を押さえて苦しんだ様子もない。
不思議なことに、学士の襟が水で濡れていた。
そこまで聞いて、チェユンはハッと気付く。
乾溺死功(コニクサゴン)だ。
それは、師匠の技。誰が、いったい、どのように?
考えながら、チェユンは師に出会った頃のことを思い出していた。
辺境で女真族と戦い、キム将軍のもとで武功をつみ、殺し合いに明け暮れていた頃。
チョタクと出会ったのもその頃だ。彼とは共に死線をくぐり抜けてきた。
あるとき、10人以上の敵に囲まれ、たったひとり絶体絶命の危機に陥った。
そこへふらりと現れたひとりの老人。
「はやく逃げろ!」
チェユンの言葉に耳も貸さず、その老人はたったひとりですべての敵を倒して見せた。
「待ってください!」
チェユンはすぐさま老人を呼び止め、教えを請うた。
仇を討つため、すべての技を教えてほしいと、すがりついた。
しかし老人はすげない。
命を救うためと言われても断るのに、人を殺すためだとは……。
「それでお前は毎晩寝ずに刀を研いでいるのか」
去って行く老人の背に、チェユンは叫んだ。
「教えないなら、俺を殺せ!クソ野郎!
どうせさっきも死にかけた。俺は死にたいんだよ。なぜだと思う?
寝ずに刀を研ぐ理由はな、寝ないんじゃなくて、眠れないんだ。
目を閉じた途端、目を閉じた途端に、俺の、俺のオヤジが……
眠れたなら、すべてを忘れて生きていけただろう。
だけど、全部忘れることなんかできない。
だから刀を研ぎ続けた。そうしないと、俺は、俺は生きていけなかったから……。
イ・バンジ!かかってこい!俺を助けた責任を取れ!」
チェユンは老人に斬りかかるが、あっけなく倒されてしまう。
「これがお前の実力だ。去れ」
しかしチェユンはあきらめない。
「わしは武士としか戦わん」
「武士?武士だと?武士ではないが、武士のようには死ねる。イ・バンジ!かかってこい!」
老人は渋い顔でチェユンを見たのだった。
ムヒュルは、チェユンの刀痕について考えていた。
奴に斬りかかったことがあるのだろうか?
朝鮮一の刀使いムヒュル。
実は、彼もまた若かりし頃、イ・バンジと戦ったことがあった。
しかもムヒュルは負けたのだ。
自分を殺せ、とムヒュルは言った。しかしイ・バンジは、とどめを刺さずに去って行ったのだった。
カリオンが、スラッカンに精肉を届けに来た。
そして人払いがなされ、カリオンは御簾越しに王の質問に答える。
王は、カン・チェユンに捜査を一任したのだが、それはあくまで表向きのこと。
彼らは囮であり、敵をあぶり出すための餌にすぎない。
ホ・ダムの死因は、乾溺死功だった。
竹筒で吸ったわずかな水で、溺死させる。
吹き矢の要領で鼻腔に水を飛ばし、即座に首を絞め、気道をふさぐ。
女真族に伝わる暗殺方法だ。
カリオンは命じられたとおり、その発見を誰にも言っていない。
スラッカンに出入りするカリオンを不審に思うチョ・マルセン。
学士たちは、集賢殿閉鎖について、ホ・ダムの死にまつわるうわさについて話合っていた。
副提学であるチェ・マルリは、明日からの集賢殿再開を決めた。
若いソン・サンムンは、なぜだか苦い顔。
ユン・ピルの姿が見えないことが、心配された。
泮村の行首は、健在であった。
チェユンも当時の記憶を呼び起こされたが、気をつけて顔を合わせないようにしている。
行首は、で謎の男と会っていた。
「事は順調に進んでおります。ホ・ダムの検死が開始され、兼司僕に捜査が依頼されました」
「ムヒュルではないのか?」
「かえって好都合では?泮村に毎日兼司僕が出入りします」
「彼らから、目を離すな。ユン・ピルの件も、失敗してはならぬ」
高貴な身分に見えるその男は、決行を今夜だと指示した。
ユン・ピルは、集賢殿に忍び込んでいた。
ホ・ダムの机で何かを探している。
隠された伝令書を見つけたユン・ピル。
そこへ、手がかりを探そうとチェユンとチョタクが入ってきた。
「誰かいる……」
物音を立ててしまったユン・ピルは、即座に外へ。
ふたりも急いで後を追う。
ユン・ピルは、松明の皿に伝令書を捨て、焼いてしまおうとしたが、
チェユンが一足飛びに火に飛びつき、すんでのところで紙を拾う。
同時に鉄球を足で蹴って飛ばし、ユン・ピルを気絶せしめた。
「腕は衰えていないな。出上術」
「誰か見たか?」
「いや、気をつけろ」
ふくろうの鳴き声が、夜の闇に響く。
その途端、ふたりの頭上から手剣が降ってきた。
とっさに飛びすさり、逃れる。
すると、仮面をつけたひとりの男が木の上から飛び降りてきて、ユン・ピルを抱えて逃げ去った。
一件は即座に王に報告がなされた。
謎の侵入者は、おそらくまだ宮中にいる。
あまりの出来事に、王も苦笑してしまう。
ムヒュルは、すべてがカン・チェユンの報告にすぎないと、チェユンを疑う。
「ユン・ピルが連れ去られたとなると……
鋳字所(チュジャソ:活字を作り書物を作る官庁)?」
つぶやいた王は、同じく部屋にいたものに意見を求める。
それは、王子ではなく、御簾の向こうにいた美しい女官だった。
女官の名は、ソイという。彼女は筆を取り、さらさらと返事を書いた。
「ソイ、わたしもそう思った。鋳字所にいき、調べてくるのだ」
チェユンとチョタクは、出上術を使う侵入者について考えていた。
ユン・ピルが残した書には「君那弥欲(クンナミヨク)」とある。
いったい何の意味なのだろう?
ふたりは、侵入者が逃げた経路を推理している。
出上術を使ったのなら、各所に力を加えた痕が残っているはずだ。
それを追っていくと……。
そこにあったのは鋳字所。
ソイが侵入し、何かを必死で調べている場所である。
中を調べに入ろうとしたところ、上官にうながされ、しぶしぶその場を離れるふたり。
「おい、チェユン、まて、硫黄のにおいが……」
鋳字所が、いきなり爆発した。
騒然となる周囲をよそに、チェユンは確信する。
「中に奴がいる!」
チェユンは水とコモをかぶり、燃えさかる鋳字所に飛び込んでいった。
ムヒュルが駆けつけた直後、チェユンはひとりの女官を抱えて火の中から飛び出してきた。
意識があるのかどうかすらわからない女官の胸ぐらをつかみ、叫ぶ。
「誰だ!あいつは誰なんだ!」
女官の身を案じ、駆け寄ったムヒュルは強い力で押し戻され、気付いた。
この光景はどこかで見た覚えがある。
あれは……。
(あの子だ。ハンジ村のトルボクだ!)
(つづく)
すごいですね~。
いろんなことがすごいですわ~。
まず驚いたのが、
独特の刀痕なんてあるんですか?
筆跡と同じで、達人ほど、そうした刀痕を残すって……。
ほんまかいな~と思いますが、どうなんでしょうねぇ?
トンデモ設定だとしても面白いのでいいですけど。
そして、イ・バンジの存在!
おそらくトルボクを鍛えてくれた師匠がいただろうな、と予告の感じで察していましたが、
まさか、ムヒュルがその師匠と戦って負けていたとわ!
あれから20年たって、ムヒュルの技も洗練されているわけですが、彼も老いてゆく。
もちろんイ・バンジが相手だったら、彼だって同じように老いていってるわけですから、
今戦えば、ムヒュルが勝つのかもしれません。
だがしかし!イ・バンジの教えをすべて受け継いだバリバリの現役、チェユンが相手だったら?
もしかしたらムヒュルが負けちゃう可能性もなくはないのだ!と、におわせるこの設定。
いやー!面白いわね!
ふふふ、でも、チョタクが言ってましたけど、謎の侵入者のほうがチェユンより上?
まだまだ彼も修行の余地があるみたいですよね。
まー、この侵入者も何者なんでしょうか?
ユン・ピルを殺さずに連れ去ったのは、なぜなんでしょうか?
拷問?
この指示を出したのは、泮村の行首とつながっているあの謎の男?
そうなると背後にあるのは、やはり密本なのでしょうか。
長髪に仮面でカッコよすでしたね~。
ユン・ピルさんはお人形っぽい……。
しかし、はっはっは!出上術!
どーなんかねー!忍者みたいだね!
こちらもとんでも設定かもしれませんが、面白いからいいぞ!
まさか大人ひとり抱えて木の上に飛び移るなんて無理だとは思うんだけど……。
まぁいいじゃないか!面白いから!
最後の最後に、女官ソイも登場。
ソイ……どうしても大豆が頭をよぎって離れない……。
こんなに美しい人なのに~。
このソイはおそらく……タムなのでしょうね。
さてさて、謎もいっぱいありますが、
今回もやられたよ、カン・チェユンに!
かっこいいというかなんというか、やっぱりこの人が主人公でいいですよね?!
北方から友達がやってきたのが、わたしはとても嬉しい。
前回の様子だと、パクポが相方になるのかしら?と思っていましたが、
やっぱり彼では心許ないもんね。
戦場で背中を預けて戦える男が、チェユンを助けに来てくれて、嬉しい限りです。
「殺したいやつがいる」とか、チョタクには話しているみたいだし、
ある程度心をゆるしているんだよね。
トルボクのつらい人生の中にも、人並みに友達がいたんだ、とわかってホッとしました。
チョタクとパクポがもめるシーンがおかしくって。
宮中のぶた、と馬鹿にされたパクポが、「問答……」といったまま、後が続かず。
そこを後ろでチェユンが、「無用無用無用(ムヨンムヨンムヨン)」って教えてて、
なんとも言えずにおかしかったですよー。
吹き替え版も忠実に再現してますけど、ここはぜひ韓国語で聞いてほしいなぁ。
このなごやか?なシーン、好きだなー。
カリオンのところにいった時のチェユンもかっこいいよね!
チョタクとチェユンは、小屋に入った途端、異様な気配に気付いて身構える。
「獣がいる……」
って出てきたのは、表情を無くしたような不思議な男、ケパイでした。
こわいくらいの無表情。刺客?
肉をひっかけるかぎ爪と思われる道具を手にして、
チェユンに刀を突きつけられても、汗ひとつかかない不気味な男。
いずれチェユンと対決するときがくるのかもしれませんね。
ここでもやはり、同じように気配に気付いてくれる頼もしい相棒チョタクにホッとする。
「豆粒」なんてあだ名がついてますけど、そんなに小さい?
チェユンと同じようにイ・バンジの弟子なのかな。
さて今回は、カン・チェユンという人は、やはりトルボクなんだ、と実感する回でした。
ムヒュルじゃないけどさ、いろんなシーンが、
あの激しかった少年時代のトルボクを連想させる回だったと思う。
トルボクのお父さんは、幼い彼を助けた時に頭を打って、障害を負ってしまったんだよね。
それがトルボクの罪悪感と、父を思う気持ちの強さの原因だと思う。
そして、今度は弱者となった父を守らねば、という気持ちで、大人とも対等に渡り合っていたトルボク。
でも最後の最後、頭が弱いと思われていたお父さんは、最愛の息子を守って死んだ。
やっぱりお父さんは、お父さんだった。
トルボクはそんなお父さんを愛さずにはいられない。
どんなに強くても、彼はまだ子どもだったから。
本当はまだ、愛し、守ってもらいたい子どもだったから。
わたしもう、すごい泣いちゃったんですけど、あのシーン。
チェユンがイ・バンジに弟子入りを頼むシーンですよ。
歯は白い。これが黒かったらもっとすごいんだけどなぁ。
こんなに大きくなっても、忘れられないんだ。
自分が生き抜くことに精一杯な状況でも、あの日のことが忘れられないんだ。
そう思って、ショックだった。
お父さんの事を思うと、思わず嗚咽がこみ上げてくるような気持ちなんだ、と少し意外だった。
彼の中には、ギラギラとした憎しみがあるということはわかっていたけれど、
その奥にあるお父さんへの愛は、まだ枯れていなかったことに驚いたの。
長く復讐の念を持ち続けていると、いつの間にか、それが目的になっちゃうことない?
本当は、誰かへの愛ゆえに生まれた憎しみの想いなのに、
そのもともとの愛が、本物だったのかどうかもわからなくなっちゃうことってない?
チェユンは、そうなっているのかと思ってた。
でもそうじゃなくて、チェユンはお父さんのことを思うと泣きそうになっちゃう子どもだった。
彼の中にまだ「愛」があるのなら、
王を殺して自分も死ぬ、なんていう最悪の最後を回避できるかもしれないな、って希望を持ちました。
カン・チェユン自体もすごく好きなんですけど、
演じているチャン・ヒョクさんがやっぱり好きだなーと再認識。
この人、いつでも「かっこいい」役者じゃないよね。
もう演じているシーンごとに、顔が全然違う。
すっごく卑屈で、賤しい顔に見えるときもあるし、無様なときもあるし、
かと思えば、爽やかで明るいときだってあって、そういう風に見えるのが、ああ、人間だな、と。
他のドラマで彼の演技にダメ出ししている感想なんかも読んだのですけど、
わたしはすごくいい、と思います。
チェユンのことは好きなんだけど、ゾッとするシーンとか、
嫌悪を感じる表情の時もあって、
いつでもキャーキャーいいながら見られる人物像ではなくて、そういうのがいいな。
王様の性格も破天荒でいいですよね。
自ら肥えたごを担いで、おかしな研究をさせて、カリオンに会って、フットワーク軽いです。
たぶん死ぬほど忙しいのにね~。
大業を成し遂げる人って、やっぱり信じられないバイタリティーがあるんですよ。
人間的魅力にあふれた王様です。わたしは好きよ。
わたしも何かできるんじゃないか、って春になるとチャレンジするんですけど、
やっぱり凡人は凡人らしく穏やかに生きていくのがいいのかもしれません……。
王様はどうも、言葉の研究をしているみたいなんですけど、
「音」に着目しているみたいですね。
犬の鳴き声は「ワンワン」でも「ウォルウォル」でも「アウッアウッ」でもいいんですけど、
「王王」「月月」「悪悪」じゃ、全部犬の声を表しているんだよ、といわれても……。
じゃ、どうするのか?ってことですよね~。
もーなんかいろいろたいへん!
泮村の行首と謎の男は密本の人?
じゃユン・ピルは王の味方だよね?
それなのになぜこっそり集賢殿に入ろうとするの?王様にいえばいいんじゃない?
右議政のおじさんは、捜査の進展状況は自分にだけ伝えるようにチョン別監にいったよね?
この人、イ・ドが若い頃から一応側にいた人でしょう?
王様の味方だと思ってて大丈夫?
イ・ドの息子は味方だよね?ソイの存在も知ってるし、研究のとき部屋にいたもんね?
でもムヒュルを見送る目線がちょっと不穏な感じもしたし……。
なんかやらしい妄想されながらお部屋で声を出していたのはソイなの?
王様の研究について、真意を知っているのは誰と誰なの?
あ~わかんないことがまだまだたくさんあるな~。
でもすごく面白いね!
ワクワクしながら次回へ続く!
久々にハマった感がある。
お、面白すぎるでしょ!
《あらすじ》
カン・チェユンは、学士殺人事件の捜査責任者に任命された。
ムヒュルは、彼の腕に見覚えのある刀痕を見つけて、衝撃を受ける。
あれは……自分の刀痕だ……。
北方から、ひとりの兵士が兼司僕として配属された。
チョタクといって、チェユンの友人だ。
パクポとは馬が合わないようだが、一緒に捜査に加わることになった。
ムヒュルは、王に呼ばれて上林園(サンニモン:王宮の植物や作物を管理する場所)へ赴いた。
そこには、作業服を着て、自ら肥えまきをしている王がいた。
役人たちが、国の作物の生育状況をはやく報告しないから、
直々に作業をしてプレッシャーをかけてやる作戦なんだという。
「わたしには時間がいくらあっても足りないというのに……」
怠慢な役人たちに、不満いっぱいの王なのだ。
畑の隅では、王に命ぜられ、男が犬の鳴き声を口まね(口戯)している。
「今のはどう聞こえた?」
「うむう、ウォル、ウォル(月)と聞こえましたが……」
「どうだ、同じ発音か?」
「いえ、少し違います」
側では、お茶目な女官がその音を書き記している。
「次は赤子の泣き声を研究してみよ」
王は、何かを研究しているようだ。
一方、チェユンは、チョン別監に泮村へ連れて行かれていた。
カリオンという検死の達人に話を聞くためだ。
殺されたホ・ダムの検死を行い、死因を説明するカリオン。
殴られた痕もなく、刀傷もない。
死因は窒息死だが、抵抗した痕がない。
気道に何かが詰まっての窒息のようだが、首を押さえて苦しんだ様子もない。
不思議なことに、学士の襟が水で濡れていた。
そこまで聞いて、チェユンはハッと気付く。
乾溺死功(コニクサゴン)だ。
それは、師匠の技。誰が、いったい、どのように?
考えながら、チェユンは師に出会った頃のことを思い出していた。
辺境で女真族と戦い、キム将軍のもとで武功をつみ、殺し合いに明け暮れていた頃。
チョタクと出会ったのもその頃だ。彼とは共に死線をくぐり抜けてきた。
あるとき、10人以上の敵に囲まれ、たったひとり絶体絶命の危機に陥った。
そこへふらりと現れたひとりの老人。
「はやく逃げろ!」
チェユンの言葉に耳も貸さず、その老人はたったひとりですべての敵を倒して見せた。
「待ってください!」
チェユンはすぐさま老人を呼び止め、教えを請うた。
仇を討つため、すべての技を教えてほしいと、すがりついた。
しかし老人はすげない。
命を救うためと言われても断るのに、人を殺すためだとは……。
「それでお前は毎晩寝ずに刀を研いでいるのか」
去って行く老人の背に、チェユンは叫んだ。
「教えないなら、俺を殺せ!クソ野郎!
どうせさっきも死にかけた。俺は死にたいんだよ。なぜだと思う?
寝ずに刀を研ぐ理由はな、寝ないんじゃなくて、眠れないんだ。
目を閉じた途端、目を閉じた途端に、俺の、俺のオヤジが……
眠れたなら、すべてを忘れて生きていけただろう。
だけど、全部忘れることなんかできない。
だから刀を研ぎ続けた。そうしないと、俺は、俺は生きていけなかったから……。
イ・バンジ!かかってこい!俺を助けた責任を取れ!」
チェユンは老人に斬りかかるが、あっけなく倒されてしまう。
「これがお前の実力だ。去れ」
しかしチェユンはあきらめない。
「わしは武士としか戦わん」
「武士?武士だと?武士ではないが、武士のようには死ねる。イ・バンジ!かかってこい!」
老人は渋い顔でチェユンを見たのだった。
ムヒュルは、チェユンの刀痕について考えていた。
奴に斬りかかったことがあるのだろうか?
朝鮮一の刀使いムヒュル。
実は、彼もまた若かりし頃、イ・バンジと戦ったことがあった。
しかもムヒュルは負けたのだ。
自分を殺せ、とムヒュルは言った。しかしイ・バンジは、とどめを刺さずに去って行ったのだった。
カリオンが、スラッカンに精肉を届けに来た。
そして人払いがなされ、カリオンは御簾越しに王の質問に答える。
王は、カン・チェユンに捜査を一任したのだが、それはあくまで表向きのこと。
彼らは囮であり、敵をあぶり出すための餌にすぎない。
ホ・ダムの死因は、乾溺死功だった。
竹筒で吸ったわずかな水で、溺死させる。
吹き矢の要領で鼻腔に水を飛ばし、即座に首を絞め、気道をふさぐ。
女真族に伝わる暗殺方法だ。
カリオンは命じられたとおり、その発見を誰にも言っていない。
スラッカンに出入りするカリオンを不審に思うチョ・マルセン。
学士たちは、集賢殿閉鎖について、ホ・ダムの死にまつわるうわさについて話合っていた。
副提学であるチェ・マルリは、明日からの集賢殿再開を決めた。
若いソン・サンムンは、なぜだか苦い顔。
ユン・ピルの姿が見えないことが、心配された。
泮村の行首は、健在であった。
チェユンも当時の記憶を呼び起こされたが、気をつけて顔を合わせないようにしている。
行首は、で謎の男と会っていた。
「事は順調に進んでおります。ホ・ダムの検死が開始され、兼司僕に捜査が依頼されました」
「ムヒュルではないのか?」
「かえって好都合では?泮村に毎日兼司僕が出入りします」
「彼らから、目を離すな。ユン・ピルの件も、失敗してはならぬ」
高貴な身分に見えるその男は、決行を今夜だと指示した。
ユン・ピルは、集賢殿に忍び込んでいた。
ホ・ダムの机で何かを探している。
隠された伝令書を見つけたユン・ピル。
そこへ、手がかりを探そうとチェユンとチョタクが入ってきた。
「誰かいる……」
物音を立ててしまったユン・ピルは、即座に外へ。
ふたりも急いで後を追う。
ユン・ピルは、松明の皿に伝令書を捨て、焼いてしまおうとしたが、
チェユンが一足飛びに火に飛びつき、すんでのところで紙を拾う。
同時に鉄球を足で蹴って飛ばし、ユン・ピルを気絶せしめた。
「腕は衰えていないな。出上術」
「誰か見たか?」
「いや、気をつけろ」
ふくろうの鳴き声が、夜の闇に響く。
その途端、ふたりの頭上から手剣が降ってきた。
とっさに飛びすさり、逃れる。
すると、仮面をつけたひとりの男が木の上から飛び降りてきて、ユン・ピルを抱えて逃げ去った。
一件は即座に王に報告がなされた。
謎の侵入者は、おそらくまだ宮中にいる。
あまりの出来事に、王も苦笑してしまう。
ムヒュルは、すべてがカン・チェユンの報告にすぎないと、チェユンを疑う。
「ユン・ピルが連れ去られたとなると……
鋳字所(チュジャソ:活字を作り書物を作る官庁)?」
つぶやいた王は、同じく部屋にいたものに意見を求める。
それは、王子ではなく、御簾の向こうにいた美しい女官だった。
女官の名は、ソイという。彼女は筆を取り、さらさらと返事を書いた。
「ソイ、わたしもそう思った。鋳字所にいき、調べてくるのだ」
チェユンとチョタクは、出上術を使う侵入者について考えていた。
ユン・ピルが残した書には「君那弥欲(クンナミヨク)」とある。
いったい何の意味なのだろう?
ふたりは、侵入者が逃げた経路を推理している。
出上術を使ったのなら、各所に力を加えた痕が残っているはずだ。
それを追っていくと……。
そこにあったのは鋳字所。
ソイが侵入し、何かを必死で調べている場所である。
中を調べに入ろうとしたところ、上官にうながされ、しぶしぶその場を離れるふたり。
「おい、チェユン、まて、硫黄のにおいが……」
鋳字所が、いきなり爆発した。
騒然となる周囲をよそに、チェユンは確信する。
「中に奴がいる!」
チェユンは水とコモをかぶり、燃えさかる鋳字所に飛び込んでいった。
ムヒュルが駆けつけた直後、チェユンはひとりの女官を抱えて火の中から飛び出してきた。
意識があるのかどうかすらわからない女官の胸ぐらをつかみ、叫ぶ。
「誰だ!あいつは誰なんだ!」
女官の身を案じ、駆け寄ったムヒュルは強い力で押し戻され、気付いた。
この光景はどこかで見た覚えがある。
あれは……。
(あの子だ。ハンジ村のトルボクだ!)
(つづく)
すごいですね~。
いろんなことがすごいですわ~。
まず驚いたのが、
独特の刀痕なんてあるんですか?
筆跡と同じで、達人ほど、そうした刀痕を残すって……。
ほんまかいな~と思いますが、どうなんでしょうねぇ?
トンデモ設定だとしても面白いのでいいですけど。
そして、イ・バンジの存在!
おそらくトルボクを鍛えてくれた師匠がいただろうな、と予告の感じで察していましたが、
まさか、ムヒュルがその師匠と戦って負けていたとわ!
あれから20年たって、ムヒュルの技も洗練されているわけですが、彼も老いてゆく。
もちろんイ・バンジが相手だったら、彼だって同じように老いていってるわけですから、
今戦えば、ムヒュルが勝つのかもしれません。
だがしかし!イ・バンジの教えをすべて受け継いだバリバリの現役、チェユンが相手だったら?
もしかしたらムヒュルが負けちゃう可能性もなくはないのだ!と、におわせるこの設定。
いやー!面白いわね!
ふふふ、でも、チョタクが言ってましたけど、謎の侵入者のほうがチェユンより上?
まだまだ彼も修行の余地があるみたいですよね。
まー、この侵入者も何者なんでしょうか?
ユン・ピルを殺さずに連れ去ったのは、なぜなんでしょうか?
拷問?
この指示を出したのは、泮村の行首とつながっているあの謎の男?
そうなると背後にあるのは、やはり密本なのでしょうか。
長髪に仮面でカッコよすでしたね~。
ユン・ピルさんはお人形っぽい……。
しかし、はっはっは!出上術!
どーなんかねー!忍者みたいだね!
こちらもとんでも設定かもしれませんが、面白いからいいぞ!
まさか大人ひとり抱えて木の上に飛び移るなんて無理だとは思うんだけど……。
まぁいいじゃないか!面白いから!
最後の最後に、女官ソイも登場。
ソイ……どうしても大豆が頭をよぎって離れない……。
こんなに美しい人なのに~。
このソイはおそらく……タムなのでしょうね。
さてさて、謎もいっぱいありますが、
今回もやられたよ、カン・チェユンに!
かっこいいというかなんというか、やっぱりこの人が主人公でいいですよね?!
北方から友達がやってきたのが、わたしはとても嬉しい。
前回の様子だと、パクポが相方になるのかしら?と思っていましたが、
やっぱり彼では心許ないもんね。
戦場で背中を預けて戦える男が、チェユンを助けに来てくれて、嬉しい限りです。
「殺したいやつがいる」とか、チョタクには話しているみたいだし、
ある程度心をゆるしているんだよね。
トルボクのつらい人生の中にも、人並みに友達がいたんだ、とわかってホッとしました。
チョタクとパクポがもめるシーンがおかしくって。
宮中のぶた、と馬鹿にされたパクポが、「問答……」といったまま、後が続かず。
そこを後ろでチェユンが、「無用無用無用(ムヨンムヨンムヨン)」って教えてて、
なんとも言えずにおかしかったですよー。
吹き替え版も忠実に再現してますけど、ここはぜひ韓国語で聞いてほしいなぁ。
このなごやか?なシーン、好きだなー。
カリオンのところにいった時のチェユンもかっこいいよね!
チョタクとチェユンは、小屋に入った途端、異様な気配に気付いて身構える。
「獣がいる……」
って出てきたのは、表情を無くしたような不思議な男、ケパイでした。
こわいくらいの無表情。刺客?
肉をひっかけるかぎ爪と思われる道具を手にして、
チェユンに刀を突きつけられても、汗ひとつかかない不気味な男。
いずれチェユンと対決するときがくるのかもしれませんね。
ここでもやはり、同じように気配に気付いてくれる頼もしい相棒チョタクにホッとする。
「豆粒」なんてあだ名がついてますけど、そんなに小さい?
チェユンと同じようにイ・バンジの弟子なのかな。
さて今回は、カン・チェユンという人は、やはりトルボクなんだ、と実感する回でした。
ムヒュルじゃないけどさ、いろんなシーンが、
あの激しかった少年時代のトルボクを連想させる回だったと思う。
トルボクのお父さんは、幼い彼を助けた時に頭を打って、障害を負ってしまったんだよね。
それがトルボクの罪悪感と、父を思う気持ちの強さの原因だと思う。
そして、今度は弱者となった父を守らねば、という気持ちで、大人とも対等に渡り合っていたトルボク。
でも最後の最後、頭が弱いと思われていたお父さんは、最愛の息子を守って死んだ。
やっぱりお父さんは、お父さんだった。
トルボクはそんなお父さんを愛さずにはいられない。
どんなに強くても、彼はまだ子どもだったから。
本当はまだ、愛し、守ってもらいたい子どもだったから。
わたしもう、すごい泣いちゃったんですけど、あのシーン。
チェユンがイ・バンジに弟子入りを頼むシーンですよ。
歯は白い。これが黒かったらもっとすごいんだけどなぁ。
こんなに大きくなっても、忘れられないんだ。
自分が生き抜くことに精一杯な状況でも、あの日のことが忘れられないんだ。
そう思って、ショックだった。
お父さんの事を思うと、思わず嗚咽がこみ上げてくるような気持ちなんだ、と少し意外だった。
彼の中には、ギラギラとした憎しみがあるということはわかっていたけれど、
その奥にあるお父さんへの愛は、まだ枯れていなかったことに驚いたの。
長く復讐の念を持ち続けていると、いつの間にか、それが目的になっちゃうことない?
本当は、誰かへの愛ゆえに生まれた憎しみの想いなのに、
そのもともとの愛が、本物だったのかどうかもわからなくなっちゃうことってない?
チェユンは、そうなっているのかと思ってた。
でもそうじゃなくて、チェユンはお父さんのことを思うと泣きそうになっちゃう子どもだった。
彼の中にまだ「愛」があるのなら、
王を殺して自分も死ぬ、なんていう最悪の最後を回避できるかもしれないな、って希望を持ちました。
カン・チェユン自体もすごく好きなんですけど、
演じているチャン・ヒョクさんがやっぱり好きだなーと再認識。
この人、いつでも「かっこいい」役者じゃないよね。
もう演じているシーンごとに、顔が全然違う。
すっごく卑屈で、賤しい顔に見えるときもあるし、無様なときもあるし、
かと思えば、爽やかで明るいときだってあって、そういう風に見えるのが、ああ、人間だな、と。
他のドラマで彼の演技にダメ出ししている感想なんかも読んだのですけど、
わたしはすごくいい、と思います。
チェユンのことは好きなんだけど、ゾッとするシーンとか、
嫌悪を感じる表情の時もあって、
いつでもキャーキャーいいながら見られる人物像ではなくて、そういうのがいいな。
王様の性格も破天荒でいいですよね。
自ら肥えたごを担いで、おかしな研究をさせて、カリオンに会って、フットワーク軽いです。
たぶん死ぬほど忙しいのにね~。
大業を成し遂げる人って、やっぱり信じられないバイタリティーがあるんですよ。
人間的魅力にあふれた王様です。わたしは好きよ。
わたしも何かできるんじゃないか、って春になるとチャレンジするんですけど、
やっぱり凡人は凡人らしく穏やかに生きていくのがいいのかもしれません……。
王様はどうも、言葉の研究をしているみたいなんですけど、
「音」に着目しているみたいですね。
犬の鳴き声は「ワンワン」でも「ウォルウォル」でも「アウッアウッ」でもいいんですけど、
「王王」「月月」「悪悪」じゃ、全部犬の声を表しているんだよ、といわれても……。
じゃ、どうするのか?ってことですよね~。
もーなんかいろいろたいへん!
泮村の行首と謎の男は密本の人?
じゃユン・ピルは王の味方だよね?
それなのになぜこっそり集賢殿に入ろうとするの?王様にいえばいいんじゃない?
右議政のおじさんは、捜査の進展状況は自分にだけ伝えるようにチョン別監にいったよね?
この人、イ・ドが若い頃から一応側にいた人でしょう?
王様の味方だと思ってて大丈夫?
イ・ドの息子は味方だよね?ソイの存在も知ってるし、研究のとき部屋にいたもんね?
でもムヒュルを見送る目線がちょっと不穏な感じもしたし……。
なんかやらしい妄想されながらお部屋で声を出していたのはソイなの?
王様の研究について、真意を知っているのは誰と誰なの?
あ~わかんないことがまだまだたくさんあるな~。
でもすごく面白いね!
ワクワクしながら次回へ続く!
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