壊滅的爆発を起こしたインドネシア「アナック・クラカタウ」が噴火!観光船が目撃
インドネシアのスマトラ島とジャワ島の中間の海峡に位置する火山島が21日噴火し、偶然近くを通った観光船が瞬間の撮影に成功した。
欧州の地球観測衛星センチネル2号は今月20日、スンダ海峡に位置するアナック・クラカタウ島の山頂から火山灰が混じった噴煙が西に向かって漂うようすを観測。
インドネシア在住の火山カメラマン、オイステイン・L・アンダーソン(Øystein L. Andersen)さんも同日、この付近を航行する観光船に乗っていた知人から噴火があったことを知らせる報告を受けたという。
インドネシア国家災害管理局(BNPB)は22日現在、正式な発表をしていないが、ホームページ上で公開されている火山監視カメラの夜間映像でも、ぼんやりした噴煙のシルエットが確認できる。
スマトラ島とジャワ島にはさまれたスンダ海峡には現在、アナック・クラカタウ島を取り囲むように、クラカタウ島、セルトゥン島、ラング島の3つの島が存在するが、約6万年前まで、この海域には旧クラカタウ島という直径15キロほどの火山島があり、その中央に火山があった。
その後の大爆発によって旧クラカタウ島は消滅したが、外輪山として残ったのが、現在の3つの島だ。しかし、1883年に発生した壊滅的なプリニー式噴火では、火砕流が海中に流入してカルデラを形成。巨大津波が発生して沿岸の3万6000人以上が死亡する大惨事をまねいた。
古代ローマのヴェスビオ火山の巨大爆発とならぶ規模の噴火によって発生した衝撃波は、15日かけて地球を7周したという記録があり、爆発音は5000キロ近く離れた島まで轟いた。噴煙は成層圏に達する40キロまで上昇したと言われており、地球規模で数年にわたって異常気象を引き起こし、各国で大凶作や飢饉が起きた。
この歴史的な爆発で生じた海中カルデラの中心部では、1927年から再び噴火活動が始まり、翌年、「クラカタウの子供」を意味するアナック・クラカタウ島が出現。この島はすべてが失われた生態系において、どのように生物が侵入・定着するのかを観察するための生物学上の実験場として各国の研究者が注目している場所なのだ。