堀之内地区の空き地に生えている「マグワ(真桑)」。クワ科クワ属の落葉低木で、ここは以前はおそらく桑畑だった場所で、この樹は取り残されてしまったのだろう。多摩ニュータウンのある八王子市は、戦国時代は城下町、江戸時代には宿場町として栄えたが、関東山地と武蔵野台地の境に位置し、山がちで耕作地が少なかったため、機織(はたおり)や養蚕が、古くから農家の大切な仕事だった。周辺の村々で作られた絹織物が、八王子の“市”に集められ、次第に“八王子織物”と呼ばれるようになり、絹織物産業や養蚕業が更に発展していった。そのため八王子には“桑の都”や“桑都(そうと)”という美称がある。西行の歌と伝えられている
浅川を渡れば富士の影清く
桑の都に青嵐(あおあらし)吹く
という歌はこの八王子を詠んでいるらしい。
さてマグワの葉痕には楽しそうに笑っている顔が見えた。
キジカクシ科(←スズラン科・ユリ科)ハラン属の「ハラン(葉蘭)」。先日、その蕾を見つけて開花を楽しみにしているところだが、少し離れたところにある株の根元を探して見ると、直径2センチほどの果実が見つかった。ネット検索などでは果皮は緑色をしているものが多いが、この表面は淡黄色。落ち葉に埋もれていたため葉緑素が生成されなかったのかも知れない。
カキノキ科カキノキ属の「カキノキ(柿の木)」。果実が落ちて枝に“へた(蔕)”が残っている。これを乾燥させたものが生薬の“柿蔕(してい)”で、しゃっくりを止める効用がある。もししゃっくりが止まらなければ、これを採取して、乾燥させて、煎じて・・・。そうこうしているうちに止まると思う。
大栗川遊歩道脇で真冬でも咲いている「コギク(小菊)」。キク科キク属の多年草で、野菊に対して「イエギク(家菊)」とも呼ばれている。コギクは野菊を交配させて生み出された園芸品種の総称で色や形は様々。