ある朝、拙者が目覚めたとき、自分が一匹の虫に変わってしまっているのに気付いたのでござる。
なんて書くと、まるでカフカの小説「変身」みたいやね。
でも、ほんとに虫になってしまったのでござるよ。
ただ、上記の小説のザムザ青年が変身したのは巨大な毒虫だったけど、拙者が変身したのは3~4cmの虫(毒はたぶんない)。
自分で全身を見ることはできないんだけど、見える範囲だととげとげのある6本の黒い足とゆらゆらと揺れる長い触角。
そして体は黒に近いコゲ茶色でテカテカぬるぬる光って・・・・・・
これってゴキブリやんかー!!!!
拙者はゴキブリになってしもうたんかぁ~~~
な、なんでこんなことになったんやろ?
夕べなんか変な物でも食べたか!!
えっと・・・、昨夜食べたのは、牛肉とごぼうのしぐれ煮とさわらの焼いたんと白菜漬けと御飯。
日本酒も一合くらい飲んだなぁ。
いやいや、そんなことでこんな姿にはならんやろ!!
っていうか、今はそんなことを考えてる余裕はないのです。
今、拙者がいるのは布団の上の枕のすぐ横なんだけど、2mくらいの距離のところから拙者をじっと見つめるやつがおるんよ。
拙者が飼ってる黒猫が目を爛々と光らせてこっちを見てんの。
低い姿勢でお尻フリフリですぐにでも飛びかからんばかりの臨戦態勢。
これって明らかに拙者を狙っとるよなぁ。
ってことで、逃げます!!
布団の横にあるタンスと壁の隙間、あそこに逃げ込めば大丈夫!!
よし、走れ!!!!
と、同時に飛びかかってくる黒猫!
カサカサカサカサ・・・・・・・・・・
間一髪でタンスと壁の隙間に!
セ~~~フ!!!
いやぁ、6本足で走ったのは初めてだったけどけっこうスムーズに動かせるもんやなぁ。
垂直の壁も床同様に自由自在に走れるのはちょっと快感かも。
猫の前足が届かない奥の方まで移動して振り向いてみたら、金色の瞳がこっちを見とるよ。
怖いっす。
昨日までは可愛い猫だったのになぁ。
今は恐怖の対象やもんなぁ。
その黒猫の後ろにもっと大きな影が。
「りゅうくん、何見てるの?」
黒猫の後ろからこちらを覗き込んだのは妻ではありませぬか。
おーい!!拙者だよ!!
と、妻に呼びかけるも声にならず。
目を細めて暗い隙間のこちらを見つめる妻。
「やだぁ!!ゴキブリじゃない!」
いや、ゴキブリじゃなく拙者じゃよ!
あ、ゴキブリでもあるんだけど、拙者だって!
あんたのダ・ン・ナ!!
気付いてくれんかなぁ~~
妻はこっちを凝視してる黒猫を撫でながら
「りゅうくん、ゴキブリは汚いから捕まえちゃだめよ」
こら!ダンナを汚いとはなんちゅう言い草か!!
たしかに昨夜は風呂をサボったけど・・・・
「殺虫剤とってくるから、りゅうくんは見張りしておいてね」
妻はそう言って立ち上がったのでござる。
殺虫剤?
もしかしてそれって非常にヤバイんじゃない?
拙者は大慌てでさらに奥にカサカサカサカサ・・・・
最近の噴霧式の殺虫剤は勢いがよくて遠くまで届くのよねぇ。
どこまで逃げれば安全なのか?
あ、もうこれ以上奥に行けんやんか!
と、隙間に差し込まれる殺虫剤のノズル。
プシュウ~~~~~~~
ゲホゲホゲホ、こりゃたまらん!!
逃げ場のない拙者はあえて妻と黒猫のおる方へ息を止めてカサカサと全力疾走!
「きゃぁ!!出てきた!!!」叫ぶ妻。
「にゃ!!にゃ!にゃあ!!」興奮して拙者を捕まえようとする黒猫。
その黒猫の鋭利な爪をすり抜けて全力で床の上を逃げる拙者。
カサカサカサカサカサササササ・・・・
殺虫剤を手に追いかけてくる妻。
その妻よりも素早く拙者に迫る黒猫!!!
やばい!!
反対側の壁にたどり着いた拙者はその垂直の壁を一気に駆け上り
そして
飛ぶ!!
あ、拙者、飛べるんだ!!
「きゃぁ!!!飛んだー!!こっち来ないで!!!」
叫びながら殺虫剤を振りまく妻の横を飛び過ぎた拙者の目の前には半分開いたままになってるガラス窓。
このまま部屋の中にいたらいずれ殺虫剤で殺されるか黒猫に捕まって殺されるか。
それなら家の外に逃げた方が安全だよなぁ。
拙者はマンションの3階の窓から外に飛び出したのでござる。
外は青空。
5月の爽やかな風が吹いて気持ちいいのう。
空を飛びながら思いました。
拙者は自由!
どこまでもこのまま好きなところに飛んでいけるんだー!!
そのとき上空から黒い影が急降下してきて・・・
拙者が最後に見たのは大きく開いた黒いくちばし
(終)
カレーの日々 5/17、5/18更新~
画像掲示板 写真はこちらへ
(画像掲示板に投稿用PASSを設定しました。右下に8818を入力してください)
掲示板 なんぞ一言
源五郎日記 お休み中~
なんて書くと、まるでカフカの小説「変身」みたいやね。
でも、ほんとに虫になってしまったのでござるよ。
ただ、上記の小説のザムザ青年が変身したのは巨大な毒虫だったけど、拙者が変身したのは3~4cmの虫(毒はたぶんない)。
自分で全身を見ることはできないんだけど、見える範囲だととげとげのある6本の黒い足とゆらゆらと揺れる長い触角。
そして体は黒に近いコゲ茶色でテカテカぬるぬる光って・・・・・・
これってゴキブリやんかー!!!!
拙者はゴキブリになってしもうたんかぁ~~~
な、なんでこんなことになったんやろ?
夕べなんか変な物でも食べたか!!
えっと・・・、昨夜食べたのは、牛肉とごぼうのしぐれ煮とさわらの焼いたんと白菜漬けと御飯。
日本酒も一合くらい飲んだなぁ。
いやいや、そんなことでこんな姿にはならんやろ!!
っていうか、今はそんなことを考えてる余裕はないのです。
今、拙者がいるのは布団の上の枕のすぐ横なんだけど、2mくらいの距離のところから拙者をじっと見つめるやつがおるんよ。
拙者が飼ってる黒猫が目を爛々と光らせてこっちを見てんの。
低い姿勢でお尻フリフリですぐにでも飛びかからんばかりの臨戦態勢。
これって明らかに拙者を狙っとるよなぁ。
ってことで、逃げます!!
布団の横にあるタンスと壁の隙間、あそこに逃げ込めば大丈夫!!
よし、走れ!!!!
と、同時に飛びかかってくる黒猫!
カサカサカサカサ・・・・・・・・・・
間一髪でタンスと壁の隙間に!
セ~~~フ!!!
いやぁ、6本足で走ったのは初めてだったけどけっこうスムーズに動かせるもんやなぁ。
垂直の壁も床同様に自由自在に走れるのはちょっと快感かも。
猫の前足が届かない奥の方まで移動して振り向いてみたら、金色の瞳がこっちを見とるよ。
怖いっす。
昨日までは可愛い猫だったのになぁ。
今は恐怖の対象やもんなぁ。
その黒猫の後ろにもっと大きな影が。
「りゅうくん、何見てるの?」
黒猫の後ろからこちらを覗き込んだのは妻ではありませぬか。
おーい!!拙者だよ!!
と、妻に呼びかけるも声にならず。
目を細めて暗い隙間のこちらを見つめる妻。
「やだぁ!!ゴキブリじゃない!」
いや、ゴキブリじゃなく拙者じゃよ!
あ、ゴキブリでもあるんだけど、拙者だって!
あんたのダ・ン・ナ!!
気付いてくれんかなぁ~~
妻はこっちを凝視してる黒猫を撫でながら
「りゅうくん、ゴキブリは汚いから捕まえちゃだめよ」
こら!ダンナを汚いとはなんちゅう言い草か!!
たしかに昨夜は風呂をサボったけど・・・・
「殺虫剤とってくるから、りゅうくんは見張りしておいてね」
妻はそう言って立ち上がったのでござる。
殺虫剤?
もしかしてそれって非常にヤバイんじゃない?
拙者は大慌てでさらに奥にカサカサカサカサ・・・・
最近の噴霧式の殺虫剤は勢いがよくて遠くまで届くのよねぇ。
どこまで逃げれば安全なのか?
あ、もうこれ以上奥に行けんやんか!
と、隙間に差し込まれる殺虫剤のノズル。
プシュウ~~~~~~~
ゲホゲホゲホ、こりゃたまらん!!
逃げ場のない拙者はあえて妻と黒猫のおる方へ息を止めてカサカサと全力疾走!
「きゃぁ!!出てきた!!!」叫ぶ妻。
「にゃ!!にゃ!にゃあ!!」興奮して拙者を捕まえようとする黒猫。
その黒猫の鋭利な爪をすり抜けて全力で床の上を逃げる拙者。
カサカサカサカサカサササササ・・・・
殺虫剤を手に追いかけてくる妻。
その妻よりも素早く拙者に迫る黒猫!!!
やばい!!
反対側の壁にたどり着いた拙者はその垂直の壁を一気に駆け上り
そして
飛ぶ!!
あ、拙者、飛べるんだ!!
「きゃぁ!!!飛んだー!!こっち来ないで!!!」
叫びながら殺虫剤を振りまく妻の横を飛び過ぎた拙者の目の前には半分開いたままになってるガラス窓。
このまま部屋の中にいたらいずれ殺虫剤で殺されるか黒猫に捕まって殺されるか。
それなら家の外に逃げた方が安全だよなぁ。
拙者はマンションの3階の窓から外に飛び出したのでござる。
外は青空。
5月の爽やかな風が吹いて気持ちいいのう。
空を飛びながら思いました。
拙者は自由!
どこまでもこのまま好きなところに飛んでいけるんだー!!
そのとき上空から黒い影が急降下してきて・・・
拙者が最後に見たのは大きく開いた黒いくちばし
(終)
カレーの日々 5/17、5/18更新~
画像掲示板 写真はこちらへ
(画像掲示板に投稿用PASSを設定しました。右下に8818を入力してください)
掲示板 なんぞ一言
源五郎日記 お休み中~