カリスマ予想家清水成駿氏のダービーについての見解です。
出展:清水成駿公式サイト SUPER SELECTION 内の「清水成駿のブログ競馬春秋」
■「組立工」が囁くフサイチホウオーの死角
『 当方のダービー週は、いつも頭の中に何人もの「組立工」が侃々諤々(かんかんがくがく)、「ああでもない、こうでもない」とやかましい。
すでに設計図は何枚もできている。なのに、どれもシックリこない。ドストエフスキーが悪徳出版者の魔の手から逃れんがため、口述筆記という離れ業を使って、たった20日あまりで「賭博者」を書きあげたことを思えば、当方は丸一年、グズグズと構想を練りながら、結局、結論を出すのは今日と明日の2日間。まさに天才と凡人の違いであり、これも学生時代の「一夜漬け」の悪影響。「組立工」たちが右往左往するのも仕方あるまい。
本当なら今年は例年通りの実に易しいダービー。すでにフサイチホウオーという立派な大黒柱がでんと据えられているではないか。1番人気はここ10年で9連対。まして6年連続優勝の最中。それなら大黒柱を支えるあと6本の支柱を探し出せば、それで今年のダービー予想は完成。何をグズグズ思い悩む必要があろうか。
だが、そういう予想を書きたくても書けないのが、悲しいかな当方の性。このかた何十年、いつも同じスタンスで時折大きいのを打ってきた。今さら長年のフォームをいじってホームランをあきらめるわけにはいかない。
皐月賞でのフサイチホウオーとアドマイヤオーラの差は1馬身半。それも同じ上がり33秒9を使って3・4着。確かに距離2000ならその程度の力差でしかない。が、東京の2400となるとどうだろう。
皐月賞の400メートルあとにダービーのゴールがある以上、毎年、皐月のゴールを過ぎての脚を注視するのが当方のやり方。残念ながらオーラに余力はなかった。血統も踏まえても2400は少々長い。まして、大一番である。厩舎サイドに言いなりの地方の優等生・岩田に、果して武豊以上の芸当ができようか。
断トツの余力と伸びを見せたのが、当然のことながらHホウオー。ゴールを過ぎてもブレーキがかからず、アッという間に4、5馬身、後続を置き去りにした。
それでも不安がないわけではない。皐月3着後、「コメントはアンカツさん聞いてくれ」と吐き捨て、足早に立ち去った松田国師が気になる。マジで一冠を確信していたらしい。当然、そういう仕上げを施した自負もある。
誰だって3着は悔しい。が、今回の皐月に関する限り、どうもその辺が不可解。自らの判断で共同通信杯(当方にはすでに東京で東スポ杯を勝っており、ローテーション的にもきつくなる一戦に思えるが…)のオマケを挟み込んだあとの皐月賞である。本当なら悔しさ半分、しかしながら一方でダービーに繋がるレースはできたとホッと安堵の胸を撫で下ろすのが普通。
実際、安藤勝己もそういう競馬を心がけた。それが癇に触れたらしい。客観的にみてハナ+ハナの差は運であり、アンカツの騎乗に何の落ち度もない。むしろ落ち度があるとすれば弥生賞、皐月賞の定石を踏まなかった厩舎にある。
重箱の隅をつつくようで申し訳ないが、やはり、馬を造る側と実際に走らせる側との微妙な温度差は気になる。だいいち、松田国師の憤慨ノーコメントこそ共同通信杯から皐月賞までの2ヶ月余、まったく馬を休ませなかったという証しにもなる。すなわち、休みが休みでなくなれば、そこに目に見えないスキも生まれる。Hホウオーでいけるとは思うが、仮に万が一あれば共同通信杯を挟み込んだローテーションの狂いという気がしてならない。
皐月賞の1・2着馬は、むろん全精力を使い果たしてすぐに止まった。
Hホウオーに次いで余力と伸び脚を見せたのは何と8着馬のドリームジャニー。さすがステイゴールドの産駒、スタミナは十分。本来、穴一発ならDジャーニーでいきたいところ。が、残念なのは皐月賞後の短期放牧。いかに減った馬体を戻すにしても無二のダービーなら、手元において仕上げるのが調教師の使命ではないか。確かに熱心な若い調教師を中心に、今や短期放牧は厩舎の回転効率の上でも主流。むろん、馬の精神ケアのためにも有効な手段でもある。が、時と場合もあるのではないか。どうしても当方には、ダービー前、放牧に出すような厩舎には信がおけない。
ヴィクトリーとも思った。実際、10年前のサニーブライアンを彷彿させる。が、よくよく考えみると成績に雲泥の差がある。ヴィクトリーはたった一度、それもフサイチホウオーにクビ差負けただけの馬。たとえ人気薄で皐月賞を制したからといって、ライバルが2度まで目を瞑ってくれようか。逃げ馬の原動力は、一にも二にも人気薄。今回のヴィクトリーにはそれがない。
やはり、今年は牝馬に賭けてみるつもり。
歴史的な賭けである。20歳も下の恋人に振り回され、ついにギャンブル漬けの借金だらけ、一度はにっちもさっちもいかなくなったドストエフスキーであるが、そんな借金地獄から救い出してくれたのも速記者を引き受けてくれた一人の女性。今年はウオッカに助けを求めた。
桜花賞馬ダイワスカーレットはアドマイヤオーラと1勝1敗。また、Dスカーレットはウオッカとも1勝1敗。さらに前述したようにAオーラはFホウオーに同じ上がりを使って1馬身半差なら、HホウオーVSウオッカとてさほどの能力差があるわけではない。まして、桜花賞は直線で何度も内に刺さりながらの2着確保。とても力を出し切った競馬でなかったことは、その前のチューリップ賞を見ればわかること。
今年の牝馬は特別強い。傍証はいくらでもある。時計はともかく桜花賞11着のピンクカメオが、皐月賞6着のローレルゲレイロをおさえてNHKマイルCを勝ち、その翌週のオークスではローブデコルテが従来のオークス・レコードを0.8秒も更新する2分25秒3の優秀な時計で快勝。少なくてもウオッカはピンクカメオやローブデコルテが相手なら常に1秒近く前にいる馬である。むろん、距離も心配ない。心配なしというより、あのパワフルな走りはむしろ2000からそれ以上で真価が発揮されるはず。兄のタニノベリーニは新潟の新馬戦(2着)で初めてきた時、これは先々ダービー、菊花賞で…と思わせた好馬体。だが、馬に柔軟性がなかった。結局、2200の未勝利を勝ち、2400の500万特別で2着まで。ただし、その優勝馬が春の天皇賞2着のエリモエクスパイア。どうみても距離はもつ。』
o( ̄ー ̄;)ゞううむ 意見が合わなかった・・・・
ここは我が道を行こう。
出展:清水成駿公式サイト SUPER SELECTION 内の「清水成駿のブログ競馬春秋」
■「組立工」が囁くフサイチホウオーの死角
『 当方のダービー週は、いつも頭の中に何人もの「組立工」が侃々諤々(かんかんがくがく)、「ああでもない、こうでもない」とやかましい。
すでに設計図は何枚もできている。なのに、どれもシックリこない。ドストエフスキーが悪徳出版者の魔の手から逃れんがため、口述筆記という離れ業を使って、たった20日あまりで「賭博者」を書きあげたことを思えば、当方は丸一年、グズグズと構想を練りながら、結局、結論を出すのは今日と明日の2日間。まさに天才と凡人の違いであり、これも学生時代の「一夜漬け」の悪影響。「組立工」たちが右往左往するのも仕方あるまい。
本当なら今年は例年通りの実に易しいダービー。すでにフサイチホウオーという立派な大黒柱がでんと据えられているではないか。1番人気はここ10年で9連対。まして6年連続優勝の最中。それなら大黒柱を支えるあと6本の支柱を探し出せば、それで今年のダービー予想は完成。何をグズグズ思い悩む必要があろうか。
だが、そういう予想を書きたくても書けないのが、悲しいかな当方の性。このかた何十年、いつも同じスタンスで時折大きいのを打ってきた。今さら長年のフォームをいじってホームランをあきらめるわけにはいかない。
皐月賞でのフサイチホウオーとアドマイヤオーラの差は1馬身半。それも同じ上がり33秒9を使って3・4着。確かに距離2000ならその程度の力差でしかない。が、東京の2400となるとどうだろう。
皐月賞の400メートルあとにダービーのゴールがある以上、毎年、皐月のゴールを過ぎての脚を注視するのが当方のやり方。残念ながらオーラに余力はなかった。血統も踏まえても2400は少々長い。まして、大一番である。厩舎サイドに言いなりの地方の優等生・岩田に、果して武豊以上の芸当ができようか。
断トツの余力と伸びを見せたのが、当然のことながらHホウオー。ゴールを過ぎてもブレーキがかからず、アッという間に4、5馬身、後続を置き去りにした。
それでも不安がないわけではない。皐月3着後、「コメントはアンカツさん聞いてくれ」と吐き捨て、足早に立ち去った松田国師が気になる。マジで一冠を確信していたらしい。当然、そういう仕上げを施した自負もある。
誰だって3着は悔しい。が、今回の皐月に関する限り、どうもその辺が不可解。自らの判断で共同通信杯(当方にはすでに東京で東スポ杯を勝っており、ローテーション的にもきつくなる一戦に思えるが…)のオマケを挟み込んだあとの皐月賞である。本当なら悔しさ半分、しかしながら一方でダービーに繋がるレースはできたとホッと安堵の胸を撫で下ろすのが普通。
実際、安藤勝己もそういう競馬を心がけた。それが癇に触れたらしい。客観的にみてハナ+ハナの差は運であり、アンカツの騎乗に何の落ち度もない。むしろ落ち度があるとすれば弥生賞、皐月賞の定石を踏まなかった厩舎にある。
重箱の隅をつつくようで申し訳ないが、やはり、馬を造る側と実際に走らせる側との微妙な温度差は気になる。だいいち、松田国師の憤慨ノーコメントこそ共同通信杯から皐月賞までの2ヶ月余、まったく馬を休ませなかったという証しにもなる。すなわち、休みが休みでなくなれば、そこに目に見えないスキも生まれる。Hホウオーでいけるとは思うが、仮に万が一あれば共同通信杯を挟み込んだローテーションの狂いという気がしてならない。
皐月賞の1・2着馬は、むろん全精力を使い果たしてすぐに止まった。
Hホウオーに次いで余力と伸び脚を見せたのは何と8着馬のドリームジャニー。さすがステイゴールドの産駒、スタミナは十分。本来、穴一発ならDジャーニーでいきたいところ。が、残念なのは皐月賞後の短期放牧。いかに減った馬体を戻すにしても無二のダービーなら、手元において仕上げるのが調教師の使命ではないか。確かに熱心な若い調教師を中心に、今や短期放牧は厩舎の回転効率の上でも主流。むろん、馬の精神ケアのためにも有効な手段でもある。が、時と場合もあるのではないか。どうしても当方には、ダービー前、放牧に出すような厩舎には信がおけない。
ヴィクトリーとも思った。実際、10年前のサニーブライアンを彷彿させる。が、よくよく考えみると成績に雲泥の差がある。ヴィクトリーはたった一度、それもフサイチホウオーにクビ差負けただけの馬。たとえ人気薄で皐月賞を制したからといって、ライバルが2度まで目を瞑ってくれようか。逃げ馬の原動力は、一にも二にも人気薄。今回のヴィクトリーにはそれがない。
やはり、今年は牝馬に賭けてみるつもり。
歴史的な賭けである。20歳も下の恋人に振り回され、ついにギャンブル漬けの借金だらけ、一度はにっちもさっちもいかなくなったドストエフスキーであるが、そんな借金地獄から救い出してくれたのも速記者を引き受けてくれた一人の女性。今年はウオッカに助けを求めた。
桜花賞馬ダイワスカーレットはアドマイヤオーラと1勝1敗。また、Dスカーレットはウオッカとも1勝1敗。さらに前述したようにAオーラはFホウオーに同じ上がりを使って1馬身半差なら、HホウオーVSウオッカとてさほどの能力差があるわけではない。まして、桜花賞は直線で何度も内に刺さりながらの2着確保。とても力を出し切った競馬でなかったことは、その前のチューリップ賞を見ればわかること。
今年の牝馬は特別強い。傍証はいくらでもある。時計はともかく桜花賞11着のピンクカメオが、皐月賞6着のローレルゲレイロをおさえてNHKマイルCを勝ち、その翌週のオークスではローブデコルテが従来のオークス・レコードを0.8秒も更新する2分25秒3の優秀な時計で快勝。少なくてもウオッカはピンクカメオやローブデコルテが相手なら常に1秒近く前にいる馬である。むろん、距離も心配ない。心配なしというより、あのパワフルな走りはむしろ2000からそれ以上で真価が発揮されるはず。兄のタニノベリーニは新潟の新馬戦(2着)で初めてきた時、これは先々ダービー、菊花賞で…と思わせた好馬体。だが、馬に柔軟性がなかった。結局、2200の未勝利を勝ち、2400の500万特別で2着まで。ただし、その優勝馬が春の天皇賞2着のエリモエクスパイア。どうみても距離はもつ。』
o( ̄ー ̄;)ゞううむ 意見が合わなかった・・・・
ここは我が道を行こう。
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