米イエローストーンで異常事態 何年も活動しない間欠泉が熱水噴出繰り返す
米国のイエローストーン国立公園では、めったに噴出しない世界最大の間欠泉スチームボート・ガイザーが過去3カ月間で8回も熱水を噴き上げており、地下で何が起こっているか研究者が首をひねっている。
アイダホ州、モンタナ州、ワイオミング州にまたがるイエローストーン国立公園は、北米有数の火山地帯で、地下には世界最大のマグマ溜まりがあると考えられており、公園内のさまざまな場所に間欠泉が熱水を噴き上げていることで知られる人気の観光スポットだ。
最も有名なのは、一定間隔で30メートルの高さに熱水を噴き上げる「オールド・フェイスフル・ガイザー」と、虹色の熱水泉「グランド・プリズマティック・スプリング」のふたつだが、なかでも相当運が良くなければ見られないという意味で人気なのが、世界最大の間欠泉「スチームボート・ガイザー」だ。
1911年から1961年までの50年間は、一切噴出しなかった休止期間があったスチームボート・ガイザーは、いつ噴き上がるか誰も予測がつかない存在だが、いったん始まると、オールドフェイスフルを大きく上回って、高層ビルの20階以上に相当する90メートルまで熱水が到達することもある。
そのめったに見られないはずの噴き上げが、今年は3月15日の第1号に始まり、4月に2回、5月はほぼ毎週の4回、そして6月4日と過去3カ月間ですでに計8回も発生しているという。とくに6月4日に発生した間欠泉の噴出は、現地時間午前9時ごろと、公園の営業時間内に始まったので、観光客にとってはラッキーこのうえないが、研究者は首をひねるばかりだという。
米地質調査所(USGS)イエローストーン火山観測所の研究者で、ユタ大学のジェイミー・ファレル准教授によると、これまでの8回の噴出は、平均して6〜8日おきに発生していて、従来にない規則性を見せているという。
観測チームはスチームボート・ガイザーの活動が活発化する前兆をとらえた今年5月、間欠泉の周辺に28個の地震計を設置した。これらの地震計は約30日間バッテリーが持続する簡易式で、噴出前後の地形変化や、地熱活動のデータを計測するものだという。