紀伊半島沖に膨大な天然資源「メタンハイドレード」が眠る泥火山!
海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの国際グループは、紀伊半島沖の南海トラフに位置する海底泥火山を掘削した結果、天然エネルギー源の「メタンハイドレード」が膨大に存在することを突きとめた。
水とメタンガスが結晶化したメタンハイドレードは、大陸周辺の海底に生物の死骸や火山灰などさまざまな物質が堆積してできた氷状の物質で、燃やしたときの二酸化炭素排出量が石油や石炭と比べて半分近く少ないことから、地球温暖化対策に有効な天然エネルギー資源として注目を集めている。
JAMSTECの井尻暁主任研究員と稲垣史生上席研究員らは、東京工業大学や独ブレーメン大学などと共同で、2009年と2012年に地球深部探査船「ちきゅう」で、熊野海盆(かいぼん)と呼ばれる海底盆地にある泥火山を掘削。
これまでの調査で13個の海底泥火山が見つかっており、グループは最も活動的な第5泥火山に着目して、山頂から200メートルの深さまでボーリングした。採取した内部の地質を分析した結果、推定約32億㎥の膨大なメタンが存在することがわかった。
その90%以上のメタンは、海底下400〜700メートルの地層に生息する微生物によって生成されたことも判明した。「メタン菌」と呼ばれる微生物は、南海トラフ巨大地震の震源域にあたる推定海底下15キロから、断層を伝わって染み出した水を利用してメタンを生成している可能性があるという。
資源がない日本では近年、海底のメタンハイドレードから天然ガスを取り出す技術の開発に注目が集まっている。今回の調査結果は、海洋プレートが沈み込む南海トラフが天然資源の生産につながる可能性があるとして期待が寄せられている。