競馬に手を染め始めて以来、今年でちょうど20年。ダービーデビューは、アイネスフウジンの90年なので、ダービー歴も20年。途中91年と93年~95年の4年は、事情により競馬から離れていたので、実際には今年で17回目のダービー参戦である。
が、その間、私は一度もダービーを当てたことがない。
『ダービー馬主になるのは、一国の宰相になるより難しい』とはよく聞くが、私には
『それよりも、ダービーを当てることの方がもっと難しい』と、思えてならない17度目のダービーだ。
17回目の◎は、⑰アイアンルック!!
当初予定の◎アンライ⇒○アプレの勝負馬券は白紙撤回する。
何も、偶然番長と買い目がカブったからではない。ましてや、欲に目が眩んだわけでもない。アンライ⇒アプレの馬単の前日最終オッズは10.7倍と、一点勝負なら美味しい配当である。
しかし、本命サイドでドカンと勝負!というのは、元来、自分のスタイルではないし、そもそも、そんな大金を持ち合わせていない。
自慢じゃないが、軍資金は、昨年の有馬記念で引っ掛けた3万円が、チョコチョコ馬券を買ってる間に目減りして、今やピヨピヨ寸前だ。スッテンテンになれば、また補充すればいいだけの話なのだが、日本へわざわざ送金するのも、銀行が手数料で儲かるばかりで癪に障るし、かといって、毎週競馬は楽しみたいので、破産しないように、幾ばくかのお金をキープし続けなければならないなどと考えると、ついつい大事な虎の子を突っ込むのに躊躇してしまうのである。
と、いろいろ言い訳をしてみたが、要は小心者なだけなのだ。
笑いたければ、笑うがいい。
人気はあちら、お金はこちら♪
前に書いたように、ダービー過去6年の穴馬の条件に合致した馬は4頭いて、そのうち注目したのが、アサクサキングスとスマイルジャックの
『忘れた頃の一発』のパターンに一番近いアイアンルックとブレイクランアウトである。そして、この人気ガタ落ちの背景には、NHK杯での大敗による距離不安説があると推測されるということも書いた。
だが、人気の盲点はここにある―
まず、ブレイクランアウト。
なるほど父は、馴染みのないミスプロ直仔のスマートストライク。アメリカンのダート血統に距離不安が囁かれるのも無理はない。だが、ブレイクの母父は昨年3着のブラックシェルの父と同じフレンチデピュティなので、血統傾向からは押さえておくべき1頭。個人的にも、キンカメとエルコンの父キングマンボや、アドマイヤムーンの父エンドスゥイープなら話は別だが、父ミスプロ系のダービー制覇のイメージが沸かないので、あくまでも連下候補の一頭に留める。
だったら、キンカメ産駒の2頭はどうなのか?ということだが、同産駒の適性は芝ダともにマイル以下にある。確かに2400以上を勝っている産駒もいることはいるのだが、いずれも下級条件のもので、GIのここでは正直言ってお客さん。キンカメ親子のダービー制覇だけはない、と断言してもいい。
一方、アインアルック。
前走のNHKでは不利をモロに受けながら、上り3F33.8秒(上り順位3位)で猛然と追い込んだ脚を見れば、もっと人気になってもいいと思うのだが、前日最終オッズでは11番人気。まあ、あれは不利があって、もたついたからこそ使えたと捉えることもできるので、根拠としては不適切。
昨年のディープスカイの時も、04年キンカメの時もそうだったが、NHK杯1着馬がダービーに駒を進めると、毎年決まって『距離不安説』がどこからともな聞こえて来る。結局、この2頭はダービーでも1番人気に支持され、見事1着になったが、ルックはNHK8着で、ダービーでは10番人気辺り。そこに共通点を見出せない。しかし、いずれも毎日杯の覇者であることを忘れてはならない。そして、その時アプレザンレーヴを負かしたことも忘れてはいけない。内田のヘグリが敗因というのが大方の見立てであるが、負かした事実を変えることはできない。しかし、これも勝負に行く後押しとはなるものの、ここに根拠は求めるのは、余りにも説得力がなさ過ぎである。
ルックの距離不安説については、全くもってファンの勝手な思い込みである。
むしろ、長丁場はドンと来い!のクチだという血統的裏付けがちゃんとある。
◎ ⑰アイアンルック…アドマイヤボス×ヘクタープロテクター
多くのファンが距離に不安を感じている理由は二つあるのではないだろうか。
ボスの半弟がダートGIで6勝をあげたアドマイヤドンであることに加え、そして母父もダート血統のミスプロ系なので、ダービー馬のイメージには程遠いと感じているからに他ならない。
だが、アドマイヤボスの全兄のアドマイヤベガは99年ダービー馬であり、両馬の母ベガ自身は93年オークスである。これだけを見ても、府中の2400mは決して長過ぎはしないということは誰にでも分かること。
むしろ、人気の盲点を作り出しているのは母父の方である。
母父ヘクターが所属するウッドマン・ラインは、芝兼用で、しかも深くて重い芝が得意という、ダート血統のミスプロ系の中では、キングマンボ・ライン同様に異色の存在なのである。
ウッドマン・ラインといえば、中山の長めの距離が得意であった故・トウショウナイトが思い出される。同馬の父ティンバーカントリーは、ウッドマン直仔である。また、ダービーの血統傾向を振り返れば、06年2着のアドマイヤメインの血統構成はSS×ヘクターではなかったか。
そして、そのメインは菊花賞でも3着に入っており、父・母は違うが、配合としては近似配合といってよいアイアンルックに、距離の不安などあろうはずがない。
こうやって、改めてダービーと菊の血統傾向を見てみると、ルックの血統構成は、どちらの傾向にも合致するように思えて来るから不思議だ。両レースに共通するのは、SS×ネイティヴ系、SS×グレイソブリン系が活躍している点。ルック自身はSS系×ネイティヴ系で、父のボスはSS×グレイソブリン系トニービン。
また、ルックの配合は、『父が旧・黄金配合種牡馬であること』、『母父が旧・黄金配合のパートナーであれば更にベター』という、まだ仮説の段階だが
『新☆優駿黄金配合』の要件を満たしている。
そういえば、これまで紹介した競馬オヤジたちが信じて疑わない数ある伝説の中に、
『ダービー外枠伝説』というのがあった。
これは、
『6番人気以下かつ外枠(7枠・8枠)』に入った馬がダービーで穴をあけるという伝説だ。欲を言えば、
『菊花賞馬になりそうな馬なら尚結構』という、オマケがある。
果たして、ルックが引き当てたのは8枠17番―
更には、前開催、今開催の東京芝コースで、2400mでは実績がないものの、母父ウッドマン・ラインが距離を問わずに活躍していることも心強い。
また、ここにきて坂路・自己ベスト更新の調教時計が出たように、中2週の強行軍もなんのその。
体調万全・仕上がり上々・ダービーへ向けて視界良し!
そして、その時の調教パートナーは同厩舎のリーチザクラウンで、リーチは栗東坂路時計№1である。
別に信じているわけではないが、
『同厩舎の2頭出しは、人気薄を狙え!』という格言を、御守り代わりに最後に付け加えておく。
出来ることなら、現場に行きパドックで各馬の気配を見てから相手を絞りこみたいのだが、そうもいかない。だが、幸いにも、今度の宿では日本の民放を生で見られるようになっている。じっくりと見ることはできないが、贅沢を言っても仕方ないので、TV中継のパドックを見て相手を選ぶことにする。もちろんダービーの二つ前に行なわれる青嵐賞(8R・芝2400m)の結果を踏まえるのは、言うまでもない。
今の所、相手候補は、
『優駿の条件』の最低条件である『芝1800m以上重賞勝利馬』。特に今回人気ガタ落ちのリーチザクラウンとロジユニヴァースに注目。が、パドック次第では、ガラリと変えることもある。ただ、当初○のアプレは既に評価を下げた。というか切る。成駿の◎はアプレだが、その根拠の一つに『半兄ナイアガラが、芝3勝のうち2勝を重と不良であげている』ことを書いている。が、シンクリ産駒の道悪適性は、全体的に下手とまでは言わないが、得意ではないと思っているので、アプレを買うくらいなら、道悪の鬼・ジャンポケ産駒の⑬シェーンヴァルトを押さえておいた方がまし。
上限は3点、できれば1点で、初めてのダービー的中馬券をクリーンヒットで飾りたい。
いずれにせよ、
鉄板ルックの◎に変更はない。
生涯初のダービー的中を、この馬に託す―
みなさん 良いダービーを!!
=つづく=