コキュートスの記憶

日々の出来事とか戦果(買い物)とか。
主にガンダムを中心にしています。

エニグマ始動 part14

2014年09月02日 | ゲームブック
前回は、ダブルゼータを倒しましたが、
今回は更なる新手の登場で撤退を選択します。

016:
エニグマを切り、眼前に迫ったド・ダイ改をビームターレットで狙う。
「Gリーダー、アンタ正気か!?アルマも墜とされちまって…死にた
いならひとりでやってくれ!」
マラサイ2のパイロットが喚くのを聞きながら、キミは全身を覆う不
快感に必死で耐えていた。
これはクインテッドキュベレイのテストパイロットが陥ったのと同じ
状況なのだろうか。何か違うような気がするが。戦闘という行為に異
常な迄に執着しようとする自分を感じる。まるで総ての価値観が戦闘
の中に集約されてしまっているかのように、戦っていないと不安で気
が狂いそうになる。
否、それは正確ではない。執着の対象は戦闘ではない。ただ戦い続け
ても、この飢えは満たされないような気がした。戦闘を含んだもっと
大きなもの─そう任務だ。任務を完遂すれば解放される─そう思った。
─一体、オレはどうしちまったんだ…
そう考えたキミはあることに思い至り、ハッとなる。
─まさか…これがフェデリコの言っていた後催眠?
確証はない。しかし、そうでないとしたら今の心理は何だ?
「Gリーダーより各機へ。撤退する」

スォンジー市内の広場にグルンドゥールを駐機させたキミは、驚く兵
士たちを尻目に臨時司令部のある公会堂を目指した。
殺気立ったキミが足音も高く入って行くと、中にいた兵士たちは一斉
に振り向いた。キミは入口の前に立ち、奥に座ったアーカット中将を
睨みつけた。戸惑った表情のミディが何か言おうとする前に、キミは
口を開いた。
「エニグマのプログラムを弄ったな」
中将は眉ひとつ動かさなかった。
「貴様に誇りを取り戻させてやったのだ。感謝されこそすれ、憎まれ
る覚えはないな」
「何だと…」
「自分の力を過信するなよ。貴様は与えられた命令に従うしか能のな
い犬だ。しかし、犬は犬なりに優秀な犬だった。不幸だったのは主人
を間違えたことだな。それが貴様はどうだ。自分を見失って戸惑い、
見境なく周囲に牙を剥く狂犬だ。どうだ?自分が何者であるか、貴様
に答えられるか?貴様は誰だ?」
「オレは…」
それ以上何も言えなかった。
「教えてやる。貴様は第88スコードロン、グルンドゥール小隊の小
隊長だ」
中将は椅子を回し、キミに背を向けた。
「揚陸の進行状況はどうか」
「予定より30パーセント遅れています。連邦の爆撃機が─」
「急がせろ。ウォルベリンの戦闘機隊はどうなっている?」
ざわめきを取り戻した司令部の中で、キミは呆然と立ち尽くしていた。
─オレは…何をやっているんだ?
「何をやっておる!部隊を纏めて出撃せい!」
振り向いた中将が苛立たし気に怒鳴った。キミは弾かれたように外に
飛び出していた。
「一体、これはどういうことです?」
「キミには関係のないことだ、少佐」
ミディと中将の声も、キミの耳には届かなかった。
再びグルンドゥールに乗り込んだ時、通信が入った。
「ミディよりグルンドゥールへ!どうする気なの?」
「40号線を封鎖する」
「ちょっと待って、アナタは操られているのよ!これ以上は、グルン
ドゥールに乗ってはいけないわ!」
必死に叫ぶミディに構わず、エニグマを作動させる。グルンドゥール
は大きく跳躍して市街地の外に出た。マラサイ2がパイロットも乗せ
ず、その後を追う。
スウォンジーから20キロ程の小さな街に、連邦の地上部隊が集結し
ていた。エゥーゴのモビルスーツが周囲を警戒している。
グルンドゥールのビームランチャーが川の中に立っていたジムⅢを直
撃した。間髪を入れずに敵の応射がグルンドゥールを襲う。敵機は視
認できるだけでも5機はいた。マラサイ2が丘の死角を利用した巧み
な機動で牽制するが、劣勢は隠すべくもなく、左右に広く散開したジ
ムⅢは、次第に距離を詰めて来る。近距離からのビームの集中射撃に
グルンドゥールの装甲が悲鳴を上げた。それでもキミは何かに憑かれ
たように戦い続ける。
その時、ミディの声がした。
「止めなさい!戦ってはダメよ!」
丘の陰から現れた5機のキュベレイが、背中のアクティブカノンから
ビームを発射した。アッという間に2機のジムⅢがスクラップになる。
「早く逃げて!エニグマを切るのよ。聞こえないの?」
キミの耳にミディの声は入らなかった。グルンドゥールで反撃に移る。
しかし、敵はさらに2個小隊が加わった。ミディはクインテッドキュ
ベレイでミディを庇うが、その声は次第に途切れ途切れになって行っ
た。シュペールサイコミュがミディの精神を冒し始めているのだ。
「目を覚まして…このままでは2人とも…」
ミディの声が悲愴に響く。
─死ねばいいのさ
キミの心の呟きが聞こえたのか、ミディは叫んだ。
「彼女は…ナオミはどうなるのよ!」
その声が閃光の如く意識を貫き、キミは呻いた。右手がシートの下の
サバイバルキットをまさぐり、1本のナイフを掴み出した。それを自
分の二の腕に突き立てる。
「オレは…F008でも、ティターンズの大尉でもない、オレはオレ
だ!」
正面に数発のミサイルが着弾し、グルンドゥールの巨体を弾き飛ばし
た。倒れたグルンドゥールにビームサーベルを振り翳したジムⅢが襲
いかかる。
その時、2機の間にキュベレイが滑り込んだ。カラーリングが他と違
うので、ミディの乗る母機だと判る。ジムⅢの胴を叩き斬ったキュベ
レイはしかし、止まらずにそのままの勢いで丘の斜面に激突した。
「ミディ!」
思わず怒鳴ったキミの耳に、か細いミディの声が届く。
「離れて…もう、これ以上は…」
ミディの言葉が終わらぬ内に、クインテッドキュベレイが暴走を始め
た。乱射されるビームにマラサイ2が前後から撃ち抜かれる。ファン
ネルコンテナの代わりに取りつけられた巨大なスラスターポッドを全
開にし、地表を滑るように奔りながら次々とジムⅢを血祭りに上げて
行く。勿論、グルンドゥールもビームの直撃を受けた。
─何てことだ…
ミディの精神はシュペールサイコミュに支配されてしまった。このま
ま放っておけばミディもあのテストパイロットと同じ運命を辿るだろ
う。そうなれば、ナオミも永久に目を覚まさない。精神が回復不能な
ダメージを受ける前にキュベレイを破壊し、ミディをシュペールサイ
コミュから解放しなければならない。

2機のキュベレイが川を挟んでグルンドゥールと正対していた。左右
の丘の上では、それぞれ1機ずつがジムⅢを追っている。母機は正面
の奥の方だ。
─後1機は何処だ?
周囲に目を走らせたキミは、1機のギャプランが川に鼻面を突っ込ん
でいるのを見つけた。意外なことに、それはキミの小隊のギャプラン
だった。コクピットにミサイルの直撃を受けて墜落した筈だったが、
機体そのものは無事らしい。
その時、母機ではない方の1機が川を渡り、グルンドゥールに接近し
て来た。
・後退する:035
・接近して来る機体を狙撃する:139
・エニグマを作動させ、ギャプランを動かしてみる:012
139はBAD ENDなので、それ以外を選択して来週に続きます。
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