今週から『ヘルメス迷走』をやっていきたいと思います。
一応、三部作になっているのですが、今まではじっくりと
やっていないので、それぞれがどう繋がっているのか
余しよく判っておりません。初見プレイと言った感じです。
で、主人公はサイド6に放り出された記憶喪失の男性です。
んでは、早速-。
001:
キミは岩だらけの荒野を走っていた。
火がついたように喉が熱い。しかし、立ち止まる訳にはいかない。
キミは追われているのだ。
後ろからは凄まじい呻り声が響いてくる。猛獣の声のようでもあり、
装甲車のエンジン音のようでもある。振り向いて確かめてみる気など
勿論ない。当面、問題なのは追ってくる相手の正体より、追われてる
という事実なのだ。
キミは自分が何かを握り締めていることに気づいた。
-何だ?何を持っているんだ?-
思い出せなかった。
ただ後ろのヤツの狙いがそれにあるということが唐突に意識された。
-冗談じゃねーや。訳の判らんモンと心中してたまるか-
キミはそれを投げ捨てようとした。しかし、拳は固く握り締められた
まま開こうとしない。
-どーなってんだあ、一体!-
突然、キミの前方に横たわっていた大地が消えた。底知れぬ谷がポッ
カリと口を開け、落ちかけたキミは谷の縁で危うくバランスを取る。
キミは慌てて辺りを見回した。谷は左右に果てしなく続いている。
幅は1kmもあろうか。
後ろの呻り声は益々大きくなっている。
-前門の虎、後門の何とかってヤツだな-
・振り向く:152
・飛び降りる:039
まずは先の選択肢から辿っていきたいと思います。
152:
振り向こうとしたキミの背中に、ガッと何か鋭いモノが撃ち込まれた。
「ぐう…あああ!」
キミは激痛に喚きながら地面の上を転げ回った。全身が焼けるように
熱い。熱い…。
気がつくとそこはコクピットの中だった。キャノピーの外は極寒、
真空の宇宙。
被弾したらしい衝撃がキミを揺さぶった。モビルスーツのロケット光
が幾つも乱舞してキミを襲う。何とか回避しようとするが、機体の
反応は鈍い。かなりのダメージを受けているようだ。
立て続けにビームを喰らい、機体は激流の中の木の葉のように舞った。
コクピットの中のキミは激しい振動に生きた心地もしない。
振動…誰かがキミを揺さぶっている。
「大丈夫ですか?しっかりしてください」
目を開ける。キミは清潔なベッドの上に寝かされていた。キミの肩に
手をかけていた看護婦がホッとした顔になる。
「良かった、気がついて。大分うなされていましたね」
「夢か…」
頭を振りながら上体を起こそうとしたキミを看護婦が止めた。
「起きてはいけませんわ。交通事故で担ぎ込まれてから3日も
昏睡状態だったんですよ」
「交通事故?ここは-病院なのかい?」
「クリューガー病院です。Bブロックの」
「Bブロック?どこの?」
看護婦の顔に戸惑いの色が浮かんだ。
「29バンチのBブロック…サイド6ですわ」
サイド6?キミはまだ夢の続きを見ているような気分になってきた。
一体全体、何だってオレはサイド6なんかにいるんだ?オレは確か…。
キミは顔の筋肉が強ばるのを感じた。オレは誰だ?
キミはパニック寸前の頭を必死になって落ち着かせ、記憶の中を
まさぐった。
名前、年齢、職業、友人-。
総ての過去は空白だった。
「ねぇ、オレ、何か持ってなかったかな?IDカードとか」
看護婦はロッカーを開けて見せた。
「お持ちのモノと着ていらっしゃったモノは洗濯して、ここに。
でも、貴方のお名前が判るようなモノがないので、困ってしまいま
したわ。早速ですけど、これにサインしていただけませんか?」
看護婦が差し出した請求書を前に、キミは頭を抱えた。
「悪いけど、オレも自分が誰だか判らないんだ」
・勘定はつけといてくれ:084
084:
キミが名前はおろか昔のことを何も覚えていないと告げると、
病院はかなり慌てたらしい。医者が入れ替わり立ち替わりやって来
ては、キミの身体を弄くり回し、訳の判らぬ検査をしては難しい顔
をして唸った。
自分のことは何一つ覚えていないのに、社会に関する記憶は殆ど
完全だった。
しかし、アクシズとティターンズ、エゥーゴが三つ巴でグリプスの
周辺を舞台に派手にやり合っていた所までは覚えているのだが、
その後の記憶がない。話を聞くと、ティターンズとエゥーゴは散り
散りになり、残ったアクシズが各コロニーに分遣艦隊を送っている
らしい。
このサイド6も例外ではなく、対応を迫られた行政府委員会は
パニックに陥ってしまっているという。
妙なのは病院のキミに対する過保護っ振りだった。検査室と病院と
の往復時には必ず看護婦がついているし、廊下や窓の外に、どう見
ても医者とは思えぬ男がウロウロしていることもあった。まるでキ
ミが逃げ出してしまうのを心配しているかのようだ。
2日も経つ内に、キミは検査、検査の繰り返しにウンザリし始めた。
何十度目か判らぬ検査から帰ったキミの腕に、点滴の針を刺そうと
した看護婦を、我慢の限界に来たキミは怒鳴りつけてしまった。
「いい加減にしてくれよ!オレの右腕は穴だらけだ」
「じゃ、左手出して」
キミは左手をシーツの下に引っ込めた。
「なぁ、検査で何が判ったのか教えてくれても良いんじゃない?」
「わたしは何も知らされていないんだもの」
看護婦はなだめるような調子で言った。
「気持ちは判るけど、焦ってはいけないわ。先生方を信じて気長に
待てば、きっと何もかも思い出す日が来ます」
キミが黙ると、看護婦は点滴のチューブを畳ながら出て行った。
キミは彼女の言葉に納得した訳ではなかった。記憶喪失の患者を病
室に閉じ込めておくなんて治療法は聞いたこともない。外界と接触
させて関連した記憶を呼び起こさせようとするのが普通では?
あの異常な警戒振りに対しても、キミの心のどこかで赤信号が瞬い
ていた。何かはっきりとしない不安-忘れているはずの過去の記憶
が暗闇の底から危険を報せてよこしているのかも知れない。
・病院を抜け出す:126
・医者たちを信用して任せてみる:038
てなトコで、次週に続きます。
結構複雑な分岐をしてるみたいで、コツコツやってきます。
※クリューガー病院
サイド6・29バンチにある病院。
一応、三部作になっているのですが、今まではじっくりと
やっていないので、それぞれがどう繋がっているのか
余しよく判っておりません。初見プレイと言った感じです。
で、主人公はサイド6に放り出された記憶喪失の男性です。
んでは、早速-。
001:
キミは岩だらけの荒野を走っていた。
火がついたように喉が熱い。しかし、立ち止まる訳にはいかない。
キミは追われているのだ。
後ろからは凄まじい呻り声が響いてくる。猛獣の声のようでもあり、
装甲車のエンジン音のようでもある。振り向いて確かめてみる気など
勿論ない。当面、問題なのは追ってくる相手の正体より、追われてる
という事実なのだ。
キミは自分が何かを握り締めていることに気づいた。
-何だ?何を持っているんだ?-
思い出せなかった。
ただ後ろのヤツの狙いがそれにあるということが唐突に意識された。
-冗談じゃねーや。訳の判らんモンと心中してたまるか-
キミはそれを投げ捨てようとした。しかし、拳は固く握り締められた
まま開こうとしない。
-どーなってんだあ、一体!-
突然、キミの前方に横たわっていた大地が消えた。底知れぬ谷がポッ
カリと口を開け、落ちかけたキミは谷の縁で危うくバランスを取る。
キミは慌てて辺りを見回した。谷は左右に果てしなく続いている。
幅は1kmもあろうか。
後ろの呻り声は益々大きくなっている。
-前門の虎、後門の何とかってヤツだな-
・振り向く:152
・飛び降りる:039
まずは先の選択肢から辿っていきたいと思います。
152:
振り向こうとしたキミの背中に、ガッと何か鋭いモノが撃ち込まれた。
「ぐう…あああ!」
キミは激痛に喚きながら地面の上を転げ回った。全身が焼けるように
熱い。熱い…。
気がつくとそこはコクピットの中だった。キャノピーの外は極寒、
真空の宇宙。
被弾したらしい衝撃がキミを揺さぶった。モビルスーツのロケット光
が幾つも乱舞してキミを襲う。何とか回避しようとするが、機体の
反応は鈍い。かなりのダメージを受けているようだ。
立て続けにビームを喰らい、機体は激流の中の木の葉のように舞った。
コクピットの中のキミは激しい振動に生きた心地もしない。
振動…誰かがキミを揺さぶっている。
「大丈夫ですか?しっかりしてください」
目を開ける。キミは清潔なベッドの上に寝かされていた。キミの肩に
手をかけていた看護婦がホッとした顔になる。
「良かった、気がついて。大分うなされていましたね」
「夢か…」
頭を振りながら上体を起こそうとしたキミを看護婦が止めた。
「起きてはいけませんわ。交通事故で担ぎ込まれてから3日も
昏睡状態だったんですよ」
「交通事故?ここは-病院なのかい?」
「クリューガー病院です。Bブロックの」
「Bブロック?どこの?」
看護婦の顔に戸惑いの色が浮かんだ。
「29バンチのBブロック…サイド6ですわ」
サイド6?キミはまだ夢の続きを見ているような気分になってきた。
一体全体、何だってオレはサイド6なんかにいるんだ?オレは確か…。
キミは顔の筋肉が強ばるのを感じた。オレは誰だ?
キミはパニック寸前の頭を必死になって落ち着かせ、記憶の中を
まさぐった。
名前、年齢、職業、友人-。
総ての過去は空白だった。
「ねぇ、オレ、何か持ってなかったかな?IDカードとか」
看護婦はロッカーを開けて見せた。
「お持ちのモノと着ていらっしゃったモノは洗濯して、ここに。
でも、貴方のお名前が判るようなモノがないので、困ってしまいま
したわ。早速ですけど、これにサインしていただけませんか?」
看護婦が差し出した請求書を前に、キミは頭を抱えた。
「悪いけど、オレも自分が誰だか判らないんだ」
・勘定はつけといてくれ:084
084:
キミが名前はおろか昔のことを何も覚えていないと告げると、
病院はかなり慌てたらしい。医者が入れ替わり立ち替わりやって来
ては、キミの身体を弄くり回し、訳の判らぬ検査をしては難しい顔
をして唸った。
自分のことは何一つ覚えていないのに、社会に関する記憶は殆ど
完全だった。
しかし、アクシズとティターンズ、エゥーゴが三つ巴でグリプスの
周辺を舞台に派手にやり合っていた所までは覚えているのだが、
その後の記憶がない。話を聞くと、ティターンズとエゥーゴは散り
散りになり、残ったアクシズが各コロニーに分遣艦隊を送っている
らしい。
このサイド6も例外ではなく、対応を迫られた行政府委員会は
パニックに陥ってしまっているという。
妙なのは病院のキミに対する過保護っ振りだった。検査室と病院と
の往復時には必ず看護婦がついているし、廊下や窓の外に、どう見
ても医者とは思えぬ男がウロウロしていることもあった。まるでキ
ミが逃げ出してしまうのを心配しているかのようだ。
2日も経つ内に、キミは検査、検査の繰り返しにウンザリし始めた。
何十度目か判らぬ検査から帰ったキミの腕に、点滴の針を刺そうと
した看護婦を、我慢の限界に来たキミは怒鳴りつけてしまった。
「いい加減にしてくれよ!オレの右腕は穴だらけだ」
「じゃ、左手出して」
キミは左手をシーツの下に引っ込めた。
「なぁ、検査で何が判ったのか教えてくれても良いんじゃない?」
「わたしは何も知らされていないんだもの」
看護婦はなだめるような調子で言った。
「気持ちは判るけど、焦ってはいけないわ。先生方を信じて気長に
待てば、きっと何もかも思い出す日が来ます」
キミが黙ると、看護婦は点滴のチューブを畳ながら出て行った。
キミは彼女の言葉に納得した訳ではなかった。記憶喪失の患者を病
室に閉じ込めておくなんて治療法は聞いたこともない。外界と接触
させて関連した記憶を呼び起こさせようとするのが普通では?
あの異常な警戒振りに対しても、キミの心のどこかで赤信号が瞬い
ていた。何かはっきりとしない不安-忘れているはずの過去の記憶
が暗闇の底から危険を報せてよこしているのかも知れない。
・病院を抜け出す:126
・医者たちを信用して任せてみる:038
てなトコで、次週に続きます。
結構複雑な分岐をしてるみたいで、コツコツやってきます。
※クリューガー病院
サイド6・29バンチにある病院。