《あらすじ》
トンマンの潜伏場所が発見され、チルスクが兵を率いて襲撃してきた。
建物を包囲し、投降を呼びかけるチルスク。
絶体絶命の危機に、ソファがある選択をする。
「ダメです!絶対にダメです!」
うんと言わないトンマンを、ソファは必死に説得する。
「トンマナ、母さんのいうことを聞きなさい、いいわね?」
トンマンの瞳から、涙がこぼれた。
チルスクは、突入を決意。
「王女は死ななければならない」
密かにトンマン殺害の密命を出し、第一団を突入させるが、
皆、中の手練れにやられてしまった。
狭い場所での戦闘は混乱する。チルスクは、自ら突入することを決めた。
第二団を連れて突入したチルスクは、王女を見つけられない。
彼の前に立ちふさがるのは、傷を負ったユシン。
王女を逃がすべく、ユシンはチルスクと、必死の攻防を繰り広げるのだった。
戦いのさなか、チルスクは気付く。
先ほどやられて蹴り出された第一団に化けて、王女は脱出をはかったのだ。
トンマンを追おうとするチルスクを、必死で足止めするユシン。
しかしいつまでもチルスクをとどめておくことはできず、
チルスクは兵団を率いて王女を追っていった。
一息ついたユシンは、部屋の奥の扉を開け放った。
そこへ隠れていたのは、トンマン。
「王女様、今です、お急ぎを」
では、ウォルヤと共に逃げたのは……?
チルスクは夜の山を狩り、逃げた王女を見つけ出した。
トンマンには、捕らえる過程で死んでもらう、というミシルの命令を受けたチルスク。
赤子だったトンマン、砂漠の宿で出会ったトンマン、
(もう、ゆけ、トンマン)
チルスクは刀を振り下ろした。
「乳母殿!」
ウォルヤの声に、ハッとするチルスク。
斬った女の覆面を取ってみれば、それは乳母であるソファだった。
虫の息でチルスクを見つめるソファ。
「チルスク郎……
私たちは、こうなる運命だったのですね……
30年、巡り巡って、結果元通りに……」
「ソファ、ソファ、ソファ!」
彼女は、チルスクの腕の中で息絶えた。
宮殿には、王女が無事逃げたことが伝わり、仲間は安堵する。
ミシルも報告を聞き、死んだのはソファだったと見当をつけるのだ。
ウォルヤは、トンマンのもとへ母の遺体を運んできていた。
「母さん、ひどすぎる……
本当に母さんはバカよ……どんな母親にも真似できない!
二度も……命を捨てた……私のために……母さん…母さん……」
トンマンは、母の遺体にすがって泣いた。
ユシンも、その肩に手をのせて、慰めてやることすらできない。
彼女は、王になる人なのだから。
ヨムジョンは、ピダムの前で愚痴のようにつぶやく。
「俺たちだって同じさ。人の世話を焼くだけ焼いて、あんな風に死ぬんだ。
嫌な運命だよな」
トンマンの泣き声を聞きながら、何かを考えるようなピダム。
チルスクは、花祠堂に立っていた。
傍らに現れるミシル。
「私の名も、ここに残るのでしょうか?」
「名を残したいのか?」
「何か希望がなければ、生きられません」
16才の頃、高句麗に捕まり生き埋めにされた。
それを救ってくれたのが、ミシルだった。
その時から、彼はミシルに命を捧げてきた。
数々の死闘をくぐり抜けてきた。
「よく生きてこられたと思っていましたが、ただ死ぬ機会を逃していただけです。
……次の機会は、逃しません」
「そう、そうなさい」
なぜウォルヤをそのまま行かせたのか、ミシルは問うが、
遺体をわたしてやりたかったというチルスクをとがめることはしなかった。
ソファの墓の前で泣くチュクパンとトンマン。
「か弱くてもろいお人だってのに、いつだって無茶をしちまうんだ……」
「か弱くて、もろい?
ううん、違う。母さんはいつだって、私より強かった。
砂漠でも……新羅でも……。
私のせいで、私のために、強くなった……」
トンマンはひとり、木の下で、声を殺して泣いている。
慰めに行こうとしたピダムを、ユシンがとめた。
「あんなに泣いているのに、見ているだけか?」
「人に見られたくはないだろう」
トンマンは、涙を拭いて立ち上がった。
「私はもう、隠れません。
私の生存を知らせ、勢力を集めます。前へ進むのです」
しかし、危険だ。それに、王女が隠れていればいるほど、有利になる。
「皆同じ意見ですか?確かに、チュンチュは正しい。でも」
トンマンは、耐えられない。隠れている間に、死んでいく仲間たち。
拷問に耐えて、捕まっているもの。
いつ終わるともない、戒厳令におびえて暮らす民たち。
今ここにいる者たちだって、いつ死ぬかわからない。
そんな状況で、ただ待つことに、彼女は耐えられないのだ。
「これからトンマンは、逃げも隠れもしません」
ユシンは、王女を止めようとする。
しかしトンマンは、決意を翻すことはない。
ミシルは強いけれど、分けられない。
幸いトンマンには、チュンチュがいる。
本当にもう、彼女には耐えられないのだ。
「王は決してそのようにはなりません!危険すぎます」
これから何人、自分のために死ななければならないのか……。
生きていることこそが、危険だと実感したとトンマンは言う。
それはユシンだとて、トンマンだとて、同じことなのだ。
その頃、ソラボルへ唐からの使者が向かっていた。
内政が不安定なこの時期に面倒なことだが、
唐も建国してから10年、初めての使者である。
騒ぎを起こさず帰ってもらうのが得策だ。
ここは、トンマンにとってもチャンスだ。
ミシルは使者に国衛府の権力を示そうとするだろう。
戒厳令も一時解除されるかもしれない。
「明日です。ユシン郎、私に何かあったら、チュンチュを頼みます」
「不遜ながら、聞かなかったことにさせてください。何も起こりません」
翌日、唐からの使者が到着した。
予想通り、戒厳令は一時解除されたのか、人々が使者を一目見ようと
詰めかけている。
そこへ、不思議な凧からビラが舞い降りてきた。
「気概ある神国の民は立ち上がり、陛下を救え。
開陽者 トンマン 開陽者の子 チュンチュ」
花郎たちは、ビラを手に相談している。
「陛下を救えとは、どういう意味だ?」
「軟禁されているのでは?」
「王女が起こしたとされる政変に不審な点もある……」
ソップムは一人反論するが、花郎たちはトンマンよりに意見が傾いている。
「王女様は花郎の主だ」
「政変かどうかもわからない」
「みな璽主の恩を忘れたのか?」
もちろん、璽主の恩を忘れるものではない。
しかし、花郎たちは私利私欲でミシルに従っていたのではないのだ。
彼女に大義があったから、彼女が正しかったから、従った。
それはミシル自身がよくわかっているはずだ。
ビラは、貴族の手にも、民衆の手にも、使節団の手にもわたった。
誰もが戒厳令のために口をつぐんでいるが、政局は不安定だ。
ミシルは、唐の使節団と面会した。
彼らは、友好の証として金千貫を要求。
見返りは、ただ「友愛を」と。
いくら情勢が不安定な状況とはいえ、無法な要求をただのめるものではない。
使節団はあのビラを読んで、足下を見ているのだ。
「このような内政状況では、大国の力が必要では?」
ミシルは、正使とふたりだけで話をしたいと申し出る。
正使は新羅の言葉にご堪能なようだから、と。
ふたりだけになると、ミシルは容赦がなかった。
「このビラによれば、王を軟禁して、王女を逆賊に仕立てたと?
これは王位の略奪ですぞ」
「唐の皇帝は、天下を力ずくで奪い取ったのでしょう?違いますか?」
「無礼であるぞ!」
「随から見れば同じことですわ。
皇帝が国祖と言われるためには、どのように大義を示すかが鍵でしょうね」
「辺境の女ごときに、我が国の大義について何がわかる」
その言葉に、ミシルの態度が一変する。
「お前こそ、私と天下や大義を語る資格などないわ。
私と語りたくば、李世民を連れてこい」
売り言葉に買い言葉、怒った正使は、軍を率いて鶏林を踏みつぶすと恫喝。
「それは宣戦布告と思ってよろしいかしら?
宣戦布告した使者の正式な扱いをご存じですか?
あなたの首をはね、福使に持ち帰らせましょうか?」
慌てた正使はミシルに謝罪し、唐との友好を約束した。
会談を終え、インガン殿に向かっていたミシルは、
「ミシル璽主……ミシル璽主……」と誰かが呼ぶ声に気付かない。
大きな音がして、花瓶が割れた。
ハッとして振り向くと、そこには郎徒の姿をしたトンマンが!
どうどう、宮殿に乗り込んできた、トンマン。
ミシルはどう出る?
(つづく)
ほほほほほ、面白いですよ、面白いですけど、
こんなんマンガやわ~!
うちのおばあちゃんお得意のフレーズで叫ばせていただきました。
うっそー?とか、マジで~?とか、ありえへん!のかわりに
おばあちゃんがよく言うんですよね。マンガやわ~って。
トンマンね-、どうやって誰にも見とがめられず、
郎徒のかっこでこんなところにいたんでしょうか?
ドラマチックでいいですけどね!
面白いからいいや!
そのくせ、冒頭の逃亡劇はお約束展開。
ソファが囮になるってわかってたよ、そしてきっと
死んじゃうであろうこともわかってたさ……。
それでも悲しいよね、うんうん、なんだろうね、この悲しさは。
きっと、ソファとチルスクが、最後まで想いを伝え合えないからだよね。
もちろん心の奥底では通じ合っているんだろうけど、
言葉にしては何も言えなかった……。
互いの運命を、半ばあきらめのうちに受け入れたふたり。
どうにかなんなかったかな、とも思うけど、
ソファはトンマンを置いていけないよね。母だもん。
愛する女を手にかけて、それでも出奔せず、ミシルの元へ帰るチルスク。
若い人から見たら、なんじゃそりゃ?かもしれないけど、
こういうもんなんだよ、大人って……。
それがいいとか悪いとかじゃなくて、こういうふうになっちゃうことがあるのが、大人なの。
おとなってーとあれか、言い直すね。
こういうのがしみじみわかるのが、おっさんおばさんなのさ……。
そして、チョンミョン王女が死んだ時とは、また違った趣で泣き崩れるトンマン。
自分は今、王女だから、やるべきことがあるから、守るべき臣下が、民がいるから、
手放しでえんえん泣かないんだよね、トンマナ。
自制してるんだろ、トンマナ。
そんな王女の肩に、手すら置けないユシン。
不自由なやつ~!
思えば、あの脱出劇の際、兵士姿のトンマンの肩を押しやったのがぎりぎりだったわけね。
ああいう緊急時にしか許されないわけねー!
もちろん、しくしく泣いてるトンマンを抱きしめるなんてもってのほかで、
そんな役得はピダムのものなのさ。
でもピダム、さすがに止められました。
「人に見られたくはないだろう」って。
俺が行けないのに、お前なんか行かせるかぁ~って、はっきり言ってやりなよ、ユシン郎。
ううっ、かっこいい……。
ピダムの純情を思うと行かせてやりたいけど、ここは私でも止めると思うなー。
人に見られて云々とか、ジェラシーなんかではもちろん無く、
この涙の試練は、王女にとって必要なものだからです。
いつまでも、お母さん、ぐずぐず、ではダメなんよ。
だって彼女は王女だから。そして女王を目指す人なんだから。
ね、だからこそトンマンはひとりで涙を拭いて立ち上がるの。
えらいぞ!トンマン!
悲しみにひたっている暇はないのだ!
強くならなきゃいけないんだ~!
ミシルもねー、負けじとすごい女ですよ。
政治家としては一流です。
相手が韓国語ペラペラじゃなければ、こんな会談実現しないんだけどさ。
そこはご都合主義かもしれないけどさ、かっこいいじゃん!
ミシルとトンマンが手を組んだら、すごい勢いで三韓統一できそうなのに。
惜しいなぁ。
トンマンの潜伏場所が発見され、チルスクが兵を率いて襲撃してきた。
建物を包囲し、投降を呼びかけるチルスク。
絶体絶命の危機に、ソファがある選択をする。
「ダメです!絶対にダメです!」
うんと言わないトンマンを、ソファは必死に説得する。
「トンマナ、母さんのいうことを聞きなさい、いいわね?」
トンマンの瞳から、涙がこぼれた。
チルスクは、突入を決意。
「王女は死ななければならない」
密かにトンマン殺害の密命を出し、第一団を突入させるが、
皆、中の手練れにやられてしまった。
狭い場所での戦闘は混乱する。チルスクは、自ら突入することを決めた。
第二団を連れて突入したチルスクは、王女を見つけられない。
彼の前に立ちふさがるのは、傷を負ったユシン。
王女を逃がすべく、ユシンはチルスクと、必死の攻防を繰り広げるのだった。
戦いのさなか、チルスクは気付く。
先ほどやられて蹴り出された第一団に化けて、王女は脱出をはかったのだ。
トンマンを追おうとするチルスクを、必死で足止めするユシン。
しかしいつまでもチルスクをとどめておくことはできず、
チルスクは兵団を率いて王女を追っていった。
一息ついたユシンは、部屋の奥の扉を開け放った。
そこへ隠れていたのは、トンマン。
「王女様、今です、お急ぎを」
では、ウォルヤと共に逃げたのは……?
チルスクは夜の山を狩り、逃げた王女を見つけ出した。
トンマンには、捕らえる過程で死んでもらう、というミシルの命令を受けたチルスク。
赤子だったトンマン、砂漠の宿で出会ったトンマン、
(もう、ゆけ、トンマン)
チルスクは刀を振り下ろした。
「乳母殿!」
ウォルヤの声に、ハッとするチルスク。
斬った女の覆面を取ってみれば、それは乳母であるソファだった。
虫の息でチルスクを見つめるソファ。
「チルスク郎……
私たちは、こうなる運命だったのですね……
30年、巡り巡って、結果元通りに……」
「ソファ、ソファ、ソファ!」
彼女は、チルスクの腕の中で息絶えた。
宮殿には、王女が無事逃げたことが伝わり、仲間は安堵する。
ミシルも報告を聞き、死んだのはソファだったと見当をつけるのだ。
ウォルヤは、トンマンのもとへ母の遺体を運んできていた。
「母さん、ひどすぎる……
本当に母さんはバカよ……どんな母親にも真似できない!
二度も……命を捨てた……私のために……母さん…母さん……」
トンマンは、母の遺体にすがって泣いた。
ユシンも、その肩に手をのせて、慰めてやることすらできない。
彼女は、王になる人なのだから。
ヨムジョンは、ピダムの前で愚痴のようにつぶやく。
「俺たちだって同じさ。人の世話を焼くだけ焼いて、あんな風に死ぬんだ。
嫌な運命だよな」
トンマンの泣き声を聞きながら、何かを考えるようなピダム。
チルスクは、花祠堂に立っていた。
傍らに現れるミシル。
「私の名も、ここに残るのでしょうか?」
「名を残したいのか?」
「何か希望がなければ、生きられません」
16才の頃、高句麗に捕まり生き埋めにされた。
それを救ってくれたのが、ミシルだった。
その時から、彼はミシルに命を捧げてきた。
数々の死闘をくぐり抜けてきた。
「よく生きてこられたと思っていましたが、ただ死ぬ機会を逃していただけです。
……次の機会は、逃しません」
「そう、そうなさい」
なぜウォルヤをそのまま行かせたのか、ミシルは問うが、
遺体をわたしてやりたかったというチルスクをとがめることはしなかった。
ソファの墓の前で泣くチュクパンとトンマン。
「か弱くてもろいお人だってのに、いつだって無茶をしちまうんだ……」
「か弱くて、もろい?
ううん、違う。母さんはいつだって、私より強かった。
砂漠でも……新羅でも……。
私のせいで、私のために、強くなった……」
トンマンはひとり、木の下で、声を殺して泣いている。
慰めに行こうとしたピダムを、ユシンがとめた。
「あんなに泣いているのに、見ているだけか?」
「人に見られたくはないだろう」
トンマンは、涙を拭いて立ち上がった。
「私はもう、隠れません。
私の生存を知らせ、勢力を集めます。前へ進むのです」
しかし、危険だ。それに、王女が隠れていればいるほど、有利になる。
「皆同じ意見ですか?確かに、チュンチュは正しい。でも」
トンマンは、耐えられない。隠れている間に、死んでいく仲間たち。
拷問に耐えて、捕まっているもの。
いつ終わるともない、戒厳令におびえて暮らす民たち。
今ここにいる者たちだって、いつ死ぬかわからない。
そんな状況で、ただ待つことに、彼女は耐えられないのだ。
「これからトンマンは、逃げも隠れもしません」
ユシンは、王女を止めようとする。
しかしトンマンは、決意を翻すことはない。
ミシルは強いけれど、分けられない。
幸いトンマンには、チュンチュがいる。
本当にもう、彼女には耐えられないのだ。
「王は決してそのようにはなりません!危険すぎます」
これから何人、自分のために死ななければならないのか……。
生きていることこそが、危険だと実感したとトンマンは言う。
それはユシンだとて、トンマンだとて、同じことなのだ。
その頃、ソラボルへ唐からの使者が向かっていた。
内政が不安定なこの時期に面倒なことだが、
唐も建国してから10年、初めての使者である。
騒ぎを起こさず帰ってもらうのが得策だ。
ここは、トンマンにとってもチャンスだ。
ミシルは使者に国衛府の権力を示そうとするだろう。
戒厳令も一時解除されるかもしれない。
「明日です。ユシン郎、私に何かあったら、チュンチュを頼みます」
「不遜ながら、聞かなかったことにさせてください。何も起こりません」
翌日、唐からの使者が到着した。
予想通り、戒厳令は一時解除されたのか、人々が使者を一目見ようと
詰めかけている。
そこへ、不思議な凧からビラが舞い降りてきた。
「気概ある神国の民は立ち上がり、陛下を救え。
開陽者 トンマン 開陽者の子 チュンチュ」
花郎たちは、ビラを手に相談している。
「陛下を救えとは、どういう意味だ?」
「軟禁されているのでは?」
「王女が起こしたとされる政変に不審な点もある……」
ソップムは一人反論するが、花郎たちはトンマンよりに意見が傾いている。
「王女様は花郎の主だ」
「政変かどうかもわからない」
「みな璽主の恩を忘れたのか?」
もちろん、璽主の恩を忘れるものではない。
しかし、花郎たちは私利私欲でミシルに従っていたのではないのだ。
彼女に大義があったから、彼女が正しかったから、従った。
それはミシル自身がよくわかっているはずだ。
ビラは、貴族の手にも、民衆の手にも、使節団の手にもわたった。
誰もが戒厳令のために口をつぐんでいるが、政局は不安定だ。
ミシルは、唐の使節団と面会した。
彼らは、友好の証として金千貫を要求。
見返りは、ただ「友愛を」と。
いくら情勢が不安定な状況とはいえ、無法な要求をただのめるものではない。
使節団はあのビラを読んで、足下を見ているのだ。
「このような内政状況では、大国の力が必要では?」
ミシルは、正使とふたりだけで話をしたいと申し出る。
正使は新羅の言葉にご堪能なようだから、と。
ふたりだけになると、ミシルは容赦がなかった。
「このビラによれば、王を軟禁して、王女を逆賊に仕立てたと?
これは王位の略奪ですぞ」
「唐の皇帝は、天下を力ずくで奪い取ったのでしょう?違いますか?」
「無礼であるぞ!」
「随から見れば同じことですわ。
皇帝が国祖と言われるためには、どのように大義を示すかが鍵でしょうね」
「辺境の女ごときに、我が国の大義について何がわかる」
その言葉に、ミシルの態度が一変する。
「お前こそ、私と天下や大義を語る資格などないわ。
私と語りたくば、李世民を連れてこい」
売り言葉に買い言葉、怒った正使は、軍を率いて鶏林を踏みつぶすと恫喝。
「それは宣戦布告と思ってよろしいかしら?
宣戦布告した使者の正式な扱いをご存じですか?
あなたの首をはね、福使に持ち帰らせましょうか?」
慌てた正使はミシルに謝罪し、唐との友好を約束した。
会談を終え、インガン殿に向かっていたミシルは、
「ミシル璽主……ミシル璽主……」と誰かが呼ぶ声に気付かない。
大きな音がして、花瓶が割れた。
ハッとして振り向くと、そこには郎徒の姿をしたトンマンが!
どうどう、宮殿に乗り込んできた、トンマン。
ミシルはどう出る?
(つづく)
ほほほほほ、面白いですよ、面白いですけど、
こんなんマンガやわ~!
うちのおばあちゃんお得意のフレーズで叫ばせていただきました。
うっそー?とか、マジで~?とか、ありえへん!のかわりに
おばあちゃんがよく言うんですよね。マンガやわ~って。
トンマンね-、どうやって誰にも見とがめられず、
郎徒のかっこでこんなところにいたんでしょうか?
ドラマチックでいいですけどね!
面白いからいいや!
そのくせ、冒頭の逃亡劇はお約束展開。
ソファが囮になるってわかってたよ、そしてきっと
死んじゃうであろうこともわかってたさ……。
それでも悲しいよね、うんうん、なんだろうね、この悲しさは。
きっと、ソファとチルスクが、最後まで想いを伝え合えないからだよね。
もちろん心の奥底では通じ合っているんだろうけど、
言葉にしては何も言えなかった……。
互いの運命を、半ばあきらめのうちに受け入れたふたり。
どうにかなんなかったかな、とも思うけど、
ソファはトンマンを置いていけないよね。母だもん。
愛する女を手にかけて、それでも出奔せず、ミシルの元へ帰るチルスク。
若い人から見たら、なんじゃそりゃ?かもしれないけど、
こういうもんなんだよ、大人って……。
それがいいとか悪いとかじゃなくて、こういうふうになっちゃうことがあるのが、大人なの。
おとなってーとあれか、言い直すね。
こういうのがしみじみわかるのが、おっさんおばさんなのさ……。
そして、チョンミョン王女が死んだ時とは、また違った趣で泣き崩れるトンマン。
自分は今、王女だから、やるべきことがあるから、守るべき臣下が、民がいるから、
手放しでえんえん泣かないんだよね、トンマナ。
自制してるんだろ、トンマナ。
そんな王女の肩に、手すら置けないユシン。
不自由なやつ~!
思えば、あの脱出劇の際、兵士姿のトンマンの肩を押しやったのがぎりぎりだったわけね。
ああいう緊急時にしか許されないわけねー!
もちろん、しくしく泣いてるトンマンを抱きしめるなんてもってのほかで、
そんな役得はピダムのものなのさ。
でもピダム、さすがに止められました。
「人に見られたくはないだろう」って。
俺が行けないのに、お前なんか行かせるかぁ~って、はっきり言ってやりなよ、ユシン郎。
ううっ、かっこいい……。
ピダムの純情を思うと行かせてやりたいけど、ここは私でも止めると思うなー。
人に見られて云々とか、ジェラシーなんかではもちろん無く、
この涙の試練は、王女にとって必要なものだからです。
いつまでも、お母さん、ぐずぐず、ではダメなんよ。
だって彼女は王女だから。そして女王を目指す人なんだから。
ね、だからこそトンマンはひとりで涙を拭いて立ち上がるの。
えらいぞ!トンマン!
悲しみにひたっている暇はないのだ!
強くならなきゃいけないんだ~!
ミシルもねー、負けじとすごい女ですよ。
政治家としては一流です。
相手が韓国語ペラペラじゃなければ、こんな会談実現しないんだけどさ。
そこはご都合主義かもしれないけどさ、かっこいいじゃん!
ミシルとトンマンが手を組んだら、すごい勢いで三韓統一できそうなのに。
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