アトリエ ここるぴあ

和紙作家 佐治直子のブログです。キンカチョウのことりたちと、工房『アトリエここるぴあ』での出来事を綴ります。

帰国展のお知らせ

2013年03月20日 | 作品展のこと
昨日から、豊田市小原地区の和紙のふるさとで、昨年のボルドーのグループ展
日本文化「伝統と現在」の帰国展を開催しています。

日本文化「伝統と現在」帰国展
期間:2013年3月19日(火)~5月12日(日) 9時~4時30分 入場料200円
    4月20日(土)にイベントあり!
場所:和紙のふるさと(愛知県豊田市永太郎町洞216-1)0565-65-2151

名古屋からは車で1時間くらい(公共交通機関ではけっこう不便ですみません)
いい季節になってきますので、ドライブのついでにぜひ

月曜日は搬入で朝から設置、そして昨日も搬入時に忘れていたプロフィールを
置きに行ってきました。平日なので人はまばらでしたが、たまたま中日新聞の
取材が方がいらして、居合わせた作家さんと一人ずつお話していました。
今日以降の中日新聞の豊田版に掲載されるそうです。
私は名古屋なのでタイムリーに見ることはできません

ボルドーで展示された作品や、ボルドーでの思いの詰まった新しい作品が
ならんでいます。
私の作品はこんな感じ。

壁に展示した写真はボルドーで撮影したもの「ボルドーの街並み」

写真を小さなパネルにし、リボンで飾ってみました
もちろん私の和紙に印刷しています。ブログで紹介した写真もたくさん登場。

そしてアルバム「家族の宝物」

ボルドーで展示した少し昔の日本の家族の写真。ボルドーでは壁掛け式に
展示していましたが、今回はアルバム風にしてみました。手にとって見て
いただけたらと思います。アルバムの後半にはこのブログのボルドー日記の
抜粋もありますよ

スーツケースのあかりとブーツは、昨年ゼロエックスカフェでデビューしたもの。
それぞれ本物のスーツケースとブーツで型をとって作りました。スーツケースは
糸で縫って組み立てています。もちろん紙はアトリエここるぴあで漉いたもの。
ブーツの紙は別で入手したものですが、うちで型を取り、柿渋で加工しました。
後ろに見えるニットのベレー帽は私がボルドーで被っていたもの。
タイトルは3点セットで「旅のおとも」です。

なお、4月20日には和紙のふるさとの展示会場でイベントをおこなう予定です。
ボルドーから中継も予定しています。



それから、この帰国展の前に同じ場所に展示していた私の作品があったのでご紹介。

大きな透かしの紙を漉きたくて、単色で漉いてみました。
2段階のグラデーションの透かしで、お花のモチーフ。
タイトルは「花がさね」です。大きいのでなかなか展示する場がなく、今は
巻いた状態でアトリエここるぴあに保管中。もったいない!飾りたい!でも
うちにはそんなスペースはない!というわけで、また機会があればどこかに
展示したいと思います。


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日本に帰って思うこと ボルドーからパリ・最終回

2013年03月11日 | フランス Bordeaux~Paris
12月4日

シャルル・ド・ゴール空港現地12月3日の19:30発のANAに乗り成田へ。
ジャックさんの手前JALに乗りたかったけど、ANAの方がいい時間があり
ちょっとだけ安かったのでジャックさん、ごめんなさい。
到着は12月4日の15:25。所要時間は12時間弱。長い長い時間だけど、
私には楽しみにしていることがあった

早く機内で映画を見まくりたかったのだ日本語の字幕を読みたかった!
もともと映画は好きなので、この帰りの飛行機では寝ないで映画を見て
うちに帰ってから死ぬほど寝ようって決めていた。時差ボケ対策にもいい。

帰路は行きと違って、飛行機の真ん中あたりの通路側の席を指定したので
食事はチョイスできたし、ほぼ満席にも関わらず、私の隣だけ空いていたので
ゆったり座ることもでき、比較的快適な空の旅だった。

成田から16:55発でセントレアへ。セントレアへは18:05着。
荷物もちゃんと届き、疲労感も予測の範囲内。本当にホッとした時だった。
うちに帰ると玄関を開けただけで、ことりたちが鳴きだした。ただいま

本当に無事に帰って来られたことに感謝します!

そして・・・

確か6、7年くらい前、加納先生の工房で
「2年後にフランスで展覧会とワークショップをしようね、ただ展示するだけ
 じゃなくてそれぞれが現地の人とコミュニケーションを取りながら何か
 ワークショップをしようね!」と言っていた。

時期はいろいろ事情があってずれたが、その約束はまず、3年前にパリでの
ギャラリーでの展覧会が実現し、その時私は展示だけでワークショップは
しなかったけど、先生方は紙漉きのワークショップをおこなった。
そして今回は私も和とじ本のワークショップを行うことができた。

前回のパリでも思ったけど、こんな叶わなさそうな夢も、ちゃんと一歩一歩
一生懸命積み重ねて続けていけば叶うんだなって思った。もちろん、自分だけの
力ではできないことばかり。周りに感謝してもしたりないくらいだ。

昨年は仕事のしかたを変えてみたり、ことりの家族が増えたり新しく知り合った
人が増えたり、簡単に言えばいろんなことがあった。とは言え、何も変わって
ないような、昔からこんな生活だったような不思議な1年の流れの中で、
今回のボルドーの展覧会があった。

これからどうなっていくのかな?
自分が強く望んで、やれるだけのことをやった!と言いきれるようなことを
していたら、少しずつでも望む方向に進んでいけるのかな。


今日はあの東北の震災から2年目になる日。

私は父が福島県出身なので親戚もたくさんいるし、身近に感じている。
ボルドーの展示では、昔、幼いころ父が福島県内で私と姉を撮影した写真を
自分の紙に印刷して仕上げ、フランス語の説明書きをつけて観ていただいた。

自分にできることは何か、和紙のことでも、震災のことでも、ずーっとそのことを
考えてきた気がする。そして、残念ながらこれができたという手応えは、なかなか
得られていないままだ。

でも、ここ何年も思うのは「自分にしかできないことのある幸せ」。
そして、それを一生懸命することが自分の仕事。そう思う。


写真はクレマンソーホテルから見たボルドーの街の朝焼け。



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フランスから日本へ帰る日

2013年03月10日 | フランス Bordeaux~Paris
12月3日

朝、ゆっくりしなさいねと言われたので、8時頃に起き9時くらいに着替えて
朝ご飯をいただいた。たくさんのジャムやジュースを用意していただき、
パンも美味しくて、朝からたっぷり食べてしまった

ジャックさんはすでにJALを定年退職していたが、奥さんのファビエンヌさんは
学校で生徒の親と電話で話す仕事があって、その日は2時に出勤とのこと。
特にパリで観光する予定もなかった私は、お昼までのんびり荷物をまとめたり
猫のミッちゃんと遊びながらジャックさんやファビエンヌさんと話をしていた。

ジャックさんが、ランチは近所にお勧めのチャイニーズレストランがあるから
そこに行こうと誘ってくれた。3人で雨の中、歩いて行くと、なぜかお休み。
そこで近くのクレープリーでガレットを食べることにした。

私としては中華料理よりもパリでガレットを食べる方が魅力的だったので
ラッキーと思った



マンションに戻る途中の駅で、仕事に向かうファビエンヌさんとはお別れとなり、
ハグして感謝を告げ手を振って別れた。ガレットを食べながら、「私にとって
フランスの家族のように思う」と言ったら、嬉しそうに微笑んでくれたのが
印象的な、優しいお母さんである。本当にありがとうございました。

部屋に戻ってから、ジャックさんとNHKの海外放送をみながら出発の時まで、
二人でいろいろな話をした。その時、映像で流れた日本での高速道路のトンネルの
屋根が落ちた事故のことから東北の震災の話になり、それから通貨がフランから
ユーロになった時のことや「人生で一番大事なものは何だと思う?」との話まで、
本当にいろんな話。

3時半頃、ムリエルさんのボーイフレンドがバイクで来て、ジャックさんの車を
運転してジャックさんと一緒にシャルル・ド・ゴール空港まで送ってくれた。
水泳のコーチの仕事をしていて、今日はお休みだとのこと。昨夜、きっとその話を
していたと思うけど、私が分かっていなかったので、そこで初めてお礼を言った。

ムリエルさんと彼は今年結婚されるとのこと。
物静かでとてもやさしい感じのする人だ。きっと幸せな結婚になると思う。
 昨夜の二人とミッちゃん

ジャックさんをはじめ、ご家族のみなさん、本当にありがとうございました。
フランス人の性格についていろいろ言われていたりするけど、私が知り合った
フランスの方々は、みんな親切で気持ちが通じ合える人ばかりだったと思う。
今回のボルドーやパリだけでなく、前回のパリや、日本でフランス語をきっかけに
知り合ったフランスの方々も気持ちのいい人ばかりだった。
これが偶然だと言われるのなら、その偶然に感謝したい。

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2度目のパリとホームステイ その3

2013年03月08日 | フランス Bordeaux~Paris
ジャックさんのお宅はパリ郊外のマンションだった。
部屋に入ると白黒の猫「ミツコ」が出迎えてくれた。みんな「ミツ」って
呼んでいたので、「ミッちゃん」と呼ぶんだよって教えてあげたら、ご夫妻も
そう呼ぶようになった。Koko-chanの「ちゃん」だよってね
 気が付くと近くにいるミッちゃん

おうちの中には招き猫などの日本のグッズがたくさん置いてあり、
パソコンの壁紙はよく見ると上野動物園のパンダだった!


夕方、ジャックさんの元同僚で友人のパリ在住の女性と電話で話をした。
あの時、ジャックさんをエスパス・ジャポンに連れてきてくれた人だ。
「ジャックさんがあなたに伝えてって。ぜひごゆっくり、自分の家のように
くつろいでねって。そのことを心配していますよ」と言われた。

ジャックさんは滞在中に何度も何度も「フェ・コム・シェ・トア」と言っていた。
合言葉のように。緊張しないでくつろいでねって。
 ノートにも書いてくれた

別に暮らしているチボーと言う息子さんと、ムリエルという娘さんがいて、
夕飯にはそれぞれ一緒に暮らしているガールフレンドとボーイフレンドと一緒に
来てくれた。ムリエルさんは以前、自分のココちゃんの本を買いたいから送って
欲しいとメールをいただいたことがある。送るのも心配なので、いつかパリに
行くことがあったら持っていくと約束していた。それで、今回ムリエルさんの
ために新しく作り、会った時にプレゼントとして渡すことができた。
とても喜んでくれた。よかった!チボーとさんとは宮崎アニメの話をした。
やっぱり日本のアニメが大好きなんだね。築地にも行ったことがあるという。
きっと私より東京のこと、詳しいと思う。

話すときはわずかなフランス語を交えた英語。食事中は時々みんながフランス語
だけで話していて、ついていけないこともあったけど、楽しそうに話している
様子を見て内容を想像しているだけで楽しく過ごすことができた。ムリエルさんや
チボーさんのガールフレンドが「今はね、こういう話をしていたの」って英語で
私に説明してくれ、気遣いに感謝した。ムリエルさんとは昔からの友人のような
気がしたくらい親しく感じられた。夕飯は家庭料理と言え、フランス料理のコース
メニュー。デザートもファビエンヌさんの手作りでとても美味しくいただきました。
 食後にみんなでパチリ

遅い時間になり、みなさんが帰っっていった。私は以前チボーさんが使っていた
お部屋を提供してもらい、楽しい余韻を引きずったままゆっくり眠ることができた。

初めてのフランスでのホームステイは心温まるステキな時間だったなあ

明日はいよいよ帰国の日だ。
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2度目のパリとホームステイ その2

2013年03月06日 | フランス Bordeaux~Paris
ジャックさんとの出会いは2009年9月17日。
場所はパリ10区のエスパス・ジャポン。初めての海外での展覧会に
ココちゃんの本の日本語版とフランス語版を出品した時のこと。

エスパス・ジャポンの開館時間は午後1時からだったので、午前中はいつも
パリの街を歩き回っていた。都会は苦手だし、観光地を巡りたいというわけでは
なかったが、次の作品のために写真をたくさん撮りたかったからだ

毎朝出勤する会社員のように9時前にはメトロに乗って出かけるパリでの日々。
その日はルーブルの2階(ルーブルも4日続けてまわった)、オランジュリー
美術館のあと凱旋門を登り、エスパス・ジャポンは夜7時に閉まるので、夜には
オルセー美術館にも行った日だった。

午後、エスパス・ジャポンにいると、日本人女性がフランス人ご夫婦と一緒に
入ってきた。名古屋の知り合いの紹介で興味があっていらしたとのこと。
フランス人のご主人の方は元JALのセールスの仕事をしていた方で、日本が
好きで何度も行ったことがあるという。

その方が私のことりのココちゃんのフランス語版『A bientot,Koko-chan』
手にとって気に入ってくださり、すぐにギャラリーの方にカードで支払いが
できないかと尋ね、できないと言われると、ちょっと待って!と言って
キャッシュコーナーまで行ってお金を準備し買ってくださった人なのである。

ジャックさんは私が日本に帰ってからも、次にいつパリに来るんだ?来る時は
必ず連絡を、Naoko-sanのために部屋は用意してあるからと何度もメールを
くださった。なので、今回のボルドー行きのことを伝えると、ぜひ行きか帰りに
パリに寄ってうちに泊まって行って!と言われたので、予定よりも1日早く
ボルドーを切り上げ、パリに寄ることにしたのた。

2009年に、ほんの30分くらいしか会ったことのない私のことを信用して、自宅に
招いていただいたこと、驚いたし、本当に感謝の気持ちでいっぱいになった。
私が行きにボルドーの空港からガンベッタまでの行き方が分からないと言うと
ちゃんと事前に調べてメールで送ってくれたりもした。(なのに間違えた私!

そのジャックさんとはモンパルナスの駅で待ち合わせしていた。

私はけっこう緊張していた。今まではほぼひとり旅とはいえ、会場に行けば
メンバーの誰かがいて日本語で普通に話すことができる。しかし、この1泊の
パリでは家族全員親日家だと聞いてはいるが、日本語はまず通じない。メールの
やりとりは英語だが、私が特に英語が得意というわけでもないし、普段日本で
ほとんど英語を使うことがないので、考えると不安が募る。

私がTGVを降り、ホームを歩いているとたくさんの人の中にジャックさんと奥様の
ファビエンヌさんを見つけることができた。向こうもすぐに気づいたようだ。

その瞬間、さっきまでの不安がさーっと引いて行った気がした。再会した時も
その後、車でジャックさんのおうちに向かう間も、なんと話がはずんだことか
変な間があくこともなく、相手のいうことが分からないとか、言いたいことを
どう言っていいのか分からなくてもどかしいということがほとんどなく、
久しぶりに会った親戚のように話がはずんだ。

ホッとした。明日までの帰国の時間が急に短くなった気がした。

その3へつづく
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2度目のパリとホームステイ その1

2013年03月05日 | フランス Bordeaux~Paris
12月2日

朝6時に起きて、レンジでチンするご飯でおにぎりをつくり、ホテルをチェック
アウトして出発。支度中はけっこう雨が降っていてわ~どうしうよう~って
いう感じだったけど、出発直前に小雨になり、トラムの駅までは傘なしで行けた。
(私はけっこう晴れ女なのです
サン・ニコラ駅からのトラム(車体が色ではなく路線図の色が)で北上し、
カンコンスの駅ピンクの路線のトラムに乗り換えボルドーのサン・ジャン駅へ。
※上の二つのリンクはリンク先に写真があります

TGVは日本で予約していたもの。悩んだ結果たいして値段が変わらなかったので
1等席を予約していた。乗ってみて、スーツケースをどこに置こうか迷っていたら
親切な男性が上の荷台に載せてくれた。すごく重いのに!席ははじめ女性が座って
いたが私が座席のところに行くとニコッと微笑んでから別の席に移った。

私の座席は一人掛けでテーブルをはさんで知らない人と向かい合わせの席だった。
残念ながら進行方向に向かって後ろ向き。そして向かいの年配の男性は、これから
学会の発表があるようで、パリに着くまでの間ずっと資料に目を通し、メモを
書きこんでいた。おにぎりに興味を持つような人だったら一つあげようと思って
いたのに、全く興味なさそうだ。脚を伸ばせば相手の脚に当たってしまうし、
次に乗ることがあったら2等で十分だと思った

しばらくすると、風力発電のプロペラがいきなりたくさん現れて、私の気分は
一気に上昇

慌ててカメラを出して、写真を撮りまくった。向かいに座った男性は書類から
目を離し私の様子を見ていた。「日本人は風力発電が珍しいのか」と思ったに
違いない決して珍しいわけではないけど、私はあの風車を見るのが大好きで、
北海道や沖縄まで写真を撮りに行ったことがある
たぶん、最初に見たときにかなりのインパクトだったからで、そのことについては
また機会があったら語ります。

パリに着いた。降りるときに、先ほどの親切な男性が自然に私のスーツケースを
下ろしてくれた。腰が痛かったので、大変助かった。

さあ、ジャックさんはいるかな?上手く話ができるかな?私のこと、見てわかるかな?


その2へつづく
コメント (2)
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