【誕生日】
☆チャールズ・チャップリン Charles Chaplin (1889.4.16~1977.12.25)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/84/7deafe58a665ebbd6b74ef7285268a7a.jpg)
圧制・不正義・不平等を真っ向から糾弾し自由と愛と平和を訴え続けた偉大な喜劇役者・映画監督です。
ミュージックホールのタレントの両親の元にロンドンの場末に生まれました。1890年に両親が離婚し母に連れられて劇場に
出入りしているうちに舞台に立つようになりました。5歳の時、貧困の中で母が発狂して兄のシドニーとともに孤児院に
送られそこで学校教育を受けました。10歳になった頃劇団エイト・ランカシア・ラッズに入所してパントマイム芸で舞台に
立ち、1917年にはフレッド・カルノーの一座で花形コメディアンになったことによってアメリカ行きのチャンスを掴み、
ニューヨークのアメリカン・ミュージックホールに出演していた時にマック・セネットに見出されて、スラップスティック
全盛の1913年にキーストン社と契約、1914年に第一作の『成功争ひ』に出演して映画界での活動を開始しました。次いで
第二作目の『ベニスのベビーカー競争』の時に山高帽に背広、片手にステッキ、ダブダブズボンにチョビ髭という独特の
いでたちで登場、哀れな紳士の中に抱腹絶倒のマイム芸と痛烈なナンセンス精神によるチャップリンスタイルが形成さました。
1916年にはミーチュアル社、1917年にはファースト・ナショナル社と渡り歩いてハリウッドのサンセット通りにに自前の
スタジオを建て、そこで従来の一発本番ではなく同じシーンを何度も取り直すというシステムを創り上げ、さらにアクション
一辺倒の喜劇に心理描写を取り入れて表現の幅を大きく広げ、1917年までに100本を超える短編に出演を果たしました。
映画初期のスラップスティック喜劇の第一人者として人気者であったチャップリンは、この頃からユーモアの中で徐々に
鋭い社会諷刺を加えるようになり、下町に生きる庶民の哀愁や怒りを代弁する「心優しき放浪者」へと変貌、1917年の
『移民』、1918年『犬の生活』あたりからその傾向が顕著に表れはじめ、官憲やブルジョワを小馬鹿にすることによって
歪んだ社会を糾弾するスタイルが定着していきます。社会の底辺に身を置く観客にとって官憲やブルジョワを小馬鹿に
することがこの上ない痛快を誘い庶民からさらなる支持を受けていきました。
1923年にユナイテッド・アーチスト社と契約して、同年の『偽牧師』で痛烈な悪徳への指弾をする一方で、1923年の
『巴里の女性』では監督に徹して笑い抜きのシリアスなドラマで運命の悪戯と必然を凝視、1925年の『黄金狂時代』で
さすらう孤独と飢えた人生のすべてを笑いに変えました。1928年に苦い涙の『サーカス』を撮った後に映画史の大革命と
なるトーキーの波が押し寄せてきます。1928年にはサイレントで企画した『街の灯』着手していたのですがトーキー誕生
にもかかわらず一部サウンドのサイレント作品として押切り、逆にロマンチックな音楽で捕捉することによって情緒的な
仕上がりに成功、圧制・不正義・不平等という現実社会を激しく風刺しながら人間の真心の大切さを訴えてました。
続いて1936年の『モダン・タイムス』においては文明社会で人間が機械に奴隷化されるという世の中に対する矛盾や不正義
に打ち勝って人間らしく明日を生き抜こうという強い意志で、現代社会の矛盾に対する憤りは思想的な文明批判にまで達
することになりました。
また、以前にも軍国主義を正面切って嘲笑した『担へ銃』があったのですが、1937年にアレキサンダー・コルダの依頼で
ヒットラーを皮肉った『独裁者』の映画化を提案されました。丸二年がかりで構想を練り、内外からの圧力に屈すること
なく、エンディングでは「兵士たちよ、君たちを肉弾にしようと動物のように連れ去っていく人でなしどもに命を捧げては
ならない」という映画史に残る演説で独裁者を手厳しく糾弾しています。
しかし、1947年『殺人狂時代』では戦争による大量殺人は許されるのに保険金殺人はどうして罪になるのかという皮肉を
込めたテーマを提示して公開禁止・中止の憂き目にあい、さらに1952年には芳醇な人間愛の映画詩『ライムライト』を
撮り終えたのですが、当時ハリウッドに吹き荒れたレッドパージ(赤狩り)により作風が共産主義的であるとの理由によって
完成直後に既にアメリカから追放されていました。
レッド・パージによって自由の国と信じていたアメリカから自由を奪われて追い出され、イギリスで沈黙を保っていた
チャップリンは1957年にロンドンで制作した『ニューヨークの王様』においてアメリカ文明に対する皮肉を込めて抵抗を
みせましたが、この反骨精神が認められるのに長い年月を要することになります。
常に社会的弱者の側に立ち、社会の矛盾に憤り、圧制・不正義・不平等を真っ向から糾弾し、社会悪への挑戦をし続け、
自由と愛と平和を訴え、不正義に打ち勝って人間らしく力強く明日を生き抜こうと慰めと励ましを語り続けたチャップリン。
その偉業は後世まで語り継がれることでしょう。
1914年『成功争ひ』Making a Living
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1914年『タンゴがもつれる』Tango Tangles
1914年『恋の二十分』Twenty Minutes of Love
1914年『メーベルの結婚生活』Mabel's Married Life
1914年『笑ひガス』Laughing Gas
1914年『彼の逢引きの場所』His Trysting Place
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/3f/b622cd22ca02b747d6341b14bcda328f.jpg)
1914年『醜女の深情』Tillie's Punctured Romance
1915年『拳闘』The Champion
1915年『アルコール先生海水浴の巻』By the Sea
1915年『珍カルメン』Burlesque on Carmen
1916年『伯爵』The Count
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1916年『番頭』The Pawnshop
1917年『移民』The Immigrant
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1918年『犬の生活』A Dog's Life
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/49/8cef54bdcb1f85324b7583e388e1145b.jpg)
1918年『担へ銃』Shoulder Arms
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1919年『サニーサイド』Sunnyside
1921年『キッド』The Kid
1923年『偽牧師』The Pilgrim
1923年『巴里の女性』A Woman of Paris(監督のみ)
1925年『黄金狂時代』The Gold Rush
1928年『サーカス』The Circus
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1931年『街の灯』City Lights
1936年『モダン・タイムス』Modern Times
1940年『独裁者』The Great Dictator
1947年『殺人狂時代』Monsieur Verdoux
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1952年『ライムライト』Limelight
1957年『ニューヨークの王様』A King in New York
1967年『伯爵夫人』A Countess from Hong Kong(監督のみ)
最後に、『モダン・タイムス』から『ティティナ』を付け加えておきます。【YOUTUBEより】